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Moms(JINKEN.COM)の運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。

米入国時に足止めービザ取得は必要?(1)_1147




法律ノート 第1147回 弁護士 鈴木淳司
16 Feb, 2019

堺屋太一さんが他界されました。昭和から平成にかけての卓越した物の見方や世の中の今、将来を捉え方ができる一人を日本は失いました。残念でなりません。私も20代の頃、一度お会いできるチャンスがあったのですが、理由は忘れましたが、その機会を失ってしまいました。今思うと、とても貴重な機会を逃してしまったと少々後悔しています。今一度、堺屋さんの本を反芻して、色々学ばなければならないと思いました。

天候が不順で影響が各所ででているようですが、皆さんの体調はいかがですか。

 

米入国時に止められるービザ取得は必要?

さて、今回から新しくいただいている質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。

いただいている質問をまとめると、「ここ1年ほどアメリカの子会社の設立かかわっています。出張ベースで渡米しているのですが、何度か入国で止められるようになりました。私はアメリカに長期滞在することは考えていないのですが、ビザを取るべきだ、と入国するときに言われます。入国審査の時間も長いのですが、本当にビザが必要なのか、何を持って見極めているのか教えてください」というものです。

入国審査を改めて考える

今回の質問も移民法に関連する話題ですが、移民法に関する話題は一般的に最近多くなってきましたね。次々に大統領が移民に対して厳しい方針を打ち立てています。

ただ、今回ある質問についての状況は今にはじまったわけではなく、今までも同じように入国に関して疑問を持たれてしまう場合がありました。近年ではESTAという事前渡航登録サービスが充実しているので、それまでにいつどこからアメリカに入国したのか、どの程度滞在していたのか、といった情報も事前に移民局が把握していることになります。

まず、今回の質問を考えていくうえで、アメリカの入国審査一般についてすこし考えておきましょう。

自動化が進んでも審査の基本は同じ

現在、入国審査についても、自動化が進み、かなり細かく変化が見られますが、基本的な考え方は変わっていません。入国審査についてはマニュアルが用意されていて、入国審査で必要なときに、審査官が質問します。

マニュアルは随時変更がされているようですが、基本的には、どこからなにのためにアメリカに来て、どの程度滞在するのか、というのをビザの種類にかかわらず聞きます。

ESTAで入国するときには、帰国用のチケットも、入国の際、実際の提示を促されることもあります。とは言え、ESTAは近年よくできていて、入国がかなりスムーズにできるようになりました。

 

二次チェックが必要となる場合

しかし、今回質問されている方の場合は、入国の際に、チェックが入り、第二次チェックの方に回されるという状況にあります。実際に公表されてはいませんが、何度も出入国を繰り返し、さらにアメリカから出国している時間が短い場合には、審査官の目を引くことになります。

入国は、その国の「裁量」でしかない

さて、どこの国でも同じなのですが、外国人がその国に入れるかどうかは、基本的にはその国の「裁量」です。
裁量というのは、この場合広汎な裁量であり、国が嫌だと思えば、どのような理由であれ、外国人の入国を禁止することができるのです。

したがって、ESTAを利用して、すでにオッケーが出ていても、入国の際、入国審査官の裁量により、入国ができない場合が考えられるのです。

ですので、人によっては、問題なく行き来している外国人もいれば、引っかかってしまい、第二次検査につれて行かれるということもあります。最近はウェブやSNSなどで、体験記的に「アメリカ入国時にうんぬん」という記事がたくさん出ているようですが、そのような体験は、他の人にまず当てはまらない可能性が高いのです。

なぜなら、検査の裁量は検査官にあるわけですから、一人ひとり違う部分に目を当てられて判断されるからです。

ですから、一般的にできることとすれば、ESTAの目的に合致していないんじゃないか、と疑われることを最小限にするということです。

今回の質問にある問題点を考えながら、次回どうやったら入国の裁量において、「疑われない」ように準備していくか考えたいと思います。

また、次回続けて考えていきますが、また一週間、インフルエンザに注意しながらがんばっていきましょうね。

 

 


 

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米移民法政策ー難民認定から見てみる

Jan 29, 2019

遅くなりましたが、MomsUSA/JINKEN.COMをご愛顧いただいている皆様あけましておめでとうございます。今年もサービスやじんけんニュースをよろしくお願いいたします。

移民に関してアメリカでは激動の一年になりそうです。保守的な考え方、多様性を尊重する考え方がぶつかりあい、政治全体に影響する年になりそうですね。国際弁護士ブログ(じんけんニュース)においても、逐一重要な話題は法曹の視点から解説していければよいな、と思っております。

 

移民と犯罪率?!トランプ政権の考え方

現在、メキシコと米国の国境に壁をつくる、つくらない、という議論が政府を揺るがしています。その建設根拠として現政権は、犯罪の増加を防ぐという理由付けを主なものにしています。

日本でも、外国人の犯罪について話題になることも増えてきましたが、移民を積極的に受け入れてきたアメリカでも、同様に移民の犯罪、という観点でニュースになることは珍しくありません。もともと、この数百年移民で成り立ってきたアメリカですが、今になって住んでいる移民の人たちが、新しい移民を規制することの可否が論じられています。

 

アメリカの難民申請数ー1年で33万人

このように移民政策にスポットライトがあたっている理由の一つには、2017年度の国連の統計にもあるように、33万人がアメリカに難民申請していて全世界でも、2位のドイツの二倍近くの申請数があるとされています。

この大量の難民を受け入れるという負担、受け入れ手続の対応等の観点に現政権は注目しています。国境の壁とは別の角度からの厳しい規制を検討していますが、今回難民申請の手続について大統領令をつかって変容させようとしています。

 

壁ではなく手続き面での厳しい規制

このところ、中米から難民としてアメリカを目指していた人たちが国境で足止めを食っているという話がありましたが、現政権はこの状況をある意味常態化しようとしています。今週にも大統領令が発令されるかもしれません。

まだ、大統領令の全容はわかっていませんが、難民申請を求める中米の人たちについてはメキシコに留め置き、申請から45日以内に最初の審理を行うようです。そして、審判はアメリカ国内で行うが、審判の結果がでるまではアメリカ国外に留め置くという考えのようです。

正規のルートでアメリカに入国できるまでは、アメリカへの入国を認めない、というスタンスを明確にするようです。
全容は、大統領令が出てから考えたいと思いますが、難民申請に対して過度な介入だとして、訴訟になることは明白です。大統領令は子供に対する例外や、メキシコからの申請に例外をつくる予定だそうですが、それでも、大部分の人たちは留め置かれるわけです。

政治的な部分を除いて、法律家の観点から、今回の大統領令を考えると、これら難民を助けるアメリカの資格を持った弁護士が接見や打ち合わせをすることがかなり難しくなります。

もちろん電話を使えばよい、というかもしれませんが、留め置きが国外となると、なかなか実際問題としてアクセスが難しくなることは明らかです。弁護士としても大変なことになろうかと思います。このような法的な権利をどのように処理するのかが未だまったく見えません。

また、国境に壁をつくる、ということを現政権は強く打ち出していますが、問題は、正面切って難民申請をすると、現政権が留め置きの処理をするということになれば、逆に申請をせずに、不法に入国しようとする人が増えるのではないかと思うのです。壁をつくっても、インフラの整備をしなければ意味がないというのが反対派の意見ですが、現状受け入れていた難民の手続きを急に変更すれば、なんらかの軋轢が生じるのではないかと危惧します。

すでに、アメリカで難民申請を目指す中南米の子供がアメリカに入れない宙ぶらりんの状態に置かれて死亡したという報道もありました。

もちろん、保守派にも保守派なりの理論はあるとは思うのですが、難民問題というのは国を超えて存在しています。人道的な見地からの対応にも配慮しなければならない立場にもあることは事実です。今後の政治に注目したいです。

また、新たなニュースを待ってこのトピックを取り上げていきたいと思います。

 


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H-1Bビザ申請手続の改正

H-1Bビザ申請手続の改正


Dec 17, 2018

 今年最後のじんけんニュースになりました。じんけんを通じて、抽選永住権に申請され、永住権を手にされた方々はおめでとうございます。人生には色々なストーリーがあり、色々なバックグラウンドを持った方々をサポートでき充実したと思います。来年もぜひ、抽選にチャレンジして、日本の文化などを含めたプレゼンスを高めるため、アメリカを基地にして世界に広めていただければと思います。
 驚くことではないですが、アメリカ議会は現在ねじれました。抽選永住権は法律に基づき制定されているので、大統領が何をいっても簡単には変更できないので、来年以降、継続はされることにはなるでしょう。

 

H-1Bビザ、改正のバックグラウンド


 さて、今年最後の話題は、H-1Bビザについてです。
 H-1Bビザとは、高度な知識や技術を大学卒業程度以上保持した外国人が、スキルに合致した専門職に就くときに発給されるビザです。原則として最長6年間発給され、その間に永住権申請に進むのが一般的なビザであります。

