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アメリカでは購入品を返品する権利がある?[2]





法律ノート 第1034回 弁護士 鈴木淳司
November 22, 2016

先週は私の事務所のクライアントが新しいレストランをオープンされたので、パーティーに事務所の人たちと出席しました。かなり知り合いもいて、楽しい時間を過ごさせていただきました。そのレストランの近所の方も交え、かなり呑んでしまいました。私も含め大酒飲みが何人かいるとペースが早くなるので、要注意です。しかし酒を飲むと、呑んでいる時は、なんとも思わないのですが、あとになってから反省するというのは、私だけではないですよね。パーティーシーズンなので気をつけなければなりませんね。

「アメリカでは購入品を返品する権利はありますか?」[2]

さて、前回から「ある小売店で、電化製品を買いました。アメリカでは気に入らなければ返品ができると聞いていたので、買ってからしばらく経って返品をしようとしたところ、断られました。その店では返品は原則受け付けない、ということなのです。消費者の立場として、買った商品を返品する権利というものはあるのでしょうか」という質問を考えてきました。今回続けていきましょう。

返品を受け付ける義務はない

まず、前回の復習ですが、基本的にカリフォルニア州の法律では、小売店が必ず返品を受け付ける義務はありません。イコール消費者が返品をする権利というのも原則ありません。ただし、小売店の返品について、法律で細かく規定されていますので、以下皆さんと一緒に考えていきましょう。

返品は「できる場合」がある

カリフォルニア州民法1723条を考えてみます。まず、小売店は、購入後7日経ってから、レシートの原本を伴わない、返品、店のクレジットの発行または交換を認めないことができるが、その場合、公の出入口、会計などにそのポリシーを書いて、一般に見えるようにしておかなければならない、と規定されています。読みにくい条文ですが、噛み砕くと、一般的には返品を認めなくても、交換や購入商品と同額のストアクレジットを提供すればよく、これらのサービスも購入から7日間以内にレシートの原本を伴うことを条件にできることになります。
したがって、今回質問されている方が返品を断られたとしても、店に明示されているポリシーによると、購入商品の交換しか認めていなかった場合も考えられますし、購入から7日間以上経過していたり、レシートがなかったのかもしれません。

確認すべきは小売店のポリシー

この規定の例外ですが、かりに小売店が、お店の返品等のポリシーについて明示していない場合、購入者は30日間、返品ができるということが、この条文で決まっています。店にどのようなポリシーがあるのか、確認しておくことは大事ですね。

返品・交換が一切認められない場合

上記のように、購入から7日間であれば、返品はできないにしても、一般的には交換やストアクレジットと提供してくれる場合もあるのですが、これらの小売店の対応に重大な例外があります。

返品、交換などに一切応じる必要がない場合があります。まず、食べ物、植物、消耗品などは一切返品等に応じる必要はありません。また、商品に「as is(現状引き渡し)」とか「final sale」などと書かれている場合には、返品等に対応するかどうかの判断は店側にゆだねられています。
それから、特注品やカスタムオーダーされた商品、衛生面から再販出来ないものは返品等もできないとされています。

自由に「返品」できるわけではない

以上考えたように、返品等がまったく自由にできるわけではないのです。
一方で簡単に返品ができることを売りにしている小売店もありますので、どのようなポリシーがあるのか、ある程度店ごとに知っておくと良いと思います。
返品が簡単に行える店もありますが、誰がどのような返品をしているのかチェックしているところもあり、場合によっては返品を受けない場合もあるようですね。

これで、大体返品について考えたと思いますし、今回の質問にもお答えしたと思います。また、次回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。

もうサンクスギビングですね。良いホリデーをお過ごしください。また来週まで、食べ過ぎ飲み過ぎに注意してがんばりましょう。



アメリカでは購入品を返品する権利がある?[1]

