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DV2018/DV2019の進行について




トランプ大統領の発言によりDVプログラム(Diversity Immigtrant Visa Program)の行方をご心配になっている方も少なくないと思いますが、アメリカは大統領の発言・独断によって法律が覆ることはありません。

DVプログラムが実施されるもととなっている法律は、上院下院の両議院で可決して、民主的に制定されているものです。
廃案にするには、合法的な厳格な手続きが必要です。

ですので、DV2018ご当選者の方で、渡米をお考えの方は、変わらず手続きを進めてください。
DV2019ご応募をお考え中の方は、お早めにご応募することをおすすめします。

日本出生のDV当選者たちのみならず、世界各国の当選者たちが、強い意思を持って、大きな決断とぶれない行動力によって永住を現実のものにしていることを知っています。
移民と多様性によって支えられているアメリカの、安定した移民政策を心から願います。

 

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手続きにご不安のある方は、事務局までお気軽にお問い合わせください。
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前科あり。米国入国できる?

August 08, 2017




 

前科がある場合の米国入国

 

トランプ政権となって、外国人の犯罪がフォーカスされることが多くなりました。かなり、多くの方々が心配されている分野でもあります。ベクトルは違いますが、移民に対する締め付けは、先週トランプ政権がサポートする移民法の大改正案(議会を通過するのは現実的ではないと言われている)を見ても明らかです。

今回は、外国人の犯罪と、米国入国について整理して考えてみたいとおもいます。

 

犯罪歴は事前申告が原則

まず、犯罪歴がある場合、米国入国に先立って、申告をすることが前置となっています。
ビザなしの渡航(ESTA)においても、ビザを申請する場合にも、そして永住権を申請する場合には、まず犯罪歴を明らかにしなければなりません。この犯罪歴は米国における犯罪に限られず、申請者の犯罪歴をすべて指します。

そして、犯罪歴を申告することを怠った場合、入国に際して、「詐害行為」とみなされて、入国禁止になってしまう可能性があります。ですので、まずは隠さず申告をするということが重要です。

米国の同時多発テロ事件以降、前科についての情報は米国内の行政機関においてかなり広範囲に共有されています。したがって、「申告しなくてもわからないだろう」という考えはやめたほうが良いと思います。

 

 

一律入国禁止か裁量によるビザ発給か

犯罪歴がある場合、米国入国で2つのパターンがあります。

一つは、犯罪歴があることで一律入国禁止となる場合、もう一つは、裁量によってビザがでる場合です。

まず一律入国禁止となる場合について簡単にまとめておきましょう。

注意していただきたいのは、入国禁止に関する法律はかなり多岐に渡り複雑ですので、ここでは代表的なものだけを取り上げておきます。

 

まず、麻薬および売春関連の罪については一律禁止とされています。

次に、道徳違背(Crime of Moral Turpitude)の前科がある場合には、入国禁止になります。

道徳違背の罪というのは、移民法独特の定義で言い回しです。
道徳違背というのは、一般的に「社会に根づいた道徳観を揺るがすような罪」と言われていますが、移民法上、一体どのような罪が道徳違背なのか明文で定められているわけではありません。審判例の積み重ねによって、どの罪が道徳違背となるか先例があるだけです。ですので、判断の指針はあっても、確固とした罪の列挙はありません。

今までの、先例を見ると、殺人、性的暴行、ドメスティック・バイオレンス、幼児・児童虐待、強盗、詐欺などの重大犯罪が道徳違背とされています。

その他にもかなり広範囲の罪が道徳違背とされていますので、疑義があれば専門家に、先例と照らし合わせてもらってください。

 

道徳違背の前科の例外

道徳違背の前科があれば、原則入国禁止となりますが、例外があります。

一つの例外は、前科が18歳未満のときに行われた犯罪の実行行為に基づく場合で、ビザ申請時から遡って5年以上経過している場合です。

もうひとつの例外は、法定刑が一年以下の罪(軽罪)の罪に問われ、実刑で6月を上回って服役していない場合です。

たとえば、窃盗は場合によっては、移民法上道徳違背とされる場合がありますが、カリフォルニア州の罪によっては、法定刑は最長で一年以下の禁錮となっていて、初犯では罰金のみで済む場合もあります。このような罪では形式上、移民法に照らすと道徳違背となってしまうかもしれませんが、例外的に入国禁止とはされていません。

 

この道徳違背に該当するかどうかの判断、例外規定が適用されるかどうかの判断は、かなり複雑なので、具体的な事例に関しては専門家に相談されることをお勧めします。

この他にも、道徳違背でなくても、2つ以上の有罪歴があり、合計で5年以上服役している場合(禁錮および懲役を含む)には原則入国禁止とされています。

 

 

免除申請とビザ取得

上記のように、移民法上明文で定められている入国禁止事由に該当する場合には、例外的な免除申請を別途行って認められなければ、米国に入国するのはかなり難しいということになります。

これらの一律入国禁止事由に該当しない犯罪歴であれば、米国政府の裁量により、ビザが発給されます。犯罪歴がある場合には、ESTAを利用して、ビザなしの渡航はできませんので、必ずビザの申請をして、許可を得なくてはなりません。

