国際弁護士なブログ」カテゴリーアーカイブ

運営者で米国移民法のエキスパート鈴木淳司弁護士の書下ろしブログです。

永住許可申請プロセスの面接義務化




Sep-16-2017

永住許可申請プロセスの面接義務化

 

もう夏も終わり、という割にはまだまだ暑い日もありますね。一方で、ベイエリアでは雨も降り少々不安定な日が出てきているので、もうすぐ季節替わりの時期なのかもしれません。みなさんは体調に気をつけて生活されていらっしゃるでしょうか。秋になると、1年経つのは早いなぁ、という気分になってきますね。

 

さて、今回はトランプ政権になってから、永住許可申請についても、変化がでてきましたので、取り上げてみたいと思います。

 

移民「法」と行政命令

まず、今回の移民法ブログ(じんけんニュース)を理解するために、少々一般論を考えたいと思います。

まず、移民「法」というのは、法律であり、議会が立法するものです。したがって、大統領が一人で命令を出したものがそのまま法律になるわけではありません。議会を経なければ「法律」とはいえないからです。これは、アメリカでも日本でも同様で、三権分立の中核的な要素でもあります。

一方で、行政規則などと日本では呼ばれますが、議会ではなく、機動性を重視して、行政府がルールをつくることが広汎に行われています。

 

大統領が発する行政命令-Executive Order

このような活発な行政による規則づくりは、日本もアメリカも同様に行われているのですが、アメリカでは、直接選挙で選ばれる大統領の署名一つで、行政命令を出すことが許容されています。

メディアなどでは大統領令などと呼ばれていますが、これはたぶん、行政の組織(たとえば移民局など)がつくる行政規則と区別する趣旨なのだと思いますが、基本的に行政命令であるという点では一緒です。アメリカではExecutive Orderと言います。

悪名高いExecutive Orderといえば、第2次世界大戦のときに、日本人や日系人を強制収容したものが挙げられますが、これも大統領のサイン一つで発効したのです。

オバマ政権下でもかなりのExecutive Orderが出されましたが、現在トランプ政権によって、次々に覆されています。最近話題になっている、不法移民の子供を保護する行政命令がその一例です。

このように行政命令は、時々の大統領の意向でかなり方向性が変わってきます。不法移民やテロに厳しく対応すると明言しているトランプ大統領によって、永住許可申請にも今回影響がある行政命令が出されました。

 

永住権申請と面接の義務

従来、永住権申請の際、直接移民局の面接が義務付けられている申請は、婚姻に基づく申請と、難民申請の一部に限られていました。たとえば、外国人がアメリカ人と婚姻して、永住権を申請しようとする場合、必ず面接が義務付けられているということです。主に偽装結婚ではないことを確認するという意味合いがあるのです。

 

Executive Order 13780

 

今回、Executive Order 13780というトランプ大統領が署名した行政命令にしたがって、この面接義務の範囲が拡大することになりました。この行政命令は、テロリストから国土を保護する施策に関する命令です。来月1日から試験的に導入されることになり、移民局から発表もありました。

永住権申請には、I-485申請という外国人本人が自己の移民法上のステータスを永住権に変更するための申請が必要なのですが、このI-485申請について、今まで婚姻ベースの申請のみに面接が課されてきましたが、2017年10月以降は、雇用ベースの申請にも面接を課すことになりました。他にも、難民申請においても、面接要件が拡大されることになります。

 

雇用ベースの永住権申請も適用範囲に

雇用ベースの永住権申請の際に面接が課されるということは、直接申請している外国人が移民局に出向いて面接を受けることになるので、移民局がより正確に申請内容を吟味していくという趣旨が含まれます。わざわざ移民局が税金を使って直接面接をするということは、単なる顔合わせや挨拶ではないことは明らかです。

何か問題がないか、怪しいところはないかを確認するためのプロセスですから、今後、雇用ベースの永住権申請についても、面接によって不許可となる事例が増えると想像できます。

 

まだ、移民局も試運転をはじめようとしている段階なので、詳しくどのような書類を持参するべきか、などの指針はつかめていませんが、今後の雇用ベース永住権申請にとって、また一つハードルが追加されたということになります。

このご時世ですので、淡々と対応するしかないでしょうが、今後もこの手の行政命令が増えていきそうです。

 

それでは、また次回新しいトピックを考えていきましょう。





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前科あり。米国入国できる?

August 08, 2017




 

前科がある場合の米国入国

 

トランプ政権となって、外国人の犯罪がフォーカスされることが多くなりました。かなり、多くの方々が心配されている分野でもあります。ベクトルは違いますが、移民に対する締め付けは、先週トランプ政権がサポートする移民法の大改正案(議会を通過するのは現実的ではないと言われている)を見ても明らかです。

今回は、外国人の犯罪と、米国入国について整理して考えてみたいとおもいます。

 

犯罪歴は事前申告が原則

まず、犯罪歴がある場合、米国入国に先立って、申告をすることが前置となっています。
ビザなしの渡航(ESTA)においても、ビザを申請する場合にも、そして永住権を申請する場合には、まず犯罪歴を明らかにしなければなりません。この犯罪歴は米国における犯罪に限られず、申請者の犯罪歴をすべて指します。

そして、犯罪歴を申告することを怠った場合、入国に際して、「詐害行為」とみなされて、入国禁止になってしまう可能性があります。ですので、まずは隠さず申告をするということが重要です。

米国の同時多発テロ事件以降、前科についての情報は米国内の行政機関においてかなり広範囲に共有されています。したがって、「申告しなくてもわからないだろう」という考えはやめたほうが良いと思います。

 

 

一律入国禁止か裁量によるビザ発給か

犯罪歴がある場合、米国入国で2つのパターンがあります。

一つは、犯罪歴があることで一律入国禁止となる場合、もう一つは、裁量によってビザがでる場合です。

まず一律入国禁止となる場合について簡単にまとめておきましょう。

注意していただきたいのは、入国禁止に関する法律はかなり多岐に渡り複雑ですので、ここでは代表的なものだけを取り上げておきます。

 

