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H-1Bビザ申請(2018年度申請分)




 

2018年度の申請状況

また、今年も、H-1Bビザ申請が話題になる時期になりました。

2018年10月から、就労許可となる、H-1Bビザの申請が、2017年4月3日から始まります。この原稿を書いている日から、申請がはじまるので、まだ、どの程度の申請書が集まるのかわかりませんが、合計8万5千件の新規申請(2万件は、米国で修士以上を持つ外国人に発給)分を超えた場合には、4月7日で受付が終了し、抽選により、申請が進むかどうかが決められます。

毎年この時期のブログはH-1Bビザの話題を考えますが、今年も例年と同じように、ビザの抽選が行われていくことになりそうです。H-1Bビザとは、大学卒業程度の能力・経験を備えた外国人が専門職に就くためのビザで、近年ではIT関係者が多くを占め、約70%のビザ許可を受けた外国人はインド国籍です。日本人でも許可を受けることができます。

 

新政権発足と変更点

H-1Bビザの申請骨子については、例年と変わらないのですが、新政権になって、いくつか変化が見られていますので、この点を今回のブログでは確認していきたいと思います。

 

プレミアムプロセッシングの適用停止

まず、今年度の申請から、プレミアムプロセッシングがH-1Bビザ申請と同時に行うことができなくなりました。

プレミアムプロセッシングというのは、審査の期間的な優遇措置を受けるかわりに、料金を支払うという制度です。下品な言い方をすれば、金を払って、審査期間の短縮を買うという制度です。全体的に審査期間の短縮を図るのが常識だと思いますので、ある意味歪んだ制度ではあります。

このプレミアムプロセッシングの適用がH-1Bビザでは停止されました。プレミアムプロセッシングを併せて申請すると、元のH-1Bビザの申請も不受理となるので、申請をする方は注意が必要です。

このプレミアムプロセッシングの適用を停止するという行政の方針は、H-1Bビザの申請内容を、一部優先するのではなく、一つひとつ、厳しく吟味していこうという新政権の方針を表しているように感じます。

昨年は、50%以上の申請がプレミアムプロセッシングでした。金銭的な米国の歳入は減ることになります。

 

「アメリカ・ファースト」とビザ審査の厳格化

H-1Bビザは専門職の外国人に与えられます。現政権は、「アメリカ・ファースト」を政策に掲げていますので、H-1Bビザの審査を厳格にしていくことは間違いありません

私がこの原稿を書いている今日、2017年4月3日に移民局は、新たなH-1Bビザ審査に関する指針について、発表しています。その記事のタイトルも「Putting American Workers First」としていて、現政権の考えを明らかにしています。そして、H-1Bビザの濫用について、厳しく取り締まるということを明らかにしています。

 

H-1Bビザの濫用の現実ー不当労働ー

前提として、H-1Bビザが濫用されていると言われる事例がいくつか、今までにもニュースになっています。

たとえば、賃金の安い地域にある会社を利用して、安い賃金でH-1Bビザを申請し、外国人を雇い入れる。そして、その外国人を主に、シリコンバレーなどのIT関係の会社で働かせ、賃金の操作をしているという事例がありました。

要は、不当に安い賃金で外国人を働かせて、米国人の仕事を奪うことにH-1Bビザが利用されているという内容だったのです。

 

スポンサー企業の実態調査

そこで、今年度から、スポンサーとなる会社に実態があるのか、そして、外国人はその会社でちゃんと働いているのか、などを実際に移民局の捜査官を派遣して確認を取るということを厳しく行っていくという発表をしています。
特に、H-1Bビザを多くスポンサーしている会社にはフォーカスを当てていくということを明言しています。

この方針は、特にH-1Bの発給を受けている外国人をターゲットにしているわけではなく、H-1Bビザを濫用している会社をターゲットにしています。
すなわち、安い賃金でH-1Bビザを持つ外国人を雇うことで、アメリカ人の雇用を奪っている、という立て付けで、会社に対して制裁を加え、米国人の雇用を増やそうということが目的なのです。

また、このようなH-1Bビザの濫用をしていると思われる会社の密告を受けつけて、大いに利用しようと考えていると思われます。

とにかく、H-1Bビザをスポンサーすることを考えている企業においても、立ち入り調査が入ったときの対策をきちんと専門家と話し合って行った方が良いと思います。

また次回新しいトピックを考えていきたいと思います。




 

渡米時の荷物検査ーその中身、何?




