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Moms(JINKEN.COM)の運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。

賃貸料の値上げ要求、簡単にできる?_1162




法律ノート 第1162回 弁護士 鈴木淳司
May 29, 2019

メモリアルデーの三連休、皆さんはどうお過ごしになりましたか。
私はいい加減忙しかったので気分転換のため、できるだけ仕事をせずに日光を浴びたり、外でバーベキューをしたり、酒を呑んだりしてリフレッシュしました。気分転換をすることは体にも精神にもとても大事なことだと思います。天気が若干不安定なので、ゴルフはできませんでしたが、充実した週末を送りました。どこもかしこも天気が不安定ですが、皆さんは夏の境とよく言われるメモリアルデーを楽しまれましたか。

 

賃貸料の値上げ要求、簡単にできる?_1162

さて、今回から新しくいただいている質問を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

いただいている質問は以下のような内容です。

「ベイエリアに住んでいる駐在員です。2年ほどアメリカに住んでいますが、あと2年ほどアメリカに留まることが決まっています。そこで、家族(全員で4人)もこちらに呼び寄せて一緒に住む計画を立てています。現在住んでいるマンションは、それなりに大きいので、このマンションであと二年ほど住みたいと思い、マネージメントオフィスに告げたところ、家賃を上げなくてはならなくなると言われて驚いています。言われていることがよくわからなかったのですが、同じマンションを借りているのに、簡単に家賃を上げることができるのでしょうか」

 

ベイエリアの家賃は世界一?!

今回質問されている方も然り、ベイエリアの家賃は世界一高額と言われるほど高く、ボートやキャンピングカーで生活している人達も少なくありません。お金が集まるところに仕事も集まるということでしょうが、交通渋滞もひどくなってきて、旧知の友人と話をすると、家の値段の暴騰と、交通渋滞の頭痛などが、必ず出てきます。ベイエリアも変わってしまいました。

今回質問されている方は賃貸されているようですが、賃貸についても、ベイエリアはおしなべて賃貸物件が足りないということで、かなり高騰しています。シェアをしながら住んでいる若い人達も少なくないようです。現状では、貸し手側にかなり有利な状況になっていて、「気に食わなければ出ていってください」といった風潮が普通になりつつあります。嘆かわしい状況ではあります。

さて、このような現状を踏まえて今回の質問を考えていきましょう。

 

マネージメントオフィスと大家さん

最近では大型のマンションが建って、大家さんではなくてマネージメントオフィスがなかに入っているというパターンが多くなっています。今回の質問をしている方も、直接大家さんではなく、マネージメントオフィスと話をしているようです。

基本的にマネージメントオフィスというのは、大家さんから委託を受けて物件を管理する管理者ですから、大家さんそのものではありません。そういう意味では、大家さんはフレキシブルに色々考えてくれるかもしれませんが、マネージメントオフィスはそこまで柔軟性がないというのが一般的な理解です。

そして、建物が大きくなればなるほど、規則が多く存在し、その規則に従うことを求められる傾向にあります。当たり前といえば当たり前ですが、私は個人的には大家さんの顔が見える物件が好きですし、かりに自分で住むなら大家さんに会って契約したいところです。

ちょっと話が横にそれますが、あまりに私の所属する事務所の家賃が高騰して「倍払え」などと言われたので、サンフランシスコのダウンタウンで物件を探していたときですが、たった一つの物件だけ大家さんが出てきました。他愛のないことですが、私はそのことに感動して、その物件が良いとした覚えがあります。倍額を要求してきたもとの物件も、最近アジアの大国の投資家が遠隔操作で買い取ってしまって、良さがまったくなくなってしまいました。

話を元に戻しましょう。

 

どのような賃貸借契約か

マネージメントオフィスは、ただ大家さんに雇われて管理をしているだけですので、交渉するときに一番重要になるのは、どのような契約書を締結したのか、またどのような規則がそのビルに存在するのか、を確認することです。

まず確認するのは法律ではなく、契約書です。
賃貸借契約というのは、れっきとした契約ですから、当事者の意思を確認するためには、署名をした契約書を確認することが最優先されることを理解してください。

ですので、今回質問されている方もまずは、契約書に住む人数について制限が規定されているかよく確認することが第一歩になります。

今回は、法律の話というよりも、ベイエリアの現状報告的な内容になってしまいました。
次回続けて考えていきたいと思います。

 

これからカリフォルニアも天気がよくなってきますね。せっかく夏なので楽しんでいきたいと思います。ただ、かなり暑くなるのではないかと不安もありますが、体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。


 

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lawyer's notes

それは「ハラスメント」か?_1158




法律ノート 第1158回 弁護士 鈴木淳司
April 30, 2019

平成も最後の日になりましたね。令和元年といってもピンと来ません。私のコンピュータもREIWAと入力しても、まだすぐに変換してくれません。少なくとも「鈴木」の字の一部が年号になるのはなんとも嬉しい気もしますが、一区切りというのは、感慨深いですね。しかし、平成の時代をずっと生きてきましたが、なんだか早かったような気がします。天皇家とリンクする元号というのは、世界でもないわけですから、和暦が廃れてきたという意見を持つ方も多くいらっしゃるかもしれませんが、私は素敵な文化なので残るといいな、と思っています。皆さんの平成はいかがだったでしょうか。

 

それは「ハラスメント」か?_1158

さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると「日本で5年ほど働いていたのですが、応募をして、今米国にある企業に3年ほど前から就職しています。まだ規模はそれほど大きくないテック関係の会社です。学生の頃、アメリカに住んでいたので、英語には困っていません。私の職場の上司がアジア系の方なのですが、いろいろな場面でパワハラに遭っています。仕事をちゃんとしても難癖つけられて何度もやり直しをさせられたり、大勢の前で恥をかかされたりすることもしばしばあります。同僚に相談しても、そういう性格だから気にするな、できるだけ無視をしておけ、というのが意見です。私もできるだけ、リモート(自宅勤務のことか?)で仕事をして、職場で顔を合わせるのを避けています。しかし、仕事に関しての嫌がらせとか難癖がエスカレートしてきているように感じますし、私自身もカウンセラーに相談をしています。職場には、直接相談できる人が実際いないので、困っています。このような場合に弁護士に相談して、なにか対応する可能なのでしょうか」というものです。

かなり長文の質問で、いろいろな出来事が認められていました。今回は、書かれている個々の出来事を考えるのではなく、全体的にどういうことができるのか、考えていきましょう。

 

「ハラスメント」?

