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Moms(JINKEN.COM)の運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。

永住許可申請プロセスの面接義務化




Sep-16-2017

永住許可申請プロセスの面接義務化

 

もう夏も終わり、という割にはまだまだ暑い日もありますね。一方で、ベイエリアでは雨も降り少々不安定な日が出てきているので、もうすぐ季節替わりの時期なのかもしれません。みなさんは体調に気をつけて生活されていらっしゃるでしょうか。秋になると、1年経つのは早いなぁ、という気分になってきますね。

 

さて、今回はトランプ政権になってから、永住許可申請についても、変化がでてきましたので、取り上げてみたいと思います。

 

移民「法」と行政命令

まず、今回の移民法ブログ(じんけんニュース)を理解するために、少々一般論を考えたいと思います。

まず、移民「法」というのは、法律であり、議会が立法するものです。したがって、大統領が一人で命令を出したものがそのまま法律になるわけではありません。議会を経なければ「法律」とはいえないからです。これは、アメリカでも日本でも同様で、三権分立の中核的な要素でもあります。

一方で、行政規則などと日本では呼ばれますが、議会ではなく、機動性を重視して、行政府がルールをつくることが広汎に行われています。

 

大統領が発する行政命令-Executive Order

このような活発な行政による規則づくりは、日本もアメリカも同様に行われているのですが、アメリカでは、直接選挙で選ばれる大統領の署名一つで、行政命令を出すことが許容されています。

メディアなどでは大統領令などと呼ばれていますが、これはたぶん、行政の組織(たとえば移民局など)がつくる行政規則と区別する趣旨なのだと思いますが、基本的に行政命令であるという点では一緒です。アメリカではExecutive Orderと言います。

悪名高いExecutive Orderといえば、第2次世界大戦のときに、日本人や日系人を強制収容したものが挙げられますが、これも大統領のサイン一つで発効したのです。

オバマ政権下でもかなりのExecutive Orderが出されましたが、現在トランプ政権によって、次々に覆されています。最近話題になっている、不法移民の子供を保護する行政命令がその一例です。

このように行政命令は、時々の大統領の意向でかなり方向性が変わってきます。不法移民やテロに厳しく対応すると明言しているトランプ大統領によって、永住許可申請にも今回影響がある行政命令が出されました。

 

永住権申請と面接の義務

従来、永住権申請の際、直接移民局の面接が義務付けられている申請は、婚姻に基づく申請と、難民申請の一部に限られていました。たとえば、外国人がアメリカ人と婚姻して、永住権を申請しようとする場合、必ず面接が義務付けられているということです。主に偽装結婚ではないことを確認するという意味合いがあるのです。

 

Executive Order 13780

 

今回、Executive Order 13780というトランプ大統領が署名した行政命令にしたがって、この面接義務の範囲が拡大することになりました。この行政命令は、テロリストから国土を保護する施策に関する命令です。来月1日から試験的に導入されることになり、移民局から発表もありました。

永住権申請には、I-485申請という外国人本人が自己の移民法上のステータスを永住権に変更するための申請が必要なのですが、このI-485申請について、今まで婚姻ベースの申請のみに面接が課されてきましたが、2017年10月以降は、雇用ベースの申請にも面接を課すことになりました。他にも、難民申請においても、面接要件が拡大されることになります。

 

雇用ベースの永住権申請も適用範囲に

雇用ベースの永住権申請の際に面接が課されるということは、直接申請している外国人が移民局に出向いて面接を受けることになるので、移民局がより正確に申請内容を吟味していくという趣旨が含まれます。わざわざ移民局が税金を使って直接面接をするということは、単なる顔合わせや挨拶ではないことは明らかです。

何か問題がないか、怪しいところはないかを確認するためのプロセスですから、今後、雇用ベースの永住権申請についても、面接によって不許可となる事例が増えると想像できます。

 

まだ、移民局も試運転をはじめようとしている段階なので、詳しくどのような書類を持参するべきか、などの指針はつかめていませんが、今後の雇用ベース永住権申請にとって、また一つハードルが追加されたということになります。

このご時世ですので、淡々と対応するしかないでしょうが、今後もこの手の行政命令が増えていきそうです。

 

それでは、また次回新しいトピックを考えていきましょう。





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子どもの監護と養育費[2]-1074

法律ノート 第1074回 弁護士 鈴木淳司
September 12, 2017




 

日本では最近、政治家のスキャンダルが頻繁にニュースになっていますが、政治の問題とはまったく関係がなく、いわゆるゴシップ記事だらけですね。アメリカでも、ロシアとの関係云々など、いわゆる「疑惑」的な話が多いのですが、色々な政治の分野で本論が埋まってしまって、消費者が本当に必要としている情報がメディアでもネットでも見つからないような状況になってきているように思います。情報が氾濫すると、何が本論なのか見極める利用者側の目というのが逆に試されている時代なのでしょうか。

 

子どもの監護と養育費[2]-1074

 

少々間が空いてしまいましたが、第1072回で尻切れトンボとなってしまった問題を考えていきましょう。

「日本在住のシングルマザーです。アメリカで結婚、出産しました。夫とアメリカで離婚し、子供を日本(関西圏)で育てています。夫はアメリカと日本を行き来し、夏休みの間は子供と時間を過ごすという取決めでしたが、夫の仕事の都合もあって、それもできずに、再度、子供の監護について揉めています。揉めている一つの理由として、今まで養育費を夫はまったく支払っていません。私は日本にいるのですが、このような場合に養育費の請求をまずできないものでしょうか。私は、私の父母に頼って肩身が狭い思いをしながら、子供を育てています。」という質問です。

