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前科あり。米国入国できる?

August 08, 2017




 

前科がある場合の米国入国

 

トランプ政権となって、外国人の犯罪がフォーカスされることが多くなりました。かなり、多くの方々が心配されている分野でもあります。ベクトルは違いますが、移民に対する締め付けは、先週トランプ政権がサポートする移民法の大改正案(議会を通過するのは現実的ではないと言われている)を見ても明らかです。

今回は、外国人の犯罪と、米国入国について整理して考えてみたいとおもいます。

 

犯罪歴は事前申告が原則

まず、犯罪歴がある場合、米国入国に先立って、申告をすることが前置となっています。
ビザなしの渡航(ESTA)においても、ビザを申請する場合にも、そして永住権を申請する場合には、まず犯罪歴を明らかにしなければなりません。この犯罪歴は米国における犯罪に限られず、申請者の犯罪歴をすべて指します。

そして、犯罪歴を申告することを怠った場合、入国に際して、「詐害行為」とみなされて、入国禁止になってしまう可能性があります。ですので、まずは隠さず申告をするということが重要です。

米国の同時多発テロ事件以降、前科についての情報は米国内の行政機関においてかなり広範囲に共有されています。したがって、「申告しなくてもわからないだろう」という考えはやめたほうが良いと思います。

 

 

一律入国禁止か裁量によるビザ発給か

犯罪歴がある場合、米国入国で2つのパターンがあります。

一つは、犯罪歴があることで一律入国禁止となる場合、もう一つは、裁量によってビザがでる場合です。

まず一律入国禁止となる場合について簡単にまとめておきましょう。

注意していただきたいのは、入国禁止に関する法律はかなり多岐に渡り複雑ですので、ここでは代表的なものだけを取り上げておきます。

 

まず、麻薬および売春関連の罪については一律禁止とされています。

次に、道徳違背(Crime of Moral Turpitude)の前科がある場合には、入国禁止になります。

道徳違背の罪というのは、移民法独特の定義で言い回しです。
道徳違背というのは、一般的に「社会に根づいた道徳観を揺るがすような罪」と言われていますが、移民法上、一体どのような罪が道徳違背なのか明文で定められているわけではありません。審判例の積み重ねによって、どの罪が道徳違背となるか先例があるだけです。ですので、判断の指針はあっても、確固とした罪の列挙はありません。

今までの、先例を見ると、殺人、性的暴行、ドメスティック・バイオレンス、幼児・児童虐待、強盗、詐欺などの重大犯罪が道徳違背とされています。

その他にもかなり広範囲の罪が道徳違背とされていますので、疑義があれば専門家に、先例と照らし合わせてもらってください。

 

道徳違背の前科の例外

道徳違背の前科があれば、原則入国禁止となりますが、例外があります。

一つの例外は、前科が18歳未満のときに行われた犯罪の実行行為に基づく場合で、ビザ申請時から遡って5年以上経過している場合です。

もうひとつの例外は、法定刑が一年以下の罪(軽罪)の罪に問われ、実刑で6月を上回って服役していない場合です。

たとえば、窃盗は場合によっては、移民法上道徳違背とされる場合がありますが、カリフォルニア州の罪によっては、法定刑は最長で一年以下の禁錮となっていて、初犯では罰金のみで済む場合もあります。このような罪では形式上、移民法に照らすと道徳違背となってしまうかもしれませんが、例外的に入国禁止とはされていません。

 

この道徳違背に該当するかどうかの判断、例外規定が適用されるかどうかの判断は、かなり複雑なので、具体的な事例に関しては専門家に相談されることをお勧めします。

この他にも、道徳違背でなくても、2つ以上の有罪歴があり、合計で5年以上服役している場合(禁錮および懲役を含む)には原則入国禁止とされています。

 

 

免除申請とビザ取得

上記のように、移民法上明文で定められている入国禁止事由に該当する場合には、例外的な免除申請を別途行って認められなければ、米国に入国するのはかなり難しいということになります。

これらの一律入国禁止事由に該当しない犯罪歴であれば、米国政府の裁量により、ビザが発給されます。犯罪歴がある場合には、ESTAを利用して、ビザなしの渡航はできませんので、必ずビザの申請をして、許可を得なくてはなりません。

一般的な短期の渡航であれば、Bビザを取ることになろうと思います。
裁量による発給ですので、必ず許可を得ることができるとは限りませんが、軽微な罪である限り、ビザが自動的に拒否されるということはありません。

