月別アーカイブ: 2018年6月

学生ビザ、いつから不法滞在になるか




June 15, 2018

学生ビザ、いつから不法滞在になるか

 

今回は、あまり法律事務所では扱うところが少ない学生ビザについて考えてみたいと思います。

先月(2018年5月10日)、移民局内で内部通達という形ですが、学生ビザで入国している外国人が「いつ不法滞在とみなされるのか」という点について移民局内で統一的な扱いをするよう明確化がなされました。
もちろん、最近の動向をみていると、外国人に対しての締め付けを厳しくしようという方向です。以下、新たに明確化されたルールを考えてみたいと思います。

 

学生ビザの滞在期間

さて、学生ビザというのはF,J,Mという3つのカテゴリーが移民法上定められていますが、他のビザと違って、滞在期間が明確に決められていない場合も多く存在します。
すなわち、継続的に勉強をするわけですから、「学業が終わるまで」という滞在期間の定めかたがされます。

この学業成就まで、という期間の定め方をDuration of Statusといいます。移民法関連ではD/Sと呼ばれることが一般的です。

Duration of Statusー学業が終わるまで

このD/Sというのは、特定の期間が決まっているわけではないですから、なにか違法なこと(不法滞在と不法就労が主な移民法でいう「違法」です)が発生した場合、「いつから」不法滞在になるという問題がわかりにくいのです。

たとえば、就労ビザについては、いつからいつまで滞在できるということがはっきり決まっています。したがって、期限を超えてアメリカに滞在していれば、「不法滞在」ということになるのは明白なわけです。

Duration of Statusの統一解釈を明確化

D/Sに関しては、いろいろな不法滞在開始時の解釈も存在していましたが、今回移民局ははっきりと、「いつ」不法滞在になるのか、という解釈を統一し、明確化しました。
明確化したのは良いのですが、今までより学生にとってより厳しい解釈となりました。

不法滞在者を減らす目的

まず、今回の不法滞在に関する移民行政の明確化については不法滞在者の数を減らすという趣旨があります。
学生ビザ保持外国人の不法滞在の率はFビザで6%、Mビザでは11%強という統計があります。100人いると、6〜11人が不法滞在をしている計算になります。この数字を減らすことが一応の目的とされています。

 

具体的な運用は?

さて、今回の通達は2018年8月9日(以下「発効日」といいます。)に発効するということが決まりました。

まず、発効日において、学生ビザの資格を保持していないと、発効日から、「不法滞在」ということになります。
もちろん、すでに発効日前から不法滞在といなっている場合には、その不法滞在がはじまった日から起算されるのですが、グレーな場合でも、発効日に学生ビザの資格を保持していない場合には、発効日をもって不法滞在が起算されます。

発効日以降については、以下の基準を持って「不法滞在」が開始すると解釈されるようになります。箇条書きにしておきます。

1 学生ビザの資格に違反する行為があったとき(不法就労等でしょうか)。
2 学生ビザに明示されている就学が終了したとき(もちろん、プラクティカルトレーニング、猶予期間も就学中と判断されます)。
3 期間が定められた学生ビザの場合、その期間が終了したとき。
4 移民裁判所において、強制送還等の決定がされたとき。

この4つの基準で「不法滞在」かどうか判断されます。

以前のルールとの変更点ー移民局の判断に

以前からのルールとなにが違うかというと、上記の1です。
以前は、上記4のように移民裁判所で判断されるまでは、「不法滞在」になるかどうか曖昧な部分があったのですが、今回の行政通達ではっきりと、学生側の違反行為があったら、その時点から不法滞在とすることができることになりました。

つまり、裁判所のような公的機関での判断を待たず、移民局がなんからの捜査で、学生ビザに「違反している」行為があると判断すると、不法滞在という効果が発生することが明確になったのです。
ですので、結論的には移民局が外国人学生に対して「君は不法滞在です」と言える幅が増えたと考えてください。

まずはStudent Advisorに相談を

学生ビザは、I-20という書類を発行できる教育機関で、国土保安省の管轄下にある学校がスポンサーできます

各教育機関は外国人学生のアドバイザーを備えているはずのです。
できれば、今回の改正を受けて、学校のポリシーとして、在学中に何をして良いのか、何をしてはいけないのかなどの取り決めを、必ず学生の方は注意して確認してください。

