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我は売る、さらばベスパよ(2)-ネット個人売買とリスク_1073

法律ノート 第1073回 弁護士 鈴木淳司
September 6, 2017




 

我は売る、さらばベスパよ(2)

前回からの続きです。さて、思い入れのあるベスパをインターネットの広告に載せたところ、一時間も経たないうちに興味があるという連絡がバタバタ入るようになりました。

ところが、ほぼ9割方の連絡は結論として、正当な購入を目的とするものではありませんでした。これがネット社会の現実でしょうか。

 

まず、興味があるから返答してほしい、ということで律儀に返答をすると、中古車を売る前に検査をするべきで、その価格は他社よりも安いです、という売り込みのセールがいくつかありました。また、丁寧ではありましたが、売れないなら、寄付してくださいという申込みもありました。学生なので売り出し価格の半額程度払うのでなんとかしてくれというのは、来た連絡のなかではマシな方だったかもしれません。これらは詐欺ということではありませんでしたが、趣旨違いという感じでしょうか。

悪質なのは、Paypalで支払う、という申し込みです。いきなり連絡が来て、遠くに住んでいるので見に行けないが、Paypalで言い値を支払う、と言ってきます。この手の「遠隔地に住んでいるので、Paypalで対価を払うという」のは、ほぼ詐欺です。詐欺の注意喚起をしているサイトにも定番の詐欺として載っています。
Paypalというのは、いわゆる支払代行サイトで、一定の取引の内容は保証してくれるようになっていますが、個人売買はほぼ保証はしてくれないのです。メールなどのやりとりで、Paypalを使って支払ったように見せかけて、現物を詐取するというやり方です。ひどい場合には、支払いすぎたので、現物とともにPaypal代金を一部返金してくれ、といって現物だけではなく現金まで詐取されてしまうケースも多くあるそうです。ですので、個人売買においては、Paypalなどはやめておいたほうがよく、できればニコニコ現金取引だけにしておくべきでしょう。
私も、Paypalは受け付けませんとはっきり広告に書いていたのですが、かなりの数のPaypal詐欺メールに接しました。ひどいメールのやり取りになると、私がPaypalは受け付けません、というと、返信に罵詈雑言が書かれているものもありました。それも英語の文法が間違っているのです。苦笑いしてしまいましたが、一瞬不愉快になりますよね。

それから、もう少し手の込んだ手口では、実際に電話で話すまでの状況になったのですが、銀行振出小切手で支払う、と言ってくる人もいました。これも詐欺です。私は、実際に会って、現物を引渡し、現金がほしい、と広告に書いていたのですが、見に行きたいけど、自分の記録として残したいので銀行振出小切手(キャッシャーズチェック)で支払っても良いか、というリクエストです。実際に見に来て買うのであれば、現金をちょうだい、と言うと、それでも不安だから一緒に銀行にいくのはどうか、と言ってきます。私は、銀行に行くなら、その場で現金をおろして、それを確認したうえで、受領証を書くよ、と言ったら、また御託を並べます。受領証ってどういうのか、わからないなぁ、とかとぼけたことを言うので、私は弁護士なので、法的に有効な書類ならすぐに作成できるよ、と言ったら「考えて、また連絡するよ」ということで、もう二度と連絡はありません。銀行振出小切手の詐欺については、少し前に法律ノートでも取り上げましたが、個人売買のレベルでは、避けるべきです。やはりローカルの人とニコニコ現金商売をするしか安全策はないのではないかと今回考えさせられました。とはいえ、偽札を使われたらもう痺れてしまいますね。

週末は葬式に出ていたため、一部の真摯に連絡をしてくれた方々にお会いできなかったのですが、広告を出した当初から、文章もしっかりした方から連絡をもらっていたので、その方にまず会いたいと思いました。他の人に待ってもらい、その人と葬式から帰ってきてからまず会いました。自分の信用するメカニックを同行したいというのも好意が持てます。会うと感じもよく、ちゃんと現金も用意をしてくれたので、私もこの人なら大事に乗ってくれるだろうな、と思いました。結局、私も積極的にディスカウントに応じて、すぐにベスパは売られることになりました。その人はサンフランシスコ市内に住んで、市内の通勤に使うということですので、またいつかどこかでベスパに会えるかもしれません。

世の中には、詐欺をするような人がたくさんいることがよくわかりましたが、良い人も必ずいるものです。結構、個人売買は面倒くさいものだということもよくわかりましたが、色々習わせていただきました。

ベスパくん、6年間ありがとう。

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我は売る、さらばベスパよ(1)-ネット個人売買とリスク_1072