 

日本在住で外国に養育費請求することの困難

この質問を前回考えたときに、なかなか法律家として一般的に考えると難しい問題が生じるという現実を考えました。

今回質問されている方は関西に子供さんと住んでいますが、子の父親はアメリカにいるわけです。日本の弁護士に相談すれば、日本における手続きでなんとかならないか、考えることになります。当然です。そうすると、日本における考え方としては、日本で養育費に関して判決を取って、その判決をアメリカで執行する、ということが法律論的には考えられます。悪くありません。

一方で、日本に住みながら、アメリカでの養育の取立ての問題をアメリカにいる弁護士に相談することも、お金はかかるでしょうし、簡単ではないと思います。

 

養育費の取立て制度

実はこのような問題について、基本的に弁護士に相談しなくても解決する方法があるのです。

たぶん、法律実務書などにもあまり載っていないのですが、基本的な考え方を法律ノートで考えておきますので、ぜひ法曹の方も、問題を抱えている方も活用されてください。

アメリカでは、養育費の取立てをいちいち裁判所に申し立てなくても、すでに養育費の支払いが決まっていれば、その相手方の住むところを管轄する検察局(District Attorney)が取立てを代行してくれます。少なくともカリフォルニア州はそのようなシステムになっています。

したがって、養育費がもらえなくて困っている今回相談されている方のような場合には、直接相手方の男性が住むところを管轄する検察局に連絡をして、取り立ててもらうということができます。法律で、その取立ての詳細についても規定されているのです。

もちろん、このような取立てのための連絡や手続きをするのが個人には難しいかもしれません。そういう場合には、経験のある人や、弁護士などに、この手続をするためのサポートを頼めるか聞いてみるのが良いと思います。場合によって、検事局は通訳も用意してくれると思います。

 

日本から養育費請求を認める判例

実は、以前にも法律ノートでご紹介したかもしれませんが、今回いただいている事例のように、日本在住で、未成年者の養育をしながらカリフォルニア州にいる夫に養育費を請求したところ、拒否してきた事由を私の所属する事務所で争いました。

一審は「日本に在住している子の母はカリフォルニア州に住む元夫に養育費は請求できない」と棄却されたので、もちろん控訴しました。そうしたところ、一審判決が破棄されて、私の所属する事務所の主張が認められました。裁判例として、今でも残っています。この裁判例が確定してから、日本に在住している人でも、検察局は積極的に養育費を請求してくれるようになりました。

 

根底にあるのは子どもの利益保護と養育負担の公平

子育てが大変な時期にシングルマザーで仕事もしなければならないと大変でしょう。

でも、上記のようにアメリカでは子供の利益の保護、養育の苦労の軽減を積極的に考えてくれています。諦めないで、こういった制度を活用されたら良いと思います。

 

 

また、次回新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

天気が暑かったり、いきなり涼しくなったり、と忙しいですが、暑い時はまだまだ暑いので、脱水状態にならないように気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。




 

我は売る、さらばベスパよ(2)-ネット個人売買とリスク_1073

法律ノート 第1073回 弁護士 鈴木淳司
September 6, 2017




 

我は売る、さらばベスパよ(2)

前回からの続きです。さて、思い入れのあるベスパをインターネットの広告に載せたところ、一時間も経たないうちに興味があるという連絡がバタバタ入るようになりました。

ところが、ほぼ9割方の連絡は結論として、正当な購入を目的とするものではありませんでした。これがネット社会の現実でしょうか。

 

まず、興味があるから返答してほしい、ということで律儀に返答をすると、中古車を売る前に検査をするべきで、その価格は他社よりも安いです、という売り込みのセールがいくつかありました。また、丁寧ではありましたが、売れないなら、寄付してくださいという申込みもありました。学生なので売り出し価格の半額程度払うのでなんとかしてくれというのは、来た連絡のなかではマシな方だったかもしれません。これらは詐欺ということではありませんでしたが、趣旨違いという感じでしょうか。

悪質なのは、Paypalで支払う、という申し込みです。いきなり連絡が来て、遠くに住んでいるので見に行けないが、Paypalで言い値を支払う、と言ってきます。この手の「遠隔地に住んでいるので、Paypalで対価を払うという」のは、ほぼ詐欺です。詐欺の注意喚起をしているサイトにも定番の詐欺として載っています。
Paypalというのは、いわゆる支払代行サイトで、一定の取引の内容は保証してくれるようになっていますが、個人売買はほぼ保証はしてくれないのです。メールなどのやりとりで、Paypalを使って支払ったように見せかけて、現物を詐取するというやり方です。ひどい場合には、支払いすぎたので、現物とともにPaypal代金を一部返金してくれ、といって現物だけではなく現金まで詐取されてしまうケースも多くあるそうです。ですので、個人売買においては、Paypalなどはやめておいたほうがよく、できればニコニコ現金取引だけにしておくべきでしょう。
私も、Paypalは受け付けませんとはっきり広告に書いていたのですが、かなりの数のPaypal詐欺メールに接しました。ひどいメールのやり取りになると、私がPaypalは受け付けません、というと、返信に罵詈雑言が書かれているものもありました。それも英語の文法が間違っているのです。苦笑いしてしまいましたが、一瞬不愉快になりますよね。