次回また新しいトピックを考えていきたいと思います。


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DV2018【2018年8月の面接予定】グリーンカード抽選




【 DV-2018面接の状況 】

DV2018 interview AS

*このケースナンバーは、2017年5月に当選発表があったDV2018に関するものです。
DV2019(先日2018年5月15日に当選発表)の面接開始は、2018年10月以降となります。

DV2018アメリカ抽選永住権(グリーンカード抽選) の面接は、上の表のように、米国務省から毎月発表されるケースナンバーにもとづいて進められていきます。
( Visa Bulletin で検索してください。URLは変更になることがありますが、US Department of Stateから毎月発表になりますので、かならず公式サイトからもご確認ください。)

 

とうとうCURRENTとなりました!
2017年10月から面接が開始されたDV2018のケースナンバーの11回目の発表になります。
DV2018当選にもとづく面接も残すところ、あと1回。Currentとなった後は、次回(最終回)もCurrentとなります。

ケースナンバーが大きいかな?と心配なさっていた方も少なくないと思いますが、Currentが出たことで、面接日時が設定されることがほぼ確実となっています。DS260の提出時期にもよりますが、8月の面接を前提に、準備を進めることをお勧めいたします。

JINKEN.COMでは、DV2018においても、ご利用の皆様すべてに移民ビザ、グリーンカードを手にしていただけるように、事務局スタッフ一同細やかなサポートを心がけております。
ご当選者の皆様は立場が様々です。DV2017当選後サポートまでと同様、移民ビザおよびグリーンカード、そしてSSN取得率100%を目指して、気を引き締め、当選後サポートご利用の皆さまがグリーンカードを手にすることができるように努めて参ります。

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DV-2018当選にもとづくDV移民ビザ取得は、2018年9月30日まで。
期限は絶対的なルールであり、例外は認められません。政権の移民政策による影響も考えられますので、DV-2018ご当選者の皆様もスケジュールを入念に立てた上で行うことをおすすめいたします。


さて、DV-2018の2018年8月面接予定が発表になりました。
日本を含むアジア地域は、以下の通りのケースナンバーまでが面接となります。

2018年 7月: 10,500番まで(ネパール6,325番)
2018年 8月: CURRENT(ネパール 6,950番)

 *ネパールは、当選者数が多いことから、独自にCut-offナンバーが設定されています。2月面接まではイランも独自のCut-offナンバーが設定されていましたが、アジア全体の数字に解消されています。
*次回ケースナンバーは、2018年7月10日前後に発表になります。

 


 

ケースナンバーが該当しても、面接通知がアップデートされるかは、個々の事情により異なります。
ケースナンバーの見方や「Current」の意味合いの解説はこちらから

特に、DS260の提出時期が遅かった場合には、翌月以降に面接日時が割り当てられます。
面接通知が実際に届くまでには、1~3週間程度、根気よくお待ちください!

また、この時点で金銭が要求されることはありません。詐欺メールには、十分にご注意ください。
詳細は事務局までお尋ねください。< i@jinken.com > まで。

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国土安全捜査局によるI-9立入検査対策




May 15, 2018

国土安全捜査局による立入検査対策

入国管理・税関局(U.S. Immigration and Customs Enforcement、略称ICE)の下部機関である、国土安全捜査局(Homeland Security Investigations 、略称HSI)による民間への立ち入り調査が激増しています。
2017年度(2016年10月から2017年9月まで)に比べ、今年度は、すでに2倍程度、3500件以上の立ち入り調査が行われています。

I-9登録が備えてあるか否か

立ち入り調査の理由は、就業場所におけるI-9登録が問題ないかの調査です。
I-9登録というのは、ICEが各就業場所において、外国人が就労する場合に、身分証明証を確認したうえで、就業場所に登録内容を備え置くことを言います。

 

I-9登録の意味合いと行政処分

このI-9登録というのは、両刃の剣であります。
一方では不法な就労を許している事業主に対して罰を課すことで不法就労を牽制する面があります。他方では、外国人が不当な賃金で雇われている場合など、外国人を保護する面があります。