まずは、カリフォルニア州における「ハラスメント」というものはどういうものが考えられるのかを知っておかなければなりません。

日本は、外国語の言い回しを日本語化するのが得意なので、今ではなんでも「○○ハラ」という言い方をして、あたかも法律的に違法な雰囲気を醸し出そうとする傾向があると思いますが、そのようにカリフォルニアでは「ハラスメント」という言葉は独り歩きしているわけではありません。

 

カリフォルニア州におけるハラスメント

ここで、カリフォルニア州における「ハラスメント」について労使関係を中心に考えていきましょう。

まず、州適正雇用住宅法(California’s Fair Employment and Housing Act 、略してFEHAと呼ばれています。)によると職場においては2種類のハラスメントが明記されています。

1つ目はいわゆる「セクハラ」ですが、対価要求型のセクハラが明記されています。すなわち、性的な対価を条件として、なにか仕事に関することをする(しない)というタイプのものです。「給料上げてあげるから、今夜付き合ってよ」というのは、この対価要求型セクハラです。

もう一つは、Hostile Work Environmentハラスメントと呼ばれるものです。よく、「敵対的ハラスメント」と言った訳がなされますが、敵対することだけが法律上の意味ではなく、訳語としては不足しています。不穏な職場環境とか、不和な職場環境、というのが日本語ではしっくりくるとおもいます。
このタイプのハラスメントは、対価性のない性的な行為を含みますが、その他にも、人種、宗教、出生、門地、障害、持病、婚姻、性別、年齢、性的嗜好、軍隊の入隊歴などに及びます。

職場において、このような列挙事由に関する発言をすることで、職場にいる人達に働きにくい環境をつくることはハラスメントに該当すると法律で明記されています。

 

民事ハラスメント

もうひとつ、「ハラスメント」という単語が使われるのは、民事ハラスメント禁止命令手続(A Civil Harassment Restraining Order)と呼ばれる手続きにおいてです。

この手続は、なんらかの継続的な関係が存在しているうえで、一定のハラスメント、脅迫、ストーカー行為を禁止することを審査するものです。

この手続において禁止命令が出せる程度の、「ハラスメント」とは、合理的な人の見地から、請求者が実質的な精神的被害を生じる行為を受け、実際に重大な精神的被害を受けたか、という基準で判断されます(カリフォルニア州民事訴訟法第527.6(b)条)。

職場での「ハラスメント」と言われるものは、主に上記のような場合が該当します。この規定をたたき台にして、また次回考えていきたいと思います。

日本はゴールデンウィークですが、私は働かなくてはなりません。天気が良いので気分転換をしながらまた一週間がんばっていきましょうね。

 


 

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Golden Gate, San Francisco, California, USA.

2020年度発給のH-1Bビザ抽選

じんけんニュース 04-20-2019 弁護士 鈴木淳司
April 21, 2019

 

ビザを取るにも「運」が必要なのが、アメリカの専門職用のビザであるH-1Bビザです。

ある程度専門性を備えた外国人学生がアメリカで仕事をはじめるのに、他の国と同様に就労ビザが必要なのですが、アメリカの企業がスポンサーとなるには、H-1Bビザが基本となります。

他にも、就労ビザには、Eビザ、Lビザというカテゴリーがあるのですが、これらは、ピュアにアメリカの企業では発給のスポンサーになれずに、必ず特定の外国とタイアップしている関係を求められます。

ですので、外国人留学生にとっては、このH1Bビザが発給されるかどうかが、かなり重要なポイントになるわけです。

 

飽和状態が続くH-1Bビザ

2011年以降、H1Bビザの発給は飽和状態にあります。

「飽和」というのは、原則としてH-1Bビザの新規発行枠が毎年度6万5千(現行では、更に大学院以上の外国人卒業生で、アメリカの大学院を出ているものに追加8万5千)件と決まっていて、その数を上回る申請数が常時継続している形になっているのです。

この新規発行枠には、発給済みの延長申請などは含まれませんので、基本的には、新卒の方々、外国からアメリカで就職する方々というパターンが考えられるのです。 今までお金を払って学んでいた学生が、就職してやっとお金を稼ぐ側に廻るわけですから、このH1Bビザの発給の可否は、かなり学生にも深刻な影響を与えます。

他の留学生を多く受け入れる国も近年、外国人の就労に厳しくなってきていますが、アメリカのH1Bビザの発給枠の制限のような壁がない場合も多く、実は、就職につなげようとアメリカに留学をする日本人が減っているのも、実はこのH1Bの発給数問題が根底にあると推測されるところです。

移民に寛容な(現在の政府では、「寛容だった」の方が正確か)アメリカですが、やはり自国民の雇用というのは、大きな問題であります。H1Bビザの発給制限がなければ、アメリカ国民が就職の機会を奪われてしまう可能性もあります。

ですので、発給数の設定というのは、保護主義的な発想が根底にあり、日本政府の外国人受け入れを見ていると、日本人は何も言えない状況ではあります。

 

2020年度に向けたH-1B申請状況

そして、今年も、2020年度のH1Bビザ新規発行分の受付が2019年4月1日からはじまりました。 申請数がアメリカの好景気に支えられて、毎年高止まりするので、申請に対して、抽選をして、申請対象を絞り込んでいます。

したがって、「運」がなければ、申請さえもできないのです。 今年は、申請開始の4月1日から5日までの間に、20万1011件の申請がありました。わずか5日で申請の受付が停止されました。

そして、4月10日にランダムの抽選がされて、新規申請のうち発給枠の審査対象が絞られました。新規6万5千件プラス、院卒の2万件、の発給対象が絞られました。

このわずか5日間に申請を受け付けられても、抽選で漏れると、返戻されてしまうのです。 この5日間の申請数は前年度と比べて1万件ほど増加していますので、アメリカ政府が厳しい移民政策を取っていることとは裏腹に、景気に支えられた就職人気は右肩上がりのようです。  

 

留学後の就労には「運」も必要

このように、かりに日本人学生がアメリカに留学して、その後就職を目指そうと思っても、ある意味「運」がなければ、就職先があったとしても、合法的なビザがでないという可能性があるわけです。
そうすると、留学すること自体も慎重に考える対象になりますよね。

今、日本では、国内で色々な倦怠感があり、若い学生がアメリカの大学に留学を直接してしまう、という例もかなり出てきているようではあります。

しかし、どんなに優秀でも、どんなに就職先にラブコールを送られても、ビザ「運」によって、将来の想定が狂ってくる可能性もあるわけです。

もちろん、H1Bビザ以外にも多くはありませんが、就労ビザはあります。

しかし、留学を考える学生さん、留学していて、就職を目指す学生さんは、目先の勉強だけではなく、H1Bビザの動向を今後も注意して、自分の将来についての判断事情にしなければならないと思います。  