一般的な短期の渡航であれば、Bビザを取ることになろうと思います。
裁量による発給ですので、必ず許可を得ることができるとは限りませんが、軽微な罪である限り、ビザが自動的に拒否されるということはありません。

重要なのは、ビザを申請するときに、前科を申告するわけですが、前科に関する書類一式を申請書類に添付しなければならないことです。

したがって、米国内で以前有罪の判決を受けている場合には、有罪の言渡しを受けた裁判所に直接連絡をして、該当する書類をすべて揃えてから、ビザの申請をすることになります。手間がかかるのです。

 

今回は、一般的に犯罪歴がある場合の、米国への入国についてざっとまとめました。

犯罪歴があれば即入国禁止ということではなく、上記のような様々な要素を検討しなければなりません。
ですので、単純に米国入国を諦めるのではなく、専門家に相談をして、入国の方法がないか考えてみてください。

 

次回、また新しいトピックを取り上げたいと思います。




 

さてどうしたものか-弁護士にできることできないこと





法律ノート 第1057回 弁護士 鈴木淳司
May 09, 2017

週末に法律ノートを書こうと思っていたのですが、ある憧れのゴルフコースでプレーすることができて、先送りにしていました。いやー、スポーツはいいですね。奥深いし、怪我さえしなければ、身体にも精神にもとても良いと思いました。以前私はダイビングをよくしていたのですが、ゴルフも同じで、場所によって全然違う体験ができるところが楽しいと感じています。皆さんは天気を楽しまれていますか。
さて、今回は皆さんからの質問をいったん休ませていただき、ある状況について考えさせてください。一応、フィクションということで、具体的な特定の人物について書いているわけではないということで、考えていただければと思います。
ある70代後半の夫婦の話です。旦那さんは数度離婚歴があります。2人は50代になってから、結婚を決意します。お互い仕事もしていて、財産もあり、それぞれ何十年も別の道を歩いてきました。旦那さんにも、奥さんにもそれぞれ子供がいます。このようにすでにお互い自分の人生を背負っての結婚となったわけです。

いくつになっても恋愛は良いことですね。アメリカでは、婚前契約(プリナプチュアル・アグリーメント)を夫婦間で締結することが少なくありません。それぞれ持っている財産は、それぞれに帰属して共有財産とはならないとする契約です。再婚の場合などは、特に珍しいことではありません。この二人も婚前契約を締結していました。婚姻前にそれぞれが持っている財産は、それぞれの財産としてはっきり分けておこうというわけです。

私は、奥さん側の財産について相談を受け、自分の血族に財産が行くような形の相続関連書類を整えました。これは20年ほど前の話です。それから、何度も内容を変更しましたが、相続割合の変更のみで、基本的に自分の血族に財産を相続させる意思は変わりませんでした。婚前契約があるから旦那さん側に相続をさせることはないわけで、妥当な内容でした。

旦那さんから、最近連絡があり、奥さんが遺言等を書き換えたいということでした。旦那さんは、奥さんが考えを変えて、奥さんの財産の半分を旦那さんに相続させたい、ということを連絡してきました。

私が面会すると、奥さんは、階段で転び、ずいぶん衰弱していました。旦那さんに席を外してもらい、遺言等を本当に書き換えたいのか、旦那さんとよく話をしているのか、と聞くと、そのような会話をしていないということでした。奥さんはしきりに旦那さん側の遺言等はどうなっているのかを気にされていたので、旦那さんにそれを見せてもらうと、結局旦那さん側の財産は最終的に旦那さんの血族に相続されるように設定されていました。奥さんにそのことを説明し、どのようにしたいのか聞くと、旦那さんと同様の形が良いということに収まりました。結局、自分の血族に財産が相続されるという内容です。

お互いに同様の内容ですので、フェアでもありますし、今まで何十年も私が聞いていた内容とブレていません。細かい微調整をして、書類を整え、無事に相続書類をアップデートしました。相続書類の原本は私の所属する事務所で保管することになりました。
アップデートが終わった数日後、もう80歳になろう旦那さんから、妻の相続書類を渡してほしいと依頼がありました。旦那さんであろうと、私の直接のクライアントではありませんので、奥さんからの承諾書がなければ、渡せないことを言うと、奥さんのサインの入った承諾書を送ってきました。

そこで、相続書類を送ると、ものすごい剣幕で、訴えるぞ、などと言ってきました。訴えられるものなら、どこにでも訴え出て見ろよ、と思いましたし、そもそも、旦那さんの財産ではないわけですから、訴える理由もないわけです。弱っている奥さんの財産の半分を自分のものにしようと思って私に連絡してきたのですが、それが成就しないので、怒り出しているのです。

私は暗澹たる気持ちになりました。弱っている奥さんの介護をしているのは、旦那さんであることは間違いないので、奥さんとしても、彼の言うことを「はいはい」と聞いてしまうわけです。私は弁護士というだけで、毎日その奥さんと会うわけではありません。そうすると、自分が弱っていれば、旦那さんに頼るしかない、ということになってしまい、ある意味コントロールされてしまってもおかしくない状況です。