まず、麻薬および売春関連の罪については一律禁止とされています。

次に、道徳違背(Crime of Moral Turpitude)の前科がある場合には、入国禁止になります。

道徳違背の罪というのは、移民法独特の定義で言い回しです。
道徳違背というのは、一般的に「社会に根づいた道徳観を揺るがすような罪」と言われていますが、移民法上、一体どのような罪が道徳違背なのか明文で定められているわけではありません。審判例の積み重ねによって、どの罪が道徳違背となるか先例があるだけです。ですので、判断の指針はあっても、確固とした罪の列挙はありません。

今までの、先例を見ると、殺人、性的暴行、ドメスティック・バイオレンス、幼児・児童虐待、強盗、詐欺などの重大犯罪が道徳違背とされています。

その他にもかなり広範囲の罪が道徳違背とされていますので、疑義があれば専門家に、先例と照らし合わせてもらってください。

 

道徳違背の前科の例外

道徳違背の前科があれば、原則入国禁止となりますが、例外があります。

一つの例外は、前科が18歳未満のときに行われた犯罪の実行行為に基づく場合で、ビザ申請時から遡って5年以上経過している場合です。

もうひとつの例外は、法定刑が一年以下の罪(軽罪)の罪に問われ、実刑で6月を上回って服役していない場合です。

たとえば、窃盗は場合によっては、移民法上道徳違背とされる場合がありますが、カリフォルニア州の罪によっては、法定刑は最長で一年以下の禁錮となっていて、初犯では罰金のみで済む場合もあります。このような罪では形式上、移民法に照らすと道徳違背となってしまうかもしれませんが、例外的に入国禁止とはされていません。

 

この道徳違背に該当するかどうかの判断、例外規定が適用されるかどうかの判断は、かなり複雑なので、具体的な事例に関しては専門家に相談されることをお勧めします。

この他にも、道徳違背でなくても、2つ以上の有罪歴があり、合計で5年以上服役している場合(禁錮および懲役を含む)には原則入国禁止とされています。

 

 

免除申請とビザ取得

上記のように、移民法上明文で定められている入国禁止事由に該当する場合には、例外的な免除申請を別途行って認められなければ、米国に入国するのはかなり難しいということになります。

これらの一律入国禁止事由に該当しない犯罪歴であれば、米国政府の裁量により、ビザが発給されます。犯罪歴がある場合には、ESTAを利用して、ビザなしの渡航はできませんので、必ずビザの申請をして、許可を得なくてはなりません。

一般的な短期の渡航であれば、Bビザを取ることになろうと思います。
裁量による発給ですので、必ず許可を得ることができるとは限りませんが、軽微な罪である限り、ビザが自動的に拒否されるということはありません。

重要なのは、ビザを申請するときに、前科を申告するわけですが、前科に関する書類一式を申請書類に添付しなければならないことです。

したがって、米国内で以前有罪の判決を受けている場合には、有罪の言渡しを受けた裁判所に直接連絡をして、該当する書類をすべて揃えてから、ビザの申請をすることになります。手間がかかるのです。

 

今回は、一般的に犯罪歴がある場合の、米国への入国についてざっとまとめました。

犯罪歴があれば即入国禁止ということではなく、上記のような様々な要素を検討しなければなりません。
ですので、単純に米国入国を諦めるのではなく、専門家に相談をして、入国の方法がないか考えてみてください。

 

次回、また新しいトピックを取り上げたいと思います。




 

天国と地獄-強制送還と「入国の撤回」




 

June 15, 2017

 

天国と地獄-強制送還と「入国の撤回」

今回は、外国人が米国入国審査の際に気をつけておきたい法律のポイントを抑えておきましょう。ちょっとした違いですが、天国と地獄の差を生み出します。
このポイントを覚えていて機敏に対応することで、将来のアメリカ入国を有利にできる可能性があります。

 

外国人が他国に入るのは「お願いベース」

 

まず、難しい法律を理解していただかなくてはいけないのですが、シンプルに考えますので、おつきあいください。

まず、何度も弁護士ブログ(じんけんニュース)で考えていますが、外国人はアメリカに入国する「権利」というのは持ち合わせていません。もちろん、外国人が日本に入国する「権利」というのも持っていません。平たく言うと「お願いベース」で入国「させてもらう」ということになります。

そして、外国人がアメリカに入国するときは、入国審査官の広汎な裁量によって、入国の可否が決められるというのが前提です。
広汎な裁量といっても、入国審査に関するマニュアルは存在していて、そのマニュアルに沿って入国の可否が決められています。Field Manualと呼ばれる指針が存在します。日本でいうと実務マニュアルといったところでしょうか。

 

アメリカの入国禁止事項

さて、まずアメリカでは法律で、入国禁止事項が決められています。
たとえば、一定の犯罪歴、麻薬、売春関係などが既存の記録にある場合には、例外的な承認を米国政府から得られないと入国禁止となっています。この入国禁止事項については、また機会をみつけて考えたいと思います。

この法律で決まっている入国禁止事項が入国時の審査で明らかになった場合には、たとえ有効なESTAやビザがあったとしても、入国は「アウト」となります。

このような明らかに法律に反する事情がある場合には、すぐに「強制送還」の手続きを移民局は開始します。

Removal Proceedingと言いますが、これは、手続きが法律で決められていて、一応事実関係を明らかにしたうえで、自国(アメリカ入国前に搭乗した出発地)に送り返されることになります。

 

趣旨違い?の入国

 

入国禁止事項が明らかな場合には、上記のようにすぐに「アウト」と判断し易いのですが、入国が認められるかどうか、微妙な例もたくさん存在します。
このような場合の処理は、もちろん実務マニュアルに記載されているのですが、審査官の裁量で質問を聞いたり、書類の提出を求めることができます。

入国させるべきか微妙な例の典型例は、「趣旨違い入国」と比喩できるパターンです。私の造語ですので、法律用語ではありません。

すなわち、学生ビザを持ちながら就労する意思が認められる場合、ESTAで入国しようとしているのに、就労しようとしている場合、観光で来ていると申告しているのに実は結婚目的の場合などが考えられます。

このようにビザなど持っている書類と実際の意思が乖離している入国に関して、入国を裁量で拒否することができます。

 

 

「入国の撤回」の機会

 

ただ、このような事例の場合、明らかに犯罪歴があったというわけではないので、判断もかなり大変なわけです。いわゆる「灰色」という状況ですね。

このような場合には、いきなり強制送還手続に乗せることをしないで、入国の撤回(Withdrawal of Admission Application)の機会を設けることも少なくありません。