法律ノート 第1033回 弁護士 鈴木淳司
November 14, 2017

大統領選挙がようやく終わりましたね。酒の席でよく「誰が勝つんだ」という話題になり、私はいつも感情を抜いて「トランプだ」ということを言ってきました。その根拠については、法律ノートで書くほどのことではないので、読者の皆さんと酒を飲む機会があれば話をさせていただければと思います。とにかく、実際にトランプ大統領が誕生することになりました。私は法曹として、最高裁判所の人事に現在一番興味を持っているところです。皆さんは風邪をひかれていませんか。

アメリカでは購入品を返品する権利がある?[1]

さて、今回からまた新しく読者の皆さんからいただいている質問を考えていきたいと思います。
いただいている質問をまとめると、「ある小売店で、電化製品を買いました。アメリカでは気に入らなければ返品ができると聞いていたので、買ってからしばらく経って返品をしようとしたところ、断られました。その店では返品は原則受け付けない、ということなのです。消費者の立場として、買った商品を返品する権利というものはあるのでしょうか」という質問です。

アメリカと日本、返品の考え方の違いと背景

日本では、もともと一旦買った物を返品するという文化はありません。一度買ってしまったら、それでおしまい、ということですね。もちろん、欠陥がある場合には対応はしてくれるでしょうけど、欠陥についても特に電化製品については「保証制度」があって、メーカーが欠陥商品の修繕や交換について対応してくれます。言葉を返せば、小売店が欠陥商品に関して直接対応するということは多くないわけです。物の販売に関して、日本のような制度になっていることも別に異常なことではありません。

今回の質問のバックグラウンドとして、アメリカでは一般的に欠陥の有無にかかわらず、返品を一定期間受け付けるという小売店が多くあります。
このような文化になったことについては諸説ありますが、もともとアメリカというのは国土が広く、いわゆるテレフォンショッピングが発達していました。現物を見ずに、カタログやテレビを見て注文をするわけです。

そうすると、到着した現物を見たり試着したりすると、期待していたものと異なっていることもあるわけです。そのために、返品送料無料で、返品や交換を幅広く許す必要性があったと思われます。その文化が、一般の小売店にも広がったことが「返品受け付けます」という流れになったのだと言われています。
国土の広さがもともと影響したのでしょうね。

国土の広さは大統領選にも影響

余談になりますが、なぜアメリカの大統領選挙は「スーパーテューズデー」と呼ばれるように、火曜日になったかご存知でしょうか。
日本では選挙は週末と決まっていますね。この、アメリカの火曜日に行われる投票制度も、そもそも国土の広さが影響していたと言われています。もちろん諸説ありますけどね。
すなわち、宗教的な考えで週末は安息するために家族でゆっくりするというキリスト教の考えがあります。そうすると、週末は投票に時間を割くのは野暮ということになります。では、月曜日でいいじゃないか、ということになりますが、国土が広く、昔は徒歩や場所でも、投票所に行くのに時間がかかるので、できるだけ公平にするために、火曜日にしたと言われています。現代では、宗教的な「安息」という考えに関しても多様化していることと、平日に投票に行くと、投票したくてもできない人が出てくるということから、週末投票にするべきではないか、という考えも強くなってきているようですね。

返品についても州法で規律

すみません、横道に逸れました。さて、この小売店における「返品」についてですが、各州法で決められることになります。もちろんインターネットショッピングが普及していますが、基本的な売買契約については、その売買が起こった州の法律が適用されることになります。

カリフォルニア州の返品は?

カリフォルニア州の法律を見ていきましょう。まず、カリフォルニア州では、基本的に、「返品」を受け付ける義務は小売店に課されていません。もちろん、欠陥商品である場合には、小売店も何らかの法的責任を負う可能性があります。たとえば、製造物責任などが考えられます。したがって、欠陥商品であれば返品は可能であるのが原則です。しかし、欠陥がない場合の「返品」は受け付ける必要はないということになります。

ここから次回考えていきたいと思います。

もうすぐ、サンクスギビングです。本格的にクリスマスツリーも街に出てくるのですね。もう、冬がやってくるのですね。風邪を引かれないように気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。