旦那さんは、私に対してもう仕事をしなくても良い、とお節介を焼いて言ってきますが、私は心配でしょうがないわけです。せっかく、自分の意思で奥さんは相続書類をアップデートしましたが、旦那さんは、事情を知らない別の弁護士のところに連れて行って、自分に財産が入るような形の相続書類を用意させ弱っている彼女にサインをさせるかもしれません。物理的に近くにいる人間の方が彼女をコントロールし易いに決まっていますね。

弁護士として、奥さんの意思を守るために何ができるのか、このところずっと悩んでいます。さてどうしたものか。


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『遺言執行者になって欲しい。』どうする?[2]





法律ノート 第1054回 弁護士 鈴木淳司
April 17, 2017

しかし、今年の天候は異常で、ベイエリアは雨が多いです。あれだけ騒いでいた干ばつ問題が解決したのは良いことではありますが。雨だけではなく、例年に比べて花粉もすごいように思います。今までカラカラになっていた植物が、水を得て活発に活動しているのでしょうか。皆さんは、花粉対策に何をされていますか。

 

『遺言執行者になって欲しい。』どうする?[2]

さて、前々回から考えてきた質問を今回も考えていきましょう。
いただいている質問は「ベイエリアで、長期に渡って住んでいる者です。すでに、子供達は巣立っているのですが、子供の学校関係を通しておつきあいを長い間続けている夫婦から、遺言で遺言執行者になってくれないか、と打診を受けています。その夫婦のお子さんも大きくなり、日本に戻ってしまったため、今は、夫婦のみがカリフォルニアに住んでいる状況です。遺言の執行など、私はまったく知りませんが、できることなら力になってあげたいとも思っています。遺言執行者とはどのようなものなのか、教えていただけないでしょうか」というものです。

 

遺言執行者は遺言で指定

前々回考えたとおり、遺言執行者というのは、「ぼくの遺言の執行は君がなってくれ」と肩を叩かれるわけではなく、遺言に、執行者の名前を記載する方法を取ります。したがって、遺言の内容を見なければ、誰が執行者として指定されているのか、わからないわけです。

もちろん、遺言者も身内などには、遺言の内容を見せることもアメリカでは可能です。
したがって、執行者が誰になるのかは、事前に開示をすることはできます。
しかし、一般的に自分の遺言を見せて回る人はいないわけで、口頭で、「執行者に指名したよ」と伝えたりする程度になるのではないでしょうか。

また、遺言は、遺言者が一人で行う法律行為ですから、気が変わったらいつでも変更することができますので、いったん「執行者に指名したよ」と言われていても、蓋を開けてみたら、すなわち遺言を確認してみたら、別の執行者が設定されていたということもあるかもしれません。周りに、知り合いがいない場合もあります。その場合には、遺言の作成を頼む弁護士を執行者に指定する場合もあります。

 

遺言執行者、選任の流れ

さて、遺言執行者に選任されると、遺言者が生きている間には、何もすることはありません。遺言が発効するのは、遺言者が死亡したときですから、当たり前ではあります。

遺言者が死亡すると、信託が別途存在しない場合、相続財産の分配などの処理は、裁判所の手続きに乗せなければなりません。裁判所が財産管理をモニターしながら分配をしていくのです。この裁判所の手続きは、はやくても、6-9ヶ月かかります。この手続を避けるのも信託作成の一つのメリットと言われています。

あまり法律の手続きを難しく書いても、読者の方にとっては馴染みがないと思いますので、簡単に遺言者の死亡から、どのように遺言の内容が現実化していくのか、簡単に考えてみます。

 

遺言執行手続きの開始

まず、遺言を見つけた家族や、保管者が、その遺言を裁判所に提出します。その提出を受けて、裁判所が遺言執行の手続きをはじめます。裁判所が手続きを「はじめる」と言っても、関係者の請求に応じて判断をしていくことになりますので、自動的に裁判所が何かをやってくれると期待してはいけません。

次に、裁判所が遺言を確認すると、遺言執行者を遺言に沿って指定します。指定された人が拒否する場合などは、裁判所が遺言執行者を決めます。遺言執行者となった人は、裁判所から相続財産がどの程度あるのかを把握して、遺言に沿って、分配をするという役割を負います。

そして、その役割を負うことによって、法律で定められた報酬を得ることができます。

 

 

実際は弁護士との共同作業

ここで、遺言執行者となったとすると、法律にあまり詳しくない人が、いきなり裁判所に提出する書類を作成したり、審理に参加したりすることは難しいわけです。仕事を持っている人などは特にそうでしょう。

しかし、実際裁判所は遺言執行者にここまでの多岐にわたる業務を行うことを期待していません。ほとんどの場合には、遺言執行者となった人に弁護士がつくわけです。そして、その弁護士が実際の法律業務等必要なことをして、遺言執行者の代わりに業務を行うことになります。

次回、遺言執行者とその弁護士がどのような業務を行っていくのか具体的に考えていきましょう。

 

私の鼻と目がグズグズしていますが、みなさんも花粉に注意しながらまた一週間春を楽しんでいきましょうね。




 

3/16発効の大統領令、日本人への影響




 

「3/16発効の大統領令、日本人への影響」

今回のじんけんニュースは、トランプ大統領が署名して、2017年3月16日に発効する大統領令(行政命令)について、日本人にどのように影響するのか考えてみたいと思います。

