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トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[3]




 

法律ノート 第1065回 弁護士 鈴木淳司
July 11, 2017

アメリカではラーメンが大流行していますね。かなりの数の日本食店舗がラーメンを出しています。日本では、ラーメンは短時間で食べて、店を出るというのがお約束ですが、アメリカではずいぶんゆっくり食べているのをみかけます。のびちゃうように思うのですが。極めつけは、残った麺と汁を容器に入れて持ち帰る人もいます。次の日に食べている姿は想像したくありません。外国から入ってきた新しい食文化の波という感じなのでしょうか。

 

トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[3]

引き続き、以下の質問を考えてみましょう。
「私と夫は(あるカリフォルニア州外)90代と80代で二人で暮らしています。現在、トラストを作成してあるのですが、ある税務会計事務所の方に相談をしたところ、その事務所の方がトラスティになってくれるということになりました。とても親切な方で最初は感謝したのですが、月500ドルを支払うように要求された上に、トラストを書き直して、今我々が住んでいるアパートは、我々夫婦が死んだら彼女の所有になることになってしまいました。そこで質問ですが、何故、トラスティには無料のトラスティと有料(月500ドル+実費)の2種類のトラスティがあるのでしょうか。アメリカの法律では、有料のトラスティを認めているのでしょうか。」という質問です。

 

裁判所が関与する後見制度、そうでないトラスト

前回、皆さんと考えたのは、後見というのは裁判所が精神的、肉体的に自分自身の判断をするのが難しい人を後見人という立場の人を付けてモニターする制度であるということです。

後見制度の対象となる人のことを被後見人と言います。日本の法律用語で「被」なんとか、という言い方があった場合、何らかの法律的な効果が及ぶ、という意味です。被後見人といえば、後見の効力が及ぶ人ということになります。

後見制度は裁判所が監督する制度ですので、被後見人の自由になんでも決まるわけではありません。後見をする人の費用や、被後見人に関して生じた出費については裁判所の許可が必要となります。

さらに前回、トラストについて後見と対比して考えましたが、トラストというのは裁判所がかかわるわけではなく、自分の意思で作成し、その内容が実行されていくということになります。

 

トラストは自由意思で財産管理を決定

トラストというのは、設定する人の自由意思で色々決められるわけですから、後見制度の被後見人とは色合いが違います。

あくまでも設定する人が自分の財産をどのように使うかを決めるのですから、今回の質問にあるトラスティを誰にするのかも、自由意思で決められることになるわけです。

今回質問されている方は、80代ということですが、かなり意思もしっかりしていて、質問の内容もよくわかります。ただ、トラストというものの性質について、「自分で決めるのが基本である」ということを理解していれば、自ずから答えはでるようにも思います。

 

自分の死後のトラスティ継承者を指定

トラスティの設定は自分の意思でできるのですから、たとえば自分が生きている間は自分や配偶者がトラスティになり、死亡した場合には、承継するトラスティ、通常は家族(子や兄弟など)を予め指定しておきます。これが、鉄板のパターンです。

 

契約内容の確認を

今回質問されている方のように有料でトラスティを設定するというのは、かなり変則的です。そもそも、トラスティになっていたとしても、毎日何かするということではないので、もしかしたら、通常のトラスティの業務を超えて、何らかのサービスを提供する契約になっているのかもしれません。

いずれにしても、トラストにトラスティがどのように規定されているのか、自分の意思を確かめることと、このように有料のトラスティ・サービスというのがあるのであれば、その契約にかかわる契約書が存在するはずですので、その内容を確認する必要があります。トラスティを誰にするかは、あくまでも自由意思ですので、無料であろうと有料であろうと、自分がどのような契約をしたのかにかかってきます。もし、自分で色々なことをする能力があるのであれば、御自身が生存中は御自身をトラスティに指定すればお金はかかりませんし、家族をトラスティにしておけばお金はかかりません。もちろん、お金を要求する家族もいるのかもしれませんが、それは例外的だと思います。

とにかく、有料のトラスティなどいるのか?と思われているのであれば、トラストと有料サービスの契約書を利害関係のない法律家にみてもらうのがよいかもしれませんね。

 

 

次回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

カリフォルニア州では、異常に暑いところもあり、気候が変だな、という気がします。皆さんがお住いの地域も暑いのでしょうか。熱中症などに気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。

 

 

 




トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[2]