 

 


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著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(3)_1156




法律ノート 第1156回 弁護士 鈴木淳司
April 16, 2019

ゴルフのマスターズ大会で、タイガー・ウッズ選手が電撃的なカムバック優勝をしました。10年ほどのブランクを乗り越えての優勝でした。プライベートについても、マスコミに散々叩かれました。手術を含め、体調もよくない状態で逮捕されたりしながら、ついに再度の優勝をもぎ取りました。彼の忍耐を含む精神力にはとても感動しました。ところで、ゴルフを少しはご存知の方はマスターズの優勝者は、大会直後に緑のブレザーを着て、トロフィーを持ちます。選手の体型はマチマチなわけで、誰が優勝するのかは、大会が終わる直前までわからないわけです。ところが、タイガー・ウッズ選手が着ていたブレザーは彼にピッタリしていました。優勝が決まった瞬間に誰かが裏で仕立てるのでしょうか。

 

著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(3)_1156

さて、前二回考えてきた、「ベイエリアでスタートアップ企業に参加している者です。最近、当社のウェブサイトについて、第三者から当社が使用している写真や画像が不正使用なので、使用を差止めるように警告文が来ました。ウェブサイトの作成段階で、意図せず使用していたような形なのですが、すぐに使用はやめました。今後、損害賠償などがくる可能性はあるのでしょうか。また、このような問題を避けるため、どのような対応をしていくのか教えてください。当社は、まだ規模が小さく弁護士に頻繁に相談することがファイナンス的に難しいのです。」という、質問を続けて考えていきましょう。

 

損害賠償がなされた場合

今回は警告文が届いていた場合、かりに損害賠償請求をされたとき、どのようなシナリオが考えられるのでしょうか。

まず、かなり有名な作品の侵害があった場合には、侵害によって得られた利益などを基礎に損害額を考えますが、アメリカの法律では、法律で定められた(法定といいます)損害が定められています。連邦の法律では、基本的に、一作品毎の損害として区切っています。色々な事情はありますが、法律で、竹を割ったように考えるためには、「一作品」として考えるようにしているのです。

連邦の著作権に関する法によると基本的な損害は、750ドルから3万ドルとされています(17 U.S.C. § 504)。この幅は、裁判所の裁量によって決まります。

なので、警告文をもらったとしたならば、一応、可能性としてこのような幅の損害額が考えられます。

ただ、訴訟にも費用もかかるわけで、かなり大規模な侵害行為がなければ、訴訟をしてもコスト倒れになる可能性はあり、テークダウンがあれば、そのまま事件にはならないケースが大部分だと思います。

 

警告文後も侵害継続と認定されたら

とは言え、警告文が来た場合、その通知に書かれている侵害行為を「知っている」と思われてしまう可能性があります。

侵害があると知っていて、ことさらに侵害を続けていると、連邦の法律では、最高で一作品15万ドルの損害が認められています。法律では、「知らなかった」ということが防御方法になりますが、警告文を受け取っていると、このような防御がかなり難しくなってきます。

かりに、警告文を受け取っていなかった、侵害を知らなかった、と主張できれば、損害額を減額できるのですが、裁判で認められるかはかなり難しくなるわけです。

 

著作権の登録が前提

ここまで考えてきた連邦の法律に基づく損害金を求める場合には、少なくとも侵害されたと主張する人が、連邦著作権局に著作権を登録していること(17 U.S.C. § 412)が必要ですし、その登録から3ヶ月が経過していなければなりません。

著作権は、なにか創造した場合には生まれるのですが、損害金を求める場合には、著作権を登録して公にしておかなければならなりません。
裏から言えば、著作権の侵害を言われた場合には、その著作権が本当に存在するのか、著作権局のウェブサイトから確認することも可能です。

したがって、弁護士に相談する前に、一度、本当に侵害があったかは、各自で確認することが重要だと思います。

 

利用する写真・ロゴ・文章を著作権局に登録

上記が、今回の質問にある損害に関するまとめです。

このようなトラブルを防ぐためには、今回の相談者のように、ウェブサイトなどで利用する写真、ロゴ、文章などは、出来る範囲で、著作権局に登録をして、自己が正当な著作権者であることを公にしておくことも一つ考えられる手段だと思います。

 

これでひとまず、今回の質問へのお答えは締めくくって次回新しい質問を考えていきましょう。

サンフランシスコではやっと春だ、と思ったら、雨が降って、花が散ってしまわないか心配です。忙しい毎日なのですが、綺麗な自然を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(2)_1155




法律ノート 第1155回 弁護士 鈴木淳司
April 9, 2019

この冬、雨が非常に多かったので、ゴルフ場に行くとフェアウェイがぐちゃぐちゃな場所が多く、せっかく天気がよくなってきたのに泥んこ遊びのようになってしまいます。もともと、大量の雨を想定していないゴルフ場が多いのかもしれませんが、コンディションが落ち着くまでかなり時間がかかりそうです。水不足は困りますが、降ったら降ったで土砂崩れや道路のひび割れなど問題が起こるものです。人間もそうですが、天気もバランスが取れているのが望ましいですね。皆さんは、春の外出を楽しまれていますか。

著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(2)_1155

さて、前回から考えてきた、「ベイエリアでスタートアップ企業に参加している者です。最近、当社のウェブサイトについて、第三者から当社が使用している写真や画像が不正使用なので、使用を差止めるように警告文が来ました。ウェブサイトの作成段階で、意図せず使用していたような形なのですが、すぐに使用はやめました。今後、損害賠償などがくる可能性はあるのでしょうか。また、このような問題を避けるため、どのような対応をしていくのか教えてください。当社は、まだ規模が小さく弁護士に頻繁に相談することがファイナンス的に難しいのです。」という質問を続けて考えていきましょう。

出どころを明確に。著作物への配慮

まず、簡単に前回のおさらいですが、そもそもウェブサイトを作成する際に、著作権や商標の使用には気をつけなければなりません。

出処のわからない、写真、描画、ロゴなどをむやみに使わないよう、社内でも気をつけなければなりませんが、外注をするときにも契約書において、著作権の不正使用について、免責条項など責任の所在を確認しておく必要があります。

不正使用の警告文-Cease and Desist Letter

このように気をつけていても、不正使用の問題は発生します。また、なかなか著作権についても権利関係が複雑な場合があり、紛争が避けられない場面も出てきます。

通常、著作権者が、侵害者に対して、不正使用差止・停止を書面により警告してきます。

この書面を俗称で、テークダウン通知(Take down notice)といいますが、法律業界では、Cease and Desist Letterと呼びます。
警告文に「Cease and Desist」という言い回しが入っていれば、法律的には、まず間違いなく「何かをやめるように」要求している内容だといえます。