中東6カ国およびイラク国民のアメリカ入国制限

まず、今回の移民関連の大統領令(Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States)のハイライトは、中東6カ国およびイラク国民のアメリカ入国制限です。
これはかなりニュースになっていますし、すでにハワイ州をはじめとして、違憲を主張して争う状況になっています。違憲であるかどうかは、特定の信教をターゲットに入国制限をしているかどうか、という点の審理となると思われます。ニュースでも取り上げられていますし、日本国民には直接影響しないと思われることから、ここでは割愛します。

難民の受け入れ制限

もうひとつ大きな移民の制限として、難民の受け入れを今までの約半分とする内容が含まれています。これも、現在難民認定を待っている外国人には、深刻な問題を生じかねません。政治的な迫害を受けているような、切迫している状況もあるでしょう。
ただ、この部分も日本人には、直接影響することは少ないと思われます。

日本人に直接影響する内容は?

上記に加えて、今回の大統領令において、いくつか外国人の米国入国を制限する方向に働くであろう内容があり、日本人の米国入国に影響することもあるかもしれませんので、ここで考えます。なお、今回の大統領令においては、この大統領令が一部無効とされても、残余部分は有効性を保つという状況があるので、以下考える部分については、有効とされる可能性が高いと私は思っています。

ビザ発行には大使館(領事館)面接が必須

まず、一番影響するであろう変更は、米国在外公館によるビザ申請の際、必ずインタビューを義務付けることになりました。

今までは、有効なビザの申請・許可があり、そのビザの失効から12ヶ月以内であれば、同様のカテゴリーのビザの更新申請の際、インタビューは免除されるという例外規定がありました。しかし、今回の大統領令で、この例外規定は廃止されることとなりました。

したがって、どのようなビザ申請であっても、必ず在外の米国大使館・領事館において、面接を受けなければならないということになりました。そもそもリスクが少ないであろう、外国人にビザ申請の面接を免除していたのですが、今後は、一律にビザの面接を義務付けることになったわけです。

米大使館・領事館の負担増

面接を受ける外国人にとっても負担となりますが、問題は米国大使館・領事館の対応です。必然的に面接をする機会が増えるわけですから、対応が大変になります。
そうすると、結果として、ビザ申請から面接設定までの時間も長期化する恐れが考えられます。今後、面接予約の状況を注意して確認していく必要がありそうです。

入国審査の厳格化

次にビザの申請内容に虚偽がないか、質問等や入国審査を厳しくするプログラムをつくるように大統領令で指示があります。特に、テロ関連、集団暴力行為関連などについて審査することを命じています。直接、日本人に影響することはないかもしれませんが、暴力団など米国で指定されているテロ団体関連事例などには、かなり影響すると思われます。

生体識別システムの本格稼働

もうひとつ、影響する可能性があるのが、外国人の米国出入国に関して、生体識別システムを導入することを義務付けました。
1996年以降、議会は、生体識別システムを取り入れる決議をして、2006年には、一部システムが導入されはじめました。しかし、うまく動いていなかったのが実情です。
このシステムについて、旅行者に費用を負担させつつ、出入国を管理するということを推し進める内容が大統領令に書かれています。

 

上記が、一般的な内容ですが、これから日本人を含め、外国人旅行者に影響するであろうという内容です。未だ、具体的な施行ははじまっていませんが、これから、移民行政の動きに注目していかなければならないでしょう。

じんけんニュースでも、今後動きがあれば取り上げていきたいと思います。
それでは、また次回まで春を楽しんでいきましょう。




委任状の法的意味合い[1]





法律ノート 第1048回 弁護士 鈴木淳司
March 4, 2017

ずいぶんベイエリアも春らしくなってきました。ワシントンDCではもう桜が開花しそうだとか。あれだけ雨が多かったのに、春に向けて季節は加速していっているようです。ガーデニングをはじめる季節でもありますが、今年は何を植えるかそろそろ考えなければと思います。昨年は干ばつの影響で、栽培を控えていましたが、今年は思いっきり植えたいと思っています。

「委任状の法的意味合い」[1]

今回は、法的に作成された委任状に関する質問をみなさんと一緒に考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると「私ども夫婦は、日本国籍を持ち、永住権許可のもとアメリカに長年滞在していましたが、年齢も考慮して、夫婦で日本に戻ることになりました。子どもたち(2人いる)ももう大きくなって、すでに独立しています。そこで、今私達が住んでいる家を賃貸に出し、子どもたちに管理をさせようと思っているのですが、なんでも委任状を用意すると、賃貸の手続きなどが楽になる、ということを聞いています。いったい委任状というのはどのようなもので、どのように作成すれば良いのでしょうか。」というものです。

そもそも「委任」とは

「委任状」という言葉は日本でもよく使われています。私達弁護士も、クライアントの方々から委任状を得ることで仕事ができるように、主に法的な仕事を人に頼む場合には、「委任状」というものを作成します。
アメリカで言うと、Power of Attorneyというのが、委任または委任状を意味するのですが、アメリカの法律を考える前に、よく日本で言う「委任」状、というものが何なのかここで考えておきたいと思います。