この入国の撤回を許すかどうかも、もちろん入国審査官の裁量ですが、外国人側から、撤回を自発的に申し出ることは可能です。「灰色と疑われているなら出直してきます」的な申し出です。

この申し出をして、移民局側に異論がなければ、すぐに「アメリカに入国しなかった」ということで、自国に戻れます。

 

入国の撤回と強制送還、大きな違い

なんだ、入国の撤回と強制送還と結局、自国(日本人であればにほん)に送り返されるから、効果に違いがないじゃないか、とここまで読まれて思われる方もいると思いますが、実はかなりの違いが将来でてきます。
実は、「強制送還」となった場合には、アメリカの連邦の法律で、入国禁止期間が設けられています。ここでは深く立ち入らないですが、強制送還となった場合には、少なくとも5年間、事例によっては10年間、アメリカに入国することを原則禁止されてしまいます。

一方で、入国を撤回した場合には、アメリカ政府がなんら判断をしていないこともあり、強制送還のように、入国禁止期間などは定められていません。ESTAで再度入国にチャレンジするのは難しいかもしれませんが、ちゃんとビザをとれば、すぐにでも再入国は可能になります。

 

 

「入国の撤回」を選択肢の一つに

 

このように、入国時にかなり揉めて、第二次審査に連れて行かれ、「趣旨違い入国」と疑われている場合には、入国の撤回を申し出てみるのが良いかもしれません。

入国の撤回の手続きは、実務マニュアルに詳細に手続きが記載されているので、入国審査官はその方法論などは熟知しているはず(そう願いたい)です。

面倒ですが、疑いが晴れずに強制送還になるよりは、自発的に入国を撤回し、もう一度入国を試みる方が長期的に見て効率的だと思います。

「入国の撤回」ということが、できる可能性があれば、「仕切り直し」ができるので、そのチョイスを必ず入国の際には考えられておくのが良いと思います。

 

 

また、次回新たなトピックを考えていきます。今回の入国の撤回などは法律的なコンセプトでわかりにくいところもありますので、質問があれば、いつでも質問していただければと思います。




 

H-1Bビザ抽選終了-別プランを考える




 

May 9, 2017

H-1B抽選漏れ、そして次の一手

先日、H-1Bビザの申請数が年間許可可能件数をはるかに超えて、過半数以上の申請書類が抽選に漏れました。企業としては、外国人を雇い入れるためのH-1Bを有効に使えないために、代替え案を考えなければならない問題に直面している時期です。

トランプ大統領が「アメリカ・ファースト」を弛みなく主張している現在、H-1Bビザの枠がこれ以上大きくなることはないですし、大卒、院卒の外国人を雇うため、ある程度H-1Bビザ以外のビザも視野にいれなければならない現状です。

H-1Bビザの取得に関しては、前回も弁護士ブログで考えましたので、ここであえて反芻しません。
H-1Bビザ申請(2018年度分申請)参照

 

米国外での雇用にシフト

先日飛行機に乗っていて、横に乗っていたSNS関係のイギリス人が言っていましたが、現在H-1B発給がアメリカで事実上難しくなってきているので、雇用をアメリカ外にシフトしているということでした。その大手SNS会社では、ロンドンで2000人以上雇い入れているという話でした。
「アメリカ・ファースト」をアメリカ政府が実行していくと、地場に縛られない企業であれば、それなら、アメリカ外で外国人を雇い易い地を求めようということになり、どんどんアメリカ以外の国に進出していくということになっていくのではないかと思います。

 

これまでのH-1B取得のパターン

H-1Bビザというのは、発給の主たるパターンとしては、アメリカに留学している外国人学生が、いわゆるオプショナルプラクティカルトレーニングといい、学位を取得したことを条件に一年間は雇用が許されるという制度を利用して、米国内で働くことができるのですが、その延長としてH-1Bビザを申請するという筋が考えられます。
そうすると、外国人学生としては、米国企業で働くチャンスが限られてくるため、そもそもアメリカに留学することを見合わせるという傾向もあるようです。

ただ、日本人留学生であれば、H-1Bビザ以外にも、考えられるビザがあります。企業としても、H-1Bビザの抽選に漏れて、外国人の雇用ができずに困っているのですが、以下のビザを考えてみてください。

 

日本人の場合に考えられるビザーEビザ

まず、日本は、Eビザ発給の条約締結国なので、企業のコントロールの過半数が日本企業または日本人であれば、Eビザのサポートが可能になります。もちろん、発給要件はありますが、外国人申請者にある程度業務に関連する実務経験があれば、考えられるビザではあります。

多くの人はなぜか、Eビザは日本からの転勤用のビザだと思っているようですが、それは違います。
実務経験が、業務にマッチするものであれば、スポンサー企業以外の経験も利用することができます。

Eビザにも細かくわけて二種類あって、日米間の貿易量が多い企業に発給されるE-1ビザと、日本からの投資額に応じて発給されるE-2ビザがあります。最近のH-1Bビザ取得の困難さから、かなりEビザに頼る日系企業が増えています。日本企業であれば使えるビザなので、大いに活用を考えて、まずEビザの可能性を探ってください。

 

日本人の場合に考えられるビザーLビザ

Eビザよりは、新卒者採用のフレキシブルさには劣るかもしれませんが、Lビザというのもあります。Lビザこそ、転勤用のビザで、日本企業から、アメリカの子会社、関連会社に転勤や出向などをする場合に用いられます。

親会社等での最低限の経験を要求されますので、まったく採用企業に働いたことのない新卒者を雇う場合に、いきなりLビザの発給を求めることは難しいわけです。少なくとも、親会社に一年間は働いて、そのうえで、Lビザの申請をするということになります。そういう採用でも良いというのであれば、Lビザの発給も射程内になりますね。

 

諦めずに方法を探る

現状、H-1Bビザの抽選が終了し、採用する側もされる側も困っている例をよく耳にしますが、簡単に諦めずに、EビザまたはLビザの可能性についても探ってから判断をするのが良かろうと思います。