この警告文は、侵害者が今回の質問にもあるように「知らないうちに他人の著作権を使ってしまった」という場合もあるので、侵害であるという事実をはっきり伝える役目を負います。
いったん伝えれば、その後は、知りながら(法律用語では「悪意」といいます。)不正使用を継続しているということになるからです。

 

警告文への対応は必須

次回考えますが、悪意で著作権を不正使用していると、損害賠償の程度が変わってきますので、警告文が来た時点で、必ず対応をする必要があります。
ちなみに、一般的な意味と違うのが、悪意と善意という法律用語です。法律用語で悪意というのは、ある事実を知っていること、善意は知らないことを意味します。アメリカでも、善意はGood Faith、悪意はBad Faithと言います。

それから、警告文ですが、単に不正使用がある、と言ったぼんやりした内容では法律的には不十分である可能性が高いです。不正使用を警告するということは、警告しても侵害者が自発的に使用をやめない場合、訴訟で争うことになります。

この訴訟をするには、必要最低限な武器が必要になりますが、警告文もその一つです。
そして、公の場にさらされて、争われることになっても耐えうる内容でなければならないのです。決まった形はありませんが、少なくとも、
(1)著作権の詳細
(2)著作権者から侵害者に対して(1)に関する不正使用の事実を告げること
(3)どの法律で著作権が守られているのか(連邦の法律か州の法律か)
(4)不正使用をやめること
などが入っていなければなりません。

インターネットで雛形などがいくつも用意されているので、それを参照にするのも悪くはないかもしれませんが、少なくとも訴訟を前提に行っている警告文であることを理解しておく必要があります。

警告文が届いた場合、著作権の侵害があると判断した場合、すぐにその著作権の使用をやめることが、損害賠償の可能性を限定する最善策になります。

次回著作権侵害の損害賠償についてざっと全体像を考えていきます。

花粉もすごいですが、天気を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(1)_1154




法律ノート 第1154回 弁護士 鈴木淳司
April4, 2019

「令和」という日本の元号が決まりましたね。美しい名前だと思います。「和」というのは日本の文化の根底にある考え方ですね。名前負けしないような時代を日本人としてつくっていきたいものです。ただ、元号に意見する有識者会議をみると、私の旧知の方もいらっしゃいましたが、今後世代を担っていくもっと若いひとも参加できたら良かったのに、とも思いました。まあ、素敵な元号になったのですから、まずはお祝いでしょうか。

しかし、今後西暦の算出の仕方が、昭和、平成、令和をまたいで、複雑になりそうな感じですね。皆さんは新元号に馴染めていますか。

著作権侵害による損害賠償、備えは十分?(1)_1154

さて、今回から皆さんから新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。
頂いている質問をまとめると「ベイエリアでスタートアップ企業に参加している者です。最近、当社のウェブサイトについて、第三者から当社が使用している写真や画像が不正使用なので、使用を差止めるように警告文が来ました。ウェブサイトの作成段階で、意図せず使用していたような形なのですが、すぐに使用はやめました。今後、損害賠償などがくる可能性はあるのでしょうか。また、このような問題を避けるため、どのような対応をしていくのか教えてください。当社は、まだ規模が小さく弁護士に頻繁に相談することがファイナンス的に難しいのです。」というものです。

最近でも、ベイエリアではたくさんのスタートアップ企業ががんばっているようで、若い人たちのエネルギーもすごいものです。お金がお金を呼び、家賃等の高騰には閉口しますが、それでも夢を持ってがんばる人たちがたくさんいるのですね。

さて、今回の質問ですが、2つ大きな部分があります。一つは、著作物の不正使用について損害賠償が生じるのか、という点と、そのような法的なトラブルに巻き込まれないためには、何をしておくべきなのか、という点があります。

まずは、今回、今回のようなトラブルに巻き込まれないようにするにはどうしたら良いのかざっと考えていき、その後、損害賠償を請求される可能性も考えていきたいと思います。

 

ウェブサイトのコンテンツには細心の注意を

さて、ウェブサイトなどを人に任せてつくってもらうようなときもあるでしょうし、今どきは社員がつくる場合などあるでしょう。

どのような場合でも、他人の著作物にはかなり気をつけなければなりません。ウェブサイトなどは、公に情報を発信する場ですから、不特定の第三者がウェブサイトの内容を確認することが可能です。また、埋め込まれたデータなどから、どこから著作物が出ているのかなども簡単にわかりますね。

最初にウェブサイト等に、具材を使用する場合、その具材の出所は確実に押さえておかなければなりません。

基本的に自分で作成していない画像等は、他人の著作権が発生していると考えたほうが良いと思います。たとえ、コピーライトの表示(たとえば、All rights reservedなど)がついていないとしても、著作権は誰かに存在する可能性が高いです。ですから、画像、イラストなど他人のサイトなどから簡単に拝借するのはよくありません。

自社でデザインして生み出すとか、著作権の使用許諾を得てから使用するという形にするべきです。著作権以外にも、トレードマーク(商標)についても、他社の商標を拝借して、改造するなどということも商標権の侵害と考えられる場合も多くあります。

とくに、企業の業績が良くなってくると、競争している他社が、商標などを使って攻撃をしてくるケースも戦略としてありえます。かりに、ウェブサイトのデザインなどを外注する場合には、必ず著作権等の知的財産権の侵害があった場合には、受注側の責任になるように契約の条項をいれておきたいものです。

著作権フリー素材にも注意

次に、ウェブ上には、多くの著作権フリーの具材が置かれていますし、一定の手続きをとれば使用が可能になるものもあります。

このような許可があればつかえる具材については、必ず事前に指定された手続きを経て、そのやりとりについては、電子的な形でも良いので保管しておけば良いと思います。

,,,,単に、著作権フリーです、と書かれていても、正当な手続きを経ていない使用については、著作権の侵害になりかねませんので注意が必要です。また、著作権をフリーに使っても良い、といっても商用の使用については原則許さないという場合もあります。
その場合には、商用かどうかあとで争うのではなく、最初から使用について著作権者に許可をもらうようにしたいところです。

長くなってきたので次回ここから続けていきましょう。季節替わりで体調を崩される方も少なくありません、春を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