 トランプ大統領の米国保護政策で、優先的に議論されているトピックの一つです。要するに外国から、安く高度な専門性を持った人たちを入ってくると、アメリカ人の職を奪うということが憂慮され議論されているのです。

 また、場合によっては、技術系のバックグラウンドを持った外国人を雇用するように見せかけて、派遣をしている業者が横行して、オバマ政権のときから、摘発を受けていることも社会問題になっています。このような議論の中から、現行のH-1B制度を変えていこうという動きが今回の原動力です。


H-1Bビザの発給上限と抽選制度


 さて、H-1Bビザの発給は、もともと外国人が技術的な職をアメリカ人から奪うという懸念があることから、毎年どのビザの発給上限数が決められています。ここ5年ほどは、特に技術系の会社が外国人を多く雇用する傾向にあり、毎年度発給上限数を超えた応募があるため、抽選制度を導入して絞り込みを行っています。

 現在新規の発給上限数は、毎年度6万5千件プラス、米国の大学において修士以上の学位を持っている外国人用に、別枠の2万件が用意されています。H-1Bビザが新規発給され働けるようになるのは、毎年10月1日です。そして、遡って毎年4月に抽選が行われることになっています。ヨーイドンで4月に申請書を出して、抽選がなされ、当選したら申請書を出せるという仕組みなわけです。


今回の変更点ー電子申請化


 この現行の仕組みを現政権は変更するように移民局に指示しました。

 まず、新しい流れを説明すると、電子的に外国人をサポートする会社が申請書を4月1日から14営業日以内に移民局に電子送信します。そして、そのなかから、抽選で当選を決定し、通知し、60日程度を目処に実際の外国人の情報を含む申請書を提出し、合否を決めるということになりそうです。

 結局現行の制度をより電子化していこうという話なのです。
 またサポート企業の合法性についても、吟味しやすくするということです。

 この新規電子申請において、提出する情報としては、現状でわかっている範囲でいうと、企業名、税務識別番号、住所、代表者、連絡先、被用者の名前、生年月日、出生国、性別、パスポートナンバー、学位、などが含まれるということですから、今までよりも提出情報が多くなるということはないようです。

このような電子システムはオバマ政権時にも議論されましたが、濫用を防ぐには効果がない、とされて取り入れられませんでした。現政権はそのようには考えていないようです。方法論が変更されるというだけの話です。


変更点ー優先枠と抽選の順


 第二の変更点ですが、これは申請者に実質的に影響します。

 今までは、まず修士以上の学位を持ち、アメリカの大学を卒業している外国人を優先的に2万人埋めました。そして、そのあと優先枠から漏れた人たちを含め6万5千人選抜するという方法を使っていました。これをひっくり返そうというのです。

 すなわち、まず上述した修士以上の外国人も含め6万5千人を吟味する。そして、その後、漏れた修士を2万人拾うという方法論にしようとしているのです。

 このようにすると、今の推測では、修士以上で米国大学卒の外国人がHビザの発給される確率が15%以上あがるとされています。大学院もロビーイングしているのでしょうか。


ヒアリングを経て決定


 これら2点が大きな変更点ですが、来年1月2日まで、ヒアリングが行われています。その後、移民局が規則を制定するという形になります。
 あまりドラスティックな変更ではないので、通ることが確実視されていますが、実質的に4年制大学卒業の外国人には打撃になりそうです。

 この変更が問題なく発効して実際に実務に取り入れられるまで、時間がかかり、2019年度には間に合わないのではないか、と言われています。
 そうすると、はやくても2020年度の申請時に新たなシステムが導入されることになりそうです。

 また、実際に規則が制定されたら詳しくご紹介したいと思います。現政権は、移民に対してかなり強硬な対策を打ってきていますので、この傾向は来年も変わらないかもしれません。

皆さんが平穏な年末年始を送られることをじんけん弁護士スタッフ一同、心から願っております。また、来年じんけんをよろしくお願いいたします。


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DV2019【2019年2月の面接予定】グリーンカード抽選

【DV-2019面接の状況】

GreenCard_DV2019Interview_Feb

*このケースナンバーは、2018年5月に当選発表があったDV2019に関するものです。 DV2020は、2018年10月3日〜11月8日までが応募期間となっていたプログラムです。当選発表は、2019年5月です。

DV2019アメリカ抽選永住権(グリーンカード抽選) の面接は、上の表のように、米国務省から毎月発表されるケースナンバーにもとづいて進められていきます。 ( Visa Bulletin で検索してください。URLは変更になることがありますが、US Department of Stateから毎月発表になりますので、かならず公式サイトからもご確認ください。) ケースナンバーの見方は、こちらからどうぞ

 

グリーンカードDV2019では新たな手続きが追加

11月から当選後の手続きの一部が追加された影響も、やや懸念されましたが、Case Numberの進み方は順調です。特にアジア地域は、場合により、例年よりも数ヶ月早まる可能性があります。

KCCへの書類送付もスムーズに行えるように、準備を進めておくことをおすすめいたします。 面接日時の設定は、手続きが追加になったことで、例年よりも若干時間がかかる場合も考えられます。待ち時間は不安になりがちですが、一喜一憂することなく、必要な手続きを行なって面接日時が設定されるのを根気よくお待ちになった方が良いでしょう。 ですが、手続き全体としては、大幅に効率化が図られていると考えています。

今回は、2018年10月から面接が開始されたDV2019のケースナンバーの第5回目の発表になります。 DV2019当選にもとづく面接は、2019年9月30日をもってすべて打ち切られます。


さて、DV-2019の2019年2月面接予定が発表になりました。 日本を含むアジア地域は、以下の通りのケースナンバーまでが面接となります。

2019年  1月: 3,800(ネパール 2,150 / イラン 2,900)
2019年  2月: 4,400(ネパール 2,800 / イラン 3,400)

*ネパールとイランは、当選者数が多いことから、独自にCut-offナンバーが設定されています。 面接の進捗状況次第で、途中からネパールやイランもアジア全体に組み込まれる場合があります。

*次回ケースナンバーは、2019年1月10日前後に発表になります。

*トランプ大統領の発した渡航禁止令が、連邦裁判所で支持されました。しばらくの間、アジア地域の一定の国々の渡航禁止は続きそうです。


ケースナンバーが該当しても、面接通知がアップデートさて、面接日時が設定されるかは、個々の事情により異なります。 ケースナンバーの見方や「Current」の意味合いの解説はこちらから

この時点で金銭が要求されることはありません。詐欺メールには、十分にご注意ください。 詳細は事務局までお尋ねください。< i@jinken.com > まで。

当選後の手続きを進められている方々は、無事に面接に進まれ、移民ビザ発給を受けられますように!

 

DV2019当選後サポートを承ります

JINKEN.COMでは、DV2019においても、ご利用の皆様すべてに移民ビザ、グリーンカードを手にしていただけるように、事務局スタッフ一同細やかなサポートを心がけております。 ご当選者の皆様は立場が様々です。DV2018当選後サポートでは、DV2017までと同様、弊社のお客様は移民ビザ取得率が100%を継続することができました。DV2019でも気を引き締め、当選後サポートご利用の皆さまがグリーンカードを手にすることができるように努めて参ります。 弊社の面接サポート等もご利用いただくと、思い悩む時間も節約でき、また次のステップが見えやすくなります。そのため、お仕事と併行しながら手続きを進められる方々にも、大変ご好評をいただいております。

ギリギリのお申し出ではご希望に添えない場合もあります。サポートご希望の方は、ぜひ一度お問い合わせください。(i@jinken.com まで) 完全な定額料金で、ご相談に応じた料金加算はございません。


▼DV-2019の当選後サポート、受付中!