法律ノート 第1072回 弁護士 鈴木淳司
August 31, 2017



 

我は売る、さらばベスパよ(1)-ネット個人売買とリスク_1072

皆さんは、8月最後の週末はどのようにお過ごしになりましたか。私は、ロスアンゼルスまで飛んで、葬儀に参列しました。まだお若かった故人のことをご家族と偲ぶ機会を得ました。この故人がいなければ、日本最初の量販ハイブリッド車が世に出ませんでした。貴重な方を亡くしました。

さて、前回から養育費について考えてきました。

今回も続けようと思ったのですが、先週から私に起こっていることで、ぜひ皆さんにも注意していただきたいことがあり、一旦、いただいている質問にお答えするのを休ませていただき、私の記憶が鮮明なうちに皆さんとシェアできたら良いなと思っています。

くだらない話のようにも思えますが、日常生活では気をつけなければなりません。

 

実は私は若いときから、かなりの台数のオートバイに乗っていて、弁護士になってから控えるようにしているのですが、今でも街中で走っているオートバイを見ると心で評論してしまいます。

アメリカで、バイクというと自転車のことになってしまいますが、尾崎豊や浜田省吾に習って、ここでは、オートバイのことをバイクと言ってしまう可能性がありますので、あしからず。

 

2011年、あるスクーターに目を奪われました。実はスクーターにはまったく興味がなかったのですが、当時新車だった、GTVというベスパがどうしても欲しくなってしまいました。

ベスパというのは、ご存じの方も多いと思いますが、イタリアのピアジオが出しているスクーターで、イタリア語で、蜂の意味があります。女性でも乗りやすいということで発売され、ヨーロッパではどこに行ってもみかけます。限定解除の大型バイクに乗っていた私が、なぜこのGTVにロックオンしてしまったかというと、「ローマの休日」という映画です。

皆さんも観たことがあるクラシック映画なのですが、その映画の中でオードリーヘップバーンが乗っていたベスパを覚えていますか。マニアには良くわかることなのですが、現代のスクーターのヘッドライトの位置は、ほぼほぼハンドルの高さに設定されています。ベスパもほぼすべて、ヘッドライトがハンドルの位置というのがお決まりなのですが、このGTVだけは、前輪フェンダーの上にヘッドライトがつけられている、いわゆるレトロ復刻版なのです。オードリーの乗っているベスパも前輪の上にヘッドライトがあるのです。

見ればみるほど、このGTVがどうしても欲しくなった私は衝動買いをしました。オプションも付けられるだけつけて、意気揚々とサンフランシスコの街で乗っていました。なんといっても、シートが革でできているスクーターです。革の保護用のスプレーで磨いたり、街中に停めるときには、カバーをしたり、と哺乳類を飼っていると同等のケアをしていました。

ところが、「スーツを着ながらでも乗れるんだよ」と自慢げにしていた私も、1000マイルも乗らないうちに、徐々に乗らなくなってきて、結局車庫に眠るオブジェと化してしまいました。それから、数回は乗ったものの、やはり車の方がなにかと便利ということもあり、GTVはカバーをかぶったままになってしまいました。

ところが、人間というのは、浅ましいもので、2011年の「あのときの買ったときの気持ち」を大事にしていていたこと、仕事が忙しかったことなどから、手放すこともできず踏み切れない状態でズルズル今まで来てしまいました。ところどころ、金属パーツにサビは浮いてきているものの、新品同然の状態です。

2017年夏も終わるころ、車も買い換える時期になり、ようやく売る決心をした私は、地元の物品売買サイトを通して、「ベスパ、売ります」という広告を出しました。「あー、大事に乗ってくれる人が現れたらいいなぁ」などと思いを込めつつ、愛車の写真を掲載して、連絡を待つことにしました。価格設定は、ちょっと高めにしました。交渉はするつもりですが、やはり買った時の愛着があるからです。

インターネットに広告を掲載すると、一時間も経たないうちに、いくつも連絡が入ってくることに驚いていたのですが、実は、かなりの数の詐欺的手口をつかった連絡が入ってくることになります。

次回、どのような手口で私の愛車を持っていこうとしているのか、みていきましょう。

 

テキサスのハリケーンなど天候でアメリカも深刻な状況になっていますが、秋にかけて天気も不安定になってくることが予想されます。異常気象があるとしても、皆さんくれぐれも体調管理には気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。




 

銀行小切手で詐欺。対処方法は?[2]