まだ、日本人には、条約のおかげでEビザの可能性が残されているのですから、他の条約非締結国のパスポートを持っている外国人よりも、就労ビザ取得の可能性は大きいわけですね。H-1Bビザがとれなくても、アメリカで活躍する日本人が就労ビザを取って活躍できることを心から願っています。
次回また新しいトピックを考えていきましょう。




 

H-1Bビザ申請(2018年度申請分)




 

2018年度の申請状況

また、今年も、H-1Bビザ申請が話題になる時期になりました。

2018年10月から、就労許可となる、H-1Bビザの申請が、2017年4月3日から始まります。この原稿を書いている日から、申請がはじまるので、まだ、どの程度の申請書が集まるのかわかりませんが、合計8万5千件の新規申請(2万件は、米国で修士以上を持つ外国人に発給)分を超えた場合には、4月7日で受付が終了し、抽選により、申請が進むかどうかが決められます。

毎年この時期のブログはH-1Bビザの話題を考えますが、今年も例年と同じように、ビザの抽選が行われていくことになりそうです。H-1Bビザとは、大学卒業程度の能力・経験を備えた外国人が専門職に就くためのビザで、近年ではIT関係者が多くを占め、約70%のビザ許可を受けた外国人はインド国籍です。日本人でも許可を受けることができます。

 

新政権発足と変更点

H-1Bビザの申請骨子については、例年と変わらないのですが、新政権になって、いくつか変化が見られていますので、この点を今回のブログでは確認していきたいと思います。

 

プレミアムプロセッシングの適用停止

まず、今年度の申請から、プレミアムプロセッシングがH-1Bビザ申請と同時に行うことができなくなりました。

プレミアムプロセッシングというのは、審査の期間的な優遇措置を受けるかわりに、料金を支払うという制度です。下品な言い方をすれば、金を払って、審査期間の短縮を買うという制度です。全体的に審査期間の短縮を図るのが常識だと思いますので、ある意味歪んだ制度ではあります。

このプレミアムプロセッシングの適用がH-1Bビザでは停止されました。プレミアムプロセッシングを併せて申請すると、元のH-1Bビザの申請も不受理となるので、申請をする方は注意が必要です。

このプレミアムプロセッシングの適用を停止するという行政の方針は、H-1Bビザの申請内容を、一部優先するのではなく、一つひとつ、厳しく吟味していこうという新政権の方針を表しているように感じます。

昨年は、50%以上の申請がプレミアムプロセッシングでした。金銭的な米国の歳入は減ることになります。

 

「アメリカ・ファースト」とビザ審査の厳格化

H-1Bビザは専門職の外国人に与えられます。現政権は、「アメリカ・ファースト」を政策に掲げていますので、H-1Bビザの審査を厳格にしていくことは間違いありません

私がこの原稿を書いている今日、2017年4月3日に移民局は、新たなH-1Bビザ審査に関する指針について、発表しています。その記事のタイトルも「Putting American Workers First」としていて、現政権の考えを明らかにしています。そして、H-1Bビザの濫用について、厳しく取り締まるということを明らかにしています。

 

H-1Bビザの濫用の現実ー不当労働ー

前提として、H-1Bビザが濫用されていると言われる事例がいくつか、今までにもニュースになっています。

たとえば、賃金の安い地域にある会社を利用して、安い賃金でH-1Bビザを申請し、外国人を雇い入れる。そして、その外国人を主に、シリコンバレーなどのIT関係の会社で働かせ、賃金の操作をしているという事例がありました。

要は、不当に安い賃金で外国人を働かせて、米国人の仕事を奪うことにH-1Bビザが利用されているという内容だったのです。

 

スポンサー企業の実態調査

そこで、今年度から、スポンサーとなる会社に実態があるのか、そして、外国人はその会社でちゃんと働いているのか、などを実際に移民局の捜査官を派遣して確認を取るということを厳しく行っていくという発表をしています。
特に、H-1Bビザを多くスポンサーしている会社にはフォーカスを当てていくということを明言しています。

この方針は、特にH-1Bの発給を受けている外国人をターゲットにしているわけではなく、H-1Bビザを濫用している会社をターゲットにしています。
すなわち、安い賃金でH-1Bビザを持つ外国人を雇うことで、アメリカ人の雇用を奪っている、という立て付けで、会社に対して制裁を加え、米国人の雇用を増やそうということが目的なのです。

また、このようなH-1Bビザの濫用をしていると思われる会社の密告を受けつけて、大いに利用しようと考えていると思われます。

とにかく、H-1Bビザをスポンサーすることを考えている企業においても、立ち入り調査が入ったときの対策をきちんと専門家と話し合って行った方が良いと思います。

また次回新しいトピックを考えていきたいと思います。




 

3/16発効の大統領令、日本人への影響




 

「3/16発効の大統領令、日本人への影響」

今回のじんけんニュースは、トランプ大統領が署名して、2017年3月16日に発効する大統領令(行政命令)について、日本人にどのように影響するのか考えてみたいと思います。

中東6カ国およびイラク国民のアメリカ入国制限

まず、今回の移民関連の大統領令(Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States)のハイライトは、中東6カ国およびイラク国民のアメリカ入国制限です。
これはかなりニュースになっていますし、すでにハワイ州をはじめとして、違憲を主張して争う状況になっています。違憲であるかどうかは、特定の信教をターゲットに入国制限をしているかどうか、という点の審理となると思われます。ニュースでも取り上げられていますし、日本国民には直接影響しないと思われることから、ここでは割愛します。

難民の受け入れ制限

もうひとつ大きな移民の制限として、難民の受け入れを今までの約半分とする内容が含まれています。これも、現在難民認定を待っている外国人には、深刻な問題を生じかねません。政治的な迫害を受けているような、切迫している状況もあるでしょう。
ただ、この部分も日本人には、直接影響することは少ないと思われます。

日本人に直接影響する内容は?