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クリエイターの著作物、売るべきか?(2)_1153




法律ノート 第1153回 弁護士 鈴木淳司
March 26, 2019

日本の弁護士会経由で、弁護士のインターンが来ていたので、週末ナパに行ってきました。今は、どこのワイナリーに行っても、結構な試飲料をとったり、ワインクラブ(定期購入)の入会を勧めたり、食事も出したりと、一日を使う大々的なビジネスとなっていました。昔は、試飲料も無料でしたし、かなり牧歌的だったので、ちょっと行って2,3軒楽しもうか、などという乗りで十分だったのですが、今では予約をして、お金を払い、出向くことになっています。時代が変わったのですね。

クリエイターの著作物、売るべきか?(2)_1153

さて前回から考えてきた「日本在住の者です。色々な文筆活動(クリエーター)を仕事にしています。最近、アメリカのゲームソフト会社から私が書いているゲーム系のストーリーを買いたい、すなわち著作権ごと買いたいという申し入れがありました。そこで、交渉をしているのですが、契約書に公証をしなければならない、と書かれています。このような場合、どのように対応するべきなのか教えてください。」という質問を今回続けて考えていきましょう。

著作権売買の手続き

前回は主に、著作権のライセンスと著作権を売買する場合の違いについて考えました。

今回は、著作権を売る場合の手続き的な側面を考えていきたいと思います。さて、著作権といっても、他の物や権利と同じ様に、売買をすることが可能ですが、目に見えない「権利」を売り買いするのですから、やはり売買契約書というものが必要になってきます。

もちろん法律上、口頭でも売買契約が成立しないわけではないのですが、実務上はやはり契約書がないといろいろな不都合が生じてきます。後日の紛争をなくすためにも、契約書は用意しておいたほうが良いといえる場面でしょう。

今回の質問者の方、契約書はすでに手元にあるようです。アメリカの企業が買い取るのでしょうから、契約書は英語なのでしょうか。アメリカの著作権局に権利の譲渡を登録することを考えると英語の方が言語として妥当だと思われます。

ただ、少なくとも契約書の内容は理解しておかなければなりませんので、何らかの形ですべての条項に目を通しておかれることをお勧めします。

アメリカ著作権局への登録

今回質問にある著作権の売買契約書について、私が目を通したわけではありませんが、一般的に著作権の譲渡についてアメリカ著作権局に登録することを手伝うこと、と書かれています。

著作権局に登録すると、公に誰が著作権者であるかを示せるメリットがあるのです。
ですので、登録についての協力義務が書かれてある場合が多く、これは他の契約書にはない文言です。ただ、著作権の売買では一般的であるということは覚えておいてください。

日本での公証

次に、今回の質問に、公証をしなければならない、という文言があるようですが、日本にいながらアメリカの公証を受けるためには、アメリカ大使館または領事館に出向いて、公証サービスを受けなければなりません。予約をとってわざわざ出向くので大変なことは事実です。

アメリカ国内であれば、公証サービスはどこにでもあります。
宅配業者などでもやってもらえますし、銀行や法律事務所でも可能です。

今回、日本に居住されている方ですから、なかなかアメリカの大使館・領事館に出向くことは難しいかもしれませんので、この公証部分については、交渉して消してもらうことも考えたほうがよいかもしれません。

著作権の売買契約は公証が要件になっていませんので、公証がなくても十分に成立します。公証を要求している意味は、署名している人が間違いなく著作権者ということを第三者に確認してもらうという意味合いがあるのです。

公証に代わる方法

もし、公証を外すことを渋られた場合は、二の矢として、公証の替わりに、証人を1人か2人用意して、「この人に間違いない」ことを確認してもらう方法でも良いと思います。

そのようにすれば、ある程度本人であることは担保できますし、手間もかからなくなります。契約書は本人同士の合意ですから、変更したいところは、躊躇しないで変更を申し出れば良いと思います。もちろん公証をしておくことは、会ったことがない相手方にとっては安心材料になります。

しかし、たとえば、買取金額を銀行口座に入金すれば、その人の名前も確認できるわけですし、他にも確認する方法はあるのですから、証人をたてるという方法で必要十分だと思います。

 

また、次回新しくいただいている質問を考えていきましょう。サンフランシスコは、良い天気になったと思ったらまた雨で、なんだか落ち着かない春ですが、花は水を吸ってとても綺麗です。雨が降っても、春を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


 

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クリエイターの著作物、売るべきか?(1)_1152




法律ノート 第1152回 弁護士 鈴木淳司
March 16, 2019

日本でも大学の裏口入学問題が取り上げられていましたが、アメリカでも、いわゆるセレブと言われる人たちが自分の子供を裏口(捕まった被告人はサイドドアと呼んでいたので、裏ではなくて脇かもしれませんが)入学させたことが大々的に連邦刑事事件になっています。大統領の息子がここぞとばかりにハリウッドの人たちが静かにしているのはなぜだ、などと揶揄すると、現大統領の批判本を書いた作家に、「父親が多額の寄付をした大学院にいったのは誰か」と突っ込まれ、黙ってしまう、なんていう話がでています。なんだか、どこもかしこも親が子のために小細工しているなんて切ないですね。子供のためにまったくなっていないのですから。

 

クリエイターの著作物、売るべきか?(1)_1152

さて、今回から皆さんから新しくいただいている質問を考えていきましょう。いただいている質問をまとめると「日本在住の者です。色々な文筆活動(クリエーター)を仕事にしています。最近、アメリカのゲームソフト会社から私が書いているゲーム系のストーリーを買いたい、すなわち著作権ごと買いたいという申し入れがありました。そこで、交渉をしているのですが、契約書に公証をしなければならない、と書かれています。このような場合、どのように対応するべきなのか教えてください。」というものです。

何かを生み出すのは才能で、この方も学生時代から色々な創作活動に関わっていらっしゃるようで、すごいですね。音楽や文筆を仕事とすることは本当に大変な面もあるでしょうが、面白いのでしょうね。

 

著作物を「売る」

さて、今回、この方はかなり著作権を「売る」ということに前向きになられているようですが、売ることが果たして長期的に見てよいのか、まず考えてから本題に入りましょう。

著作権というのは、れっきとして権利ですから、アメリカでは売買の対象です。アメリカ著作権局も売買を認めていますし、その売買の記録をしてくれます。

売買できることは明らかなのですが、売ってしまうと、なんらの権利も手元に残らなくなります。買った会社が好きなようにできるということになるわけですね。

逆に、売った側がその著作物を再度利用しようとすれば、著作権に反する行為になり、訴訟で咎められることになりそうです。また、もう少し現実的なことをいえば、売ってしまうと売主は、ゲームなどに著作権者として表示されなくなりますから、いわゆるクレジットが目に触れることにならないのです。

