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トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[2]

法律ノート 第1064回 弁護士 鈴木淳司
July 4, 2017




過去20年間ほどお付き合いをしているクライアントの方とこの独立記念日にかかる週末を過ごして、ゴルフの手ほどきを受けています。地理的になかなか一緒の時間を過ごすことは難しい状況がずっと続いたのですが、楽しい時間を過ごしています。皆さんは夏を楽しまれていますか。

 

トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[2]

さて、前回から「私と夫は(あるカリフォルニア州外)90代と80代で二人で暮らしています。現在、トラストを作成してあるのですが、ある税務会計事務所の方に相談をしたところ、その事務所の方がトラスティになってくれるということになりました。とても親切な方で最初は感謝したのですが、月500ドルを支払うように要求された上に、トラストを書き直して、今我々が住んでいるアパートは、我々夫婦が死んだら彼女の所有になることになってしまいました。そこで質問ですが、何故、トラスティには無料のトラスティと有料(月500ドル+実費)の2種類のトラスティがあるのでしょうか。アメリカの法律では、有料のトラスティを認めているのでしょうか。」という質問を考えてきました。

 

財産管理は自分でー自分自身がトラスティ

前回から、この質問を考えてきましたが、身体精神に問題がなければ、自分が生存中は、自分自身がトラストのトラスティになるのが通常なので、今回の質問に関して疑問が湧いてくるというところまで考えました。ここから、噛み砕いて考えていきたいと思います。

通常、自分が生きている間は、自分の財産は自分が管理します。ところが、たとえば、認知症になってしまったり、精神的な病となってしまい、自分の財産の管理ができないという状況であるとしましょう。

 

「後見」制度ー権利行使を他人に委ねる法的手段

日本とアメリカは類似の制度を導入していますが、「後見」(Conservatorship)という方法が法律上規定されています。本人が生活上、様々な判断をできないという状態の場合、近親者が裁判所の許可を通して本人に成り代わって法律的な行為を行うという制度です。

そうすると、違う角度から見てみると、後見というのは、後見をされている人(法律的には被後見人と呼ばれます。)の法律的に何か決定をする権利を奪う制度です。一方で、被後見人のために、第三者である近親者などが、法律的な決定をすることができる制度なのです。

考えてみてください。
本人は、白いドレスがほしいと思っているが、第三者が「白い服はこの人は着ない、黒いドレスにします」と勝手に決められるような一面を持った制度です。

そうすると、被後見人の権利というのはかなり「人手に渡ってしまう」ことになります。ですから、裁判所も後見に附すかどうかは、かなり慎重に判断することになります。

数分前に自分で言ったことも忘れてしまう認知症の人もいますから、後見制度は重要なのですが、被後見人の権利行使を他人に委ねる法的手段ですので、裁判所も慎重になっている制度といえます。

 

後見制度とトラスティの違い

後見制度を利用するためには、かなり裁判所としても慎重になるわけなので、認められるにはかなりのハードルが設定されています。

一方で、今回のトピックであるトラスティというのは、トラストを設定した人が「自分の意思で」トラスティを設定するところがポイントとなります。

トラストというのは、後見と違って、意思のある人が自らの希望で、誰が財産を管理するのか指定する制度です。

そうすると、トラスティを誰か指定する場合、自分自身が生存している間は、心身およびメンタル的にしっかりしているのであれば、御自身を指定できるということになります。

 

トラスティは自分で指定できる

今回質問されている方は、「有料」か「無料」か、ということに焦点を当てていらっしゃいますが、自分自身で指定するわけですから、自分で選べば良いということになります。

ある信用できる人がいて、その人が「私はあなたの財産管理をするのに月に500ドルもらわないとやらない」と言っていたら、財産管理契約を結んでお金を払えば良いし、「トラストの財産は、自分の財産なのだから、死ぬまで私自身でコントロールしていく」というのであれば、自分自身をトラスティにしておくことも考えられるのです。

このように考えると、今回質問されている方は、トラストがあるわけですので、自分自身でどのような方法論が良いのか考えて、その通りに指定してあると思います。

 

ここから次回考えていきたいと思います。

暑い日が続きます。
今年の年初からの雪解け水で川がかなり氾濫していて、私の知り合いの弟も水遊びのつもりが溺死してしまったという事件も起こっています。水遊びも盛んな季節ですが、気を引き締めながらまた一週間頑張っていきましょうね。