グリーンカード取得まで、とことんお手伝い。1年以上の長期にわたって、メールのやり取りは200,300,400以上が当たり前。

各種証明書の翻訳・面接その他のコンサルティング・実際のグリーンカード取得者の経験にもとづく専用QAページ・各国の警察証明取得・大使館等への問い合わせが、すべてセットになっている総合サービス

面接通知はどうやってくる?次に何をすべき?…日常と併行して手続きを進めるのは、本当に大変です。 気軽に相談できる専門家がいれば、心強いこと間違いなし!大きな不安を、ぐっと軽減します。 https://jinken.com/win/

*当選後手続きは、細やかなサポートを徹底するため、お断りする場合があります。 サポートをご希望の方は、まずはお気軽にお問い合わせを。(i@jinken.comもしくは各担当者アドレスまで)

 

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アメリカで事業買収(2)_1140




法律ノート 第1140回 弁護士 鈴木淳司
Dec 15, 2018

アメリカで事業買収(2)_1140

飛行機の機内で忘れ物が見つかり、わざわざ引き返したというニュースがありました。忘れ物は人の心臓。見つけた人もびっくりしたでしょう。たぶん移植のために、運搬中に起きた事故らしいです。長いフライトだとなんらかの忘れ物をすることはよくありますが、どうもプロの臓器を運搬する会社が忘れてしまったそうです。機内清掃もするでしょうし、なぜ離陸を終えるまでわからなかったのか、不可思議なニュースでした。移植用でしょうから、手術に間に合ったかが気になります。世の中には不思議なニュースがありますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、前回考えてきた「日本から質問しています。現地カリフォルニアに所在する小さな加工業者を買収しようと計画を進めていたのですが、最近になってこの業者は、会社形態ではなく、オーナーの個人所有ということがわかってきました。当社(日本の企業)としては、このカリフォルニアにある生産加工のロジスティックを一括して譲り受け事業をアメリカ国外にも展開したいと思っているのですが、このような個人事業を買い受けることが社内で問題になっています。注意点を教えてください。」という質問を続けて考えていきましょう。

 

個人事業主の買収

前回は個人事業主と会社形態について、どのように棲み分けるのかを考えました。少々注意をすれば、わかることなので、これを機に理解をしておいてください。

今回は、少し進めて、かりに個人事業主の商売を、買い取る場合には、どのような法律的な点を気にしなければならないのか考えていきたいと思います。

個人事業主というのは、個人の会計と商売の会計が一体になっているはずです。すなわち収入も個人で受けて、必要な経費を払い、税務申告も個人で行っています。

そうすると、かりに個人の税務申告書を確認したとしてもわからない点がかなりあるのだと思います。
とすれば、「ビジネスを買う」といっても何を買うのか、判断基準がわかりにくいということになります。

 

個人事業主の負債を見極める

一番に注意しなくてはならないであろうポイントは、この売主となる個人事業主にどの程度の負債があり、事業に影響しているのかを確認することです。

毎月ローンとして返しているのであれば、それは会計書類にも出てくるでしょうが、借入金のなかには、何年後に一括返済などというものもあるので注意が必要です。

もちろん本人に聞き取りをして詳細を明らかにするのが重要ですが、すべて網羅しているのかは、不安なこともあります。最終的に不知の負債については、売主が責任を負う、という形で契約書のなかに盛り込むことになりますが、不意打ちが発生する可能性もあるので、詳しく調べておくことは重要です。

単に負債があるだけでは、個人事業主の売主が負うような形になっているかもしれませんが、肝はどのような担保権が動産などの財産に設定されているのかを明らかにすることが大事です。

 

株式会社の買収方法

次に、株式会社であれば、株を譲り受けるという売買方法と、財産を譲り受けるという事業譲渡の方法が考えられます。株を譲り受けると、会社に存在する負債、たとえば、税金の滞納分なども引き継がれるので一般的におすすめできません。もちろん、親会社が完全にコントロールしている子会社を合併するというのであれば、全体像が把握できているのですから、あまり問題はありません。

一方で、まったく以前から関係のない第三者から会社をそのまま譲り受けるのは、不知の負債がある可能性から、リスクは存在するのです。

したがって、売主である会社にある財産だけを切り抜いて事業譲渡とすることが、他に考慮事情がなければより良い選択になることが多いわけです。負債を切り離せるのです。

 

個人事業から譲渡可能な財産のリスト化

この会社の考え方からわかるように、個人事業主のビジネスにしても、譲り渡しの可能な財産を定めて、価値をつけ、その対価を払うことで事業を譲渡することが可能になります。

財産といっても、目に見えるものだけではなく、ノウハウや顧客リスト、知的財産権など、目に見えないが、かなり重要なものも含まれます。のれん代、ということもありえます。

もちろん、売買が発生すると課税対象になりますので、税理に詳しい人をいれて、詳細な財産の構成をつくるべきなのですが、購入の対象となる財産をリスト化していくことがまず第一歩になります。

ここから次回考えていきましょう。

 

私の所属する事務所のパーティーも無事に終わり、もう年末だな、という感じになってきました。やり残したことも多くあるので、色々忙しいのも年末感でしょうか。体調を崩す人が周りでも多いです。体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。

 


 

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アメリカで事業買収_1139




法律ノート 第1139回 弁護士 鈴木淳司
December 08, 2018

アメリカで事業買収_1139

私が所属する事務所の脇に、カリフォルニア州ではじめてとなる、レジのないスーパーができました。結構ニュースにもなっていて、お上りさんで賑わっていますが、私も早速行ってみました。なんだか、万引きしているような気分になりますね。便利になったものです。
一方で、そのスーパーにない商品について、店員と話をしていると、インターネット経由で買ってください、などと言われてしまいました。そうすると、そもそもスーパーの存在意義があるのかな、などと思ってしまいますが。みなさんは時代の流れについていっていらっしゃいますか。

 

さて、今回から新たに読者の方からいただいている質問を皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
 いただいている質問をまとめると、「日本から質問しています。現地カリフォルニアに所在する小さな加工業者を買収しようと計画を進めていたのですが、最近になってこの業者は、会社形態ではなく、オーナーの個人所有ということがわかってきました。当社(日本の企業)としては、このカリフォルニアにある生産加工のロジスティックを一括して譲り受け、事業をアメリカ国外にも展開したいと思っているのですが、このような個人事業を買い受けることが社内で問題になっています。注意点を教えてください。」というものです。

 

個人事業主としてビジネス展開

かなり具体的な内容のメールをいただきましたが、要はカリフォルニア州に会社があると思いこんでオーナーの人と話を進めてきたところ、蓋をあけてみたら、書類がなかなか出てこない。問い詰めると、個人事業のまま数十年間事業を続けていたということのようです。
実際のところ、古くから人をあまり雇わずに、たとえば家族で事業を行っているというところは、存在します。私も過去に、何十年もあるビジネスを行っていたが、老後を考えて子どもたちに譲りたい、という話を聞き、情報を収集していると、会社ではなかったということも何度かありました。

それでも、全然問題はなく生活は送られていたわけですし、税金もちゃんと納めていれば、なんら政府に対しても問題はないわけです。最近の「起業」というと、アイディアを出してお金を集めて、あわよくば上場、というスタンスが多いのですが、ある一定の技術を持っていたり、評判が定着していれば、外からお金を無理やり集めなくても、お金はついてきてくれるのです。

以前アメリカの大手エンターテイメント会社が、日本のスタジオジブリを買収したいと見学にいったら、少人数で小さなオフィスに固まって仕事をしている、という光景を見て驚いて戻ってきたとか。いわゆる職人気質の人たちというのは、何時の世にもいるわけで、「会社を大きく」という命題がなくても幸せに暮らしているものなのですね。

 

会社名と屋号

さて、今回の質問メールを見ると、最初は名刺をもらい株式会社の名前が書いてあると思った、ということですが、たぶんそれは会社名ではなく、日本で言う「屋号」です。

個人事業主が自分の名前でビジネスをせず、なにかビジネスやお店に名前をつけるということがよくあります。日本でも個人事業主が屋号を使う場合には税務署に届出をしますが、アメリカでも一般的に屋号を使う場合には、州のなかにある各郡に届出をします。

屋号の登録ーFictitious Business Nameー

企業でも屋号を取ることができますが、企業は商号である企業名をそのままビジネスに使うことが多いので、別途屋号を取る必然性はありません。アメリカでは個人事業主やパートナーシップが別途屋号の登録をすることが多いです。

屋号は、英語ではFictitious Business Nameと呼びます。よく、翻訳文で「通称」と使っているものをみますが、通称は個人が別途他の通称名を使っているような場合で、also known as と法律の文書では言います。AKAと略すこともありますね。

Fictitious Business Nameの場合は、決まり文句として doing business as という表現をします。「個人名doing business as (またはDBA)屋号」という形になります。

郡に申請し登録しますので、屋号でビジネスをすることは個人事業主としては、まったく問題ありません。したがって、名刺にも屋号を刷ることは問題ないのです。

そうすると、今回質問にある「最初勘違いした」というのは、たぶん屋号をそのまま会社名だと間違えたのではないでしょうか。もちろん個人事業主の場合、屋号に株式会社と混同するようなIncorporatedとか、Corporation、Inc. Corp. などという単語は含めません。登録も拒否されます。

したがって、まず名刺を注意深く確認することが、初動としてとても重要なのです。
次回続けていきましょう。

私の所属する事務所のホリデーパーティーも来週になりました。もう一年が終わるのですね。
自分が一体何を社会のためにしてきたのか、反芻しなければならない季節です。流行り病に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。

 


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過去の薬物使用歴とアメリカ入国(2)_1138




法律ノート 第1138回 弁護士 鈴木淳司
December 4, 2018

過去の薬物使用歴とアメリカ入国(2)_1138

やっとベイエリアにも雨の恵みがもたらされましたが、今度は体の調子を崩す人が周りに増えました。自然と人間の付き合いというのは、両者にとってなかなか大変なものです。賑やかなパーティーも増えてきて、街は混雑していますが、皆ひとときを楽しんでいるようです。皆さんのホリデーシーズンはいかがでしょうか。お互い食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけましょうね。
さて、「日本に在住する者です。学生時代にアメリカ(カリフォルニア州)に住んでいました。マリファナに関係するトラブルで警察沙汰となり、大学からビザはもう出せないと言われ、退学をして日本に戻ってきました。最近、カリフォルニア州ではマリファナが合法化された(される)というニュースを見たのですが、過去のマリファナに関する罪をなんとかして、もう一度アメリカで勉強したいという思いが強くなりました。なんとか、アメリカの学生ビザが再度発給されないでしょうか。」というものです。