それから、もう少し手の込んだ手口では、実際に電話で話すまでの状況になったのですが、銀行振出小切手で支払う、と言ってくる人もいました。これも詐欺です。私は、実際に会って、現物を引渡し、現金がほしい、と広告に書いていたのですが、見に行きたいけど、自分の記録として残したいので銀行振出小切手(キャッシャーズチェック)で支払っても良いか、というリクエストです。実際に見に来て買うのであれば、現金をちょうだい、と言うと、それでも不安だから一緒に銀行にいくのはどうか、と言ってきます。私は、銀行に行くなら、その場で現金をおろして、それを確認したうえで、受領証を書くよ、と言ったら、また御託を並べます。受領証ってどういうのか、わからないなぁ、とかとぼけたことを言うので、私は弁護士なので、法的に有効な書類ならすぐに作成できるよ、と言ったら「考えて、また連絡するよ」ということで、もう二度と連絡はありません。銀行振出小切手の詐欺については、少し前に法律ノートでも取り上げましたが、個人売買のレベルでは、避けるべきです。やはりローカルの人とニコニコ現金商売をするしか安全策はないのではないかと今回考えさせられました。とはいえ、偽札を使われたらもう痺れてしまいますね。

週末は葬式に出ていたため、一部の真摯に連絡をしてくれた方々にお会いできなかったのですが、広告を出した当初から、文章もしっかりした方から連絡をもらっていたので、その方にまず会いたいと思いました。他の人に待ってもらい、その人と葬式から帰ってきてからまず会いました。自分の信用するメカニックを同行したいというのも好意が持てます。会うと感じもよく、ちゃんと現金も用意をしてくれたので、私もこの人なら大事に乗ってくれるだろうな、と思いました。結局、私も積極的にディスカウントに応じて、すぐにベスパは売られることになりました。その人はサンフランシスコ市内に住んで、市内の通勤に使うということですので、またいつかどこかでベスパに会えるかもしれません。

世の中には、詐欺をするような人がたくさんいることがよくわかりましたが、良い人も必ずいるものです。結構、個人売買は面倒くさいものだということもよくわかりましたが、色々習わせていただきました。

ベスパくん、6年間ありがとう。

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我は売る、さらばベスパよ(1)-ネット個人売買とリスク_1072

法律ノート 第1072回 弁護士 鈴木淳司
August 31, 2017



 

我は売る、さらばベスパよ(1)-ネット個人売買とリスク_1072

皆さんは、8月最後の週末はどのようにお過ごしになりましたか。私は、ロスアンゼルスまで飛んで、葬儀に参列しました。まだお若かった故人のことをご家族と偲ぶ機会を得ました。この故人がいなければ、日本最初の量販ハイブリッド車が世に出ませんでした。貴重な方を亡くしました。

さて、前回から養育費について考えてきました。

今回も続けようと思ったのですが、先週から私に起こっていることで、ぜひ皆さんにも注意していただきたいことがあり、一旦、いただいている質問にお答えするのを休ませていただき、私の記憶が鮮明なうちに皆さんとシェアできたら良いなと思っています。

くだらない話のようにも思えますが、日常生活では気をつけなければなりません。

 

実は私は若いときから、かなりの台数のオートバイに乗っていて、弁護士になってから控えるようにしているのですが、今でも街中で走っているオートバイを見ると心で評論してしまいます。

アメリカで、バイクというと自転車のことになってしまいますが、尾崎豊や浜田省吾に習って、ここでは、オートバイのことをバイクと言ってしまう可能性がありますので、あしからず。

 

2011年、あるスクーターに目を奪われました。実はスクーターにはまったく興味がなかったのですが、当時新車だった、GTVというベスパがどうしても欲しくなってしまいました。

ベスパというのは、ご存じの方も多いと思いますが、イタリアのピアジオが出しているスクーターで、イタリア語で、蜂の意味があります。女性でも乗りやすいということで発売され、ヨーロッパではどこに行ってもみかけます。限定解除の大型バイクに乗っていた私が、なぜこのGTVにロックオンしてしまったかというと、「ローマの休日」という映画です。

皆さんも観たことがあるクラシック映画なのですが、その映画の中でオードリーヘップバーンが乗っていたベスパを覚えていますか。マニアには良くわかることなのですが、現代のスクーターのヘッドライトの位置は、ほぼほぼハンドルの高さに設定されています。ベスパもほぼすべて、ヘッドライトがハンドルの位置というのがお決まりなのですが、このGTVだけは、前輪フェンダーの上にヘッドライトがつけられている、いわゆるレトロ復刻版なのです。オードリーの乗っているベスパも前輪の上にヘッドライトがあるのです。

見ればみるほど、このGTVがどうしても欲しくなった私は衝動買いをしました。オプションも付けられるだけつけて、意気揚々とサンフランシスコの街で乗っていました。なんといっても、シートが革でできているスクーターです。革の保護用のスプレーで磨いたり、街中に停めるときには、カバーをしたり、と哺乳類を飼っていると同等のケアをしていました。

ところが、「スーツを着ながらでも乗れるんだよ」と自慢げにしていた私も、1000マイルも乗らないうちに、徐々に乗らなくなってきて、結局車庫に眠るオブジェと化してしまいました。それから、数回は乗ったものの、やはり車の方がなにかと便利ということもあり、GTVはカバーをかぶったままになってしまいました。

ところが、人間というのは、浅ましいもので、2011年の「あのときの買ったときの気持ち」を大事にしていていたこと、仕事が忙しかったことなどから、手放すこともできず踏み切れない状態でズルズル今まで来てしまいました。ところどころ、金属パーツにサビは浮いてきているものの、新品同然の状態です。