委任というは、基本的に法律的な事柄について人に任せるときに使う用語です。なので、離婚の手続きを弁護士に「委任」する、といった感じで使います。法律以外の事務手続きを頼む場合には、正確には「準委任」と呼びますが、内容的な違いはさほどありません。現実問題として、準委任といってもなんのことかわかりにくいので、一般的には、法律問題にしても、法律が絡まない事実的な問題にしても、「委任」と言っていると思います。

委任と請負の違いー請負は結果まで約束

委任というのは、ある事柄についての対応等を「任せる」という契約ですから、ベストを尽くしてもらうということが前提になっています。ただし、結果がどのようになるかは約束をしない契約です。弁護士に事件を委任して、負けてしまった、としても、その責任を追求するのは、別途過失などがない限りかなり難しいわけです。

委任に似たコンセプトに「請負」というものがあります。請負というのは、委任と違って、「結果」を約束するものです。大工仕事や修繕工事、プログラムの開発などは「請負」契約であることが多く、なぜかといえば、完成品させること、または完成品を引き渡すことが契約内容になるからです。
通常、不動産の管理などを頼むことは、何か完成品があるわけではなく、委任契約となるのですね。したがって、委任状というものが必要になるのです。

委任契約と委任状の違い

ここで、委任契約と委任状というものも厳密に言うと使用方法に違いがあります。

委任契約というのは、委任をする人と受任する人の間の決め事を書いて書類にするものです。たとえば、報酬や何をやるのかを細かく書いておくことになります。

一方で、委任状というのは、受任者が第三者に対して、正当に委任された内容につき「受任したのです」ということを示すための書類ということになります。この委任状というのは、内部で使う書類ではなく、外部に対して委任関係があることを示す書類ということになります。そうすると、委任契約というのは、委任者と受任者の両方の署名があるのが普通ですが、委任状というのは、委任する人だけの署名で成立するのが一般的であるということになります。

今回、委任というのが実質的にどのようなものか考えましたので、次回Power of Attorneyというのは、どのようなものなのか、どのように作成するのか、について詳しく考えていきましょう。

私は久しぶりの天気なので週末はゴルフがしたいな、と思っています。みなさんも屋外にでて、春の花や天気を楽しんで、またリフレッシュして、一週間がんばっていきましょうね。




アメリカでの警察への通報





法律ノート 第1047回 弁護士 鈴木淳司
February 28, 2017

「米国内で警察に通報する意味」

今回は、一回読者の皆さんからいただいている質問にお答えすることを一回休ませていただき、最近私が感じた警察行政に関するトピックを取り上げてみたいと思います。一般的に、警察行政が行う捜査のきっかけを「捜査の端緒」といいますが、端緒は色々な形があります。もちろん、飲酒運転などを警察官が現認することもあるでしょうし、様々な人が通報をすることもあります。匿名の投書などによる場合もあるでしょうし、報道機関の活躍に依る場合もあると思います。

ドメスティック・バイオレンスーDVーの場合

今回皆さんと考えたいのは、家庭内暴力(いわゆる、DV、ドメスティック・バイオレンス)についての端緒です。以下DVとしましょう。DVというのは、家庭内のいわば第三者の目の届かないところで行われることがほとんどですので、派手に大声を立てたり物が壊れていたりしない限り、なかなか第三者からの通報ということはないわけです。多くのDV事件においては、家のなかにいる人からの通報が端緒になります。

以前、かなりベイエリアから離れた土地で、同棲をはじめ、子供も生まれたカップルに関わったことがあります。男性のことはよく知っていましたが、女性について私は面識がありませんでした。二人が付き合いだしたあと、女性はかなり感情的で暴力的な人だということを、第三者から聞いていましたが、イザコザが絶えないという話もよく出ていました。

最近になって、何度か相談を受けていたのですが、喧嘩になると、女性はすぐに警察に通報し、男性が逮捕されてしまいます。子供もまだ小さいので、養育の問題なども争いの原因になっていたようですが、女性が通報し、男性側が否定している事実についても、裁判上証拠としてでてきたため、男性は有罪になりました。私は、その事件を担当していたわけではありませんが、納得がいかない部分を感じました。

その後、また争いが発生し、女性が警察に通報、そして再度男性は逮捕起訴され近々実刑になるかもしれません。

この事例のように、主に性格の不一致から、言い争いをするような事例でも、警察を呼ぶとかなり深刻な問題になります。大人であれば、話し合ってまずは子供の利益を最優先させてあげられないかと、思ってしまいます。

日本の警察でも対応に変化

日本では、警察を呼んでも、刑事事件化しないで、DV事件については、民事不介入ということが今までよく言われていました。ただ、家庭内暴力でも、ストーカー行為にしても、日本でも警察は敏感になっていて、様々な対応方法を試みているのが現実です。とにかく、何かが起こってからでは遅いということが前提にありますし、早めにトラブルには対応することが重要であるというのは、真理だと思います。