上記に加えて、今回の大統領令において、いくつか外国人の米国入国を制限する方向に働くであろう内容があり、日本人の米国入国に影響することもあるかもしれませんので、ここで考えます。なお、今回の大統領令においては、この大統領令が一部無効とされても、残余部分は有効性を保つという状況があるので、以下考える部分については、有効とされる可能性が高いと私は思っています。

ビザ発行には大使館(領事館)面接が必須

まず、一番影響するであろう変更は、米国在外公館によるビザ申請の際、必ずインタビューを義務付けることになりました。

今までは、有効なビザの申請・許可があり、そのビザの失効から12ヶ月以内であれば、同様のカテゴリーのビザの更新申請の際、インタビューは免除されるという例外規定がありました。しかし、今回の大統領令で、この例外規定は廃止されることとなりました。

したがって、どのようなビザ申請であっても、必ず在外の米国大使館・領事館において、面接を受けなければならないということになりました。そもそもリスクが少ないであろう、外国人にビザ申請の面接を免除していたのですが、今後は、一律にビザの面接を義務付けることになったわけです。

米大使館・領事館の負担増

面接を受ける外国人にとっても負担となりますが、問題は米国大使館・領事館の対応です。必然的に面接をする機会が増えるわけですから、対応が大変になります。
そうすると、結果として、ビザ申請から面接設定までの時間も長期化する恐れが考えられます。今後、面接予約の状況を注意して確認していく必要がありそうです。

入国審査の厳格化

次にビザの申請内容に虚偽がないか、質問等や入国審査を厳しくするプログラムをつくるように大統領令で指示があります。特に、テロ関連、集団暴力行為関連などについて審査することを命じています。直接、日本人に影響することはないかもしれませんが、暴力団など米国で指定されているテロ団体関連事例などには、かなり影響すると思われます。

生体識別システムの本格稼働

もうひとつ、影響する可能性があるのが、外国人の米国出入国に関して、生体識別システムを導入することを義務付けました。
1996年以降、議会は、生体識別システムを取り入れる決議をして、2006年には、一部システムが導入されはじめました。しかし、うまく動いていなかったのが実情です。
このシステムについて、旅行者に費用を負担させつつ、出入国を管理するということを推し進める内容が大統領令に書かれています。

 

上記が、一般的な内容ですが、これから日本人を含め、外国人旅行者に影響するであろうという内容です。未だ、具体的な施行ははじまっていませんが、これから、移民行政の動きに注目していかなければならないでしょう。

じんけんニュースでも、今後動きがあれば取り上げていきたいと思います。
それでは、また次回まで春を楽しんでいきましょう。




アメリカで働く外国人の「権利」




 

 今回は、ビザを利用してアメリカで就業する外国人一般が持つ「権利」について、考えてみたいと思います。

 

外国人もアメリカ国民同様に守られている

 

 私が所属する事務所では、雇用者側、被用者側を問わず、様々な外国人の「権利」に関する問題が持ち込まれますが、外国人のなかには、雇用主がビザのスポンサーとなるため、被用者である外国人の権利が弱い、と考えられている方もいます。

 たしかに、力関係の観点からは、ビザをスポンサーする、されているという関係にあるので、権利が「弱い」のではと思われる方がいても、仕方がないのかもしれません。

 しかし、そのようなことはなく、ビザにもとづいて働いている外国人であろうが、アメリカ国民であろうが、法律では同様に守られています。あまり「権利、権利」と敏感になるのはどうかとも思いますが、正当な権利を侵害する行為については、恐れるに足らずです。自分で抱え込まずに、相談先は必ず確保されたほうが良いと思います。

 

外国人でも米労働法は平等に

 

 さて、外国人の権利で問題になる主なポイントに労働法の問題があります。

 私もたくさんの事件を経験してきましたが、外国人であろうと米国民であろうと、米国内で就業する人達には同様の権利が保証されていることを覚えておいてください。

たとえば、最低賃金、時間外就労、差別、ハラスメントなど、一般的に適用される法律は外国人にも等しく適用されます。

 労働法に関しては、州レベルでも連邦レベルでも、相談窓口は豊富に用意されています。弁護士に相談しなくとも、行政機関の相談窓口が用意されているのです。

 

外国人が特別に配慮される点

 

 労働関係で、外国人に特有の問題点がいくつかあります。

 まず、外国人が正当な権利を行使する場合など、雇用者が、ビザに関して不利益な言及をするというケースがあります。

たとえば、雇用者が「ビザを剥奪するぞ」とか「ビザに関して警察や移民局に言うぞ」というような場合です。これは、違法です。雇用者側としては、ビザにかかわらず、正当な懲戒をすることは可能ですが、ビザを絡めて懲戒するぞ、ということは禁止されていますので注意が必要です。

 それから、外国人労働者に対して、住居費、制服、仕事に必要な器具の提供などをした対価として、給金から差し引くということを行っている雇用者も少なくありません。

まず、そもそも就労時に契約書などの約束に書かれた内容に違えている給与しかもらえていない場合、最低賃金を割り込んでいる実際の支払しか受け取れない場合などには、違法ということになります。

 

雇用主にクレームを出すこと、その対策とリスク

 

 ビザを持って働いている場合の外国人の苦悩は、雇用者に対してクレームをして、辞職するか、解雇された場合、そのままアメリカに滞在して就業を続けていけるのか、ということがあります。

 たしかに、これはビザの種類によって、場合分けをしなければなりません。
どのようなビザにしても、スポンサーが基本的に必要なので、新しく、ビザをスポンサーしてくれる雇用主を探すことが第一歩になると思います。

また、新たにスポンサーをみつけ、雇用先を変更したとしても、変更後に前のスポンサーに対するクレームをすることも可能ではあります。

 ただし、クレームをする期間はある程度限られています(これを出訴期間の問題といいます)ので、行政機関や弁護士と相談して対応策を事前に協議しておく必要があります。

スポンサーが見つからない場合には、アメリカを離れなくてはならなくなりそうです。

 アメリカ国籍を持った人と婚姻するなど、家族関係に頼ってビザや永住権の申請をする方法はありますが、就労を基礎として新たにビザを取るというのであれば、どうしても新たなスポンサー開拓をしなければならない、ということは心においてくださいね。

 

外国人のビザスポンサーになる側として

 

 一方で、雇用者側としても、外国人に対して一切米国民と同様に扱うことが義務付けられているわけですから、就業規則や、違法行為の通報先などを整備したうえで、外国人であること、差別を禁止すること、などについて社内教育することはとても重要であるということを覚えておいてください。

このような対応を会社がすることにより、会社ぐるみで不正をしているのか、会社内の特定個人が不正な行為をしているのか判断材料となります。

 とにかく、外国人であることで、一切労働法などで別扱いすることは法律で禁止されています。このことは、心に留め置いてくださいね。

 

次回また新しいトピックを考えていきたいと思います。

米国入国審査-判断基準は?