著作権を持っている人や会社はこのクレジットが重要である、という見方をする場合もあります。このように、手を離れてしまうと、対価しか残りませんので、ある程度高額な値段もつく場合も考えられるのです。

 

ライセンシングー手元に著作権を残す

もうひとつの方法は、ライセンシングという方法が考えられます。こちらの方が一般的に使われる考え方です。質問者の方はすでにご存知だとは思いますが、ライセンシングにすれば、手元に著作権が残り、さらにライセンシング料ももらえます。そして、著作権の全部または一部を範囲や期限を決めて使用をしてもよいよ、ということを決めて契約として残しておくのです。

そして使用許可を得た当事者をライセンシーと言いますが、ライセンシーは、許可された範囲で自由に使用をすることができるということになります。ライセンスの場合には、著作権者の表示をする必要が出てくるので、クレジットも入るのが通常になりますので、権利も残るし、宣伝にもなる、という考え方もあるのです。

まあ、今回質問されている方に関しても、色々な事情があるのでしょう。法律的に良くても、ビジネス的にはイマイチという考え方もあるわけです。とにかく、今回の質問は「著作権を売る」ということが前提にあるようです。

 

著作権はオンライン登録できる

アメリカでは、著作権については、その一部でも全部でも譲渡できますが、まず今回質問されている方がどのように著作権を登録されているのかが気になります。

著作権は全世界統一という制度ではないため、アメリカで登録されていないのであれば、登録したうえで売るか、買い主が登録するか、ということも考えておかなければなりません。アメリカで登録をされているのであれば(比較的簡単ですし、オンラインでも申請は可能です)登録している内容を譲渡するということになるでしょう。

ここから次回考えていきたいと思います。

ベイエリアはやっと雨が落ち着いて日中は半袖で歩いている人も多く見かけます。春ですね。花を楽しみながらまた一週間がんばっていきましょうね。


 

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トランプ政権とH-1Bビザ発給の動向

March 14, 2019 皆さんお元気でしょうか。ベイエリアは春らしくなってきましたが、皆さんのお 住まいの地域はいかがでしょうか。 さて、今回は、厳しい移民政策を続ける現政権下におけるH-1Bビザの発給につい て現状を少し考察しておきたいと思います。まずは、良いニュースからです。

Premium Processing の再開

しばらく、移民行政機関が停止していた、H-1Bビザ(以下、「Hビザ」ともいう。)の優先審査(Premium Processing)が3月12日から再開されることにな りました。

優先審査がやっと再開されるということで、移民局の申請受理から 15営業日以内に審理され、許可の可否が通知されることになりますが、通常の審査に比べて高額の審査費用が要求されるのは、今まで通りです。

これで、申請している外国人も、雇用を考えている米国企業も宙ぶらりんの期間がまた短くなるわけですから、良いニュースとしたいと思います。  

 

Hビザの実情

次に、関係ある方々は、現政権下におけるHビザへの風当たりについて、全体的によく理解した上で、注意をしていただきたいと思います。 移民局が公表しているデータをみると、前政権に比べ政策の変化がかなり如実にHビザの審査に表れています。

そもそも、現大統領は、選挙公約の一貫として、外国人ではなく、優先してアメリカ人を雇うべきであるということを強調していました。選挙中はある意味漠然とした主張が多かったのですが、大統領に就任すると、すぐにHビザに関しての審査の厳格化を指示しました。

そして、現大統領下の移民局の審査は実務に影響が出ていることはわかっていましたが、公表されている数字でもその方針が確認されました。  

 

不許可件数は前政権の倍

移民局の統計を見ると、2018年度(2017年10月〜2018年9月)、 申請の即不許可の数が6万件を超え、前政権下の倍以上になっています。申請件数にさほど違いはないので、受理されても、不許可とされる率がかなり上がってきていることがわかります。

そして、2019年度の最初の四半期で、即不許可となる申請が2万5千件ほどになっていますから、2019年度は、10万件に達する不許可が出てくると考えられます。

したがって、以前は問題なく受理されていたようなケースでも、現在では予断を許さない状況になっているのです。

移民局の言によると、「アメリカ人の雇用を守り、些末な申請を排除しする」改革を続けているということですので、もしかしたら、初動で要件を満たすかどうか怪しい申請も実際多いのかもしれませんね。

ただ、多くの案件では弁護士が申請を代行しているでしょうから、一年間で10万件不許可になるとすれば、要件充足云々の話だけではないかもしれません。  

 

Request for Evidenceー追加資料の要求

もう一つ、即不許可にならない場合、すぐに許可をしてくれるケースもありますが、多くのケースでは、追加資料要求(Request for Evidence、略してRFEと言 われます。)を移民局から受けます。

2017年度は、8万6千件に対してRFE が出されましたが、18年度は、なんと倍近い15万件に上っています。

この RFEですが、最近の例をみると、本当に内容が微に入り細に入り、でびっくりし てしまいます。 その資料を集めるのも大変ですし、実際本当に「このような情報が審査に必要なのかなぁ」と思うものもでてきます。

このRFEが来ると(多くの申請で来るのが当たり前になってきましたが)、そのやり取りで何十日も費消するので、許可が遅れますし、法律事務所や雇用者の負担もかなり増加しています。  

今後の対策

日本人は、Hビザの他に、EビザおよびLビザの許可を得て働くことはできますが、他の外国人は、Hビザに基づいてのみ就労が可能というシチュエーションも多いのです。

数年前とは、異質とも言える移民局の対応に関して、移民弁護士も、裁判にまで訴えるなどで争っていますが、大きな政策が現状で変化することはなさそうです。

これから、Hビザを考えられている企業側、学生側も、上記の状況を踏まえて覚悟しながら、対応してください。

また、申請途中になにがあるかわかりませんの で、かなり余裕を持って申請を始めるようにしてください。

また次回新しいトピックを考えていきたいと思います。  

 


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会社の執行役員/取締役になる。責任は?(3)_1151




法律ノート 第1151回 弁護士 鈴木淳司
March 12, 2019

いやはや雨が多く、やっと清々しい一日が戻ってきました。かなりの量がカリフォルニア州に降り、なんでも10年ほどに一度しか起こらない「スーパーブルーム」という現象がカリフォルニア州の砂漠で起きているようです。すなわち、一気に水をもらった花が咲きほこるという様子で写真も多く出ていますので、見てみてください。私も実際現地に行ってみてみたいな、と思うほど美しいです。春到来でしょうか。