前回まで、今回の質問で問題になっているカリフォルニア州におけるマリファナの罪に関して考えました。合わせて、最近の動向も考えたと思います。今回は、移民法に関して考えていきたいと思います。

マリファナをめぐるカリフォルニア州法と移民法との差異

米国で移民に関する法律は連邦政府が立法化できる専権事項であって、州は口を挟めません。
現在、連邦政府と州が移民法に関してぶつかる論点が増えていますが、マリファナの合法化についても、その一つです。すなわち、この記事を書いている時点では連邦政府は、マリファナについて一切の合法化を認めていません。

従来の法律に変化はありませんから、たとえ、カリフォルニア州で、マリファナが合法化になり、違法性が阻却されることになったとしても、移民法上は、薬物禁止規定にひっかかることになります。

もちろん、現状ではマリファナの使用を合法化する動きが活発なので、移民局もその「裁量」の範囲内で柔軟にビザ発行の合否を変化させてきていると思いますが、移民法上は「なかったこと」にはならないと考えておいてください。

遡って罪を抹消する請求ーカリフォルニア州法

さらに前回考えましたが、罪を遡って抹消できる請求がカリフォルニア州内では可能です。一般的にExpungementと呼ばれる手続きです。この手続によって、罪はなかった、ということで履歴書や一般生活上は申告することが可能になるので、就職などの日常生活にはプラスになることは間違いありません。

しかし、政府関係の申請には、Expungementをした罪についても記載しなければ、不申告と捉えられてしまいます。そうすると、移民法に関して申請をする際に、Expungementをしたあとでも、前科前歴について記述しなければならないということになります。

移民局は、前科前歴を考慮できるので、マリファナに関する犯罪に関しても、ビザの発給可否について必ず確認します。どの程度シビアに考えるかは、各申請の具体的な判断となりますので、ここではなんとも言えませんが、最近では多くの申請者に薬物依存がないかどうかのテスト結果を提出するように指示しているケースが増えています。
少なくとも、単純な拒否ではなく指示に従って検査結果を提出するように言われているケースでは望みがあるということになろうかと思います。

連邦政府と州政府で扱いが違うことを踏まえて対応

このように連邦政府と州政府ではマリファナに関しては対応が違っているのが現状です。

ですので、今回の質問のようなケースでは、まず逮捕、起訴され有罪となった州のマリファナに関する法律を調べたうえで、抹消できるのであれば、抹消するのが最優先事項になります。

そして、もう一度、学校に入学許可を貰えればもらうことが重要です。入学許可をもらい、そのうえでビザを申請するのであれば、連邦法の問題になりますので、そのときには、抹消請求をしたことも含め、前科前歴は隠さずに申告し、そして、与えられた指示にしたがって、粛々と申請を進めてみるということになろうかと思います。

 

もう師走ですね。一年が終わろうとしています。いろいろやれなかったことも山積みにはなっていますが、昨年末は私の所属する事務所の引っ越しがあり、大変だったことを考えると、今年は平穏で何よりです。皆様も平穏無事に今月を過ごし、良い新年が迎えられると良いですね。

とにかく、あともう少しで今年も終わります。気を抜かないでまた一週間がんばっていきましょうね。


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過去の薬物使用歴とアメリカ入国(1)_1137




法律ノート 第1137回 弁護士 鈴木淳司
Nov 26, 2018

過去の薬物使用歴とアメリカ入国(1)_1137

北カリフォルニアの大火事は、嵐の訪れによって一時的な落ち着きがもたらされましたが、今度は土砂崩れの被害が憂慮される事態になりました。災害は続いています。今年の冬は雨や雪が多いのでは、と期待を込めて人は語りますが、来年の夏の干ばつや火事はどうなるのか、すでに今から心配してしまいます。

さて、今回から新しくいただいている質問について皆さんと一緒に考えていきましょう。
いただいている質問をまとめると、「日本に在住する者です。学生時代にアメリカ(カリフォルニア州)に住んでいました。マリファナに関係するトラブルで警察沙汰となり、大学からビザはもう出せないと言われ、退学をして日本に戻ってきました。最近、カリフォルニア州ではマリファナが合法化された(される)というニュースを見たのですが、過去のマリファナに関する罪をなんとかして、もう一度アメリカで勉強したいという思いが強くなりました。なんとか、アメリカの学生ビザが再度発給されないでしょうか。」というものです。

今回の質問に関しては、色々詳細を聞いてみたいところがあるのですが、読者の方々と情報を共有するためにも、いくつかのシナリオを想定しながら考えていきましょう。

以前取り上げましたが、最初にカリフォルニア州でマリファナが合法化になったことについて、全体的な法律改正を見ていきましょう。

カリフォルニア州、マリファナ合法化の経緯

まず簡単な経緯ですが、2016年の11月の選挙の際に並行して投票される住民投票第64号(Prop 64)が賛成多数で承認されマリファナの合法化が決まりました。その前にも、1996年に医療用のマリファナは合法化されていたのですが、一般的な使用についても、2016年に合法化されたのです。

そして、マリファナ合法化の法律施行は、2018年1月1日となりました。Prop64を受けて、マリファナに関する州の法律、主に健康安全法(Health and Safety Code)が改正されたのです。マリファナ合法化といってももちろんフリースタイルに変更されたわけではなく、基本的に21歳以上でなければ使用できませんし、使用の場所も公では禁止されています。

頒布販売についても、制限されていますし、栽培についても緩和されましたが、まだ制限されています。

過去の有罪事件と事後救済

今回のマリファナに関する法改正に伴って、以前にマリファナに関する罪で有罪になった事件についても、事後的に救済されるようになりました。以前は、マリファナの所持、使用でも罪に問われ、有罪となったケースも多くあります。

これらの前科について法改正で事後的に合法になったわけですので、罪の再考慮がなされることになったのです。方法論としては、まだ公判が維持されているのであれば、起訴の再考慮を求め、有罪となってまだ裁判所の保護管轄下であれば、裁判所に罪の再考慮を求めることになります。

そして、すでに罪が確定し、罪に伴う条件をすべてクリアーしているような場合には、前科の再考慮、抹消を求めることが可能になりました。

基本的に、新たな法改正で罪とならなくなった、また罪が軽減される場合、裁判所に書面を付して申立を行います。検察官に異議がなければ申立は認められます。異議がある場合には、検察官はそれなりの異議を行うための証拠をもって、審理が行われることになります。

しかし、事実関係で争っても、法律そのものが改正されたのですから、検察側としてもなかなか争うことが大変になりそうです。ですので、マリファナに関する罪については、実際あまり検察官が争うということはありません。

前科の抹消が認められる可能性

今回質問されている方の事例の詳細がよくわかっていませんので、なんとも具体的なことは考えられないのですが、「警察沙汰」になったことが実際は有罪になったということであれば、その前科について、再考慮または抹消を州の裁判所に求めることは可能になります。本人の出廷がなくても、認められる可能性が高いので、チャレンジしてみる価値はあるのではないでしょうか。

カリフォルニア州法と連邦法は別

ただ、理解していただきたいのは、マリファナに関する罪については、カリフォルニア州内の動きであります。今回質問されている方も州の裁判所において、刑を言い渡され、あくまでもカリフォルニア州内で、刑が再考されることになります。そうすると、連邦の管轄である移民法に関しては、また違った考えが必要になります。ここから次回考えていきたいと思います。

もう冬なはずなのですが、まだ暖かい日もあります。雨が降れ、と願いながらまた一週間がんばっていきましょうね。

 


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ビザ取得の収入要件が厳しくなる?!公的扶助と米移民法

ビザ取得に収入要件が厳しくなる?!公的扶助と移民法

Oct 12, 2018

トランプ政権は、矢継ぎ早に対移民政策を打ち出していますが、2018年9月22日付けの公告をみると、また、移民を制限する行政規則を制定しようとしています。

今回考えるのは、公的扶助に関連する移民法の話題です。

まだ、規則として制定・公布されていませんが、案はすでに公になっています。かなり詳細な規定案を策定しているようなので、公告から60日間、パブリックヒアリングをしたらすぐにでも規則として移民局が執行する可能性が大きいです。

ちなみに「法律」というのは、議会(国会)の議決を経なければ制定したり、変更したりすることはできません。三権分立の基本です。
しかし、法律があっても、細部に関してはなかなかすべて法律そのもので決めることは難しかったり、機動性を欠いたりします。そこで、行政府が法律の執行のために「規則」を制定するのです。