日本とアメリカ、DV通報の深刻度の違い

今回私が皆さんにも考えていただきたいのは、日本とアメリカにおける、DV通報の深刻度の違いです。文化の違いもあるとは思います。

日本のように、警察をよんで、まずは男女関係を仲介してもらおうと想定していると、アメリカでは、そのような想定は通用しないケースがほとんどであることを認識していただきたいのです。単に、「夫の興奮を鎮めてもらいたい」とか、女性側が感情的になって「警察を呼んでやる」という場合でも、警察が呼ばれると、DVの罪で逮捕・起訴につながります。

まずは、夫婦で話をして、話ができない場合には、すぐにでも、2人が別々の場所にいるように、どちらかが出ていくことが重要です。喧嘩をしている二人が一緒にいれば、エスカレートするのは目にみえています。

以前私が扱った事件で、夫が浮気をしていると疑っている妻が、感情的になって家の中の物を投げまくったあげく警察を呼んで夫が逮捕されてしまうというものもありました。はっきりいって、夫婦とも子供のようなものですが、後悔先に立たず、です。

パートナーは逮捕起訴、失職。ビザにも影響

日本人の夫婦のDV事件が発展すれば、職を失うなどだけではなく、ビザなどにも影響する大問題となります。感情は抜いて、まず夫婦の一方の行為に対して警察を呼ぶということを考える場合、アメリカでは「逮捕・起訴される」ということを覚悟のうえで、受話器を手にしてください。最近、この手の相談が多いので、周知のために、今回法律ノートにしてみました。

 

春らしい気候になってきました。やはり、カリフォルニアは晴れていないと何か足りない気分になってしまいますが、ようやく「止まない雨はない」ということで、天気を楽しめそうです。色々屋外のアクティビティの予定を考えながらまた一週間がんばっていきましょうね。




自宅を改装中。追加支払いの要求に応じるべき?[1]





法律ノート 第1031回 弁護士 鈴木淳司
October 29, 2016

先週まで、法律ノートで、電話越しにIRS(米国国税庁)だと言われて、情報を渡してしまったというトピックを数回考えましたね。先週、FBI(連邦捜査局)が、おおがかりな、電話を使った詐欺事件で容疑者を逮捕したということです。60人以上が関わっていたようですが、実際に電話をかけていたのはインド人で、アメリカ人である主犯格はインド人を雇ってやっていたそうです。特に、移民の人達や、高齢者を狙って金銭を奪うという卑劣な犯罪なのですが、報道によれば250億円以上の被害が発生しているということです。真の社会的弱者に対してこのようなことをするというのは、良心をまったく感じませんね。
前回まで何度も考えましたが、とにかく、行政機関が電話越しに情報を提供しろ、とは言ってくることはありえないので、絶対に電話で色々な情報を渡さないでくださいね。

自宅を改装中。追加支払いの要求に応じるべき?[1]

さて、今回から新しくいただいているトピックを考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると、「自宅の改装をコントラクターに頼んでいます。自宅の一部を改装するために、コントラクターに仕事を頼んでいます。契約に基づいてすでにお金は一部払っています。まだ、改装の途中なのですが、時間がかかっていることと、コントラクターがお金を必要としているということで、追加の支払を求められています。私としては中途で仕事を投げ出されるのは怖いのですが、支払うことも躊躇しています。どのように対応していくべきなのでしょうか。」という質問をいただきました。

カリフォルニア州のコントラクター

コントラクター(日本語で一般的に言うと請負業者とでもいいましょうか)というのは、色々な業種がありますが、カリフォルニア州では、Contractors State License Boardという州の機関がコントラクターの資格について監督しています。したがって、コントラクターは州の法律にしたがって、行動する必要がありますし、支払を受けることについても、ある程度の規制がされているのです。
コントラクターとハンディーマン

さて、基本的なところから確認していきたいと思います。

コントラクターが仕事をする場合、コントラクターとしてのライセンスを得たうえで、州に登録しなければなりませんが、労働と原材料を併せて500ドル以下の仕事であれば、カリフォルニア州内では、コントラクターのライセンス登録は不要となります。よく、自己紹介で「ハンディーマン」という人がいて、コントラクターと言わないのは、ライセンスはないけれども小さな仕事をやっている人を指すのです。登録が何かの理由でできない場合もあるのでしょう。

州登録が義務付けられている理由

そうすると、労働と原材料を併せて500ドル以上の仕事を請け負う場合には、必ずカリフォルニア州に登録しなければなりません。
登録してあるかどうかは、上記の州の管轄にあるContractors State License Boardに問い合わせれば教えてくれますし、現在ではウェブサイトでも登録の確認が誰でもできるようになっています。そして、コントラクターは、最低でも1万2千5百ドルのボンド(すなわち、何か事故や不履行が起こった場合の担保)に入っていなければなりません。何か問題が起きたときの引当にするためです。この引当があるので、州に登録しているコントラクターに請け負ってもらうことが重要なのです。

事前の契約締結が必須。その内容は?