I-9登録に反する雇用が行われている場合には、HSIは行政処分を行うことができます。
行政処分には、様々な種類があります。一つは、違法就労をしている者を拘束し、強制送還の手続に乗せることです。強制送還事例は近年激増傾向にあります。

もう一つ代表的な処分として、刑事・行政の罰金・課徴金の処分です。2017年度には、総額100ミリオンドル程度の処分が行われています。

HSI(Homeland Security Investigations)の調査の流れ

現状では、HSIの行う検査は一般的に以下のような流れで行われます。

書類審査

まず、I-9の検査を行う旨の通知が就業場所に対して送られます。就業場所にあるI-9に照らして、移民法に違反がないかを検査するという趣旨です。その通知には、3日以内に、I-9を提出するように指示が書かれています。HSIは提出書類をまず確認して問題がなければ、この段階で検査は終わります。

立ち入り調査

次の段階は、提出されたI-9書類群に不備がある場合、不提出の場合などには、立ち入り調査を行います。
立ち入り調査の結果においては、まず行政処分として課徴金を徴収します。不法滞在者がいる場合には、身柄の拘束等の処分も行います。

刑事手続と移民法の手続き

第三段階として、I-9違反について、雇用主が故意に違反をしている証拠があれば、刑事手続に乗せて罰金などの刑を科していくこととなります。刑事罰が科されるケースには、ビザに関する詐害行為がある場合など、移民法違反を知っているような事例が含まれます。
さらに、雇用主に対して教育プログラムに参加するように義務付ける場合もあります。

 

常時i-9を備えておくこと

以上のような検査が行われます。I-9の内容検査は、対応が3日間以内ということになっていますので、常時I-9が提出可能な状態にしなければなりません。

従業員の出入りが激しい就業場所は、従業員がすくなくとも、入ったときには、対応を注意して行わなければなりません。3日間以内に書類を整えるには、従業員の協力も必要になりますので、ある程度給与支払いと連動させて、書類を整えておかなければなりません。

 

立ち入り調査の対象は広がっている

以前は、宗教ビザ関連に検査が集中していました。イスラム関連施設が狙い撃ちされていた感はあります。
その後、宗教ビザ関連の検査は、様々な宗教に波及していき、現在では仏教関連の施設にも立ち入り検査が行われています。さらに、現在、中国人留学生などもかなり増加しているので、飲食店への立入検査も増加しています。

I-9の立入検査の端緒は様々ありますが、通報が端緒になることが多いようです。
足の引っ張り合いの場合もあるようですし、怨恨などの情から惹起する場合もあるようです。

検査が長引いて、ビジネスがトラブルに巻き込まれることを避けるためには、やはり事前にI-9書類の整備は常時確認しておくことが重要だと思います。
初動の検査ですんなり終われば、それで問題はないのですから、ビジネスが忙しくても、I-9対策は怠らないことが重要ですね。

また、次回新しいトピックを考えていきましょう。

 


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アメリカで万引き、移民法上の影響は?[3]_1112





法律ノート 第1112回 弁護士 鈴木淳司
June 02, 2018

ラジオですでに今年最初の台風がアメリカ沿岸で発生したと報じていました。雨も少なくここ数年天候の異常による火事などの自然災害が続いていますが、今年はどうなることやら、です。
カリフォルニア州はかなり乾燥した夏になりそうで、もう少し雨が降ってくれると良いと思っているのですが。ベイエリアはプロバスケットボールの試合で盛り上がっていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

アメリカで万引き、移民法上の影響は?[3]_1112
さて、今回も前回に引き続き、次の質問を考えてみます。
「私の配偶者(妻)についての質問です。私(夫)は日本からアメリカに赴任しています。妻も私と一緒に一昨年から渡米してきました。子供はいません。私は忙しく家を空けることも多いことも影響していたのかもしれないので、反省していますが、妻が万引きで裁判になるようです。妻はストレスから商品をポケットに入れてしまったということです。商品は高額なものではありませんでした。このような事態になった場合、法律上どのように扱われるのでしょうか。また移民法の観点も心配しています」という質問です。