移民の法律に関する運用を行政府がコントロールできる規則をもってできるだけ厳しくしようとしているのが、現政権のやり方なのです。

 

公的扶助を受けることになりそうな外国人とビザ発行拒否

さて、今回取り上げるのは、移民法212条(a)(4)項です。

この法律の条文には、「公的扶助を将来受けると思料される外国人に対しては面接官の裁量でビザの発給を許可しないことができる」という部分があります。
この外国人の公的扶助受給について厳しく制限していこうというのが、今回の規則案の趣旨です。

 

規則案をより具体的に

今回の規則案をまとめると、

(1)アメリカ国外において、ビザまたは永住権の申請をしている外国人、アメリカ国内において、永住権申請、またはビザの延長、ビザの種類変更をする外国人に適用される。

(2)(1)にいう申請時に公的扶助の受給を受けている場合、また受けると思料される場合には、申請を拒否できる。

(3)(2)にいう公的扶助の受給歴、受給の可能性は、金銭受給に限られず有形無形の公的扶助を含む(細かく規則案には箇条書きされている)。

(4)公的扶助の受給歴またはその可能性の判断は、様々な事実を総合考慮し、審査官の広い裁量とする、ということになります。もちろん、いくつかの例外はありますが、ごく限られた場合以外は、この新たな規則が適用されていくことになります。

 

「総合考慮」を掘り下げて考える

上記(4)にある総合考慮ですが、事実であれば、プラス、マイナス、どちらに働くものに関しても考慮されることになります。最低限、考慮の対象になるのは、年齢、健康状態、家族構成、財産、収入、教育レベル、習得技術です。
これに加え、米国に入国後、どのような生活、仕事を行うのか、家族からのサポートはあるのか、どの程度アメリカに滞在予定なのか、などのファクターが考慮対象になると考えられます。

ただ、家族が公的扶助を受けているかどうかは、申請者自身の考慮事情にはならないようです。
プラスのファクターとして考慮されるのは、現在収入があり、その収入レベルが連邦の発表する毎年の貧困ガイドラインを上回る生活最低額の少なくとも250%以上であることです。

2018年の4人家族で2万5千ドルが貧困ガイドラインを上回る生活最低額となっています。

同様に、ネガティブのファクターだと解釈される可能性が高いと思料される場合として、現在仕事がなく、将来にわたって仕事がのぞめないと思慮される場合(学生ビザを除く)、現在扶助を受け取っている場合、長期の既往歴がある場合、健康保険に不加入の場合、介護が必要な場合、などでしょう。

 

各方面からの指摘も

アメリカ移民法協会などでは、このような公的扶助の制限を厳しく外国人に対して行うと、いわゆるワーキング・クラスの外国人が減ってしまうという結果になるのではないかと予測しています。トランプ政権は自給自足をするのが、移民にとっては当たり前だ、と言っていますが、そう言いきれるのでしょうか。

今までのアメリカの歴史は移民で成り立ち、その人達は少なからず公的扶助を受けてきましたから国が成り立っているのですが。ただ、長年税金を払い続けている人たちから見ると、移民を受け入れたらいきなり公的な生活補助を受けだすことについて良くは思わない人たちも多くいると思います。日本でもヨーロッパ諸国でも議論されていることではあります。

みなさんはどのような意見をお持ちでしょうか。

どちらにしても、今回の規則案が執行されることになると、かなりまたビザ・永住権の申請に制限的な影響をもたらしそうです。

次回また新しい話題を考えていきたいと思います。


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トランプ政権下の外国人の入国・滞在-NTA-




トランプ政権下の外国人の入国・滞在-NTA(Notice to Appear)を中心に-

Sep 14, 2018

0 まえがき

オバマ前政権下では、アメリカへの移民が増え続けていましたが、現政権になってから、移民は減り続けています。移民局が発表しているデータがそれを表しています。今までアメリカにはない、移民政策が現状で展開されています。よく人から、「なぜ、入国管理などの記事を書いているのに、『じんけん』なのだ」と言われますが、おっしゃる通りで、もともとJinken.comは移民や入国管理のことだけではなく、広く人が関わる権利義務について取り扱っていきたいという意味があります。今回考えるトランプ政権の進める政策は、今まで「不法移民を許さない」と言っていたはずですが、「合法的に滞在している外国人」だけでなくアメリカに「永住する外国人」に対してまで、「外国人」というくくりで締め付けをはじめました。明らかにやりすぎです。

今回の記事を書く過程でかなりの文献に目を通しました。執筆者の意見から入って恐縮なのですが、現政権の移民に対する舵取りはあまりに「やりすぎ感」があります。
現在「景気が良い」ということを盛んに現政権はアピールしようとしていますが、まったく先を見ていないように思います。

考えてみてください。
優秀な移民がたくさんいることで成り立っている国が、移民を排除する動きを加速させれば、これからアメリカはさらに移民が減り、魅力がない国になっていくでしょう。

しかし、今移民政策を打ち出している連中も、もともと移民ですし、大統領の妻も、いわゆる「チェーンイミグレーション」で家族を連れてきている張本人ですし、現大統領の母親家族もチェーンイミグレーションの恩恵でアメリカにいるわけですね。

サンフランシスコの国際空港で働いている移民局の職員を見てください。英語もロクに話せないアジア人などたくさんいるわけです。自分たちのことは棚に置いて、今現在移民しようとしている外国人を締め付けるなどというのは、常識がないと思います。

10年後、いや数年後には、アメリカにとっては明らかにマイナスが発生する政策を推し進めています。実際に、今回考えるNTA政策ですが、トランプ大統領の妻の移民弁護士が反対を表明する始末です。「もう、こんな国やめた」という人が出てくるでしょうし、そこをチャンスとして、他の国が優秀な英語を話せる人を抱き込むということもありえるのでしょうか。

合法にアメリカに住み、働き、生活をしている外国人にも影響する状況になっています。Jinken.comの趣旨に合致する人権問題が十分に発生する下地が現状できていることを皆さんに理解していただきたいと思います。

 

今回、以下詳述するNTAの問題ですが、移民業務にもかなり影響を与えると思います。

ほとんどの「移民弁護士」というのは、宣伝はどこにでも載せて、記事なども色々書いているようですが、法廷などほぼ経験はゼロの人たちが大多数です。日本では行政書士という職業があって、行政に対する申請書などを主に手がける人たちがいますが、アメリカにいる(特に日本でアメリカ移民うんぬんとやっている人たち)移民「弁護士」はほぼ、行政書士業務をしているのが実態です。弁護士というのは、法廷に立ってなんぼの職業です。

なぜ、このような指摘をしているかというと、今回から移民法業務には密接にNTAが問題になりますが、これは移民裁判所、ひいては連邦裁判所で戦う必要がでてくる問題です。

ですので、大多数の移民法専門弁護士は太刀打ちできない問題となることは必須です。
本当に法廷業務の経験を踏まえて移民業務を扱っている法律事務所に頼まないと、外国人の申請者の不利益となります。今後の移民業務についてはくれぐれも事務所は選ばなければなりません。

1 NTAとはなにか

移民局が2018年7月5日に公表した、アップデートにある定義を要約すると「NTAすなわち、A Notice to Appearとは外国人に送達される書面であり、その書面には非通知外国人の移民裁判所への出頭場所および日時が記載されているもの」となっています 。本稿では、省略してNTAと呼ぶことにします(*1)。

このNTAに対応したことがない移民弁護士もたくさんいると思いますが、使われているフォームはI-862です (*2)ので、確認してみてください。このフォームはアメリカ政府が該当する外国人が強制送還の対象であるとみなした場合に利用されます。

I-862を受け取った外国人は、行政審判である移民裁判所での審判を受けなければなりません。このI-862を受け取った外国人の裁判所出頭は義務付けられていて、出頭を拒否したり、理由はともかく不出頭であったりすると、「不出頭」ということでそのことも移民法違反として捉えられます。したがって、I-862というのは、かなり強力に裁判所に外国人を出廷させるための政府側の手段といえます。

さてI-862というのは、多くの弁護士も対応したことがない場合が多いと思いますが、もともと難民申請のときに利用されてきました。

移民局のデータでも、最近まで十中八九、難民申請の際に利用されてきたことがわかります(*3) 。難民を認定しない日本に住む日本人にはピンとこないかもしれませんが、アメリカではかなりの数の外国人が難民認定を求めてやってきます。ただ、自分が難民です、というだけではなく、自国に戻ると政治的な迫害に遭うことを主張して認めてもらわなければなりません。

そして、この迫害を「信用性のある強迫された状況」であるとアメリカ政府に認めさせなくてはなりません。そして、現場の移民局の職員ではなんとも、判断ができない場合も多く、慎重に審理しなければならないというときに、難民申請者の利益を考えてI-862を渡してきたのです。