次に、今回の質問を考えるうえで重要なのは、どのような契約書をかわされているかということです。州で登録しているコントラクターは、仕事をする際に契約書をかわさなければいけませんので、必ず契約書は存在しています。今回の質問を考えるにおいても、まず契約書がどのような内容なのかを確認する必要があるのです。

契約書の読み方ーダウンペイメントー

ここで、まず私が契約書を皆さんから見せられたら確認する内容があります。それは、前払いのダウンペイメントです。ダウンペイメントは法律で上限が決められていて、プロジェクトの総額の10%または1000ドルが上限として決められています。
これを超えてお金を要求してきているようなことがあれば、これは「怪しいのではないか」と思います。私が見てきている事件でも「先にお金を渡してしまった」というケースが多くあります。
まずは、誠実な、というかまともな一般的なコントラクターは、10%以上のお金を請求してこないのだ、ということで理解してください。今回質問されている方もまずは、この点を確認されてください。

支払い時点は契約書に盛り込む

次に契約書で、私だったら気をつけて観察するのが、どの工程が終わったら、いくら払うのか、ということが明示されているかどうかです。ちゃんとした、契約書であれば、たとえば、基礎が出来上がった時点で15%、枠組みが出来上がったら、15%、色を塗ったら15%というようにかなり細かく支払条件が設定されています。もちろん小さなプロジェクトであれば、終わった時点で90%ということになるとは思いますが、そうでなければかなり刻まれた形で規定されています。もちろん、皆さんとしては一つ一つの工程に関してよくわからないこともあると思います。

その場合には、ちゃんと説明を要求して、具体的に、どの段階まで終わったら支払が発生するのか、確認して、法律用語でもなくて良いので、契約書にしっかり書いておくことが重要なのではないでしょうか。

次回ここから続けていきたいと思います。ハロウィンが迫ってきました。皆さんうまくお化けを追っ払って、楽しい一日にされてください。ベイエリアは雨模様ですが、おばけは雨も関係ないのでしょうか。
また一週間がんばっていきましょうね。




米政府機関から電話?!実は巧妙な詐欺[2]





法律ノート 第1030回 弁護士 鈴木淳司
October 25, 2016

ベイエリアも朝晩かなり涼しくなってきました。皆さんのお住いの地域はいかがでしょうか。秋野菜もずいぶんマーケットに出てきましたね。私はナスを焼いたりしていますが、先週の雨のおかげでかなりレタスが元気になってきました。サンマも食べる幸運に恵まれています。寒くなってきた季節に美味しい和食食材と温かい日本酒は本当に合うものです。みなさんも食べ過ぎ飲みすぎに注意されてください。

「米政府機関から電話?!実は巧妙な詐欺」[2]

さて、前回から考えてきた「北カリフォルニアに10年以上住む、永住権をもった家族です。先日、IRS(いわゆる米国国税法)から電話が入り、妻が税務申告について質問をされました。かなり相手方も情報を持っていることなどから、再度自宅に電話があったときに私(夫)が電話に出て、ソーシャルセキュリティーや、勤務先の情報を確認しました。そのときに、お金が還付されるということを言われたのですが、一向に還付されません。このようなケースは、詐欺のようなものなのでしょうか。それであれば、自己の情報に関して保護の心配があるのですが、大丈夫でしょうか。」という質問を再度考えていきたいと思います。

行政機関が電話で個人情報を聞き出すことはない

前回考えましたが、アメリカの行政機関がいきなり電話で個人情報を聞いてくることはあり得ません。もしかしたら、このような電話をしてくる輩は事前に何らかの情報を持った上で、さらに個人情報を聞き出そうとしているかもしれません。

電話に出たときに、相手方がある程度の個人情報をすでに持っているという事実について、怪しむべきで、信用するべきではないのです。かりに電話で、色々聞き出そうとしても、電話で一切情報を渡さず、必ず書面で質問を送るように言うべきです。
そのときに住所を聞かれたら、住所はそちらが知っているはずなので、電話では渡さないことをはっきり伝えることが重要です。

流出情報の回収は不可能、そこで

今回の質問のように、すでに情報を渡してしまった場合、その渡した情報を回収するのは簡単ではありません。これは現実として諦めるしかないと思います。そこで、渡した情報を不正に使われないようにモニターするしかないと思います。

まず、重要なのは可能であれば警察の調書を作ることです。警察に赴かなくても、現在ではインターネットで被害届をだせる警察もあります。連邦政府にも州の政府にも、消費者保護を司る行政機関があります。そのような団体に相談をすることも考えられます。
ただ、これらの行政機関に相談をしたとしても、何か積極的に保護をしてくれる、ということではないでしょう。

クレジットレポートを定期に監視

今までソーシャルセキュリティー番号などを不正に使用して行われる犯罪というのは、基本的にクレジットカードを不正につくられる、とか、ローンを不正に借りられてしまう、といったお金に関する話がほとんどです。

したがって、米国でいうクレジットレポートを定期的にモニターしていくのが、不正を発見するための効果的な方法です。

それでは、どのように不正や不正に関することをモニターしていくのかというと、クレジットレポートを発行する会社が大きなところで4社ほどあるのですが、そこのレポートを監視していくということになります。有料で、このようなクレジットモニタリングを提供する会社もあります。

身近な金融機関や保険会社も活用

一方で、金融機関や保険会社などでは無料でクレジットモニタリングのサービスを付帯サービスとして提供しているところもあります。結局、クレジットの情報を最終的に使用するのは、金融機関や保険会社ですので、これらの会社は情報収集を常時しているわけですし、顧客のクレジットを守ることもひいては自己防衛になります。