 

万引きを移民行政の視点で考える

前回までで、司法的な観点で考えましたが、今回は移民行政の観点から考えてみたいと思います。

まず、今回質問をされている方のように一時的にアメリカにお住まいの方は、ビザまたは永住権などをもってアメリカに滞在されていると思います。
すなわち、アメリカのパスポート(市民権)を持たない状況でアメリカに滞在されていることになります。
こういった方々はアメリカから見ると「外国籍」ということになり、市民権保持者とは別の移民法が適用されます。

 

市民権者か、ビザ・永住権滞在者か

米国籍の方であれば、前回まで考えた司法による判断を受ければその事件に関することは終了といっても良いのですが、外国籍の外国人であると、移民法の絡みも考えなくてはいけません

移民法はかなり入り組んだ規定がなされています。
毎年のように法律がかわり、基本的には移民行政を律する法律ですから、行政の通達や、大統領令によって運用が変わります。

 

移民法の運用は厳しさを増している

もちろんみなさんご存知でしょうが、現政権は移民行政に関し、今までにない厳しさで入国制限をしていますし、現に移民に関する大統領令もいくつか出されているので、移民法そのものが変わらなくても、移民行政の運用はかなりドラスティックに変わってきています。

 

強制送還事由に該当するか

外国籍の方々に移民法は適用されるのですが、その内容としてひとつ挙げられるのが強制送還事由に該当するかどうか、という論点です。

ここで注意が必要なのは、アメリカ国外にいる外国人にビザ・永住権が発給されるかどうかを判断する入国禁止(Inadmissibility)事由と、すでにアメリカ国内にいる外国人をアメリカから自国に強制送還(Deportation)する強制送還事由とは、2つ別のものであるということです。

今回は、すでにアメリカ国内にいる外国人が強制送還されるかどうか、という論点なので、強制送還事由に絞って考えたいと思います。また、皆さんから、移民法に関する質問を待って、入国禁止事由については考えたいと思います。

 

窃盗が原因で強制送還はあるのか

さて、今回のような窃盗事例、いわゆる万引き事例について強制送還があり得るのかどうか以下考えていきたいと思います。

まず、一般的に強制送還になりえる根拠はいくつかありますが、刑事事件で有罪になった場合に一定の要件を満たしてしまうと強制送還になることがあります。

はじめに、一般論を考えていきます。移民法上強制送還になる場合は主に以下の2つの場合があります(8 USC § 1227(a)(2)(A) 参照)。

まず、一つの罪で強制送還事由になる場合があります。

(1)有罪となり、
(2)道徳違背の罪に該当する場合、
(3)法定刑が1年以上の場合、
(4)アメリカ入国より5年以内に(1)となった場合
です。
この5つの要件を満たすと強制送還になる可能性があります。

もうひとつの場合は、
(1)2つ以上の有罪となることで、
(2)2つ以上の罪が包括的にひとつの行為ではなく、独立した2つの行為から有罪になっている、という場合に強制送還になる可能性があります。

この法律をみると、1つの罪で強制送還とするには、色々要件を揃えないといけないわけですから、逆の立場、すなわち弁護士から見ると色々防御をする方法も見えてきます。

次回、今回の事由を使って、この2つの罪の要件についてさらに考えていきましょう。

カリフォルニアは天気の良い週末になりそうです。太陽を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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アメリカで万引き、移民法上の影響は?[2]_1111




May 31, 2018

今週、アメリカの大ヒットドラマの主演女優が、ソーシャルメディアへの人種差別的な書き込みで大問題になっていますね。その女優は自己の行動を薬のせいにしていましたが、製薬会社も対抗して、「人種差別的な行動はその薬の副作用とするデータはない」と反論していて苦笑いしてしまいました。良い年をして、見苦しい言い訳をしたり、他人のせいにすることを平気だと思う人が理解できないのですが。口は災いの元といいますが、現代ではSNSは災の元でしょうか。