難民申請が妥当かどうか、現場ではなく、裁判所に慎重に吟味してもらったほうが良いであろうということなのですね。難民申請をしている人についても、その場で申請を拒否されるよりは、待って裁判所に判断してもらったほうが良いと思います。ですので、今まではI-862というのは、このような事実関係について慎重な吟味が必要な場合に使われてきました。I-862の趣旨をよく理解していない、またはまったくの趣旨違いことを念頭において、現政権は「移民狩り」に利用しようとしています。

2 NTAはなぜ法律上必要なのか

アメリカの憲法(修正第5条および修正第14条)においてデュープロセスという単語が使われています。日本でも馴染みがある言葉だと思いますし、アメリカ憲法にしたがった考え方が敷衍しています。

アメリカ憲法でデュープロセスというと、色々な切り分けができるのですが、大きく分けて、法律は万人にフェアな内容でなくてはならない、という実体的な考え方と、法律に基づく手続きは万人にフェアでなくてはならないという手続的な考え方があります。両方のコンセプトは、国家の中核になる考え方です。法律もフェアでなくてはならない、手続きもフェアでなくてはならないのです。上記1で考えた今までのI-862を難民認定に利用するというのも、デュープロセスを使って手続的にフェアでいたいという精神の現れなのですね。これが一つの切り分けの方法です。




もう一つの切り分け方法を読者の方に知っておいていただきたいのは、修正第5条のデュープロセスは主に連邦の法律に適用され、修正第14条は州のデュープロセスに適用される憲法の条項ということです。

移民法は、連邦政府の専権事項ですので、今回問題になるのは、修正第5条のほうだということになります。未だに数十年前に受験したときの司法試験でよく覚えているのは、この修正第5条の出だしです。「No person shall」と書き出されています。簡単に読んでしまうとその意味をよく捉えられないのですが、アメリカ国民であろうとなかろうと、ということが書いてあるわけです。そして、アメリカ憲法はアメリカの国土全体を統治する法ですから、アメリカ国内にいれば、国籍、性別、門地、など何ら関係なく、デュープロセスの対象になるわけです。この国内にいる人に平等にフェアな法律によって裁くというのが、アメリカの強さの根源であり、司法の魅力の根底にあるのです。

さて、移民法をデュープロセスの観点から少々確認してみましょう。

まず、アメリカ国外のアメリカ大使館・領事館でビザや永住権の発給を求める申請をすると、申請者本人の申請に関しては、本人が大使館・領事館に出頭してインタビューを受けることになります。かりに、この出頭した面接で、ビザ・永住権申請の拒否を食らってしまった場合、再度申請をする以外に救済策はほぼありません。

なぜなら、アメリカ「国外」での申請のため、アメリカ憲法で定められたデュープロセスが発動しないからです。一方で、アメリカ国内にいったん入ってしまっている外国人にはデュープロセスが適用されます。アメリカ国内でビザの種類の変更などをした場合には、拒否にあっても、再考を求めたり、行政審判を求めたり、最終的には、連邦裁判所に判断を求めることができます。私が具体的な相談において「できるならアメリカ国内での判断を受けることのほうが良い」という場合には、かならずこのデュープロセスに関する経験に基づいているのです。

このように、アメリカ国内にいる外国人に対しても、確実にデュープロセスがあるわけですので、移民局にしても、「はいさようなら」と言って簡単に外国人を強制送還処分にできるわけではありません。ちなみに、アメリカに入国を試みている外国人が入国を許されず強制送還処分になる場合がありますが、これは、まだアメリカ国内にいるわけではないので、デュープロセスが適用されないからなのです。一方で、いったん、何らかの形でアメリカ国内に入っていれば、外国人でも、移民に関する法律は移民裁判所による判断、連邦裁判所による判断を受けることができるのです。

上述した難民申請の事実認定で判断が難しい場合、本人が積極的に移民裁判所の判断を求めなくても、移民局側から、移民裁判所の審判を受けられるようにするツールがI-862ということになります。I-862を送達されれば、外国人は移民裁判所において、事実関係の判断を受け、その判断が不服であれば、司法の判断を求めるべく連邦裁判所に提訴できるシステムになっています。ある意味今までI-862は助け舟的な要素があったのです。

このように外国にいる外国人には、もともとデュープロセスが適用されないので、NTAは不要なのですが、アメリカ国内にいる外国人が最終的に司法判断を求めるためのデュープロセスの一環として、NTAは用意されていたのですね。

ところが現政権は、このNTAを違った趣旨で利用しはじめて、アメリカ国内にいる外国人の権利さえも脅かしはじめています。

3 現政権のNTAに関する今までの動き

2017年2月20日にジョン・ケリー国務長官が移民局関係者に対して「国益保護に資するための移民法の執行について」という通達を出しました(*4) 。要は、国土安全保障省に対して、1万人の増員をして、移民法違反について強制を強化するように指示したものです。犯罪歴のある外国人、不法滞在をしている外国人などについて、主に、強制送還手続を迅速に行うように指示したものでした。まあ、この指示は現政権が強く、不法移民、犯罪歴のある移民を排斥しようと声高に主張した産物といえるものでした。

2017年2月20日の通達によると以下のカテゴリーの外国人をNTAを送達する対象とするように積極的に行動することを国土安全保障省に命じました。主な法律に基づくカテゴリーは以下のとおりです。

1)  入国前に前科がある場合(移民法上の道徳違背の罪)、麻薬関連の前科がある場合、売春関連の前科がある場合、人身売買の前科がある場合、マネーロンダリングの前科がある場合など。(移民法第212条(a)(2)項)
2)  入国前にテロ行為など国家に対する行為が認められる、また思料される場合(移民法第212条(a)(3)項)
3)  米国入国後に有罪歴がある場合(入国後5年以内の道徳違背の罪)、禁錮一年以上の実刑に処された場合(移民法237条(a)(2)項)
4)  米国入国後にテロ行為などを行ったと思料された場合(移民法237条(a)(4)項)
5)  入国に際して虚偽の情報・書類を政府に提出した場合、いわゆる移民詐欺行為(移民法第212条(a)(6)(c)項)

私がある程度まとめましたが、以上のカテゴリーは、法律、すなわち議会が決めたもので、常識的な範囲内です。どこの国でも、犯罪者やテロ関連者には厳しく対応するのが普通ですし、弁護士であっても、「しょうがない」というレベルではあります。

しかし、ここからが現政権が突っ走っているところです。

このメモランダムが言うように、移民局は「I-862を外国人に対して送達する権利」が認められています(*5) 。しかし、行政の一団体である移民局がI-862を送達する根拠については、議会の制定する法律では明確にされていません。そこで、現政権は、メモランダムで以下のカテゴリーの外国人に対してもI-862を送達できるということを言い出しました。この時点で法律に逸脱した行政の越権行為とも考えられます。このメモランダムでは以下の場合にI-862を外国人送達できるとしています。

1) 刑事的に有罪とされている場合
2) 刑事的な起訴がされて、刑が確定していない場合
3) 刑事的に有罪となり得る罪に問われた場合
4) 詐害的、虚偽的な申し出を政府に対してした場合
5) 社会福祉制度を濫用した場合

などが列記されています。アメリカ国内にいて、無罪を本当に争っている外国人もいます。私もそのような経験はいくらでもあります。

しかし、刑事事件に少しでも関ってしまうと強制送還の対象となり、行政の管轄する移民裁判所においても、手続きが開始されるということになるわけです。このメモランダムを読む限り、かりに刑事手続で無罪になったとしても、I-862に基づく行政審判において強制送還相当とされてしまう危険が生じました。刑事事件を知り、さらに移民行政にも詳しい弁護士はかなり限られてしまいます。このような状況に陥った外国人を助ける方策はかなり実際に限られてしまいます。

もちろん、このメモランダムには、限定的な記述もありますが、基本的に有罪となっていない場合にも幅広く強制送還手続に乗せるという趣旨であります。1万歩引いて、ここまでは犯罪や、テロなど、たしかに国によっては深刻と捉えることも考えられ、ディズニーのプリンセスではありませんが、現政権ではアリエルことかもしれません。

しかし、この、主に一般的な行政内部通達の内容がエスカレートしはじめました。2018年6月28日にNTAの通達についての具体的なガイダンスが発表されました(*6) 。この6月28日のメモランダムは、さすがに私は違法性を帯びるだろうという感覚になりました。

4 2018年6月28日(同年7月5日最終改定)の規定について

現政権が行政権力を握ってから、2年弱になります。中間選挙を控え、できることはできる限りパフォーマンスとしてやっておきたいという気持ちはあるでしょう。そして、現政権が据えた移民局関係の役人たちも、できるだけ厳しく移民に対して接することを覚えてきているのだと思います。その権化が、2018年6月28日付けのメモランダムです(*7) 。このメモランダムでは、私が見るに大きく2つの驚く点が盛り込まれています。

ひとつは、USCISがI-862を外国人に対して送達する権限をほぼ無制限に拡大している点です。

ここで、私が「移民局」と言っている行政機関について、少し詳しく考える点があります。
同時多発テロ以降、アメリカは国土安全保障省(Department of Homeland Security,略してDHS)という機関をつくりました。移民や、テロなどに総合的に対応する省庁です。このなかにいくつもの「局」が統合されたり設置されたりしました。