法律ノート 第1064回 弁護士 鈴木淳司
July 4, 2017




過去20年間ほどお付き合いをしているクライアントの方とこの独立記念日にかかる週末を過ごして、ゴルフの手ほどきを受けています。地理的になかなか一緒の時間を過ごすことは難しい状況がずっと続いたのですが、楽しい時間を過ごしています。皆さんは夏を楽しまれていますか。

 

トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[2]

さて、前回から「私と夫は(あるカリフォルニア州外)90代と80代で二人で暮らしています。現在、トラストを作成してあるのですが、ある税務会計事務所の方に相談をしたところ、その事務所の方がトラスティになってくれるということになりました。とても親切な方で最初は感謝したのですが、月500ドルを支払うように要求された上に、トラストを書き直して、今我々が住んでいるアパートは、我々夫婦が死んだら彼女の所有になることになってしまいました。そこで質問ですが、何故、トラスティには無料のトラスティと有料(月500ドル+実費)の2種類のトラスティがあるのでしょうか。アメリカの法律では、有料のトラスティを認めているのでしょうか。」という質問を考えてきました。

 

財産管理は自分でー自分自身がトラスティ

前回から、この質問を考えてきましたが、身体精神に問題がなければ、自分が生存中は、自分自身がトラストのトラスティになるのが通常なので、今回の質問に関して疑問が湧いてくるというところまで考えました。ここから、噛み砕いて考えていきたいと思います。

通常、自分が生きている間は、自分の財産は自分が管理します。ところが、たとえば、認知症になってしまったり、精神的な病となってしまい、自分の財産の管理ができないという状況であるとしましょう。

 

「後見」制度ー権利行使を他人に委ねる法的手段

日本とアメリカは類似の制度を導入していますが、「後見」(Conservatorship)という方法が法律上規定されています。本人が生活上、様々な判断をできないという状態の場合、近親者が裁判所の許可を通して本人に成り代わって法律的な行為を行うという制度です。

そうすると、違う角度から見てみると、後見というのは、後見をされている人(法律的には被後見人と呼ばれます。)の法律的に何か決定をする権利を奪う制度です。一方で、被後見人のために、第三者である近親者などが、法律的な決定をすることができる制度なのです。

考えてみてください。
本人は、白いドレスがほしいと思っているが、第三者が「白い服はこの人は着ない、黒いドレスにします」と勝手に決められるような一面を持った制度です。

そうすると、被後見人の権利というのはかなり「人手に渡ってしまう」ことになります。ですから、裁判所も後見に附すかどうかは、かなり慎重に判断することになります。

数分前に自分で言ったことも忘れてしまう認知症の人もいますから、後見制度は重要なのですが、被後見人の権利行使を他人に委ねる法的手段ですので、裁判所も慎重になっている制度といえます。

 

後見制度とトラスティの違い

後見制度を利用するためには、かなり裁判所としても慎重になるわけなので、認められるにはかなりのハードルが設定されています。

一方で、今回のトピックであるトラスティというのは、トラストを設定した人が「自分の意思で」トラスティを設定するところがポイントとなります。

トラストというのは、後見と違って、意思のある人が自らの希望で、誰が財産を管理するのか指定する制度です。

そうすると、トラスティを誰か指定する場合、自分自身が生存している間は、心身およびメンタル的にしっかりしているのであれば、御自身を指定できるということになります。

 

トラスティは自分で指定できる

今回質問されている方は、「有料」か「無料」か、ということに焦点を当てていらっしゃいますが、自分自身で指定するわけですから、自分で選べば良いということになります。

ある信用できる人がいて、その人が「私はあなたの財産管理をするのに月に500ドルもらわないとやらない」と言っていたら、財産管理契約を結んでお金を払えば良いし、「トラストの財産は、自分の財産なのだから、死ぬまで私自身でコントロールしていく」というのであれば、自分自身をトラスティにしておくことも考えられるのです。

このように考えると、今回質問されている方は、トラストがあるわけですので、自分自身でどのような方法論が良いのか考えて、その通りに指定してあると思います。

 

ここから次回考えていきたいと思います。

暑い日が続きます。
今年の年初からの雪解け水で川がかなり氾濫していて、私の知り合いの弟も水遊びのつもりが溺死してしまったという事件も起こっています。水遊びも盛んな季節ですが、気を引き締めながらまた一週間頑張っていきましょうね。




トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[1]




法律ノート 第1063回 弁護士 鈴木淳司
June 25, 2017

旧知の友人がベイエリアを日本から訪れて、久しぶりに一緒の時間を過ごしています。この弁護士の友人のおかげで20年ほど前、法律の本を出版社から出せたので、本当にお世話になっている方であります。しかし前回アメリカでお会いしたのが、20年ほど前ですから、時間の流れというのは恐ろしく早いな、とつくづく感じました。皆さんは暑い夏どのように過ごされていますか。

