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アメリカで学生起業_1093[2]




法律ノート 第1093回 弁護士 鈴木淳司
Jan 23, 2018

アメリカで学生起業_1093[2]

週末に法律系の記事を読んでいて大笑いしてしまいました。どこにでもありそうな飲酒運転の逮捕に関する記事でした。読み進めると、昼間から酔っ払った運転手が、銀行のドライブアップテラー(車に乗りながら銀行窓口業務を受けられる)に乗り付けてブリトー(メキシコ料理)を注文して逮捕された、とありました。本人も酔いから醒めたら頭を抱えてしまいそうな状況ですね。人間のやることは考えもつかないことがいくらでもありますね。

 

さて前回から考えてきた質問を今回も続けて考えていきます。

いただいている内容は「私は日本から(アメリカに)留学している大学院生です。エンジニアを専攻していて、現在自分のアイディアを基礎にして起業をしたいと思っています。できれば、将来はアメリカに留まり仕事ができれば良いな、と考えています。私の友人でも、アメリカ市民権を持っていたり、永住権を持っている人は簡単に起業をして、会社経営をはじめているのですが、私はF-1ビザ(学生ビザ)しかないため、普通の学生とは違った形で起業しなければならないのか、など考えています。ネットで色々質問をしても、答えがバラバラで、どのように考えたらよいのかわかりません。一般的な質問かもしれませんが、留学生の起業について、どうやったら良いのか法律的に教えてください。」というものです。

前回、一般論を考えてきましたが、学生ビザでの起業というのは、いろいろな法律が絡んで、なかなか統一的な答えがないところです。今回具体的に、解決策を探っていきましょう。

ただ、前回も注意を喚起しましたが、現在アメリカの政治では移民法に関する議論が活発になされていますので、以下の考え方は現状の考え方だということを理解してください

 

■外国人でも株主になれる

まず、外国人がアメリカの法律に基づいて設立された会社の株主になることは原則制限されていません
日本に在住する日本人もアメリカ企業の株を所有することは当たり前に行われています。投資は原則国境がないというのがアメリカの考え方です。

したがって、学生ビザでアメリカに留学している日本人もアメリカの会社の株主になることは問題がありません。かりに、起業ということでアメリカの会社を設立する場合、株主になることはまったく問題はありません。株主は実質的な会社のオーナーです。
そうすると、一つの考え方としては会社を設立して、その株主になることは問題ないわけです。株主となって、活動をするのはひとつの考え方です。

 

■アメリカの会社を学生が経営する

次に、会社を設立したとして、その経営者になると、少し状況が違ってきます。
経営をするということは、会社のために働くというニュアンスが入ってきます。

学生ビザではアメリカ国内では働けないということが前提になるわけで、会社の株主だけではなく社長になり、業務を行うと、学生ビザの目的に抵触する可能性があるわけです。

ここで私の弁護士のコツについてすべて公開することはできませんが、学生ビザと抵触しない形で経営に関わるような合法的な形をつくることは可能です。

もちろん制約はありますが、現在の移民法と会社法の解釈では形はつくれると思います。
したがって、会社の設立をして起業をするということは諦めることはありません

 

■給与を受けることは別

会社を設立したとしても、給与を受けることは学生ビザではできません

したがって、お金の流れには気をつけなければいけません。
ただ、いろいろな方法で会社は経費を出しますので、移民法に抵触しないような設定をすることはある程度は可能かと思います。

会社を設立すると、毎年税務申告もしなければなりませんし、州の登録なども怠らないような形をとらなければなりませんから、それなりに仕事は増えます。

しかし、会社があるということで、メリットもビジネス的にはでてきますので、諦めないで方法論を考えられたら良いと思います。

ただ、移民法が厳しくなっているアメリカの現状では必ず、起業について経験がある専門家に相談されて、慎重に進められることが重要だと思います。

次回また新しくいただいている質問を考えたいと思います。
いろいろなところで雪が降るという話題を耳にします。体調や事故に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。




 

H-1Bビザ抽選終了-別プランを考える




 