法律ノート 第1036回 弁護士 鈴木淳司
December 16, 2016

最近、ある交通事故の相談を受けたときに、日本ではドライブレコーダーという前方を常時録画するビデオカメラを設置することで、ずいぶん状況を把握するのが楽になったと感じました。アメリカではダッシュ・カムなどとも呼ばれますが、過失を争うときにある程度の証拠にもできるのではないでしょうか。他国では、ドライブレコーダーを設置すると、保険も割安になる制度があるようですが、アメリカでは、そのような割引料金は各社設定していないようですね。事故の事実関係における紛争が少なくなることと、本体はあまり高くないので、今度私も設置してみようかと思っています。読者の皆さんはもう使われていらっしゃいますか?何か、使って良かったという例があれば、ぜひ、法律ノートにお便りくださいね。

「銀行小切手で詐欺。対処方法は?」[2]

さて前回から、「振り込め詐欺のような状況に遭っています。友人からの紹介だったので信用したのですが、その友人も騙されていたようです。小切手が送られてきて、それを現金に換金し、郵送をして欲しいと言われその通りにしました。このような場合どこへ相談をすればいいか、または泣き寝入りになってしまうのでしょうか」という質問を考えはじめました。

前回はどのような形で小切手を使った詐欺が行われているのか、といった点を考えました。今回続けていきましょう。

キャッシャーズチェック、本物を見分けるには?

まず、前回の復習になりますが、銀行が支払責任を負う、いわゆるキャッシャーズチェックは、個人振出の小切手(パーソナルチェック)よりも一般的に信用が高いわけです。よく、個人売買などでも、「キャッシャーズチェック・オンリー」と書かれているところもあります。今回の詐欺は、この信用された銀行振出小切手を悪用したものです。

では、かりにキャッシャーズチェックを受け取らなければならない状況になった場合、どのような注意をしなければならないでしょうか。
まず、銀行振出小切手は必ず、支払の責任を負う銀行の名称、住所、電話番号が書かれています。これらが実在するのか、実際に電話をするなりして確認するのが第一歩です。もちろん、これらの情報も完全にコピーしてきている可能性はあり、安心ではありません。

次に、キャッシャーズチェックを換金する場合、金融機関にその信頼ができるのか確認してもらうことも可能でしょう。注意したいのは、たとえ、チェックが口座にデポジットでき、残高が確認できたとしても、その後に、不渡小切手となる可能性は充分にあります。
したがって、銀行に調査をしてもらい、銀行が支払を確保できた時点で、はじめて用意された残高を引き出すべきです。この手の詐欺は、「はやく現金が欲しいので、小切手の換金を頼む」という筋が多いわけで、かりに残高確認ができていない状況であれば、待つように言うしかないと思います。

小切手以外の方法を用いる

また、これはインターネットが普及したことによる穴になる点ですが、信頼できる人や会社でなければ、銀行振出小切手でのやり取りはやめて、金融機関の送金、クレジットカード、など代替えの方法を使うことがベターです。最近では、Paypalが、補償もついて安全ということを売りにしていますし、幅広く使われていますね。

小切手偽造は米財務局ページを参照

ちなみに、米国財務局(US Department of Treasury)は、小切手の偽造などの案件を逐一公表していますので、似たような状況に直面したときに、詐欺に気付きやすくなるかもしれません。

2016年の事例に関するリンクはhttps://occ.gov/news-issuances/alerts/2016/index-2016-alerts.html となります。

 

詐欺被害と対応方法

では、詐欺に遭ってしまったときに、どのような対応が可能になるでしょうか。

まず、弁護士に依頼したとしても、充分な対応ができない場合も多くあります。すなわち、小切手が他国や他州のものであったり、州を超えて取引があったりすると、裁判で対応するということは難しい面があります。また、詐欺をした人がどこに所在するのか、そもそも、誰なのか、という事実的な関係を調査するのも簡単ではないかもしれません。
とにかく、どのくらいの証拠があるのか、相手方となる詐欺をした人の情報などを含めて検討しなければ、なりませんし、実際に解決は難しいことが多いです。

政府系で、チェックの詐欺に遭った場合には、シークレットサービス金融犯罪課(U.S. Secret Service Financial Crimes Division)に被害を届けることができます。
リンクはhttp://www.secretservice.gov/investigation/ となります。
その他にも連邦の機関として、FBIやFTCといった機関に通報することは可能ですが、インターネット犯罪などに限られます。

とにかく、このような小切手の犯罪は、少額であることも多いですし、一方で多額な取引でも被害が出ています。したがって、小切手で取引をするということは、現状においてかなりリスクが多い取引ということを理解されてください。
現代では、他の決算方法もふんだんにありますので、小切手の使用は面識がない場合、できるだけ消極的に考えるべきだと思います。