 

トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[1]

さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

頂いている内容は、かなり長いのですが、いくつかある質問のうち一つを抜き出してまとめると「私と夫は(あるカリフォルニア州外)90代と80代で二人で暮らしています。現在、トラストを作成してあるのですが、ある税務会計事務所の方に相談をしたところ、その事務所の方がトラスティになってくれるということになりました。とても親切な方で最初は感謝したのですが、月500ドルを支払うように要求された上に、トラストを書き直して、今我々が住んでいるアパートは、我々夫婦が死んだら彼女の所有になることになってしまいました。そこで質問ですが、何故、トラスティには無料のトラスティと有料(月500ドル+実費)の2種類のトラスティがあるのでしょうか。アメリカの法律では、有料のトラスティを認めているのでしょうか。」という質問です。

 

州ごとに違う制度

 

今回の質問はカリフォルニア州法にもとづいても、この質問されている方には役に立たないかもしれません。しかし、一方で一般的なことは考えられると思いますので、あくまでも以下は一般論として考えていきたいと思います。

少々前の法律ノートにも書きましたが、高齢者にまつわる問題が最近かなり目についてきています。もちろん、今までも色々経験はしてきましたが、高齢者に対してかなり悪質な行為も最近目にするようになりました。高齢者同士で問題が発生することもあれば、悪質な業者が跋扈するような事例もあります。

もちろん、今回質問されている方のようなケースは、そもそもどのような関係でどのような行為をトラスティが行っているかにもよるのでしょう。

質問だけを見ても具体的にはアドバイスをすることは難しいと思います。

 

トラストとトラスティ、まずは一般論から考える

 

ですので、この質問にいう「トラスティ」と「トラスト」とはなんぞやということに関して、少し今回は考えたいと思います。

トラスティというのは、「受託者」という意味です。何かを引き受けて遂行する人を言うわけですね。それでは、何を引き受けているかというと、それは「トラスト」すなわち信託という書類にかかれているのです。

信託というのは、何度も法律ノートで取り上げていますが、一番わかりやすいのは、たとえば私が信託を作成しますね。会社をつくるようなものだと考えてください。そうすると、信託は人とは別の法人格を有することになります。もう一人子供ができた、という感じでしょうか。そうして、私は、この信託という法人格に自分の持っている財産を託します

米国ではこのように個人が自分たち(夫婦)のために信託をつくった場合には、原則として贈与とはみなされないことになっています。
財産は託しますが、もともと自分の財産ですから、100%自分たちでコントロールするのが一般的です。

たとえば、私が一人で信託を作ってそこに、あまり実際はないのですが自分の財産を入れたとしましょう。そうすると、信託がその財産の所有者ということになります。しかし、一方で、所有者である信託を100%コントロールするのは私なので、結局私自身が所有しているときとなんら変わりはないという状況になるわけです。

 

信託財産は死なないー死後の希望を実現

 

なぜ、このようにわざわざ別の法人格をつくるかというと私はいつか死にますが、信託は人造人間ですから、死なないという特性を利用できるからです。

私が生きているうちに、自分の財産は「このような感じで分けたいな、寄付をしたいな」と思っているとしましょう。そうすると、そのような自分の死後の希望を信託に細かく書いておくのです。そうして私が死んだあと、信託に沿って財産が分配されていくのです。

 

ここで、トラスティというのは、この信託の内容を遂行するための人ですから、私が生きていれば私で充分なのです。私が死んだことを条件として、後継受託者(サクセッサートラスティー)を信託内で定めておけば、私が死んだときには、この後継受託者にバトンタッチされ、財産が分配されていくということになるわけです。

このようにトラスティというのは機能するということになっていますので、まず私が今回の質問を読んで、なぜトラスティが質問者本人ではないのか疑問が湧くのです。ここから次回考えていきたいと思います。

 

 

暑い日が続きますが、水をたくさん飲んでまた一週間がんばっていきましょうね。




 

遺言やトラストがないと財産没収?!-法定相続に自由度をプラス





法律ノート 第1056回 弁護士 鈴木淳司
May 14, 2017

 

日本はゴールデンウィークということもあり、仕事や勉強に区切りをつけて、ゆっくりされている方も多いのではないでしょうか。日本は祝日がかなり多い国ですね。カリフォルニアでも天気が良くなって来ました。
先週読んだ記事のなかに、シリコンバレーで酔っ払いが100キロ以上ある警備ロボットと戦いになって横転させたというニュースがありました。暖かくなってきて、屋外で酔っ払って問題となったようですが、もう人がロボットと戦うようなシナリオが出てきているということですね。考えさせられます。

 

トラストや遺言を作っておかないと、財産は政府に没収されるのですか?