2017年夏も終わるころ、車も買い換える時期になり、ようやく売る決心をした私は、地元の物品売買サイトを通して、「ベスパ、売ります」という広告を出しました。「あー、大事に乗ってくれる人が現れたらいいなぁ」などと思いを込めつつ、愛車の写真を掲載して、連絡を待つことにしました。価格設定は、ちょっと高めにしました。交渉はするつもりですが、やはり買った時の愛着があるからです。

インターネットに広告を掲載すると、一時間も経たないうちに、いくつも連絡が入ってくることに驚いていたのですが、実は、かなりの数の詐欺的手口をつかった連絡が入ってくることになります。

次回、どのような手口で私の愛車を持っていこうとしているのか、みていきましょう。

 

テキサスのハリケーンなど天候でアメリカも深刻な状況になっていますが、秋にかけて天気も不安定になってくることが予想されます。異常気象があるとしても、皆さんくれぐれも体調管理には気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。




 

子どもの監護と養育費[1]-1071

法律ノート 第1071回 弁護士 鈴木淳司
August 21, 2017




 

夏休みも佳境ですね。今年の夏は、カリフォルニア州でもかなり大規模な火事が相次ぎました。さらに異常な暑さも続きました。乾燥しているのは、まだ暑さ対策をし易いのですが、冬に大雨になった反動なのかカピカピに乾燥しきっています。日本でも、梅雨のような天気になったり異常な暑さになったりと、夏バテの方も多いと思います。気候が変だと思うのは私だけではないと思うのですが、政治家はそう考えない人もアメリカではいるようですね。
皆さんはこの夏をどのようにお過ごしでしたか。

 

子どもの監護と養育費[1]-1071

 

さて、今回から皆さんからいただいている質問に新たにお答えしていきたいと思います。今回いただいている質問をまとめると以下のようになります。

「日本在住のシングルマザーです。アメリカで結婚、出産しました。夫とアメリカで離婚し、子供を日本(関西圏)で育てています。夫はアメリカと日本を行き来し、夏休みの間は子供と時間を過ごすという取決めでしたが、夫の仕事の都合もあって、それもできずに、再度、子供の監護について揉めています。揉めている一つの理由として、今まで養育費を夫はまったく支払っていません。私は日本にいるのですが、このような場合に養育費の請求をまずできないものでしょうか。私は、私の父母に頼って肩身が狭い思いをしながら、子供を育てています。」という内容になります。

かなり具体的な質問でしたが、できれば離婚を認めた裁判所(アメリカですが)での対応を至急考えた方が良いと思います。

今回は養育費の取決め遵守について考えていきたいと思います。

 

シングルマザーの現実

まず、今回の事例のように離婚が成立し、子供も母親方に基本的には引き取られ、監護権は父母が行使をするというような場合、子供の面倒を見るための費用は稼いでいる方が支払うことになるのが一般的です。

今回質問されている方のようにシングルマザーになると、子供の世話もあり、かなり生活を維持することが難しくなるのが現実です。

今回質問されている方も、日本でパートを2つ掛け持ちで行いながら、親の手を借りて子供を育てている様子が伺われるのですが、自分も無理をしていらっしゃることは明らかですし、その歪が子供さんにも影響している様子がわかります。

自分が一度は好きになって子供まで産んだのですから、自分はがんばらなければならないという気持ちは良くわかるのですが、子供にしてみたら単なる迷惑かもしれません。やはり、子供ができるだけ良い環境で育ってもらうためには、親の問題は親の間だけにしておくべきかもしれませんね。

 

養育費ー子どもにとって最良の方法は何か

基本的に養育費というのは、カリフォルニア州では、両親の収入や財産を勘案して決められます
多く稼いで、多く財産を持っている方から支払われるべきであるということが基本で、ある程度「相場」というのは決まっています。

もちろん、両親にも、山もあり谷もあるわけですから、それに応じて支払いの変更も裁判所に申し立てることができますが、離婚の際に決まった養育費の支払いは、裁判所の変更が認められるまで続ける必要があります。

子供のことを考えたら、そうするのが子供の利益になるという法律の判断です。

 

カリフォルニア州の養育費ー泣き寝入りしない方法

そうすると、今回質問されている方のように、すでにカリフォルニア州の裁判所で養育費の取決めがなされているのに、養育費を受けられていない場合には、まず、今まで生じている養育費の支払いについて請求をしたいと思うのは当然です。

ところが、すでに今回の質問をされている方は日本にいます。そうすると、どのように養育費を請求すればよいのかわかりません。夫が自発的に養育費を支払わなければ、何らかの法的な請求をしなければならないことになります。

このような場合、日本に在住していると日本の弁護士に相談しなければならなくなりますが、日本の弁護士であれば、泣き寝入りするか、日本で裁判を提起して、判決を取って、その判決をなんとかアメリカで執行していかなければならない、といったアドバイスをすることになるかもしれません。

しかし、少なくともカリフォルニア州ですでに決まっている養育費の取決めにおいては、そのようなことをする必要はありません

ここから次回考えていきましょう。

 

アメリカの街では、もうハロウィンに向けて、仮装を売る店がオープンしています。夏が終わると、バタバタと年末に向けてイベントが目白押しですね。

一年経つのは早いですが、一日、一日大事にしながらまた一週間がんばっていきましょうね。




 

会社で使い込みを発見。解雇するには?[3]_1070

法律ノート 第1070回 弁護士 鈴木淳司
August 14, 2017




 