アメリカで万引き、移民法上の影響は?[2]_1111

さて、前回考え始めた質問です。
「私の配偶者(妻)についての質問です。私(夫)は日本からアメリカに赴任しています。妻も私と一緒に一昨年から渡米してきました。子供はいません。私は忙しく家を空けることも多いことも影響していたのかもしれないので、反省していますが、妻が万引きで裁判になるようです。妻はストレスから商品をポケットに入れてしまったということです。商品は高額なものではありませんでした。このような事態になった場合、法律上どのように扱われるのでしょうか。また移民法の観点も心配しています」という質問を続けて考えていきましょう。

実は今回の質問を見て、私の友人弁護士も現在同じような事件を扱っていると、教えてくれました。 このような冷静にみると他人に迷惑をかける窃盗事件ですが、周りが見えなくなってストレス発散のために万引きに走ってしまうような事例は実際多いのかもしれません。

 

法上の3類型ー重罪・軽罪・微罪ーカリフォルニア州の場合

さて、窃盗犯はアメリカの一般的な犯罪の分類に従って、重罪(Felony)、軽罪(Misdemeanor)、そして微罪(Infraction)と3つのカテゴリーにまたがって成立し得るというところまで前回考えました。

この分類についてカリフォルニア州の刑法を考えてみましょう。

まず、損害の総額が950ドル以上か以下かが分岐点になります。
950ドルを超えない窃盗は、軽微窃盗(Petty Theft)と呼ばれ、950ドルを超える窃盗は加重窃盗(Grand Theft)と呼ばれます。

軽微窃盗については、初犯であれば、微罪になる可能性はありますが、犯罪被害が少額な場合に限られます(カリフォルニア州刑法第491条参照)。軽微窃盗といっても、再犯(2度以上、窃盗で起訴されるようなケース)であったり、行為の重大さによっては、軽罪にもなり得ます(カリフォルニア州刑法第487,488条参照)。

犯罪被害額が950ドルを超えると加重窃盗という罪(同487条参照)で起訴される可能性があります。加重窃盗は、初犯の場合最高で3年の禁固刑となり、重罪または軽罪として処断されます。微罪はありません。

今回質問されているケースでは、たぶん軽微窃盗犯として処断され、再犯でなければ、罰金と場合によっては保護観察処分で終了するようにも思えます。
ただ、移民関係への影響は次回以降考えます。

 

微罪と軽罪の違い、そして移民法上の取り扱い

ここで、微罪と軽罪の違いを考えておきましょう。

微罪というのは、基本的に罰金のみで終了する罪をいいます。
保護観察処分が付される場合もありますが、罰金のみです。そして、決定的に軽罪や重罪と違うのは、微罪であれば犯罪記録として残らないということです。

ただ、気をつけておきたいのは、州の犯罪歴に残らないということと、移民法などの行政関係で報告義務があるかどうか、というのは別問題であって、この点は次回詳しく考えたいと思います。

どの罪で起訴するかは検察官の裁量

上記で、犯罪被害額によって起訴される罪が変わってくるということを考えましたが、どの罪で起訴をするかどうかを決める権限は、検察官が持っています。

したがって、事例によって加重窃盗に該当しても、検察官の裁量で軽微窃盗として起訴されたりもします。かなり軽微な事例や被害に関する対応によっては、起訴が猶予されることも考えられます。

ですので、逮捕されたときから、早めに行動のはやい弁護士に相談されたほうがベターかもしれませんね。

本ケースの場合

今回質問されている方(その奥様)は、たぶん微罪になるようなケースだと思います。
ですので、罰金だけ支払えば、州政府の記録として罪としては残りません。
ただ、再犯の場合には、「前科」として考慮されることになります。

司法上と行政法上の取り扱いの違いにも注意

それから、行政の観点から見ると、たとえ、司法において微罪とされても、影響がでる場合があります。

典型的な例がスピード違反でしょうか。悪質なスピード違反でなければ、通常は微罪として処断され、罰金のみで事件は終了します。

一方で、行政の観点からは違っています。違反行為は記録としてしばらく残り、点数が増えると免許停止処分などが行われるので、行政の記録は残るのです。

移民法に関しても独自の考え方がありますので、次回考えていきましょう。

陽気が良くなってきましたが、まだ朝晩は冷え込みます。風邪に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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アメリカで万引き、移民法上の影響は?[1]_1110