重要なのは、ビザを申請するときに、前科を申告するわけですが、前科に関する書類一式を申請書類に添付しなければならないことです。

したがって、米国内で以前有罪の判決を受けている場合には、有罪の言渡しを受けた裁判所に直接連絡をして、該当する書類をすべて揃えてから、ビザの申請をすることになります。手間がかかるのです。

 

今回は、一般的に犯罪歴がある場合の、米国への入国についてざっとまとめました。

犯罪歴があれば即入国禁止ということではなく、上記のような様々な要素を検討しなければなりません。
ですので、単純に米国入国を諦めるのではなく、専門家に相談をして、入国の方法がないか考えてみてください。

 

次回、また新しいトピックを取り上げたいと思います。




 

渡米時の荷物検査ーその中身、何?




 

法律ノート 第1050回 弁護士 鈴木淳司
March 19, 2017
 

今回は、一回皆さんからの質問にお答えするのをお休みさせていただいて、最近移民関係で起こっていることについて考えてみたいと思います。幾つかの質問には、かなり長い間お答えしていないものもあり、申し訳なく思っていますが、時々、時機に応じた話題を取り上げさせてください。

 

「渡米時の荷物検査ーその中身、何?」
 

アメリカの入国審査厳格化の傾向

 

今回、取り上げたいのは米国入国時の注意点です。
最近ではトランプ政権の移民政策厳格化の方針が継続していて、司法の場に論争が移っています。入国審査も厳格になっています。決して一般的に合法的な入国を目指す外国人に対して厳しくなっているわけではないのですが、風潮というか、傾向として色々気をつけなければなりません。
中でも、入国審査ではなく税関検査に関して、考えておきたいと思います。すなわち、荷物検査のときの注意点です。

 

入国拒否の事例は様々

最近、私のところにアメリカから日本に送還(厳密にいうと、アメリカへの入国拒否)の憂き目にあった人の事例があります。日本人の彼は未成年者ではありませんが、20歳以上年下の女性とアメリカに一緒に入国しようとしました。

彼はすでに入国審査を済ませましたが、別の列に並んでいた彼女が審査で戸惑っていたので、助けに行ったところ、関係を咎められ、第二次検査に回されました。あとからそのときの調書を読むと、この男女は、いわゆるオンラインチャットではじめて羽田で出会い、男性が女性にお金を渡し、一緒にアメリカに旅行をするという計画であったということを自供しています。男女とも、別々の部屋に入れられ、女性の方は特に素直に色々話をしたようです。

結果として、男性も女性も入国は拒否され、米国移民法の「売春に関わる目的の入国」として認定されてしまいました。行政の判断です。

移民法に明確に規定されているのですが、売春に関わる目的を持っていると、10年間は入国禁止とされています。この男女の再度のアメリカ入国は少なくとも10年間はかなり難しい状況になってしまっています。

 

入国審査ともう一つ、税関検査

この数年、入国審査に加えて税関検査もかなり厳しくなっています。入国検査で疑われると、持ってきている荷物も全部検査されることになりかねません。

上述した男女の例では、オンラインチャットを通して羽田空港ではじめて会って、少なくないお金の授受をその場でして、一緒にアメリカに来ていることがわかっていますが、荷物のなかにいわゆる「大人のおもちゃ」が入っていて、それを突きつけられたわけです。

 

目的に沿わない荷物が逆効果になることも

入国する外国人の供述に加えて、入国審査官の疑念に沿ったようなものが出てくると、いわゆる「火に油を注ぐ」状態になるわけです。入国禁止を正当化する物的証拠が荷物から出てくると、これはなかなか弁護ができない状況になります。

上述の事例は、かなり特殊かもしれませんが、観光目的で来ているはずなのに、米国で借りているアパートから生じる光熱費の請求書が出てきたという事例もあります。そうすると、観光目的じゃなくて、住んでいるんじゃないか、と疑われても仕方がないことになります。

同様に、観光目的で来ているのに、鮨屋で使うような包丁が何本も出てくると、板前をしようとしていて、就労目的じゃないか、と疑われます。単に、ビザなしで商談に来ている日本人なはずなのに、荷物検査をすると、アメリカの住所が入っている名刺がでてくると、アメリカで働いているんじゃないか、と疑われます。

このように、手荷物ではなくて、持ってきているスーツケースの中に入っている荷物の中に入っているものを手がかりとして、持っているビザやビザなし入国の目的外のことをしているのではないかと断定されてしまう可能性があります。