お盆休みを利用して日本からいらっしゃった御一行を観光にお連れしているのですが、サンフランシスコ市内の観光名所はどこにいっても、人が多くてびっくりしています。サンフランシスコは、最高気温が20度前後ですから、暑いところから来られている方たちには良い避暑地なのかもしれませんね。みなさんもたまには、サンフランシスコのクラムチャウダーはいかがでしょうか。

 

会社で使い込みを発見。解雇するには?[3]_1070

 

さて、全二回考えてきた質問を続けて考えていきましょう。

「私が所属する日系の会社(未上場)で、会計監査が行われたのですが、従業員の一人が会社のお金を私用の目的で使い込んでいることが発覚しました。私は人事担当なので、何度か本人と話をしていますが、本人は否定しています。解雇を適法に行うにはどのようにしたらよいのでしょうか。」という質問です。

 

自主退職が受け入れられない場合

今回は、自主退職を促しても、従業員側が聞き入れない場合、どのように対応していく必要があるか考えましょう。

前回までは、法律や就業規則に触れる場合があるか慎重に検討する必要があるということを考えました。そこから今回考えます。

 

雇用契約の終了

まず、就業規則の他に、その従業員と会社の間で契約があるか確認する必要があります。契約が存在する場合には、期間が設定されていますので、たとえば、一年間の契約であれば、その一年間が終了するときには、理由なく契約を解除できます。その場合、非行があるかどうかにかかわらず、終了できますので、契約に従って通知をしたうえで、契約を一年間満了の時期に解除することは可能です。

このような解除であれば、理由がない契約解除なので、後に非行行為の有無に関して、法廷で争われることはありません。

 

即時解雇

次に、非行があったことを理由として即時解雇をする場合を考えます。

アメリカの企業では、内部で証拠を確認し、解雇の判断をすることが多くあります。外部の弁護士の意見を聞くことも多くあります。私もかなり多くの経験を積んでいるところではあります。

非行行為に対して、緩い対応をしていると、会社に在籍をしている人たちにも良い影響がありませんし、毅然とした態度を見せる必要もあります。そうすると、のちにいくらかの訴訟のリスクを考えても、即時解雇をすることも少なくありません。

もちろん、第一に雇用契約を確認し、契約に書かれた内容に沿って、解雇する必要があります。

 

即時解雇の注意点

即時解雇をする場合には、労働事件の訴訟の経験が豊富な法律の専門家に相談することがベストです。労働コンサルタント等では、最近の判例や訴訟の動向を押さえているか不安です。

解雇がなされた場合には、解雇された従業員も、色々な理由をつけて、不当解雇を訴えてくる可能性があります。場合によっては、訴訟を提起しないことを前提とする契約書を用意して、いくばくかお金を渡したうえで、訴訟を回避するためのアレンジメントをすることも可能な場合があります。

このような訴訟の可能性を緩和する契約書が締結できない場合には、専門家を含めて、訴訟のリスクを検討します。訴訟のリスクを考えるときに、具体的に、本論である、「使い込み」を証明できる程度の書類や証人の確保ができるかどうかは重要ですが、傍論で、ハラスメントや差別などの主張がなされる可能性があるか、考えた方が良いことになります。このように即時解雇の際にも、契約書を作成するなど、ある程度リスクの緩和をすることが可能かもしれません。

 

外部の意見を聞くことの重要性

しかし、無防備な状態で即時解雇をすることになると、職場の環境や、就労状況など、かなり多方面で準備をしなければなりませんので、専門家にしっかり相談されると良いと思います。ただ、今回のように、従業員に非行があったと思われ、かりに従業員がなんらかの理由で企業を訴えてきたとしても、企業側としても反訴を提起して、非行行為を公開の場で咎めることもできます。そうすると、企業側としても、堂々と対応する態度を持って対応しても良いと思いますが、とにかく、客観的に状況を専門家に判断してもらうことが良いと思います。

社内のみで話をしていると、場合によっては感情的なヒートアップもあるので、冷静な意見を具体的事例についてもらうことが大事だと思います。

 

 

また、次回新しくいただいている質問について考えていきたいと思います。夏休みも後半になってきましたが、仕事や勉強ばかりではなく悔いがないように夏を満喫されてくださいね。

また一週間暑さに負けずがんばっていきましょう。




 

前科あり。米国入国できる?

August 08, 2017




 

前科がある場合の米国入国

 

トランプ政権となって、外国人の犯罪がフォーカスされることが多くなりました。かなり、多くの方々が心配されている分野でもあります。ベクトルは違いますが、移民に対する締め付けは、先週トランプ政権がサポートする移民法の大改正案(議会を通過するのは現実的ではないと言われている)を見ても明らかです。

今回は、外国人の犯罪と、米国入国について整理して考えてみたいとおもいます。

 

犯罪歴は事前申告が原則

まず、犯罪歴がある場合、米国入国に先立って、申告をすることが前置となっています。
ビザなしの渡航(ESTA)においても、ビザを申請する場合にも、そして永住権を申請する場合には、まず犯罪歴を明らかにしなければなりません。この犯罪歴は米国における犯罪に限られず、申請者の犯罪歴をすべて指します。

そして、犯罪歴を申告することを怠った場合、入国に際して、「詐害行為」とみなされて、入国禁止になってしまう可能性があります。ですので、まずは隠さず申告をするということが重要です。

