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米国での起業とビザ。友人を助けたいがリスクは?[4]




 

法律ノート 第1045回 弁護士 鈴木淳司
February 16, 2017

カリフォルニアは雨が多く北部でダムが決壊する騒ぎになっています。
去年の夏は雨がなくて、ゴルフ場もいくつも閉鎖し、地下水が吸い上げられすぎて地盤沈下した、などのニュースがありました。同じ場所で、今度は水害が発生しているわけです。ダムの決壊にしても、春になって今度雪が溶けると、さらに危険が増すとか。人間がコントロールできない天気というものは、何とも不思議なものですね。

「米国での起業とビザ。友人を助けたいがリスクは?」[4]

さて、前回も考えた「日本にいる友人が米国で起業をして、ビザをとりたいという相談を受けています。まずは、アメリカに在住している私が会社を起こして、日本からの投資を受け、友人にビザを出せないかと考えています。このようなケースにおいて、質問はたくさんあるのですが、まず友人を助けるという観点から会社の社長などになったときに、何か私個人の責任が発生しないかと心配になってきています。あとで友人と揉めるのも本意ではないので、リスクのあることはしたくないというのが本音です。」という質問を続けて考えていきましょう。

友人関係を壊さないために

前回までは、友人を助けることで背負ってしまう可能性のあるリスクについて、考えました。今回は、不意打ちの責任問題に発展することを未然に防ぐために、どのような取決めを最初からしておくか、重要な点を考えていきましょう。友人同士で、後日揉めるのは、良くないですからね。スタートからの線引きは、両者にとって良い関係を育む基礎になります。

 
互いの信頼関係を契約に反映

さて、友人と「契約」を作成するといっても、なかなか言い出し難いところがあります。日本人同士であればなおさらかもしれません。ただ、「親しいところにも礼儀はある」ので、逆に「弁護士が書いた原稿を読んだんだけど、トラブルになる例も多いから、最初から約束事を明確にしておこう」といって、ポイントを絞ってでも、紙をつくっておいたほうが良いと思います。最悪アメリカでの起業に関しても、日本語でも良いでしょう。ただ、このように約束事を紙にすること事態嫌うような相手方であれば、どんなに親しくても仕事は一緒にしてはいけません。なぜなら、その人は、相手方のことを考えていないからです。契約というのはお互いの信用を形にするだけなので、それすらできない場合には再考が必要なのですね。

契約書は簡易なものでも文書化

さて、契約書をつくるとしても、どのような内容にするのか、どのようなタイトルにするのか、など悩むところです。それなりの契約書にするには、専門家に頼んだ方がベターなのかもしれませんが、業務に関する覚書、程度でも良いので、一般的なタイトルをつけて、重要な事項を箇条書きにしておくと良いかもしれません。

契約内容の具体例と考え方

具体的な内容をいくつか考えておきましょう。

1 まず重要なのは、アメリカで会社のために働くとして「何をするのか」具体的に記述することが必要です。たとえば、毎日の会計業務、連絡業務、などという程度でも良いので、どのような範囲で仕事をするのか、第三者から見ても明確な形で記載することが重要です。もちろん仕事は流動的に増えたり減ったりするわけですから、ときに応じて、両者の署名のあった書面により、変更が可能としておけばよいわけです。

2 次に、どのようにして契約が終了するのかを書かなければなりません。1年毎の自動更新ということもあるでしょうし、お互いに契約通知をするまでは有効に契約関係が継続するとする場合もあります。関係の終わり方を明記しておくことが重要です。

3 上記の1とも連動しますが、たとえば、御友人の会社または、日本側にどのような報告をするのか、報告義務について詳細を明記することも重要です。後日「何を言った、言わなかった」ということで問題になることを避けるためです。また、どのような役職について、誰に報告義務があるのか、ということを明記できるとベターではあります。

4 競業避止を明記することもよくあります。すなわち、この御友人の起業にかかわる場合、他の企業で同様の仕事をしない、といった内容を明記することで、後日の疑義をなくすことも可能です。

5 これも重要ですが、どの程度仕事の対価として報酬をもらえるのか、明記しておくと両方にとって良いと思います。金銭でも、ストックオプションでも良いですし、現物でも構いません。この部分で紛争が多いので明記しておくに越したことはありません。

まだまだ、考えられる条項がありますので、次回また続けて考えていきましょう。

雨が多いベイエリアですが、梅や桜が咲きはじめました。春よ来い、という感じです。花粉も飛び始めますが、花の力に負けず、我々もまた一週間がんばっていきましょうね。