 

入国審査は実質2回
 

米国に入国するには、実質的に二度の入国審査を通らなくてはなりません。

まずは、ESTA(ビザなし入国)の登録、ビザの取得などを通して、一時的な審査がなされます。この時点で、審査に通らないとまず入国するための書類、いわゆる江戸時代の通行手形が手に入りません。

そして、二度目の審査は、入国の際、税関検査とともに行われる、入国審査となります。
正当なビザがあったり、ESTAで問題がなかったりしても、この二度目の審査で入国拒否となることも十分に想定できます。

 

外国人の入国可否は、その国の広い裁量

「ESTAやビザがあるのだから入国できて当たり前じゃないか」という思考をお持ちの方もいらっしゃいますが、これは間違った姿勢です。
日本にしてもアメリカにしても、外国人の入国は「広汎な裁量」を行使できるので、入国審査官の裁量によって入国が拒否されることも十分にあるのです。
ですので、二度目の審査時に入国拒否の事例が発生することもあるのです。

皆さんが身近で聞いたことがある例は、ビザで日本に入国しようとしていた芸能人が、マリファナを持っていて入国禁止になった、などという話ではないでしょうか。
このように、入国が水際で止められる場合もあるのです。

 

アメリカ入国時はCBPによる審査

米国税関・国境保護局(A U.S. Customs and Border Protection、略称CBP) が入国時の検査と入国審査を行います。この審査については、米国連邦規則(たとえば、19 C.F.R. 162.6条)に何ができるか書かれています。

要は、国外から米国内に入ってくる人および物については、国籍にかかわらず、CBPの検査を受けなければならない、とされています。
これは基本的にどの国でも同様の規定があると思います。

 

CBPによるコメントーどの情報に基づいて入国拒否するか

この水際の入国検査について、最近CBPからコメントが出されています。
コメントのトーンとしては、「お手数をかけて申し訳ないが、ご協力をお願いします」というものです。

「犯罪や、移民法違反を検査するためにできるだけ最低限度の検査に留めています」という高圧的ではない、優しい感じの内容になっています。

ただ、検査が必要かどうかは、入国時に対応する個々の審査官の「裁量」に任されているとしています。個々の審査官の審査において、なんらかの不信の惹起をしないように気をつけることは重要ということですね。

この水際の入国審査について、CBPが興味深い点を公表しました。
すなわち、どのような情報に基づいて入国する者を拘束するべきかという点です。

 

情報源になるAPISとIBIS

一つは、APISというシステム上にある情報、もう一つは、IBISというシステム上の情報に依拠しているということです。
それぞれどのようなデータベースなのか見ていきましょう。

まず、APIS(Advanced Passenger Information System)というのは、米国だけはなく、他国においても使われていますが、飛行機に登場する搭乗者の情報を到着以前に収集するシステムです。これによって、搭乗者がなんらかの犯罪にかかわっているとか、前科があるかなどがすぐにわかるようになっています。
APISによって、リアルタイムに誰がどこから入国しようとしているのか、わかるようになっているわけです。

APISと相まって使用されているのが、IBIS (the Interagency Boarder Inspection System)というシステムです。
水際の入国審査において、誰を追加の二次的審査に呼ぶのかを抽出する基礎となる情報です。このIBISに集められる情報は、CBPの他に20もの連邦の機関の情報が共有されているということになっています。
例えば、FBI、連邦航空局、シークレットサービス、動植物安全検査局、国務省の領事サービス、および各在外米国大使館などと共有されています。

そして、FBIの犯罪データベース(NCIC)は各州のデータベースと共有されていますから、犯罪に関しては、連邦レベルだけではなく州レベルのものもすべて、 含まれているといえます。
もちろん、入国時に麻薬を所持しているなどの犯罪に直接関わっていることで入国禁止になる例もありますが、最初に書類申請をして、ESTAやビザで問題なかったとしても、水際の入国の際に、再度データベースに照合されているということになります。

 

入国をよりスムーズに

ただ、これらのデータベース照合は、もともと、「怪しい」入国者に関し、先手を打って知っておくためのものですので、無理やり犯罪者を作り上げるというよりは、逆に通常問題のない入国者をスムーズに通過させるというメリットも持っているわけです。

 

申告は正直に、正確に

とにかく、過去に犯罪歴があったり、移民法でトラブルがあった場合には、虚偽の申告をせずにちゃんと申告をすること、それからビザなどの発給で問題がなかったとしても、入国時にもう一度審査があることは覚えておいてください。
 

 

ときが経つのははやいもので、もう12月です。
この移民法ブログ(じんけんニュース)は今年最後の原稿となります。
一年間、じんけん事務局および移民法ブログは皆さんのおかげで継続することができました。本当にありがとうございます。読者の皆さんの平穏な年末年始をお祈りしております。また、来年も元気にがんばっていきますので、どうか応援をお願い致します。

一時渡航(非移民)ビザの取消事由- 飲酒運転

Nov-07-2016



昨年から、私の所属する事務所で、かなりの件数にのぼる相談を受けていた問題があります。
最近になって国務省から明確な答えが公にされましたので、弁護士ブログでみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

飲酒運転(DUI)とビザ取消

事の発端は、昨年から私の所属する事務所で受任している飲酒運転(Driving Under Influenceまたは略してDUI)にまつわる刑事事件に関してです。
米国に一時渡航ビザで入国している日本人は、日本に所在するアメリカ大使館・領事館から、ビザ(査証)の発給を受けているわけですが、DUIで逮捕されると、すぐに在日本の米国大使館から、「ビザの取消」通知が届くようになりました。

他の犯罪では、このような「ビザの取消」通知はあまりないのですが、飲酒運転、または類似の犯罪については、かなり確実にビザの取消通知が送られてきます。

ビザというのは、アメリカ入国の際の「通行手形」だという表現を私は何度も使ってきました。
これには意味があって、いったん「通行」をしてしまってアメリカ国内に入ると、ビザの期限は関係なくなり、いわゆるI-94という、米国内のステータスに関する書類で米国滞在がコントロールされることになります。
I-94というのは、数年前に紙で記入することが廃止されましたが、現在電子的に管理されているものです。ビザは通行手形の役割を負っているので、アメリカに入国するまでに非常に大事になってくる書類なわけです。