米国の同時多発テロ事件以降、前科についての情報は米国内の行政機関においてかなり広範囲に共有されています。したがって、「申告しなくてもわからないだろう」という考えはやめたほうが良いと思います。

 

 

一律入国禁止か裁量によるビザ発給か

犯罪歴がある場合、米国入国で2つのパターンがあります。

一つは、犯罪歴があることで一律入国禁止となる場合、もう一つは、裁量によってビザがでる場合です。

まず一律入国禁止となる場合について簡単にまとめておきましょう。

注意していただきたいのは、入国禁止に関する法律はかなり多岐に渡り複雑ですので、ここでは代表的なものだけを取り上げておきます。

 

まず、麻薬および売春関連の罪については一律禁止とされています。

次に、道徳違背(Crime of Moral Turpitude)の前科がある場合には、入国禁止になります。

道徳違背の罪というのは、移民法独特の定義で言い回しです。
道徳違背というのは、一般的に「社会に根づいた道徳観を揺るがすような罪」と言われていますが、移民法上、一体どのような罪が道徳違背なのか明文で定められているわけではありません。審判例の積み重ねによって、どの罪が道徳違背となるか先例があるだけです。ですので、判断の指針はあっても、確固とした罪の列挙はありません。

今までの、先例を見ると、殺人、性的暴行、ドメスティック・バイオレンス、幼児・児童虐待、強盗、詐欺などの重大犯罪が道徳違背とされています。

その他にもかなり広範囲の罪が道徳違背とされていますので、疑義があれば専門家に、先例と照らし合わせてもらってください。

 

道徳違背の前科の例外

道徳違背の前科があれば、原則入国禁止となりますが、例外があります。

一つの例外は、前科が18歳未満のときに行われた犯罪の実行行為に基づく場合で、ビザ申請時から遡って5年以上経過している場合です。

もうひとつの例外は、法定刑が一年以下の罪(軽罪)の罪に問われ、実刑で6月を上回って服役していない場合です。

たとえば、窃盗は場合によっては、移民法上道徳違背とされる場合がありますが、カリフォルニア州の罪によっては、法定刑は最長で一年以下の禁錮となっていて、初犯では罰金のみで済む場合もあります。このような罪では形式上、移民法に照らすと道徳違背となってしまうかもしれませんが、例外的に入国禁止とはされていません。

 

この道徳違背に該当するかどうかの判断、例外規定が適用されるかどうかの判断は、かなり複雑なので、具体的な事例に関しては専門家に相談されることをお勧めします。

この他にも、道徳違背でなくても、2つ以上の有罪歴があり、合計で5年以上服役している場合(禁錮および懲役を含む)には原則入国禁止とされています。

 

 

免除申請とビザ取得

上記のように、移民法上明文で定められている入国禁止事由に該当する場合には、例外的な免除申請を別途行って認められなければ、米国に入国するのはかなり難しいということになります。

これらの一律入国禁止事由に該当しない犯罪歴であれば、米国政府の裁量により、ビザが発給されます。犯罪歴がある場合には、ESTAを利用して、ビザなしの渡航はできませんので、必ずビザの申請をして、許可を得なくてはなりません。

一般的な短期の渡航であれば、Bビザを取ることになろうと思います。
裁量による発給ですので、必ず許可を得ることができるとは限りませんが、軽微な罪である限り、ビザが自動的に拒否されるということはありません。

重要なのは、ビザを申請するときに、前科を申告するわけですが、前科に関する書類一式を申請書類に添付しなければならないことです。

したがって、米国内で以前有罪の判決を受けている場合には、有罪の言渡しを受けた裁判所に直接連絡をして、該当する書類をすべて揃えてから、ビザの申請をすることになります。手間がかかるのです。

 

今回は、一般的に犯罪歴がある場合の、米国への入国についてざっとまとめました。

犯罪歴があれば即入国禁止ということではなく、上記のような様々な要素を検討しなければなりません。
ですので、単純に米国入国を諦めるのではなく、専門家に相談をして、入国の方法がないか考えてみてください。

 

次回、また新しいトピックを取り上げたいと思います。




 

会社で使い込みを発見。解雇するには?[2]_1069

法律ノート 第1069回 弁護士 鈴木淳司
August 8. 2017




 

サンフランシスコ国際空港で、関西から来ている少年野球の御一行を見かけました。ベイエリアの姉妹都市交流の一つのようです。まだ、小学生のような感じでしたが、はじめてアメリカに来た子供達もいるでしょう。子供の頃から、このような国際交流をして、自国を離れスポーツで触れ合うというのは素晴らしいことですね。きっと一生の思い出になるのでしょう。

 

会社で使い込みを発見。解雇するには?[2]

さて、前回から考えてきた「私が所属する日系の会社(未上場)で、会計監査が行われたのですが、従業員の一人が会社のお金を私用の目的で使い込んでいることが発覚しました。私は人事担当なので、何度か本人と話をしていますが、本人は否定しています。解雇を適法に行うにはどのようにしたらよいのでしょうか。」という質問を続けて考えていきたいと思います。

 

就業規則や法律違反がないか

前回をまとめると、まず事実関係を整理し、就業規則および法律に抵触する行為がないのかを確認するということが必要ということを考えました。

今回続けて、実際に質問されている具体的事例にどのように対応した方が良いのか、考えていきましょう。

 

具体的な対応_事情を聞き、記録を取る

まず、問題となっている本人からも事実の聴取をされているようですので、本人の言い分も必ず聞き、聞き取った内容は残しておくことが良いと思います。一刀両断に切り捨てるのは、よくありません。