May 9, 2017

H-1B抽選漏れ、そして次の一手

先日、H-1Bビザの申請数が年間許可可能件数をはるかに超えて、過半数以上の申請書類が抽選に漏れました。企業としては、外国人を雇い入れるためのH-1Bを有効に使えないために、代替え案を考えなければならない問題に直面している時期です。

トランプ大統領が「アメリカ・ファースト」を弛みなく主張している現在、H-1Bビザの枠がこれ以上大きくなることはないですし、大卒、院卒の外国人を雇うため、ある程度H-1Bビザ以外のビザも視野にいれなければならない現状です。

H-1Bビザの取得に関しては、前回も弁護士ブログで考えましたので、ここであえて反芻しません。
H-1Bビザ申請(2018年度分申請)参照

 

米国外での雇用にシフト

先日飛行機に乗っていて、横に乗っていたSNS関係のイギリス人が言っていましたが、現在H-1B発給がアメリカで事実上難しくなってきているので、雇用をアメリカ外にシフトしているということでした。その大手SNS会社では、ロンドンで2000人以上雇い入れているという話でした。
「アメリカ・ファースト」をアメリカ政府が実行していくと、地場に縛られない企業であれば、それなら、アメリカ外で外国人を雇い易い地を求めようということになり、どんどんアメリカ以外の国に進出していくということになっていくのではないかと思います。

 

これまでのH-1B取得のパターン

H-1Bビザというのは、発給の主たるパターンとしては、アメリカに留学している外国人学生が、いわゆるオプショナルプラクティカルトレーニングといい、学位を取得したことを条件に一年間は雇用が許されるという制度を利用して、米国内で働くことができるのですが、その延長としてH-1Bビザを申請するという筋が考えられます。
そうすると、外国人学生としては、米国企業で働くチャンスが限られてくるため、そもそもアメリカに留学することを見合わせるという傾向もあるようです。

ただ、日本人留学生であれば、H-1Bビザ以外にも、考えられるビザがあります。企業としても、H-1Bビザの抽選に漏れて、外国人の雇用ができずに困っているのですが、以下のビザを考えてみてください。

 

日本人の場合に考えられるビザーEビザ

まず、日本は、Eビザ発給の条約締結国なので、企業のコントロールの過半数が日本企業または日本人であれば、Eビザのサポートが可能になります。もちろん、発給要件はありますが、外国人申請者にある程度業務に関連する実務経験があれば、考えられるビザではあります。

多くの人はなぜか、Eビザは日本からの転勤用のビザだと思っているようですが、それは違います。
実務経験が、業務にマッチするものであれば、スポンサー企業以外の経験も利用することができます。

Eビザにも細かくわけて二種類あって、日米間の貿易量が多い企業に発給されるE-1ビザと、日本からの投資額に応じて発給されるE-2ビザがあります。最近のH-1Bビザ取得の困難さから、かなりEビザに頼る日系企業が増えています。日本企業であれば使えるビザなので、大いに活用を考えて、まずEビザの可能性を探ってください。

 

日本人の場合に考えられるビザーLビザ

Eビザよりは、新卒者採用のフレキシブルさには劣るかもしれませんが、Lビザというのもあります。Lビザこそ、転勤用のビザで、日本企業から、アメリカの子会社、関連会社に転勤や出向などをする場合に用いられます。

親会社等での最低限の経験を要求されますので、まったく採用企業に働いたことのない新卒者を雇う場合に、いきなりLビザの発給を求めることは難しいわけです。少なくとも、親会社に一年間は働いて、そのうえで、Lビザの申請をするということになります。そういう採用でも良いというのであれば、Lビザの発給も射程内になりますね。

 

諦めずに方法を探る

現状、H-1Bビザの抽選が終了し、採用する側もされる側も困っている例をよく耳にしますが、簡単に諦めずに、EビザまたはLビザの可能性についても探ってから判断をするのが良かろうと思います。

まだ、日本人には、条約のおかげでEビザの可能性が残されているのですから、他の条約非締結国のパスポートを持っている外国人よりも、就労ビザ取得の可能性は大きいわけですね。H-1Bビザがとれなくても、アメリカで活躍する日本人が就労ビザを取って活躍できることを心から願っています。
次回また新しいトピックを考えていきましょう。