さて、今回からまた新しくいただいている質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。
前回まで考えてきた遺言執行者のトピックに似ているところもあります。

いただいた質問をまとめると「遺言やトラストを作っておかないと、最悪の場合財産を政府に没収されてしまうということを、トラストのセミナーで聞きました。これを聞いて、夫婦で話をして、何かしなければと思っています。万が一政府に財産を没収された場合、それを取り戻す手続などはあるのでしょうか?」という質問です。
今まで弁護士をしていると、何度もこのような質問に出会ってきたのですが、最近になってその原因がわかってきました。このような情報を得ている方たちはどうも、トラストのセミナーなどに参加してそこで情報をもらって来るようなのです。もちろん法律事務所などトラストを作って欲しいと思う側が主催するセミナーであれば、色々トラストや遺言を作るように誘導するでしょうね。そうであれば、政府に取られちゃうよ、的なことを言うのかもしれません。
ただ、そのようなセミナーは一種の情報として聞き流しておけば良く、具体的に相談をしながら何が良いのか確認することが重要だと思います。

 

財産没収はされませんー法定相続制度

まず、最初にクリアーにしておきますが、セミナーで弁護士が話してようが、誰が話してようが、遺言やトラストがなくても、財産を没収されると言うことはまずありません。

まず、遺言やトラストがあれば、皆さんがなくなったときに、その遺言やトラストに沿った内容で、相続財産が分配されていきます。そのためのツールですから当たり前です。
そして、遺言やトラストがない状態で亡くなる方たちもたくさんいますが、いきなり政府に財産が取られてしまう訳ではありません。法定相続(intestate)といって、法律で自分の血族を含む家族にどのように分配されるのか決まっているのです。

天涯孤独、いとこもはとこも、まったくいない、という方で、法律に照らして、まったく法定相続人が存在しないごく例外的な場合には州の財産に組み込まれる可能性はごくわずかにありますが、このような極端な例を除いて、いきなり政府に財産が取られるということはないのですね。

法定相続制度は日本でもアメリカでも存在する制度ですから、そこまでナーバスに政府に取られてしまうと考えなくても良いと思います。

 

法定相続制度ー死後は近親者に財産分与

法定相続制度は法律ノートでも何度か考えましたので、また皆さんの質問を待って考えていきますが、概略だけ考えておくと、まず遺言やトラストがなければ、配偶者および子が法定相続人となるのが一般的で、これらぼ近親者がいない場合には、血族を親等の近い方から法定相続人とするのがかなり共通した考え方です。

 

遺言やトラストは法定相続にプラスするもの

そうすると、一人っ子で親も親の兄弟も祖父母も子供もいないなどという限られた場合には、誰を相続人にするのかを、遺言やトラストなどで考えておかないとややっこしいことになるかもしれません。法定相続を利用することも別に少なくありませんから、遺言やトラストを作らなければならないという義務感はあまり切実に持つ必要はないと思います。

どちらかというと、法定相続で使われるような内容をそのまま遺言やトラストにするケースも少なくありません。

 

法定相続の問題点と遺言・トラストのメリット

じゃあ、なぜこのようなセミナーは遺言やトラストを勧めるかと言えば、それは自分たちの利益になるように誘導しているからなのですが、じゃあ、法定相続に任せておけばそれはそれで、いいではないか、と思われる方もいらっしゃると思います。

弁護士に関わるのも面倒だし、書類の作成も厄介だ、と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。まあ、それもごもっともなのですが、法定相続になったときの問題点を次回考えていきましょう。

 

これから、バーベキューにも良い気節ですね。
アウトドアを楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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エステートプランニング導入のメリットは?[2]_1014

法律ノート 第1014回 弁護士 鈴木淳司
July 06, 2016




 

東京の元知事はかなり批判に晒されましたが、最近、米国メイン州の知事のこともニュースになっていました。メイン州の知事報酬は、米国のなかで最低なのだそうです。知事報酬を見直す法案も否決されたとか。その知事の奥さんがトヨタ車を買う資金を貯金するため、夏の間ウェイトレスのバイトをしていることがニュースになっていました。レストランに行って知事の奥さんがオーダーを取っていたらびっくりしますよね。でも、アメリカらしいニュースで、微笑ましい限りです。独立記念日の3連休、みなさんはどう過ごされましたか。