以上で、今回の質問をある程度全般的に考えましたが、他にも疑問点があれば、いつでも法律ノートに質問をいただければと思います。もう師走になってしまいました。ホリデーシーズン真っ盛りになり、街がきらびやかになってきました。
空気の乾燥から身体を守りつつまた一週間がんばっていきましょうね。




銀行小切手で詐欺。対処方法は?[1]





法律ノート 第1035回 弁護士 鈴木淳司
November 30, 2016

皆さんは、サンクスギビングはゆっくりされましたか。私は随分賑やかに色々な人達と時間を過ごした週末になりました。サンクスギビングの週といえば、アメリカでは買い物が盛り上がりますが、最近ではサイバーマンデーセールだけではなく、サイバーウィークセールなどと安売り期間の幅が広がっていて、一体いつが安売り期間なのかわけがわからなくなってきていますね。

「銀行小切手で詐欺。対処方法は?」[1]

さて、今回から新たにいただいている質問について考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると、「振り込め詐欺のような状況に遭っています。友人からの紹介だったので信用したのですが、その友人も騙されていたようです。小切手が送られてきて、それを現金に換金し、郵送をして欲しいと言われその通りにしました。このような場合どこへ相談をすればいいか、または泣き寝入りになってしまうのでしょうか」というものです。

詐欺関連の相談は増加傾向

最近類似したトピックについて、法律ノート上で注意を促しましたが、最近かなりの頻度で、この手の相談を受けます。オンラインでの売買やサービスに起因する詐欺も多くなっていますが、今回の質問者のように、小切手などの有価証券に起因するケースも少なくありません。実際に、弁護士も詐欺にあう事例まであります。

詐欺の手口は様々

今回質問されている方の状況を具体的に考えると、まず、友人の友人と思われる人が、小切手の換金を頼んできます。この質問者は、自分の銀行口座を利用して、この小切手を換金してあげるということになったと考えられます。この事務作業にお金をもらっているのかどうかは、定かではありません。そして、手元にある小切手を自分の口座に入金し、口座から現金を引き出し、郵送という方法を書かれていますが、米国では基本的に現金書留という制度はありませんので、なんらかの方法で、詐欺をした人に現金を渡してしまったということになります。

この手の詐欺には、パターンもいつくもあり、たとえば、ある企業に新規の売買の申込みをし、小切手を送り、商品を受け取ります。そして、流通性のある商品を受け取ったうえで、小切手は実は偽造されたものだった、というパターンも実際にありました。
他にも、たとえば、オンラインで個人売買を装った買主が、物の売主に購入代金より金額の高い偽造小切手をわざと送ります。そして、すぐに売主に連絡して、金額を間違ったので、一部送り返すように仕向けるというパターンもあります。

アメリカの小切手ーパーソナルチェック/キャッシャーズチェックー

ここで、小切手について少々考えます。
小切手というのは、アメリカでは主にパーソナルチェックと呼ばれるものと、キャッシャーズチェックと呼ばれるものがあります。前者は、個人の口座から本人が振り出した小切手をいいます。後者は、銀行が支払をする責任を負う小切手の通称です。
銀行が振り出した小切手の方がより信用が一般的にありますね。個人だと口座にお金がないのに、小切手を振り出し、いわゆる不渡りになることもありえます。一方で、銀行振出小切手は、銀行は払ってくれることはいわば当然なので、信頼性も高いのです。

今回の質問者も、たぶん偽造された銀行振出小切手を掴まされてしまったように思えますが、この一般の信頼を逆に利用した、銀行振出小切手を利用した詐欺の例が多いのが現状です。
したがって、銀行振出小切手だからと言って、すぐに安心して信用するべきではなく、その振出銀行に問い合わせをしたり、小切手が正しいものか、確認する必要があります。また、現代では、小切手の使用自体が少なくなってきているのですから、銀行振出小切手であろうと、通常の小切手であろうと、小切手による取引は避けることにすればよいかもしれません。

被害にあったらどうするか

小切手というのは、主に金融機関によって現金化されていくものですので、今回の質問のようなケースでは、まずご自身の口座がある金融機関に話をする必要がありますし、同時にご自身が被害にあった場所、またはお住いの場所を管轄する警察に相談をする必要があります。金融機関と話をするにしても、まずは警察に被害届を出すことを求められるかもしれません。次回続けて考えていきたいと思います。

 

ずいぶん天候も寒くなってきましたが、街はホリデーシーズンの灯りが多くなり、綺麗です。冬は冬の楽しみもあり、サンフランシスコではカニのおいしいシーズンまっさかりです。寒さに負けずまた一週間がんばっていきましょうね。