その一つが、ICE(Immigration and Customs Enforcement)と呼ばれるところで、移民・関税執行局とでもいいましょうか。主に、国境において、取り締まりを行う局です。そして、もうひとつにUSCIS(United States Citizenship and Immigration Services)という主に、外国人のビザや永住権、市民権の取扱をする局があります。全部で30近くある局のなかに、この2つが存在します。

今までは、犯罪や強制送還手続きなどは、ICEの十八番でした。ほぼすべての強制送還事由については、ICEが対応してきたのです。私も、刑事事件で、移民絡みのことがあると、出てくるのは必ずICEでした。軍隊上がりの人も多い部署です。思い出話ですが、ある国際犯罪に関する事件を受任していたときに、女性のICE捜査官に私が尊敬を込めて「Officer」(上官)というと、「私はAgentだ」、失礼だと言われたことがあります。現場を担当しているのだから、捜査官なのだ、という気持ちが強いのでしょう。どちらでも良いだろ、と思いましたが、このように、地位にかなり敏感でプライドも高い現場担当者が集まっているのが、ICEです。一方で、USCISは書類をいじるのが主な職場です。

今回のメモランダムでは、ICEだけではなくUSCISに対しても、積極的にI-862を発行・送達せよ、と言っています。そして、以下述べますが、その数はかなりの数に及びます。合法的な移民関係の書類審査をしている人たちにも、強制送還をする手助けをしなければならない、と言っているのです。今後、強制送還の事例は限りなく増える可能性がありますし、職員の負担もかなり増加します。現状で、USCISの運営は申請料から主に成り立っていますが、今回の現政権の意向を忠実に実行すれば、ビザ、永住権等の申請料は格段に値上がりしていくと思われます。

もうひとつの今回出されたメモランダムに関して、信じられない点は、なんら、犯罪やテロに関係しない合法的な移民も強制送還の対象になってしまう可能性が出てきた点です。

今回のメモランダムによると、上記3で詳述した、犯罪者、テロ関係者に加えて、USCISは以下に該当する外国人に対してI-862を送達しなければならないと規定しています。

1) 深刻な虚偽に基づいて政府の福祉受益を受けていると疑われる場合、たとえNTAが福祉受益に関して以前問題にされなかったとしても、今回NTAの対象になる。
2) 以前、強制送還の対象になっていないNTAが以前送達されたとしても、移民裁判所で問題にされていない犯罪がある場合。
3) 市民権の申請において、道徳違背の罪があり、市民権申請が拒否されたことがある永住権者
4) 移民関連の申請が拒否され、その結果不法滞在者となった外国人

という4つのカテゴリーが記載されています。USCISはもともと議会で議論されていたときは、移民の申請等を処理する部門でした。ですので、ほとんどの「移民弁護士」と呼ばれる人たちはこの部署を相手に対応していればよかったのです。ところが、このメモランダムでUSCISは、強制もする部署になりました。ですので、USCISのぼんやりした申請案件で、いきなり移民裁判所が出てくる可能性がでてきました。

ですので、外国人は申請時から、移民裁判所を想定した申請をする必要が出てくるのです。なかなか、深刻さの感じがつかめないと思いますので、今回の現政権による移民締め付けに関して具体例を使って考えていきましょうか。

5 現時点での移民行政下で、想定される歪

(1) ケース①

永住権保持者のAさんは、オバマ政権下で、医療に関する受給を受けていた。子供は市民権を持っていて、同様に医療に関する受給を受けていた。そもそも永住権者が公的な給付を受けることはなんら問題なかった。現状の移民行政に不安を感じ、アメリカ市民権の申請をはじめた。しかし、公的な受給が問題になり、市民権申請をUSCISに行ったところ疑われ、NTAを送達され長年住んでいたアメリカから強制送還の手続きが開始され、移民裁判所への出頭を求められる。

(2) ケース②

日本からアメリカ子会社の設立およびビジネスの関係構築のために出張ベースのためにBビザを取得して渡米していたBさん。最初に与えられた期限は6ヶ月。しかし、会社事情のため6ヶ月を超えてアメリカに滞在する必要があるため、Bビザの延長をするも、却下。今までは、延長申請中は、合法的にアメリカに滞在できるとアドバイスを弁護士から受けて、アメリカに引き続き滞在。ところが、Bビザの却下とともにNTAがBさんに対して送達される。

(3) ケース③

Cさんは、アメリカ永住権の審査過程で以前、犯罪歴が問題になり移民裁判所で審判を受ける。Cさんにかんして、移民裁判所から無事永住権の許可の審判がおりる。現政権になる。家族も全員アメリカに住んでいることなどから、市民権の申請をしたところ、USCISからなんらかの虚偽の申告があったことから、NTAが出される。移民裁判所で過去問題にならなかった不正受給などの点を弁明しなければならなくなる。

(4) ケース④

Dさんは、シリコンバレーで働くエンジニア。Hビザで就職中。Hビザは一度延長が可能なので、延長申請をする。延長申請中は、合法的に滞在できると弁護士からアドバイスを受ける。Dさんは、継続して働いている。ところが、延長申請等(I-129申請)は近時10万件程度が拒否されている(2017年の移民局発表統計)が、Dさんも些細な理由で拒否される。Dさんは、他にビザもなく、アメリカ滞在する資格がないため、理論上不法滞在とされる。USCISは、NTAを送達する。まったく犯罪歴も不正受給歴もないDさんは、移民裁判所に出廷し、強制送還手続の対象になる。

上記のように、合法的になんら問題がなく、アメリカに滞在している外国人が、強制送還手続の対象に簡単になってしまう政策を現政権は取っているわけです。最初は「不法移民」に対して厳しく対応すると言っていましたが、現在は、不法移民をもはや作出するような政策になってきました。ここで、上記ケース④のDさんについて、もう少し深刻な状況を考えてみましょう。

Dさんは、H-1Bビザが特に理由もなく、厳しくなってきた審査が原因で延長拒否に遭ったとしましょう。さらに、追い打ちをかけるようにNTAが届きました。Dさんの雇用主も、ビザがない外国人を雇うことは危険を感じます。Dさんとしては、「こんな国にいてもしょうがないし、移民裁判所の出廷なんて時間の無駄だ」という本音を持っているとしましょう。

実際に、ビザの延長が拒否される可能性もかなり高くなってきていますので、有り得る事例です。さらにICEだけでなく、USCISがNTAを出せるとなると、移民裁判所は今でも混んでいるのに、さらに混むのは必須です。Dさんの出廷は2年先ということもありえます。2年間仕事もなく、アメリカ滞在なんてできない、となると自国に帰ってしまおう、と思うはずです。

ところが、NTAを無視すると、裁判所に来なかった、ということで、それが移民法上罪になります。弁護士は、「Dさん、裁判所に出廷しないと、裁判所は不出廷の罪を着せるので出廷しないと・・・」という話になってしまいます。Dさんは、不法滞在を継続しつつ、もともとのHビザの拒否に関して、不服を申し立てて争い、さらに行政審判でダメなら連邦裁判所で争わなくてはならなくなります。今回の現政権による行政通達により、Dさんは、もともとのビザ発給について争い、さらに不法滞在に関して移民裁判所とも争わなくてはいけません。仕事もなくなっているかもしれません。

このような状況を想定して、現政権が今回の通達をしているとは到底思えませんが、単純に今回の通達を突き詰めるとこのような結果になります。あまりにも浅はかな、行政政策に翻弄される、「移民大国」アメリカでがんばる外国人は絶句するしかありません。

ビザや永住権の拒否レートもあがっていくばかりですし、法律業務をしていても、現政権のやっていることが、何を目指しているのか、暗澹冥濛に感じるのは、第一線で実務を担っている私だけではないと思います。


*1 https://www.uscis.gov/news/news-releases/uscis-updates-notice-appear-policy- guidance-support-dhs-enforcement-priorities 参照
*2 サンプルはここを参照。https://www.justice.gov/eoir/dhs-notice-appear-form-i- 862

*3 https://www.uscis.gov/sites/default/files/USCIS/Outreach/Upcoming%20Nationa l%20Engagements/PED_CredibleFearandReasonableFearStatisticsandNationalityR eport.pdf 参照。

*4 https://www.dhs.gov/sites/default/files/publications/17_0220_S1_Enforcement- of-the-Immigration-Laws-to-Serve-the-National-Interest.pdf

*5 , INA §§ 103(a), 239; 8 CFR §§ 2.1, 239.1 など参照。

*6 https://www.uscis.gov/sites/default/files/USCIS/Laws/Memoranda/2018/2018- 06-28-PM-602-0050.1-Guidance-for-Referral-of-Cases-and-Issuance-of-NTA.pdf

*7 https://www.uscis.gov/news/news-releases/uscis-updates-notice-appear-policy- guidance-support-dhs-enforcement-priorities