本人が「使い込み」を否定しているのであれば、事実関係との齟齬についてちゃんと説明を受けるべきです。そのときに、聞き取りをするのは複数人いるほうが良いと思います。後日、聞き取り中に何か問題視される可能性がある場合、その主張を封じることができます。

このような社内での聞き取り段階で、従業員側が弁護士に相談し、弁護士をつけることもありえます。弁護士がついたということがわかった場合には、強引に聞き取りを続けるのではなく、会社側も速やかに弁護士に相談して、弁護士同士での話合いにする必要がでてきます。

 

具体的な対応_退職を促す

かりに、従業員が「使い込み」を否定していても、事実関係を精査して、使途不明金があるとすれば、実際に自己都合退職を促すこともできます。まずは、口頭で本人の意向を聞いてみることが良いかもしれません。

自己都合退職とするかわりに、法的責任は問わない、という交換条件も提示しても良いかもしれません。退職届(Resignation Letter)のみを受理して終わる場合もありますし、和解契約書的な書面を作成する場合もあります。

事例によって異なると思いますが、できればまず話合いを持つということが段取りとしては適切です。いきなり、解雇とすると、あとで訴訟になった場合、なぜ解雇をする前に、自己都合の退職を吟味しなかったのか問題にされる場合があります。会社側としても、具体的事例に即して吟味に吟味を重ねた、ということを明示できたほうが良いのです。

 

退社か解雇か

退職を促し、従業員本人も自分の意思で退職すると、会社側にとって訴訟のリスクを減らすことができます。すなわち、不当「解雇」ではなく、自己都合の退職なのですから、「解雇」にまつわる訴訟を回避することができるのです。もちろん、100%リスクを回避することは不可能かもしれません。たとえば、「無理やり退職に追い込まれた」などという主張は法律上可能だからです。

しかし、一般的に言って、自己都合で退職する場合には、「解雇」には該当しないので、訴訟リスクがグッと減るのです。

退職した場合に、会社側が気をつけなければならないのは、退職日までに未払賃金が残っている場合には、その賃金を退職日までに支払う義務など、残給与の精算です。これを怠ると、あとで課徴金を乗せられて請求される可能性はあります。

上記のように話合いが可能であれば、まず退職の可能性を探るのが両者によって良い選択肢であります。ただ、従業員側が頑なに、退職を固辞した場合には、会社としては解雇を考えなければなりません。

次回ここから考えていきたいと思います。

 

 

日本の政治もまた色々再編が進みそうな状況にあるようですが、周りの意見を聞くと、あまり期待は感じられませんでした。どの世界でも人材不足なのかもしれませんね。
まだまだ暑い夏ですが、体調管理に注意してまた一週間がんばっていきましょうね。




 

会社で使い込みを発見。解雇するには?[1]_1068

法律ノート 第1068回 弁護士 鈴木淳司
August 3, 2017



 

 

北朝鮮がミサイルを発射していますが、今まで日本海側だけではなく太平洋側にも落ちていますね。そうすると、現状確実に日本のどこにでも撃ち込めるミサイルを持っていることになります。今は、一発だけ撃っているような状況ですが、たとえば10発を一斉発射した場合、本当にすべて防衛はできるのでしょうか。本当に心配になります。皆さんは夏をどのようにお過ごしになっていますか。

 

会社で使い込みを発見。解雇するには?

 

さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

いただいている質問をまとめると「私が所属する日系の会社(未上場)で、会計監査が行われたのですが、従業員の一人が会社のお金を私用の目的で使い込んでいることが発覚しました。私は人事担当なので、何度か本人と話をしていますが、本人は否定しています。解雇を適法に行うにはどのようにしたらよいのでしょうか。」というものです。いただいている質問はかなり長かったのですが、一般的なお答えにするために内容をまとめました。

個別具体的な質問については、ちゃんと弁護士に相談されたほうが良いと思います。

 

事実の特定は慎重に、正確に

まず、事実はどのようなものかを把握することが必要です。

会計監査が行われたということですが、具体的にどのような資料がでてきたのか、専門家にも聞きながら整える必要があると思います。

できればクレジットカードの明細や、お金に関する資料の齟齬などは、書類で確認できるはずですので、事実関係の把握には必ず必要なものですので、用意しておきましょう。

それから事実関係で必要なものが、関係者の聞き取りです。対象となっている人だけではなく、その事実に関係している人たちから情報を聞き取っておくことが重要です。聴取されている人の了承を取ったうえで、ビデオや録音で内容を保存しておくことも良いと思います。

 

将来的な訴訟にそなえる

これらの事実の把握や情報の保管が重要なのは、将来的にかりに何らかの裁判になった場合、証拠になる可能性があるからです。また、調査の対象者などと、メールでやり取りをしている場合には、電子情報も必ず残しておく必要があります。

ただ、証拠とできる内容は法律で限られていますので、事実を把握する段階で、専門家に相談をすることは重要だと思います。

 

就業規則の内容を確認

次に重要なのは、会社の就業規則(Employee Manual)の内容をチェックすることです。

就業規則に書かれている手続に沿って処分を決めていかなければなりません。就業規則には通常、疑義ある行為の種類などが規定されています。

就業規則というのは、各会社のルールですから、法律と違った設定をしている場合もあります。また、就業規則は、就業開始時または規則導入時に各被用者に配布され、受領のサインをもらうという手続きを取るのが一般的です。ですので、内容は会社全体に周知されているということになっているのです。

 