 

エステートプランニング導入のメリットは?[2]_1014

 

さて、前回からいただいている質問を今回も続けて考えていきたいと思います。

いただいている質問は、次のようなものです。

「エステートプランニングの作成をした方がいいという記事をよくみかけます。数十ドル程度でできるのであれば気楽に考えるのですが、数千ドル、しかも不動産などを買い替えた際などに情報のアップデートが都度必要となるとなかなか専門家に頼んでというところまでにたどり着きません。我が家には子供が一人いるだけです。夫婦は共に日本人で永住権を持っています。特に複雑な血縁関係があるわけでも、財産があるわけでもなく、不動産と保険と現金が多少あるのみ(1ミリオンもないです)なので、夫婦共に亡くなったとしても、時間がかかるというだけで最終的に相続するものが全て子供のみにいくのであれば、エステートプランニングをする意味が乏しいのではないでしょうか。それでもエステートプランニングがないとデメリットとなるのは何でしょうか?銀行や保険などには全て受取人を指定してあります。エステートプランニングをするメリットは理解しています。正直なところ、専門家にこの質問を投げれば「持ったほうがいい」との答えがかえってくるのが当然かと思うので、この質問をすること自体に矛盾があるのかもしれませんが、お答え頂けると助かります。」

 

エステートプランニングのデメリットは?

 

前回、エステートプランニングをすることによるメリットをいくつか例示しておきました。今回質問されている方はそのメリットはある程度理解されていると思います。

ではデメリットは、どのようなものでしょうか。
トラストを作成する根本的なポイントである、「裁判所を通す相続手続きが避けられる」というメリットを利用できないということになります。

裁判所を通す、「相続手続 (Probate)」というのは、時間がかかります。

今回質問されている方によれば、時間はかかっても良い、ということなので問題はなさそうです。まあ、今回質問されている方は「別に時間がかかっても良い」と思っていらっしゃるかもしれませんが、残された人達にとっては迷惑という場合もあります。

 

相続回避の手続き

今回質問されている方は、かなり勉強されていて、裁判所を通す相続手続を避けるように工夫をされています。

銀行口座は、死亡を契機にして受益者名義になるPay-on-Deathアカウントを利用されているようです。また、保険金についても、被保険者の死後に受取資格が発生するので、一般的に相続手続外ということになります。

このように、財産の受け継ぎについて、ある程度用意をしておけば、相続手続をある程度回避できそうではあります。

 

不動産を所有する場合

問題は不動産を持っている場合だと思います。

今回質問されている方も不動産をお持ちです。
相続財産に不動産が出てくると、トラスト名義に入っていない限り、ほぼ100%相続手続の対象になります。夫婦の合有名義にできるので、夫婦がご存命の間であれば相続手続は非常に簡単ですが、子に引き継ぐときに、相続手続の対象となります。

相続手続の対象になるということは、担当する弁護士がでてきて、その弁護士の費用は法律で決められているのですが、不動産や他の財産の価格の数%となっています。たぶん、不動産をお持ちの方であれば、トラストを作っておいたほうが長い目で見るとコストセーブとなりそうです。将来、相続手続きで数万ドルを払うよりも、今数千ドル払ってエステートプランニングの一環であるトラストを整備しておいたほうが安上がりかもしれませんね。

他にも、エステートプランニングをやっておくと、相続手続を通らないので、プライバシーがある程度守られること、相続で発生しやすい家族、親族とのトラブルも避けられるといったメリットも考えられます。

 

相続のトラブル回避と手続きの簡便化

このように、エステートプランニングをすることにより、ある程度将来的に自分の持っている財産に関して、家族間でトラブルを避けることもできますし、移行もスムーズになることがあるのです。

今回質問されている方に関しては、不動産をどのように受け継いでいくのか、という点は気になりますが、それ以外については、別段どのように財産が配偶者や子に移行していくのかを理解されていればそれで十分足りると思います。

 

エステートプランニングの見直しは大きな財産だけ

今回の質問で気になるのは、エステートプランニングをすると、毎年見直して、お金を払う必要がある、といったことをいう弁護士や業者がいるようです。これについては、基本的に不要と考えてください。不要なお金を払う必要はありません。