 

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アメリカで経営が困難に、破産すべきか(2)_1124




法律ノート 第1124回 弁護士 鈴木淳司

アメリカで経営が困難に、破産すべきか(2)_1124
August 28, 2018

この数日、付近の火事は鎮火しつつあるはずですが、ベイエリアはかなり「煙たい」空気に包まれていました。橋も曇って見えます。また、近所で火事が発生しているのか、と思ってニュースを良く見ると、オレゴンやワシントン、その上のカナダでも大規模な火災が発生し、太平洋を経由して、ベイエリアに流入しているとか。以前は、カリフォルニアの夏といえば、カラッと乾いているけど、樹々は緑、青い空が映えるというのが定番でしたが、過去のことなのでしょうか。日本でも猛暑がひどいようですね。

 

さて、前回から考えてきた質問を続けて考えていきましょう。
「抽選でアメリカの永住権を取得できたので、5年ほど前からアメリカに移り住み、輸出入の会社を経営しています。最近では、競争が激しくなり思うように利益があがりません。他社との値段競争についていけない状況なのです。夫婦でやっている会社なので、実際個人の負債もかなりあります。色々相談をしているのですが、ビジネスを現在売っても負債がすべて返せない状況にあり、破産を勧められています。本意ではありませんし、日本人的な感覚かもしれませんが、破産ということについてかなり抵抗があります。アメリカで破産した場合、永住権しか持っていない私にはどのような影響があるのでしょうか。また破産した場合、負債は本当に減るかなくなるのでしょうか」という質問内容です。

前回、アメリカの破産法には、チャプター7と13と呼ばれる方法があることを考えました。これらは個人の破産についてです。一方で、法人の破産については、チャプター7に加え、チャプター11と呼ばれるものもあります。このチャプターというのは、アメリカ法典の「第7章」という番号から由来するもので、あまり意味はありません。

個人でも法人でも、チャプター7というのは、いわゆるすべての負債で担保がついていない債務に関しては「免責」されるタイプの破産です。
免責というのは、負債があっても、もう払わなくても良いことにするという意味です。

この免責の許可は、アメリカの連邦裁判所のみが与えられることになっています。
保証人などの人的担保、抵当権などの物的担保がついていない債務、たとえばクレジットカードの債務などは、裁判所から免責許可を得れば、払う必要がなくなるのです。

このチャプター7は、個人にしても法人にしても、支払能力がまったくないような状態、支払能力が著しく低い状態の場合に有効ということになります。ある程度収支が存在しているような場合には、チャプター7を使わず、チャプター11や13を考えることになります。

たとえば、今回の質問をされている方は、どうも、毎月の収支はそれなりにあって、お金が回っている状態のようです。
そうすると、チャプター7を利用して、負債等をゼロにして、再スタートするよりも、手持ちにある財産をできるだけ保持しつつ、再建したいと思うはずです。

たしかにチャプター7を利用すると、担保の負債がついていない債務については、「チャラ」になる、すなわち免責されますが、担保がついている債務、たとえば家、車、高価な電化製品、家具、機器など割賦払いで買っている場合には、債務はなくなりますが、原則として、物を返還しなければなりません。文字通り、すべての債権債務をゼロに巻き戻すという感覚でいなければなりません。
このように、チャプター7によって債権者は不測の不利益を被る可能性があります。

そこで、一般的に金融機関が融資をするときに担保を取る、大家さんが商業物件を貸すときに担保を取る、というのは、破産対策というわけです。クレジットカードの発行審査も結局「チャプター7」の可能性が低い人、ちゃんと支払いを継続できる人、という観点から行われるのは、チャプター7による免責があるからです。

ここで、注意しなければならないことは、今回質問されている方の会社は、ほぼ質問者御本人の個人保証がついている借り入れで成り立っていますので、たとえ、会社がチャプター7をしても、結局は保証人である質問者本人の財務的力量が問題になってくると思います。

会社だけ潰してしまえば良い、というものではなく、会社の債務を保証している場合には、その保証人にも同額責任が生じるのです。また、場合によっては家族や第三者が保証人になっている可能性もあります。このような場合には、会社がチャプター7で免責されたとしても、保証人にはかかってくる可能性があり、こういう場合には「迷惑をかける」と一般的に言われる場合になるのではないでしょうか。

会社が破産する場合には、まずはどのような保証がついているのか、すべての債務を検証して、その影響を考えるのが第一歩となります。

次回続けて考えていきたいと思います。

 

まだまだ暑い日が続きますが、体調管理を万全にしてまた1週間がんばっていきましょう。

 


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アメリカで経営が困難に、破産すべきか(1)_1123




法律ノート 第1123回 弁護士 鈴木淳司

アメリカで経営が困難に、破産すべきか(1)_1123
Augut 21, 2018

元巨人の桑田真澄投手が夏の高校野球の始球式で投げましたが、彼の紳士的な立ち振舞いは素敵でした。今でも野球を愛しているんだなぁ、という気持ちが伝わってきました。しかし、アメリカの始球式には、打者はいないですが、日本は打者がちゃんと立っていますね。当たったらどうするのだと思いますが、早稲田の安倍球場からの伝統なのですね。

 

さて、今回から新しく法律ノート宛にいただいている電子メールでの質問を考えていきたいと思います。あまり個人的には得意な分野の法律ではないので、かなり一般論的な内容になりますが、がんばって皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

いただいている質問をまとめると「抽選でアメリカの永住権を取得できたので、5年ほど前からアメリカに移り住み、輸出入の会社を経営しています。最近では、競争が激しくなり思うように利益があがりません。他社との値段競争についていけない状況なのです。夫婦でやっている会社なので、実際個人の負債もかなりあります。色々相談をしているのですが、ビジネスを現在売っても負債がすべて返せない状況にあり、破産を勧められています。本意ではありませんし、日本人的な感覚かもしれませんが、破産ということについてかなり抵抗があります。アメリカで破産した場合、永住権しか持っていない私にはどのような影響があるのでしょうか。また破産した場合、負債は本当に減るかなくなるのでしょうか」という質問です。

 

破産(Bankruptcy)というのは、アメリカではかなり特殊な分野で、弁護士でも、破産だけに特化して業務を行っている人が多いと思います。
破産に関しては、連邦裁判所の専属の法律分野であり、州の裁判所は関係しません。破産というのは、簡単に言うと、借金を背負っている人が、現在の資産や将来の収入を考えると、借りたお金を返しきれない場合など、裁判所に申立をして、借金を免除してもらうか、持っている財産の範囲で、借りたお金を公平に分配する法律上の制度です。
破産を申し立てて、裁判所から、「免責許可(Discharge)」という許可をもらうことで、破産手続は基本的に完了します。

破産をアメリカで申し立てると、たとえば債権回収の執拗な電話などを止めることができます。これを自動停止(Automatic Stay)の効力といいます。
ですので、借金の取り立てなどで悩まなくなるというメリットが発生します。また、貸主から債権回収の訴訟を提起された場合などは、その裁判手続きも同じように自動停止します。さらに裁判所から免責を許可されると、基本的に負債を払うことを免除されます。

しかし、免除されるといっても、すべての負債が免除されるわけではなく、以下詳しく考えますが、一定範囲の負債は免責されません。アメリカでは一般的に個人の破産については、チャプター7とチャプター13という2つの主な方法が定められています。
7の方は免責をゴールとする方法で、13というのは、財産や収入を勘案して、再建が可能な場合に使われる方法です。7の方はほぼ財産がない、という場合に有効な方法ということになります。今回質問されている方も、自分の財産がどの程度あるのか、会社の負債といっても個人保証をつけられているようなので、保証している負債はどの程度の額なのか、などをすべて表にして、どの方法を使うか考えていかなければならないわけです。

破産で免責を受けると、クレジットカードの負債など、担保がついていない負債の支払いは免責されます。
ただ、破産を申し立てた人については免責されるとしても、保証人となっている人は免責されません。

ですので、たとえば、家族が保証人になってお金を借りているような場合には、家族は免責されず、支払いの義務は残るということになってしまいます。
よく、破産をしても「家族に迷惑をかける」というシナリオはこのような場合を指すのですね。クレジットカードだけでなく、未払いの請求書などもほぼ免責されますので、アメリカでは高額の医療費を払えないので、破産をするというのもニュースになります。

ただし、支払いを免責されたとしても、何か物を買った代金を支払わなかったような場合には、その物は、売主に返還されます。車や家具などは、支払い免責を受けた場合、返還しなければならないのです。

ここから次回続けていきたいと思います。

まだまだ暑い夏が続きます。ベイエリアは涼しいのですが、暑いエリアの方々は体調管理にくれぐれも注意されてください。また1週間がんばっていきましょうね。

 


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もしもDVが実施されなかった場合には、もちろん全額対応させていただきますのでご安心ください。政権の移民政策に対する不安も大きいところですが、Momsでは柔軟に対応してまいります。