 

外国人がアメリカに入国するのは「権利」ではない

日本人を含め、外国人がアメリカに入国するのは「権利」ではなく、入国審査の広汎な裁量に服します。これは、アメリカ人が日本に入国するときも同じです。

これから、トランプ政権下で、外国人の入国審査が厳しくなっていくと思われます。江戸時代の「入り鉄砲に出女」状態までは行きませんが、要らないアイディアを入国審査のときに与えないように振る舞いたいものです。

 

余談ですが、最近、アメリカ入国の際に段ボール箱を持っていると、ほぼ確実にスキャンにかけられる列に連れていかれます。なので、アメリカ入国の際には、どんな方法で荷物を持ち込むかも考えた方が無難かもしれませんね。

 
次回、また、いただいている質問を考えていきたいと思います。花粉もすごくなってきましたが、花が咲いて綺麗な時期です。春を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。




 

3/16発効の大統領令、日本人への影響




 

「3/16発効の大統領令、日本人への影響」

今回のじんけんニュースは、トランプ大統領が署名して、2017年3月16日に発効する大統領令(行政命令)について、日本人にどのように影響するのか考えてみたいと思います。

中東6カ国およびイラク国民のアメリカ入国制限

まず、今回の移民関連の大統領令(Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States)のハイライトは、中東6カ国およびイラク国民のアメリカ入国制限です。
これはかなりニュースになっていますし、すでにハワイ州をはじめとして、違憲を主張して争う状況になっています。違憲であるかどうかは、特定の信教をターゲットに入国制限をしているかどうか、という点の審理となると思われます。ニュースでも取り上げられていますし、日本国民には直接影響しないと思われることから、ここでは割愛します。

難民の受け入れ制限

もうひとつ大きな移民の制限として、難民の受け入れを今までの約半分とする内容が含まれています。これも、現在難民認定を待っている外国人には、深刻な問題を生じかねません。政治的な迫害を受けているような、切迫している状況もあるでしょう。
ただ、この部分も日本人には、直接影響することは少ないと思われます。

日本人に直接影響する内容は?

上記に加えて、今回の大統領令において、いくつか外国人の米国入国を制限する方向に働くであろう内容があり、日本人の米国入国に影響することもあるかもしれませんので、ここで考えます。なお、今回の大統領令においては、この大統領令が一部無効とされても、残余部分は有効性を保つという状況があるので、以下考える部分については、有効とされる可能性が高いと私は思っています。

ビザ発行には大使館(領事館)面接が必須

まず、一番影響するであろう変更は、米国在外公館によるビザ申請の際、必ずインタビューを義務付けることになりました。

今までは、有効なビザの申請・許可があり、そのビザの失効から12ヶ月以内であれば、同様のカテゴリーのビザの更新申請の際、インタビューは免除されるという例外規定がありました。しかし、今回の大統領令で、この例外規定は廃止されることとなりました。

したがって、どのようなビザ申請であっても、必ず在外の米国大使館・領事館において、面接を受けなければならないということになりました。そもそもリスクが少ないであろう、外国人にビザ申請の面接を免除していたのですが、今後は、一律にビザの面接を義務付けることになったわけです。

米大使館・領事館の負担増

面接を受ける外国人にとっても負担となりますが、問題は米国大使館・領事館の対応です。必然的に面接をする機会が増えるわけですから、対応が大変になります。
そうすると、結果として、ビザ申請から面接設定までの時間も長期化する恐れが考えられます。今後、面接予約の状況を注意して確認していく必要がありそうです。

入国審査の厳格化

次にビザの申請内容に虚偽がないか、質問等や入国審査を厳しくするプログラムをつくるように大統領令で指示があります。特に、テロ関連、集団暴力行為関連などについて審査することを命じています。直接、日本人に影響することはないかもしれませんが、暴力団など米国で指定されているテロ団体関連事例などには、かなり影響すると思われます。

生体識別システムの本格稼働

もうひとつ、影響する可能性があるのが、外国人の米国出入国に関して、生体識別システムを導入することを義務付けました。
1996年以降、議会は、生体識別システムを取り入れる決議をして、2006年には、一部システムが導入されはじめました。しかし、うまく動いていなかったのが実情です。
このシステムについて、旅行者に費用を負担させつつ、出入国を管理するということを推し進める内容が大統領令に書かれています。