 

法律ノート 第1050回 弁護士 鈴木淳司
March 19, 2017
 

今回は、一回皆さんからの質問にお答えするのをお休みさせていただいて、最近移民関係で起こっていることについて考えてみたいと思います。幾つかの質問には、かなり長い間お答えしていないものもあり、申し訳なく思っていますが、時々、時機に応じた話題を取り上げさせてください。

 

「渡米時の荷物検査ーその中身、何?」
 

アメリカの入国審査厳格化の傾向

 

今回、取り上げたいのは米国入国時の注意点です。
最近ではトランプ政権の移民政策厳格化の方針が継続していて、司法の場に論争が移っています。入国審査も厳格になっています。決して一般的に合法的な入国を目指す外国人に対して厳しくなっているわけではないのですが、風潮というか、傾向として色々気をつけなければなりません。
中でも、入国審査ではなく税関検査に関して、考えておきたいと思います。すなわち、荷物検査のときの注意点です。

 

入国拒否の事例は様々

最近、私のところにアメリカから日本に送還(厳密にいうと、アメリカへの入国拒否)の憂き目にあった人の事例があります。日本人の彼は未成年者ではありませんが、20歳以上年下の女性とアメリカに一緒に入国しようとしました。

彼はすでに入国審査を済ませましたが、別の列に並んでいた彼女が審査で戸惑っていたので、助けに行ったところ、関係を咎められ、第二次検査に回されました。あとからそのときの調書を読むと、この男女は、いわゆるオンラインチャットではじめて羽田で出会い、男性が女性にお金を渡し、一緒にアメリカに旅行をするという計画であったということを自供しています。男女とも、別々の部屋に入れられ、女性の方は特に素直に色々話をしたようです。

結果として、男性も女性も入国は拒否され、米国移民法の「売春に関わる目的の入国」として認定されてしまいました。行政の判断です。

移民法に明確に規定されているのですが、売春に関わる目的を持っていると、10年間は入国禁止とされています。この男女の再度のアメリカ入国は少なくとも10年間はかなり難しい状況になってしまっています。

 

入国審査ともう一つ、税関検査

この数年、入国審査に加えて税関検査もかなり厳しくなっています。入国検査で疑われると、持ってきている荷物も全部検査されることになりかねません。

上述した男女の例では、オンラインチャットを通して羽田空港ではじめて会って、少なくないお金の授受をその場でして、一緒にアメリカに来ていることがわかっていますが、荷物のなかにいわゆる「大人のおもちゃ」が入っていて、それを突きつけられたわけです。

 

目的に沿わない荷物が逆効果になることも

入国する外国人の供述に加えて、入国審査官の疑念に沿ったようなものが出てくると、いわゆる「火に油を注ぐ」状態になるわけです。入国禁止を正当化する物的証拠が荷物から出てくると、これはなかなか弁護ができない状況になります。

上述の事例は、かなり特殊かもしれませんが、観光目的で来ているはずなのに、米国で借りているアパートから生じる光熱費の請求書が出てきたという事例もあります。そうすると、観光目的じゃなくて、住んでいるんじゃないか、と疑われても仕方がないことになります。

同様に、観光目的で来ているのに、鮨屋で使うような包丁が何本も出てくると、板前をしようとしていて、就労目的じゃないか、と疑われます。単に、ビザなしで商談に来ている日本人なはずなのに、荷物検査をすると、アメリカの住所が入っている名刺がでてくると、アメリカで働いているんじゃないか、と疑われます。

このように、手荷物ではなくて、持ってきているスーツケースの中に入っている荷物の中に入っているものを手がかりとして、持っているビザやビザなし入国の目的外のことをしているのではないかと断定されてしまう可能性があります。

 

外国人がアメリカに入国するのは「権利」ではない

日本人を含め、外国人がアメリカに入国するのは「権利」ではなく、入国審査の広汎な裁量に服します。これは、アメリカ人が日本に入国するときも同じです。

これから、トランプ政権下で、外国人の入国審査が厳しくなっていくと思われます。江戸時代の「入り鉄砲に出女」状態までは行きませんが、要らないアイディアを入国審査のときに与えないように振る舞いたいものです。

 

余談ですが、最近、アメリカ入国の際に段ボール箱を持っていると、ほぼ確実にスキャンにかけられる列に連れていかれます。なので、アメリカ入国の際には、どんな方法で荷物を持ち込むかも考えた方が無難かもしれませんね。

 
次回、また、いただいている質問を考えていきたいと思います。花粉もすごくなってきましたが、花が咲いて綺麗な時期です。春を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。