なので、取引のある金融機関や保険の代理店に、クレジットモニタリングをどこか無料で提供していないか、聞いてみると良いと思います。たとえ、一年間だけ無料だとしても、その一年間は情報をもらえるのですから、注意を払えるとは思います。私も利用していますが、週に一度、報告のメールをもらっています。

自分の情報には注意を払う

残念ながら、電話で知らない第三者に情報を渡してしまうと、その情報を手元に何もなかったように戻すということは難しいのが現状なので、悪用されないように気をつけていくということが現状では最善なのかもしれません。とにかく、自己の情報を第三者に渡すのは最小限度にしていきたいですね。

次回からまた新しい質問を考えていきたいと思います。ベイエリアでは、ハロウィンの飾りが増えてきました。もう10月も終わりですね。風が強い日もあるので、体調に気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。




米政府機関から電話?!実は巧妙な詐欺[1]





法律ノート 第1029回 弁護士 鈴木淳司
October 17, 2016

週末は金曜日から続く久しぶりの雨でした。ベイエリアにとっては恵みの雨でしたが、飛行機を使ってわざわざ私に会いに来てくださる予定だった方は、ベイエリアの濃霧が発生し、かなり大変だったようです。日本も随分涼しくなったようで、知り合いの弁護士は最高のゴルフ日和で忙しいと時機に後れたメールが届いていました。皆さんは秋を楽しまれていますか。

「米政府機関から電話?!実は巧妙な詐欺」[1]

さて、今回から皆さんからいただいている新しい質問を考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると、「北カリフォルニアに10年以上住む、永住権をもった家族です。
先日、IRS(いわゆる米国国税法)から電話が入り、妻が税務申告について質問をされました。かなり相手方も情報を持っていることなどから、再度自宅に電話があったときに私(夫)が電話に出て、ソーシャルセキュリティーや、勤務先の情報を確認しました。そのときに、お金が還付されるということを言われたのですが、一向に還付されません。このようなケースは、詐欺のようなものなのでしょうか。それであれば、自己の情報に関して保護の心配があるのですが、大丈夫でしょうか。」というものです。

「政府機関からの要請」、心理状態は?

日本人にかぎらず多くの人は政府=お上、という考えがある程度あって、政府からの要請には応えてしまう、という傾向にあると思います。
私でも、もちろん政府から何か言われたら身構えてしまうかもしれませんが、一般的に生活をしている皆さんにとってみたら、連邦政府から連絡あったら、かなり不安になるでしょうし、対応しなければならないという義務感にも駆られてしまうかもしれません。

連邦政府が電話をかけてくるかどうか

まず、今回のような電話は、連邦政府から行われるということはありません。
連邦政府でも各省庁で電話による個人情報のやりとりは通達などで制限されているのが一般的ですし、基本的に書面主義を採っていますので、何か連絡や要請があれば、書面で行うということになります。

よく考えてみてください。
電話でのやり取りがたとえ録音されていたとしても、数年経ってから、どのようなやり取りがなされたのか、担当者が変わってしまってはなかなか正確に把握できませんね。電話でやり取りをしても、その内容をそもそも正確に残すということは難しいということもあると思います。やはり、書面でやり取りをすることで、後日内容に齟齬がないようにするというのが、基本です。弁護士も同様です。やはり、行政機関、司法とのやり取りについては、書類で残すというのが基本です。このことは、かなり重要なので、頭に入れておいてください。

代理書面は文書で提示

たとえば、私が弁護士として、会社や個人を代理するわけですが、司法関係や行政関係の団体に対して電話をかけて、「私は◯◯さん、◯◯株式会社を代理する弁護士です。」と言っても、ほぼ100%取り合ってもらえません。必ずといってよいほど、「あなたが、◯◯さん、◯◯株式会社を代理しているのかどうかを確認するために、代理書面を見せてください。」と言われます。それは、そうでしょうね。本当に弁護士だとしても、代理をしている事実があるのかどうかがわからないわけですから。

同じように、国税などの行政機関にしても、いきなり、電話をしてきて、「私が担当です、情報を共有してください。」と言ってきても、
(1)本当に国税なのか、そして国税だとしても
(2)本当に権限に基いて連絡してきているのか、
わからないわけです。

まず確認すべきこと

そうすると、皆さんが、いきなり行政機関から電話で情報をよこせ、と言われた場合には、必ず(1)本当に国税なのか、そして国税だとしても(2)本当に権限に基いて連絡してきているのか、を確認したうえでないと、情報は共有できないという態度をはっきりさせなければなりません。そのためには、やはり書類で、通知をもらってから応えます、という形にする必要がありますし、その通知を受け取って内容を確認しなければならないと思います。

 

次回、詳細に考えますが、アメリカ連邦政府が、細かい個人情報を電話で求めるということは、まずありません。今回質問されている方の例を挙げても、ほぼ間違いなく、質問者の個人情報を不法に取得しようとしていると思われます。日本でも、振り込め詐欺といった犯罪が横行していますが、類似している犯罪だと思います。

秋の雨で、ベイエリアも季節が変わっていくようです。皆さんのお住いの地域
はいかがでしょうか。夜お腹を出して寝ていると風邪をひく季節になりました。
服装にも注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。