 

上記が、一般的な内容ですが、これから日本人を含め、外国人旅行者に影響するであろうという内容です。未だ、具体的な施行ははじまっていませんが、これから、移民行政の動きに注目していかなければならないでしょう。

じんけんニュースでも、今後動きがあれば取り上げていきたいと思います。
それでは、また次回まで春を楽しんでいきましょう。




機内で飲酒、トラブルに。その後の米国入国に問題ない?[2]

法律ノート 第1016回 弁護士 鈴木淳司
July 18, 2017




 

日本は「海の日」だそうで、三連休羨ましいものです。「ゆとり」を意識しているのかはしりませんが、この20年で、三連休がたくさんできているようですね。とはいっても東京都知事選もあるし、あわただしかったりもするのでしょうか。日本の皆さんが、のんびり過ごされると良いと思います。

 

機内で飲酒、トラブルに。その後の米国入国に問題ない?[2]

 

さて、「先日、日本から出張でアメリカに行きました。帰り(日本行き)の飛行機のなかで、ワインをもらって飲んでいたのですが、疲れもあって酔ったようです。さらにワインを頼んでも、客室乗務員に出してもらえず、やむなく免税店で買ったウイスキーを開けて飲んでいました。そうすると客室乗務員と口論になり、ウイスキーを取り上げられただけではなく、最後には手錠のようなものをはめられ空港で警察に調書を取られました。現在日本では更なるトラブルになっていないのですが、今後問題になるのでしょうか。」という質問を前回から考えてきましたが、今回続けて考えていきたいと思います。

前回、今回のケースでは、アメリカの法律が主に適用されるシナリオだということを考えました。

 

航空乗務の妨害行為

アメリカでは、連邦の法律で、航空乗務をする人達の仕事を妨害する行為について、かなり厳しく明確な条文が用意されています。

航空機の乗務員の仕事を妨害する罪(49 U.S.C. 46504)として規定がありますが、乗務員に対して、暴行、脅迫などを既遂、未遂を問わず行った場合には、最高で20年間の禁錮となる刑となっています。かなり深刻な罪ということになっています。

この罪は、酔っ払っていた場合など、あとになって「あの時酔っていたのでよく覚えていません」と言っても許されないように規定されています。大体酔っぱらいが騒ぐことを前提にしていると考えられます(判例でいうと、United States v. Meeker, 527 F.2d 12 (9th Cir. 1975).などが挙げられます)。
六本木や新宿のキャバクラやクラブで騒いで問題を起こすレベルとはまったく次元の違う罪に問われることになるわけです。

 

乗務員の真の役割はフライトの安全確保

 

乗務員は、ただ単に飲食物を提供したりする役割ではなく、フライトを安全にするための一般的な重い役割を負っているとアメリカでは考えられています。これは一般論です。

日本でもアメリカでもかわりなく乗務員の教育は行われていますが、一般の人達が期待する役割としては、アメリカの方が、より「安全確保」ということに主眼が置かれている考え方をしている傾向にあると思います。

 

日本法の適用は微妙。しかし米法適用の可能性

 

今回の質問をされている方のケースでは、日本で警察に行ったとしても調書を取られておしまい、ということになるかもしれません。日本の法律の適用が微妙だからです。そうすると、今後日本の警察や検察が動くということはないかもしれません。

一方で、アメリカの航空会社のクルーの人達は、アメリカに帰属する航空機内で起こったことですので、上記の連邦法が適用される可能性が大きいので、現地の警察に「一応は」届出をすることにはなります。

私も以前似たような事案を担当したことがありますが、日本では何も罪に問われませんが、日本で取られた調書をもとに、アメリカの検察局に被害届を出す場合がほとんどです。航空会社のプロトコルでそのように決まっているようです。

そうすると、アメリカでは充分に罪になり得ますので、この事件はアメリカの検察局によって起訴相当かどうかが決まります。かりに起訴が決まった場合には、すぐに逮捕されるということはないとは思いますが、現在では連邦検察局と移民局が情報共有をかなりの範囲で行っていますので、次回アメリカに入国するときに、入国管理局に逮捕されて、裁判に移行していくということになりそうです。

今現在、日本国内にいらっしゃって問題になっていないかもしれませんが、次回、渡米されるまでに、一応アメリカで、起訴がされていないか、何か逮捕状が存在しないか、など、弁護士に相談するなりして確認する必要があると思います。

 