会社の執行役員/取締役になる。責任は?(3)_1151

さて、前二回考えてきた「私は日本からの海外赴任としてアメリカにいた後、現地会社に転職しエンジニアとして働いていて昨年リタイアしました。リタイアしてから、自分でコンサルタント業をしていたのですが、最近カリフォルニアの会社から誘いがあり、会社の取締役と執行役員になってほしいと頼まれました。もう、リタイアしているので、あまり責任等を負う立場は嫌なのですが、仲も良いオーナーから誘われているので断りにくいこともあります。まず、アメリカの会社で取締役と執行役員というのはどのような責任を負うのか。そして、その責任をできるだけ負わないように注意すればよいのか、ということを知っておきたいのです。」という質問を続けて考えていきましょう。

責任に問われる可能性

今回は、どのような責任を負うのか、という部分を考えていきましょう。

さて、前回考えた様に、業務を執行する役員と、その業務執行機関を選任する取締役(Board of Directors)とは、野球でいうと前者が監督で、後者がGMということになります。ですので、表で業務を行うのは主に、監督ですから、CEOなどと呼ばれる執行役員ということになります。

CEOというのは、いわゆる日本でいうと社長ですが、現在は、役割分担を内部で行って、たとえば、CTOとか、COOなどという役職が存在します。

しかし、CEOが業務執行の長ですので、責任を問われることも少なくありません。

一方、業務の遂行に関して直接責任を負わない、取締役会の取締役ですが、CEOを選任したという任命責任が問われることがあります。ただ、この任命責任はかなり間接的な面がありますので、どちらかというと矢面に立つのは、CEOになるというのが一般的です。

責任ー規律を受ける法律

では、どのような責任を取るのでしょうか。

故意になにか違法なことをすれば、誰であろうと責任は取ることになります。一方で、過失や重過失については、どの程度免責が許されるかは各州の法律によりますし、会社と役員の間で契約によりある程度の免責が認められています。

州によっては、免責を最大限に認めることで、会社設立の誘致に成功したところもあります。
ここですべて詳しく取り上げることは難しいですが、
(1)会社を設立した州の法律
(2)主に会社の運営をしている州の法律
(3)会社と役員の間の契約
で規律されるということを責任の免責については、覚えておいてください。

責任の内容

次にどのような責任を負うのかというところですが、一般的に過失責任というなんらかの「義務違反」があるという場合を取り上げます。

一つ日本とアメリカで大きな違いは、この義務違反についてアメリカの方が一般的に狭く考えられているということです。

すなわち、ある時点で役員が判断をして、その判断に問題がないと考えられれば、将来なにかで失敗が生じても責任を負うことはありません。
一方で、日本は、ある時点の判断に問題がなくても、将来を「予見できた」という範囲で将来生じる責任も課されてしまうことがあります。

ですので、かりに会社の取締役なり、執行役員になった場合には、なにかの判断を行う上で、あらゆる手段を利用して、判断が正しいことを基礎づけなければなりません。ですので、アメリカでは、一般的に専門家に意見書を書かせるなどして、判断にミスがないように気をつけているのです。もちろん、そのように直接の判断をしない、役員や取締役も存在します。もし、ご自身が関わられるのであれば、どのような判断を日々しなくてはいけないのか、ということに気を払っておいたほうがよいかもしれませんね。

契約内容は書面で明確に

もちろんご友人の頼みであれば断りにくい部分もあるかもしれません。
しかし、一方で、立場上、何かの重要な経営判断を誤ると、特に株主に対してなんらかの責任が生じる場合もあります。ですので、引き受けるとしても、特に業務を執行する部分に関しては、どのような仕事内容なのか、口頭だけではなく、書面(契約書)で確かめておくことが重要になります。

特に執行役員や取締役は、雇用契約ではなく、委任契約と考えられています。委任というのは、その人のベストを尽くすことを対価とする契約ですから、「ベストが尽くせるのか、尽くせないのか」という点は、かなり引き受ける前に慎重に判断されるべきだと思います。

次回からまた新しくいただいている質問を考えていきましょう。雨がやんで、やっといつもの天気が戻ってきましたね。夏時間になるとなぜか天気も春模様になるような気がします。サマータイムに慣れつつまた一週間がんばっていきましょうね。


 

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lawyer's notes

会社の執行役員/取締役になる。責任は?(2)_1150




法律ノート 第1150回 弁護士 鈴木淳司
Mar 3, 2019

日本弁護士連合会の一部会の調査に同行してシカゴまで行ってきましたが、とにかく寒かったです。街中が冷凍庫のようでした。現地の人たちはこれでも暖かくなってきたとか、華氏40度(摂氏4度くらい)になればTシャツで十分だ、などと本当かどうかわからないことを言っていました。特に夜は街を10分ほど歩いていると悲しくないのに涙や鼻水が出てきてしまい、慣れていないとしんどいものです。同じアメリカでも気候がこれほど違うのですね。皆さんのお住まいの地域の気候は冬でしょうか、春でしょうか。

 

会社の執行役員/取締役になる。責任は?(2)_1150

さて、今回から皆さんからいただいている新しい質問を考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると、以下の通りです。

「私は日本からの海外赴任としてアメリカにいた後、現地会社に転職しエンジニアとして働いていて昨年リタイアしました。リタイアしてから、自分でコンサルタント業をしていたのですが、最近カリフォルニアの会社から誘いがあり、会社の取締役と執行役員になってほしいと頼まれました。もう、リタイアしているので、あまり責任等を負う立場は嫌なのですが、仲も良いオーナーから誘われているので断りにくいこともあります。まず、アメリカの会社で取締役と執行役員というのはどのような責任を負うのか。そして、その責任をできるだけ負わないように注意すればよいのか、ということを知っておきたいのです。」というものです。こちらを続けて考えて行きましょう。

前回は、日米の組織の違いについてざっくり考えてきました。簡単にまとめると、日本では取締役会の中から選ばれた一人が業務の執行の長になり、アメリカでは取締役会に選ばれた、取締役ではない人が業務を執行していく、というのが伝統的な形でした。ただ、近時どのような組み合わせでも、日米ともに可能になっています。

 

取締役の責任-プロ野球に例えて

今回は、簡単に責任論について考えていきたいと思います。

大まかな建て付けは、日米ともに変わりません。

取締役と業務を執行していく役付けの人たちは基本的に性質が違います。
取締役というのは、野球でいうと球団の経営陣です。そして、業務を執行していく、日本でいうと社長、アメリカではCEOと呼ばれる人たちは、監督です。野球の経営陣は、通常監督を選びます。そして、その監督が選手を選び、様々な作戦の総指揮を取ります。球団の経営陣は(一部除く場合もあるでしょうが)、主に、監督人事などを中心に行いますね。要するに、現場にはかかわらないのです。どちらかというと、球団の大きな方向性の枠組みを決めます。取締役会も同じような役割を担います。