ところが、アメリカに入国したあとは、国務省の管轄する移民局が本来滞在に関するステータスを管理するところですが、昨年から、アメリカ大使館がわざわざアメリカに滞在しているビザをもった外国人に対して、「ビザの取消」通知をするようになったのです。

 

DUIに対する国務省通達

最近になって、この通達の詳細が発表されました。
2015年11月5日付で国務省が各大使館・領事館に対して通達しました。一般には最近になって内容が開示されたという経緯があります。

この通達によると、通達の日から遡って5年以内にDUIでの逮捕歴、有罪歴がある場合には、入国禁止などの判断をせずに自動的にビザを取消処分にするように命じています(国務省通達9 FAM 403.11-3(A)参照)。

すなわち、裁判で有罪とならずとも逮捕のみであったとしても、一時渡航ビザを取消されることになります。

 

ビザが取り消されない例外

ここで注意が必要なのは、過去5年に遡ってビザが取り消されるということですが、すでに飲酒運転で逮捕または有罪となって、そのことを申告したうえで、一時渡航ビザの発給を受けている場合には、今回の通達は適用されません。あくまでも、まずビザの申請時にDUIの前科前歴がなく、アメリカ入国後にDUIで逮捕または有罪となった場合に適用されます。

 

ビザ取消の意味するところ

要するに、いったんアメリカにおいてDUIで逮捕された場合には、もう一度日本に戻ったときには、ビザを申請し直して、問題があるかどうかを確認せよ、という国務省の意向が具体化したわけです。
移民法の212上(a)(1)(A)(iii)項に、身体・精神に問題があり、なんらかの危害が発生する可能性がある場合のビザ発給拒否という条項があるのですが、これに基づいて、アルコール中毒などの問題 がないか、大使館でもう一回精査するように命じているわけです。

この通達に基づいて、米国大使館が米国に滞在している日本人で、DUIの容疑で逮捕された場合には、すぐに「ビザの取消」を行うようになったのです。

 

強制送還になるか?

ただ、今までの法律上、米国大使館がビザの発給を取り消したとしても、すでに一時渡航ビザを使って(通行手形として)、米国に滞在している場合には、「日本に戻ってこい」ということは命令できません。
強制送還にするためには、国務省・移民局が強制送還の手続きをとるわけであり、大使館は関係ありません。

したがって、今回の通達があっても、すでにアメリカに滞在している場合、すぐに日本に戻ってビザの再申請をする必要はありません。滞在を許されている範囲でアメリカに滞在し続けることはできます。

しかし、いったんアメリカを離れることになると、再度アメリカに入国するためには、「通行手形」が必要になります。
この通行手形がすでに、取り消しされているので、再度米国の大使館・領事館で、ビザの申請をする必要が出てくるということになるのです。
とにかく、この通知を受けたからといってすぐにアメリカを離れる必要があるか、というとこれはありません。

 

RevocationとNullification

ちなみに、取消というのは、Revocationといって、一旦有効に存在しているビザを、DUIの逮捕時点から、効力がないものとする、という効果があります。したがって、将来に向かってビザの効力がなくなります。

このRevocationとはちがって、遡及的に効力がなくなるという場合もあります。Nullification、日本語でいうと無効という法律用語になりますが、この無効というのは最初から効力がないということになります。
この法律用語の違いはかなり大事で、今回ご紹介したDUIに関しては、Revocationすなわち将来に向かってビザの効力がなくなるというだけなので、米国を離れるまでは、合法的にアメリカに滞在できるということになるのです。

次回また新しいトピックを考えていきたいと思います。

また、次回まで皆さんお元気にお過ごしください。

弁護士ブログ200記事をアップしました





 

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ご質問が多いものや、誤解が多いものとして、たとえば…

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被用者身元確認義務(I-9)





Oct-03-2016

今回の弁護士ブログは、移民法によって、全米の雇用者に義務付けされているI-9というフォームについて考えてみたいと思います。
移民法なのか、労働法 なのか、微妙に重なる分野なので、逆に忘れがちなポイントですが、ここで内容を確認しつつ、今後の注意にしたいと思います。

I-9フォームの目的と役割

I-9というフォームが法制化されたのは、1986年です。
法制化された当時はザル法だったのですが、同時多発テロ事件を機に、かなり注目されるようになりました。
目的はシンプルで、雇用主が雇っている被用者がどのような人間なのか把握する義務があり、政府の要請に応じて、その情報を提供しなければならないというものです。その要請から、アメリカではI-9というフォームが用意されています。

I-9というのは、被用者の身元を確認する情報を記載するのですが、基本的に米国内のすべての雇用主に確認・記載の義務が課されています。
日本の子会社であろうと例外ではありません。
具体的には、1986年以降雇用された者(請負の関係は除く)で米国内において働く被用者は、雇用者の要請に応じてフォームを記入し、雇用者に渡さなければなりません。

 

I-9の記載内容と手続き

I-9は、簡単なフォームであり、インターネットで検索すればすぐに見つかります。
この書類に各被用者が雇用主から最初の給与を受ける日までに記入し提出します。直近のバージョンは2013年に用意されました。電子的にもフォームを記入提出することができます。

雇用主は、被用者の記入したフォームを受け取ってから3日以内に内容を確認し、本人確認を身分証明証に基づいて行い、そのうえで、I-9を会社内に保管する義務が発生します。

内容としては、雇用開始日、どのような身分証明証だったのかの詳細、そして、これらを確認したという一筆が必要になります。

被用者の身分を証明する書類として、代表的なものは、パスポート、グリーンカード、査証の写真入りのページ、労働許可証、などが証明書類として挙げられています。
アメリカ国籍を持っている人、また、外国人でも働く許可があるということがこれらの書類からすぐにわかりますし、米国が発給している書類であるので、確認しやすいということもあると思います。
これらの基礎的な書類がなんらかの理由でない場合には、米国各州が発給する運転免許証または身分証明書、およびソーシャルセキュリティーカードなど顔写真のないものが使われます。

これらの身分証明証を雇用者は確認して、確認したことをもってI-9に署名します。
しかし、場合によっては身分証明証の提出が不十分であったり、名前が違っていたりする場合があります。このような場合には、再度被用者の身分を確認する方法を定めています。