カリフォルニアは、まだまだ水不足が解消していませんが、火事に気をつけて、アウトドアを楽しんでいきましょう。夏の暑い日が続きますが、また一週間夏バテを気にしつつまた一週間がんばっていきましょうね。




 

 

機内で飲酒、トラブルに。その後の米国入国に問題ない?[1]

法律ノート 第1015回 弁護士 鈴木淳司
July 12, 2016




 

 

一方で、警察官による暴行が問題になり、他方でスナイパーによる警察官の射殺など、銃による問題が露呈したアメリカの一週間でした。銃は怖いです。猟などで必要になる場合もあるでしょうが、マシンガンなどの自動小銃はどうみても生活にも職業上も不要だと思います。私が学生の頃、ある教授が刑法にいう正当防衛というのは、銃が一般人の生活に登場してから、発展した概念だ、ということをおっしゃっていました。今では警察官が一般人を撃つときにグレーなケースでも第一の理由付けになってしまったように思います。アメリカの影の部分でしょうか。

 

機内で飲酒、トラブルに。その後の米国入国に問題ない?[1]

 

さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

頂いている質問をまとめると、「先日、日本から出張でアメリカに行きました。帰り(日本行き)の飛行機のなかで、ワインをもらって飲んでいたのですが、疲れもあって酔ったようです。さらにワインを頼んでも、客室乗務員に出してもらえず、やむなく免税店で買ったウイスキーを開けて飲んでいました。そうすると客室乗務員と口論になり、ウイスキーを取り上げられただけではなく、最後には手錠のようなものをはめられ空港で警察に調書を取られました。現在日本では更なるトラブルになっていないのですが、今後問題になるのでしょうか。」というものです。

 

飛行機で飲酒することの意味合い

 

私も飛行機に乗ると必ずと言って良いほどお酒を呑みますが、たしなむ程度にしています。もちろんお酒を飲むことは悪いことではありませんが、人に迷惑をかける飲み方はかっこよくありません。

今回質問されている方も、あまり悪いとは思っていないようですが、客室乗務員の指示に従わないと場合によっては、刑事上の罪に問われる場合もあります。

質問をまとめたので、かなり割愛した部分はありますが、今回質問された方は最後に身柄を拘束されるまで結構派手にやられたようです。酒癖があまりよろしく無いのかもしれません。本人はあまり覚えていないようですが。

 

機内で適用されるのは日本法か米国法か

まず、今回の質問を考えるにおいて大事なのは、日本法と米国法の適用についてです。まず、飛行機がどこの国に登録されているのか、ということが問題になります。

日本法では、航空機が登録されている国が裁判管轄を持つ(刑法1条2項)と定められています。アメリカ国籍の飛行機であれば、米国連邦法が適用されることになります(49 U.S. Code § 46501)。これが基礎になります。

今回質問されている方は、アメリカの航空会社の飛行機に搭乗していて、問題が発生したようです。そうすると当然にアメリカ飛行機内で発生した問題なので、米国法が適用されます。日本の法律が適用されるかは微妙なケースとなるかもしれません。

もっともなんらかの被害を受けた人が日本人である場合には、日本の刑法でも何か問われる可能性はあります。このように、航空機がどこの国に登録されているのかで適用される法律も変わってきます。

 

飛行機がどこの領空を飛んでいるか

次に、飛行機がどこの土地を通っていたかも問題になります。

日本上空であれば、日本の法律や条例が適用されるかもしれませんし、実際に適用された事例もあります。アメリカでも、法律でアメリカの管轄内にある飛行機についてはアメリカ法の適用があります(49 U.S. Code § 46501 (2)(c))。

更に、アメリカの法律では、アメリカが到着地である場合は適用されるとなっています。

そうすると、日本の航空会社の飛行機でもアメリカが目的地の場合であれば、どこの土地を通っていたかということにかかわらず、アメリカ法の適用対象になってしまいます。

米国法は、かなり広い設定をしていることがわかります。

 

可能性としては米国法が適用される事例

今回質問されている方は、アメリカに登録されている航空機に乗っていたと思われますので、米国連邦法が適用となりそうです。日本に到着する前に、すでに身体を拘束されていたわけですので、日本法がすぐに適用されるかというと疑問です。

 

では、アメリカの法律が適用された場合を次回考えていきたいと思います。色々深刻な事件がアメリカではあった一週間ですが、また気分を入れ替えて一週間がんばっていきましょうね。