一方で、監督はピッチャーを交代させたり、バントの命令を出すなど、現場で試合にかかわります。いわばリアルに毎日業務を執行していく役割を負うのです。

このように考えると、球団の経営陣と監督とどちらが一般の目からトラブルに巻き込まれやすいかわかりますね。監督です。いつも陣頭指揮を取っているわけですから、「監督の采配ミス」などとスポーツ新聞でかかれることも少なくないでしょう。

監督があまりにも結果を出せないときに、「監督交代か」などという見出しがあれば、それは人選の問題なので、球団の経営陣の責任を問われているのですが、監督の見出しに比べれば少ないはずです。

 

常に結果を求められるCEO

ですから、アメリカのCEOというのは、野球の監督のようにいつも結果を求められ、緊張にさらされるので、「報酬をたくさんください」という流れになりますし、ミスがあれば、いつでも「クビ」ということになるのです。

日本では社長の交代というのは、毎年行われない感覚がありますよね。
しかし、アメリカの企業では、不祥事がなくても、すぐに社長が交代するようなイメージがあります。え?と思われる場合もあるでしょうが、日本でいうとプロ野球のイメージを持たれると良いと思うのです。まあ、野球はアメリカから来ているから、もともとの建て付けがアメリカの会社運営に似ているのかもしれませんね。

 

日常の業務執行者が第一義的な責任

ここまで読むと明らかですが、責任については、社長などの業務を実際に執行していく人の方が、晒される可能性があり、どちらかというと取締役の方が、前面に出ない分、責任を突かれる可能性は低いのではないかと思われるでしょうね。通常、そのイメージが法律にも当てはまるのです。

今回までで、組織と役割について考えましたので、次回は実際にどのような責任論があるのか、今回頂いている質問を踏まえて考えていきましょう。

 

日本からくるメールでは今年は花粉がすごい、という話ですが花粉症の人は本当に辛くなりますね。カリフォルニアでも例年以上に雨が多いので、たくさん水をすった植物がフィーバーするのではないかと憂慮しています。健康に気を遣いながら、また一週間がんばっていきましょうね。


 

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会社の執行役員/取締役になる。責任は?(1)_1149




法律ノート 第1149回 弁護士 鈴木淳司
Feb 26, 2019

いやはや、ベイエリアの雨はすごいです。立て続けに雨風がやってきて、夏は水不足、冬は水過多という歪な気候になってきました。20年前とは確実に違っているわけで、気候の変動は否定できないと思います。せっかく桜や梅が咲いているのに、雨に濡れて花が落ちてしまうのはとても可哀想です。草木も気候が変だとびっくりしているのではないでしょうかね。みなさんのお住まいの地域でも、「変わったなぁ」ということがあるのでしょうか。

 

会社の執行役員/取締役になる。責任は?(1)_1149

さて、今回から皆さんからいただいている新しい質問を考えていきたいと思います。いただいている質問をまとめると、以下の通りです。

「私は日本からの海外赴任としてアメリカにいた後、現地会社に転職しエンジニアとして働いていて昨年リタイアしました。リタイアしてから、自分でコンサルタント業をしていたのですが、最近カリフォルニアの会社から誘いがあり、会社の取締役と執行役員になってほしいと頼まれました。もう、リタイアしているので、あまり責任等を負う立場は嫌なのですが、仲も良いオーナーから誘われているので断りにくいこともあります。まず、アメリカの会社で取締役と執行役員というのはどのような責任を負うのか。そして、その責任をできるだけ負わないように注意すればよいのか、ということを知っておきたいのです。」というものです。

かなり長い質問をいただきましたが、具体的な部分は割愛させていただきました。具体的な部分は、やはり弁護士に直接相談されたほうがよいと思い、そのように返信させていただきました。
法律ノートでは一般的な内容になりますが、今回の質問メールをくださった方がどこかに相談に行かれるにしても、基礎的に持っておいた方が判断しやすい内容にしていきたいと思います。

 

会社の成り立ちの違い-アメリカと日本

さて、アメリカにも日本にも「会社」というものがありますが、日本はもともとの法律がヨーロッパから輸入されているので、英国から独立した反抗心?を持った人たちが作ってきた法律とは少々、「会社の」建付けが違っています。2000年代に入って日本でも会社法が改正され、ずいぶんアメリカ的な組織をつくることが可能になってきたのですが、伝統的には違いがあるので、まず組織的なことを簡単にみていきましょう。

 

取締役の違いーアメリカと日本

会社の組織に関する法律は、国ではなく各州の法律によって規制されています。しかし、同じ国の中での話ですから、そこまで違いがあるわけではありません。ここではカリフォルニア州の法律を使って考えていきましょう。

カリフォルニアで会社をつくると、ダイレクター(Director)と呼ばれる人たちを任命しなければなりません。これは、日本の取締役に類する立場です。

役割もある程度日米で似ていて、一般的な理解としては、経営に直接タッチするわけではなく、経営の大きな面を取締役会(Directors’ meeting)で決めるということになっているわけです。ここまではあまりに日米で変わりはありません。

 

役割分担ー経営の方向性を決める人、実際に執行する人

伝統的には日本では、取締役の中から、直接経営をして、業務を執行していく人たちを選んでいきます。「代表取締役社長」というのは、取締役会を仕切る取締役で経営も長ということになります。

一方で、アメリカでは、取締役会はあるのですが、取締役会から任命された、別腹の人たちが会社を経営していきます。ということは、経営の方向性を決める人たちと、実際に経営する人たちを法律は峻別してチェックアンドバランスを法律的に組み込んでいるのです。

ただ、実際は一人会社すなわち、株主、取締役、執行する役員は全員同じ一人でも会社は設立できますので、ある程度大きな会社になれば、経営の方向性をつくっていく人たちと、実際に経営を実行していく人たちと分けることによって健全な管理体制をつくっていこうというバックグラウンドがあるのです。

そして、2000年代の日本の会社法改正によって、アメリカのように、経営の判断をする取締役会と経営を実行する社長以下の権限を分けるような建付けが法律によって導入されました。なので、様々な意見を会社の経営判断に反映させようということで、社外取締役の導入が活発化してきたのです。

アメリカでは、通常取締役会というのは、兼業している取締役も多いですし、弁護士や会計士といった人も含まれてきたのですが、日本もそのような方向になっているのです。ここから、次回続けて考えていきたいと思います。

 

私は数日間雪の多いエリアに出張することになりました。雨ではなく雪の世界は寒そうですね。風邪を引かないように注意しますが、みなさんも天候が不順なので、体調にはくれぐれも注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。

 


 

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