 

なぜ今I-9か

このI-9が活発に使われるようになったのは、テロ対策です。移民局や労働局が、テロ行為の疑いがある人に目をつけると、その雇用者に対して、I-9の提出を求められるわけです。
戸籍のないアメリカでは、やはりこのような身元確認方法が必要であると政府は判断しているようです。

I-9は紙一枚ですので、それほど大変な作業ではありませんし、政府に提出するのではなく、会社内で保管し(被用者がやめたあとも、一年間の保管義務があります。)、政府の要請に対して提出しなければいけません。
かりに、この義務に反した場合には罰金が課せられることがあります。

被用者がI-9作成の際に虚偽の申告をするか、虚偽の身分証明証を提出した場合、250ドルから5500ドルの罰金が各被用者に課せられます。
被用者が虚偽の事実、虚偽の身分証明証であることを知っていた場合には、禁固刑も用意されています。
さらに、被用者が故意なくして過失であっても、I-9を会社内に保管する義務に反した場合には、たとえ被用者が合法的に労働できるとしても、110ドルから1100ドルの罰金が課せられる場合があります。
2000年後半から、移民局は積極的にI-9の監査を各企業に行っていますので、問題が生じる前に、書類の整備をしておかなければなりませんし、気をつけるべきポイントだと思います。

 

身分証明は被用者も雇用者も確実に

なかなか、他の業務で忙しいということもありますし、人事のみに集中して業務を行う人がいない場合もあります。
しかし、移民法および労働法の分野では身元確認はかなり重要とされていますので、疎かにしてはいけない部分ですね。

次回また新しいトピックを考えていきたいと思います。もうすぐ大統領選挙です
し、ホリデーシーズンです。寒くなってきますので、体調に注意しなががんばっ
ていきましょうね。

 


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イベント参加に向けたビザ





米イベントへの日本からのスタッフ派遣

最近は、国境を超えて色々なイベントが行われるようになってきました。
映画やアニメだけではなく、料理のイベントもたくさん行われています。私が所属する事務所でも、短期間シェフを日本から派遣して、米国の会社と組んでイベント を行いたいが、どのようなビザが妥当なのかが論点になることがあります。

今回はイベントなどに参加することが主であって、米国内で報酬や賃金は貰わない場合が基本で す。あくまでも、米国内で行われるイベントに参加することが主眼です。

 

具体的なビザの検討

このように、短期間イベントに参加するためには、一般的には、ビザ無し(VWP)、B-1ビザ、そして、特殊なOビザで渡航することが考えられます。

日本人であれば、ビザ無し入国が可能ですので、原則としては、ESTAに登録をして、ビザ無しで渡航をすることになるのだと思います。基本的にビザ無し渡航とBビザについては、滞在期間の違いや延長の可否などの違いはありますが、渡航目的は同一の役割を負っています。
ビザ無し入国を許されるということは、その国からの不法移民がアメリカに少ないことなどが要件となります。
ビザ無し(VWP)かB-1ビザか~必要条件は?~

ビザ無しまたはB-1ビザで入国し、アメリカでイベント参加をするにあたって、入国をする条件としていくつかの基本的な条件があります。

(1) 短期間の米国 滞在であること、そして滞在の日数が確定していること
(2) 自国で行ってきた就業内容に関連した滞在中の活動に限ること
(3) 米国内で報酬、対価などを得ないこと

が必要条件となります。

まず、(1)についてですが、よく帰国の飛行機の旅程を提出することを求められますが、確定的な日程を決めてあることが重要になります。
また、長期で滞在すると、「永住の意思があるのではないか」と勘ぐられてしまいますので、イベント参加に必要な程度であることが合理的になります。

(2)についてですが、イベントに参加するという場合、たとえば、日本で調理・料理関連の仕事をしていて、その関係でイベントに参加するというのであれば辻褄が合うわけです。
もちろん、趣味のイベントなどもありますので、絶対的な要件ではありませんが、Bビザを求めるときに大使館に疎明する資料として、今までの経験等を出す必要がある場合が考えられ、そのときに、自己の経験から生じた資料をださなければならないということもあるでしょう。

(3)については、ビザ無し入国やBビザは米国内で賃金や報酬を受けることを前提にしていないビザです。
したがって、どのような些細な額であっても、報酬等を受け取ることはできません。
報酬を受け取るためには、就労ビザが必要になり、別途申請する必要性があります。

以前、私が経験した案件で、あるコンテストの審査員になるためにアメリカに入国しようとした日本人がいるのですが、審査員をする対価として、ほんのお涙頂戴程度のお金をもらう、ということが発覚し、アメリカに入国拒否された事由がありました。

このような、基本的な要件を考えると、イベントの日程がはっきりしていて、そのイベントが自分が今まで関わってきた分野であり、旅程がはっきりしていて、報酬を一切得ない、ということであれば、特殊なビザを取らなくても滞在は可能であります。

 

実際の移民局の事例

イベント参加の他にも以下のような活動に関しては、B-1ビザまたはビザ無し入国で可能と移民局は判示しています。ここでは主なものを挙げておきます。

1 報酬を得ない前提で、契約交渉をすること、コンサルタント業務を行うこと、取締役会に参加すること、科学、教育、専門分野のコンベンション、会議、セミナー等に参加すること。

2 売買契約などで、機器を設置、保守、および人のトレーニングをすること。

3 スポーツに参加すること、トライアウトに参加すること。ただし参加に対する報酬は受けられない。

4 ビジネスや組織の視察

5 宗教に関連した一時的な活動で、報酬を得ないもの。

6 B-1ビザはビジネス目的なのでB-2ビザの目的である観光目的も兼ねる。
しかし、B-2ビザの目的である観光目的で、B-1ビザの目的であるビジネスをすることはできない。
このように、Bビザまたはビザ無し入国の用途は多岐にわたりますが、上記の3要件の範囲内のみで許されることになります。
したがって、まずはBビザまたはビザ無し入国が可能かどうか、上記3要件をよく吟味してみてください。

次回また新しいトピックを考えていきたいと思います。
また次回まで、さようなら!

 

◇専門家に依頼するのは、思っているよりハードルが高くありません。
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