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アメリカで学生起業_1092[1]




 

法律ノート 第1092回 弁護士 鈴木淳司
Jan 17, 2018

アメリカで学生起業_1092[1]

連邦の祝日でもあるマーチン・ルーサー・キング・ジュニアデーで3連休でした。私の所属する事務所も裁判所とカレンダーをシンクロしているので休みでした。週末の天気は暖かく外にいても、寒いと感じませんでした。ただ、この西海岸の暖冬が、夏にどう影響するのか心配です。皆さんは2018年に慣れを感じはじめていらっしゃいますか。

さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。
まとめると「私は日本から(アメリカに)留学している大学院生です。エンジニアを専攻していて、現在自分のアイディアを基礎にして起業をしたいと思っています。できれば、将来はアメリカに留まり仕事ができれば良いな、と考えています。私の友人でも、アメリカ市民権を持っていたり、永住権を持っている人は簡単に起業をして、会社経営をはじめているのですが、私はF-1ビザ(学生ビザ)しかないため、普通の学生とは違った形で起業しなければならないのか、など考えています。ネットで色々質問をしても、答えがバラバラで、どのように考えたらよいのかわかりません。一般的な質問かもしれませんが、留学生の起業について、どうやったら良いのか法律的に教えてください。」というものです。

 

■揺れるアメリカ移民法

今、トランプ政権下の移民政策は色々な形で揺れています。

本気で、トランプ政権はメキシコ国境との壁をつくると息巻いていますし、DACA法(不法移民に連れて来られた子の保護を目的とした法)も巻き戻して無効にするとも言っています。民主党は応戦していますが、先週もトランプ大統領はアフリカの国々を卑下するような発言をした、しない、を発端に移民政策の対立を招いている状況です。

 

■留学生の職業訓練 OPTの制限

トランプ政権は制限的な移民政策の推進作の一つとして、留学生の職業訓練である、OPT(Optional Practical Training)というプログラムを制限しようとしています。

アメリカ人の雇用を優先するために、留学生の雇用を減らすべきだという単純な発想ですが、多くのアメリカにある私学大学は留学生の支払う学費などが貴重な財源になっているので、かりに留学生が減ってしまうと教育界全体に影響する可能性があります。

現在でも、若い人たちは、アメリカは学費が高く、留学後に働けるチャンスが少ないので、オーストラリアに行く、という考えを持っている場合が多くあります。
さらにトランプ政権の移民政策制限がきつくなってくると、さらに渡米しようとする留学生が減ってしまうことが危惧されますね。

 

■学生ビザは、学業目的

今回いただいている質問に関しても、今後回答を変更しなければならない可能性がでてきます。現状で、お答えできる範囲で考えていきたいと思います。

さて、留学生ということで、学生ビザを持ちながら大学院に通われているということが質問からわかります。学生ビザ(F-1ビザ)は勉学のための代表的なビザですが、他にもMビザやJビザなどで学校に籍を置く場合があります。

学生ビザの特徴としては、学習することを目的とする場合に発給されるビザですので、継続的に学校に通い、単位を取らなければなりません。

学生ビザで米国に滞在している間は、米国内で就労することは一部の例外を除き許されていません。この例外がプラクティカルトレーニングという実務経験のために許された方法です。
この学生ビザの要件から考えると、米国内で起業することも難しいと考えられます。
また、そのように考えている弁護士も少なくないかもしれません。

 

■勉強しながら起業するベンチャーも

しかし、一方で起業をしたいと考えている留学生もたくさんいるわけで、実際問題として現在では勉強をしながら起業をするということも驚くことではありません。

また、実際に成功しているベンチャーにしても、留学生がはじめたものが多くあります。

 

■会社法と移民法は別の世界

ここでまず皆さんに理解していただきたいのは、会社に関する法律と移民法に関する法律というのは、かなり性質が違う法律です。

そもそも、会社に関する法律はアメリカにある各州がそれぞれ決めているのですが、移民法というのは連邦の法律であり、アメリカ全土に対して均一に適用されます。
移民法というのは、外国人のアメリカとのかかわりを規定するものですが、会社法には、外国人うんぬんということは基本的にでてきません。

したがって、今回の質問に関しては、この会社法と移民法の考えてをわけて理解したうえで、両者の絡み合いを考えなければなりません。

次回具体的にここから考えていきましょう。

 

天気が悪いと気持ちもどんよりしますので、しっかり寒くても運動を怠らずまた一週間がんばっていきましょうね。