May 20, 2018

私も数ヶ月なぜだか咳が止まらない状況が続き、医師と相談しながらやっと回復しましたが、日本でもアメリカでも、なんだかわからないけど、「咳が止まらない」という話を良く聞きます。陽気がよくなってきましたが、まだ、身体の不調の話は色々聞きます。世の中に住んでいる菌やウイルスがどんどん強くなっているようにも思います。読者の皆さんも気をつけてくださいね。

アメリカで万引き、移民法上の影響は?[1]_1110

さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
いただいた質問をまとめると次のような内容になります。

「私の配偶者(妻)についての質問です。私(夫)は日本からアメリカに赴任しています。妻も私と一緒に一昨年から渡米してきました。子供はいません。私は忙しく家を空けることも多いことも影響していたのかもしれないので、反省していますが、妻が万引きで裁判になるようです。妻はストレスから商品をポケットに入れてしまったということです。商品は高額なものではありませんでした。このような事態になった場合、法律上どのように扱われるのでしょうか。また移民法の観点も心配しています」というものです。

 

アメリカで万引き、移民法の影響も考える必要

万引き、いわゆる窃盗については以前も法律ノートで考えました。1000回以上皆さんからいただいている質問について考えていれば、いわば身近な犯罪についてはかなり考えてきていると思います。
ただ、現在は、移民法の影響も考えなければいけない状況にありますので、今一度考えても良い質問だと思っています。

 

万引き〜薬物使用と並んで多い犯罪の一つ

最近では、物品購入に関しても、インターネットによって行われることが多くなってきましたが、まだまだ量販店でのショッピングは根強いですね。特に日々使う食料や高価な物については、手にとって見なくては人間の心理として不安なこともあると思います。この心理についても、これからどんどん変わっていくのでしょうが。

よく、薬物はかなり一般の人たちも手を出しやすい犯罪であると言われています。
たしかに、薬物使用は自己に損害を与えるだけ、といった考えがあり、手軽に手を出してしまう人も多いと考えられています。

しかし、今回質問があるような万引きもかなり多い犯罪類型であることは間違いありません。

 

移民法上も深刻な影響がありうる

どのような小さな物でも、窃盗することは可能ですし、子どもから老人まで犯罪加害者になり得ます。
かなり身近といえば身近な万引き事例ですが、以下考えるように、ちょっとした犯罪だと思われがちである割に、移民法上の影響も含めて、深刻な結果を惹起する可能性があります

 

万引きの刑事法上の位置付け

まず、万引きについて刑事的な観点から考えていきたいと思います。

万引きというのは、一般的な言い方であって、窃盗(Theft)というのが法律的な言い方であります。日本では窃盗というのは包括的に刑法235条で規定されています。懲役から罰金まで量刑は用意されています。幅があるのです。

アメリカでは、各州によって窃盗が定められています
色々な定められ方があるのですが、被害の額、行為の方法(住居侵入かどうかなど)、など色々な要素を元に類型化されています。
実は日本でも、古い刑法では色々な窃盗の類型はあったのですが、現在は包括的な規定になっています。

 

刑法の3類型ー重罪・軽罪・微罪

さて、アメリカで類型化されているといいますが、まず、アメリカの刑法の基本である、重罪(Felony)、軽罪(Misdemeanor)および微罪(Infraction)という3類型に窃盗も分類されます。

重罪というのは、一般的に1年以上の禁錮が量刑で用意されている罪をいいます。
軽罪は1年以下の禁錮または罰金、微罪は罰金刑のみが用意されている罪をいいます。

一般的には、人の身体生命に関わるような罪については、重罪とされています。皆さんの身近にある軽罪としては、飲酒運転や薬物使用などがあります。

微罪の典型例はスピード違反などが考えられるでしょうか。この3段階の罪の設定が窃盗罪にも当てはまります。

 

次回続けて考えていきたいと思います。
夏に向かってスポーツも本格的に盛り上がってきましたね。身体を動かしながらまた一週間がんばっていきましょうね。

 


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