エステートプランニングを見直すのに必要なのは、大きな財産、たとえば不動産や銀行口座に変化がある場合に、少々見直しが必要になりますが、それほど深刻な話ではありません。また、エステートプランニングを放置していても、無効になることはありません。単にトラストに加わっていなかった財産が、裁判所の相続手続の対象になるというだけです。

 

少々長くなってしまいましたが、今回はここまでにしておきましょう。他にも、エステートプランニングに関しては、かなり興味がある方も多いですから、法律ノート宛にいつでも質問していただければと思います。

 

休み明けですが、気を引き締めてまた一週間がんばっていきましょうね。




 

エステートプランニング導入のメリットは?[1]_1013

法律ノート 第1013回 弁護士 鈴木淳司
June 26, 2016




 

英国がEUから離脱するということで、通貨も乱高下していますし、株価にもかなり影響している状況です。この問題が一時的な問題であるとは到底思えません。単なる金融や経済だけではなく、社会的な問題が根深いからです。首相が辞任しましたが、ある意味、論点を明確にして選挙をして負けてしまったということで、政治的に深刻な問題ではあります。

 

エステートプランニング導入のメリットは?[1]

さて、今回からエステートプランニングに関する質問をいくつかいただいていますので、まとめて皆さんと考えていきたいと思います。
類似している質問をいくつかいただいているのですが、かなりまとまった質問がありますので、それを使わせていただきたいと思います。

いただいている質問は、「エステートプランニングの作成をした方がいいという記事をよくみかけます。数十ドル程度でできるのであれば気楽に考えるのですが、数千ドル、しかも不動産などを買い替えた際などに情報のアップデートが都度必要となるとなかなか専門家に頼んでというところまでにたどり着きません。我が家には子供が一人いるだけです。夫婦は共に日本人で永住権を持っています。特に複雑な血縁関係があるわけでも、財産があるわけでもなく、不動産と保険と現金が多少あるのみ(1ミリオンもないです)なので、夫婦共に亡くなったとしても、時間がかかるというだけで最終的に相続するものが全て子供のみにいくのであれば、エステートプランニングをする意味が乏しいのではないでしょうか。それでもエステートプランニングがないとデメリットとなるのは何でしょうか?銀行や保険などには全て受取人を指定してあります。エステートプランニングをするメリットは理解しています。正直なところ、専門家にこの質問を投げれば「持ったほうがいい」との答えがかえってくるのが当然かと思うので、この質問をすること自体に矛盾があるのかもしれませんが、お答え頂けると助かります。」というものです。

よく研究されているというか、とても素晴らしい質問の文章でしたので、少々手を加えただけで使わせていただいています。

 

導入するかどうかは迷いどころ

たしかに、今までの1000回強の法律ノートで何度もエステートプランニングについて取り上げ、エステートプランニングとはどのようなものか色々啓蒙も含め考えてきたと思います。皆さんも法律ノートでエステートプランニングというと「またかよ」と思われているかもしれませんね。
一方で、実際にエステートプランニングをするべきか迷っている方の立場ではあまり考えてこなかったかもしれません。

似たような質問がいくつか法律ノートに寄せられていますので、以下考えていきましょう。

 

エステートプランニングの目的

まず、エステートプランニングの究極の目的は、自分や配偶者の財産を死後どのように交通整理していくかを決めることを総括して言います。エステートプランニングというのは、法律用語というわけではありません。一般的な言い方です。

エステートプランニングというのには、トラストや遺言などが含まれるということは、何度も法律ノートで考えたと思います。

 

エステートプランニングをせずとも財産は残る

今回質問されている方は、お金をかけてエステートプランニングをするべきなのか、という質問をされていますが、まず、エステートプランニングをしなくても、財産が政府に取られるということはありません。エステートプランニングをすることは、絶対的に必要なことではないわけです。

それでも、エステートプランニングをするのがアメリカでは一般的になっています。それはメリットがあるからです。

今回の質問者はエステートプランニングのメリットを理解されているということですが、ここで簡単に考えておくと、

(1)裁判所を通す相続手続が省略できること
(2)財産について公にならないこと
(3)死後の手続きが短期間で終わること
(4)相続人間の紛争防止になること
(5)限られた場合ですが、税法上のメリットがあること

などが考えられます。

 

次回、エステートプランニングがない場合のデメリットを考えていきたいと思います。
結局、メリットの裏返しになるのでしょうが、また来週考えていきましょう。

 

バスケットボールのシーズンが終わり、野球が本格的になってきました。もう夏ですね。体調管理をしっかりして、また一週間がんばっていきましょう。