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機内で飲酒、トラブルに。その後の米国入国に問題ない?[2]

法律ノート 第1016回 弁護士 鈴木淳司
July 18, 2017




 

日本は「海の日」だそうで、三連休羨ましいものです。「ゆとり」を意識しているのかはしりませんが、この20年で、三連休がたくさんできているようですね。とはいっても東京都知事選もあるし、あわただしかったりもするのでしょうか。日本の皆さんが、のんびり過ごされると良いと思います。

 

機内で飲酒、トラブルに。その後の米国入国に問題ない?[2]

 

さて、「先日、日本から出張でアメリカに行きました。帰り(日本行き)の飛行機のなかで、ワインをもらって飲んでいたのですが、疲れもあって酔ったようです。さらにワインを頼んでも、客室乗務員に出してもらえず、やむなく免税店で買ったウイスキーを開けて飲んでいました。そうすると客室乗務員と口論になり、ウイスキーを取り上げられただけではなく、最後には手錠のようなものをはめられ空港で警察に調書を取られました。現在日本では更なるトラブルになっていないのですが、今後問題になるのでしょうか。」という質問を前回から考えてきましたが、今回続けて考えていきたいと思います。

前回、今回のケースでは、アメリカの法律が主に適用されるシナリオだということを考えました。

 

航空乗務の妨害行為

アメリカでは、連邦の法律で、航空乗務をする人達の仕事を妨害する行為について、かなり厳しく明確な条文が用意されています。

航空機の乗務員の仕事を妨害する罪(49 U.S.C. 46504)として規定がありますが、乗務員に対して、暴行、脅迫などを既遂、未遂を問わず行った場合には、最高で20年間の禁錮となる刑となっています。かなり深刻な罪ということになっています。

この罪は、酔っ払っていた場合など、あとになって「あの時酔っていたのでよく覚えていません」と言っても許されないように規定されています。大体酔っぱらいが騒ぐことを前提にしていると考えられます(判例でいうと、United States v. Meeker, 527 F.2d 12 (9th Cir. 1975).などが挙げられます)。
六本木や新宿のキャバクラやクラブで騒いで問題を起こすレベルとはまったく次元の違う罪に問われることになるわけです。

 

乗務員の真の役割はフライトの安全確保

 

乗務員は、ただ単に飲食物を提供したりする役割ではなく、フライトを安全にするための一般的な重い役割を負っているとアメリカでは考えられています。これは一般論です。

日本でもアメリカでもかわりなく乗務員の教育は行われていますが、一般の人達が期待する役割としては、アメリカの方が、より「安全確保」ということに主眼が置かれている考え方をしている傾向にあると思います。

 

日本法の適用は微妙。しかし米法適用の可能性

 

今回の質問をされている方のケースでは、日本で警察に行ったとしても調書を取られておしまい、ということになるかもしれません。日本の法律の適用が微妙だからです。そうすると、今後日本の警察や検察が動くということはないかもしれません。

一方で、アメリカの航空会社のクルーの人達は、アメリカに帰属する航空機内で起こったことですので、上記の連邦法が適用される可能性が大きいので、現地の警察に「一応は」届出をすることにはなります。

私も以前似たような事案を担当したことがありますが、日本では何も罪に問われませんが、日本で取られた調書をもとに、アメリカの検察局に被害届を出す場合がほとんどです。航空会社のプロトコルでそのように決まっているようです。

そうすると、アメリカでは充分に罪になり得ますので、この事件はアメリカの検察局によって起訴相当かどうかが決まります。かりに起訴が決まった場合には、すぐに逮捕されるということはないとは思いますが、現在では連邦検察局と移民局が情報共有をかなりの範囲で行っていますので、次回アメリカに入国するときに、入国管理局に逮捕されて、裁判に移行していくということになりそうです。

今現在、日本国内にいらっしゃって問題になっていないかもしれませんが、次回、渡米されるまでに、一応アメリカで、起訴がされていないか、何か逮捕状が存在しないか、など、弁護士に相談するなりして確認する必要があると思います。

 

カリフォルニアは、まだまだ水不足が解消していませんが、火事に気をつけて、アウトドアを楽しんでいきましょう。夏の暑い日が続きますが、また一週間夏バテを気にしつつまた一週間がんばっていきましょうね。