相続財産」タグアーカイブ

『遺言執行者になって欲しい。』どうする?[3]




 

法律ノート 第1055回 弁護士 鈴木淳司
April 25, 2017

やっと雨が降り止んで、晴れの日が一週間は続く、というラジオのニュースを聞いて、チャンスだと思って、洗車をしましたが、翌日雨が降りました。昔から、私が洗車をすると雨が降るという運命を持っているようなのですが、今回もまたやられました。干ばつで困っている地域の方は今度私を呼んでください。洗車しにいきますので。皆さんは週末いかがお過ごしでしたか。

 

『遺言執行者になって欲しい。』どうする?[3]

さて、前二回、「ベイエリアで、長期に渡って住んでいる者です。すでに、子供達は巣立っているのですが、子供の学校関係を通しておつきあいを長い間続けている夫婦から、遺言で遺言執行者になってくれないか、と打診を受けています。その夫婦のお子さんも大きくなり、日本に戻ってしまったため、今は、夫婦のみがカリフォルニアに住んでいる状況です。遺言の執行など、私はまったく知りませんが、できることなら力になってあげたいとも思っています。遺言執行者とはどのようなものなのか、教えていただけないでしょうか」という質問を考えてきました。

今回も続けて考えていきましょう。

 

選任後の手続き

今回は、遺言執行者に選任された場合に、どのように実際の手続きがながれていくのか、みなさんと一緒に考えていきましょう。

前回、遺言執行者に選任されたとしても、いきなり大きな仕事を引き受けるということには実際にならず、通常は、弁護士に委任をして、裁判関係の手続きを代理してもらうという流れになります。弁護士が出廷すれば遺言執行者はほぼ裁判所に行く必要はありません。報告だけはちゃんと受けている必要はありますけれども。

 

遺言執行者の具体的な役割ー財産の確定と分配ー

さて、では遺言執行者として、具体的に何をするかというと、内容は遺言に書いてあります相続財産がどのくらいあるのか確定して、遺言に書かれた相続人に対して分配をしていくということになるのです。つまり、どの程度の財産があるのか全体像を調べて、そのうえで、割合などに応じて分配をすることが仕事になるということです。

まず、財産がどの程度あるかを調べなければいけませんが、通常は遺言にかかれています。
しかし、人間は生きているうちに、銀行口座を変えたり、家を買ったり売ったりするなど、変化が生じます。ですので、遺言を作成した人がどのような財産を持っているのか、手持ちの資料や、情報の調査をして全体像を明らかにします。

具体的に、どのような書類があるのか探したり、郵便の内容を確認したり、遺言執行者がしなければならない仕事になるかもしれません。家族や友人にどのような財産があるのかを聞いたりしなければならないでしょう。また、家が残されていれば、その家の管理をしなければならないですし、動産があればその動産の管理もしなければなりません。車や宝石などが主な動産でしょうか。

 

遺言者に代わって財産処分する権限

これらの動産や不動産を売却して換価することも一つの遺言執行者の仕事になります。もちろん代理している弁護士がどの程度深く関わってくれるのかにもよりますが、不動産の価値を把握したり、色々な業者に連絡するといった業務もあるわけです。

このような業務を行うについて、遺言執行者は、他界した遺言者の代わりになって行うのですが、裁判所から、遺言執行者にその権限を与える書類をもらえるので、問題なく遂行できるのです。金融機関にある口座などにしても、権限があるので、内容を確認することができます。

 

かかる費用は相続財産から拠出

以上のような業務を行うにあたって、コストが発生します。家や動産の維持、財産の評価など、様々な費用がかかることになります。これらのコストは遺言執行者が捻出するわけではなく、通常相続財産から支払われることになります。

 

相続財産の分配、裁判所の見守り

全体的な相続財産が把握できると、今度は相続人の人たちにどのように分配するかを考えていきます。

この財産の分配が多くの相続関係の紛争になり得るのですが、とにかく遺言に沿って分配がなされます。遺言執行者は、相続される財産が、相続人に渡ることを確認しなければなりませんし、いったん財産が遺言通り分配されれば、そこで役割は終了することになります。

裁判所は、財産が遺言通り分配されたことを見届けて、遺言執行者に法律で決められた金銭的な費用を支払うことで、相続手続きが終了することになります。

 

遺言執行者を選ぶときは慎重に

以上が遺言執行者の役割ですが、それなりに仕事をしなければなりません。それに、そもそもある程度どのような財産があるのかなどプライベートのことを知っている人の方が適任ということも言えると思います。

遺言執行者を指定するときも、以上の流れを考えて、誰にするかを決めてくださいね。

 

次回、新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
北朝鮮の情勢に不安を感じますが、平和な世の中を願ってまた一週間がんばっていきましょうね。