今回、会社の調査の対象になっている人も、就業規則に関して受領のサインをしているのか、会社側で確認する必要があります。かりに、就業規則が整備されていない小規模の会社であれば、一般的に法律上犯罪行為を構成する内容かどうか、検討する必要があると思います。

 

就業規則違反と法律違反

就業規則に反する行為が、同時に法律に反する場合もあります。民事法に触れる場合もあれば、刑事法に触れる場合もあります。

民事法に触れる場合には、民事訴訟、たとえばお金を不正に使われているような場合には、不当利得返還請求訴訟を提起することができます。横領として刑事法に触れる場合には、警察に届けて刑事的な処罰を求めることも可能かもしれません。

ただ、現実的な問題として、民事訴訟をするには、弁護士や裁判の費用がかかりますし、使った費用を一個人から回復できるのか疑問の場合もあります。また、刑事的な届け出をしたからといって自動的に捜査をしてくれるかどうかわかりませんし、刑事事件沙汰にすることは躊躇する会社も多くあります。

実際に事実関係を考えたうえで判断していくしかなかろうと思います。

 

 

ここから次回考えていきたいと思います。私は体調がバテ気味なのですが、皆さんは気をつけてくださいね。充分に水分を補給しながらまた一週間がんばっていきましょうね。




 

米国永住権者と結婚。配偶者の永住権は?[2]

法律ノート 第1067回 弁護士 鈴木淳司
July 24, 2017




 

友人や縁ある方から勧められた「決意なき開戦」(堀田江理著)、大沼保昭や和田春樹著の慰安婦問題に関する本を読み、国際社会における日本のこの80年間程度の歩みを学んでいます。こういった近代史を読み解いていくと、色々な想いが湧いてきます。日本という国は、多様な政治思想がぶつかりあい、普通の人々がそれに巻き込まれてきたという切なさを感じています。一方で、いつの時代でも慈愛の心を持ち平和を願うバランスのとれた優れた思想を持った日本人が存在していることに感心しています。本は頭の肥やしですね。

 

米国永住権者と結婚。配偶者の永住権は?[2]

さて、前回から考えてきた「私(男性)は米国永住権を持っている日本人ですが、日本から留学してきている彼女ができました。そこで、結婚をすることによって、彼女にも永住権を取ってあげられたらよいな、と思っています。永住権の申請はどの程度時間がかかり、どのような手続きをすれば良いのか教えてください」という質問について、続けて考えたいと思います。

 

配偶者永住権と「待ち時間」

前回は、配偶者の永住権申請をする際に、待ち時間が現在数年発生しているというところまで考えました。この「待ち時間」について今回考えます。

配偶者が今回質問されている方のように、外国籍(日本国籍)を持ち、ビザでアメリカに入国している場合、基本的に婚姻をしたからといってすぐに合法的にアメリカに滞在できるわけではありません。

 

別に米国の滞在資格が必要

永住権の許可がおりるまで、何らかの合法的な滞在資格(一般的には非移民型のビザ)を維持する必要があります。もちろん、日本に一旦戻り、永住権の申請を待つことはできます。米国に滞在し、永住権の申請を待つ場合には、米国に滞在する合法的な資格が必要となるのです。

今回の事例ですと、この「待ち時間」の間に、これから永住権を申請する配偶者が学生ビザを継続して維持していれば問題がありません。他にも就労ビザなどの維持をしていれば問題がないことになります。

 

具体的な事例

ここで、最近目にした事例をご紹介しておきたいと思います。

Aさんは、配偶者である永住権保持者のBさんのスポンサーで永住権を申請することになりました。永住権申請書を無事に提出し、「待ち時間」となりました。Aさんは、この「待ち時間」の間に、米国内で就労し、金銭を得ていました。ほそぼそとした自営業者です。税務申告を近年までしていませんでしたが、永住権申請が近づいてきたこともあり、税務申告を遡って行いました。

ところが、永住権の申請が終わって、やっと面接にこぎつけたときに、面接官から、税務申告について指摘を受けました。すなわち、永住権の申請の審査に、移民局は税務申告についても調査をしていることになります。

申請は却下とはなりませんでしたが、許可を得るためには、遡って申告をしたことにより発生した過去の税金を支払わなければ、永住権は認められない、という条件を付けられました。もちろん一括で税金を払え、ということではなく、国税局と分割の合意ができているということでも構わないという話にはなっていました。

 

税務申告と移民法上の審査

家族ベースの永住権申請については、税金の支払いうんぬんを聞くことは、完全な裁量になっていましたが、この事例では税務申告を許可の条件にされてしまったということになります。近時、移民関係の審査が厳しくなってきたので、このような事例がでてきているのでしょうが、これから永住権の申請をされる外国人の方は気をつけなければならないポイントです。

永住権申請の「待ち時間」において、学生ビザを維持しているだけであれば、税務申告のうんぬん、という問題は発生しないと思われます。しかし、一方で、何らかの収入を米国内で得ている申請者は、税務申告をする場合、ちゃんと税金も納めていることが許可の前提になります。

 

データベースが関連付けは密に

かなり政府内のデータベースが連動している時代になっていますから、移民関係の申請について、移民関係の書類の整備だけではなく、税金など他の政府関係の申請者の義務についても、しっかり書類を整備することが求められているということに注意してください。

 

 

次回からまた新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。暑い日が続きますが、健康に留意して水分を多く取りながらまた一週間がんばっていきましょうね。




 

米国永住権者と結婚。配偶者の永住権は?[1]

法律ノート 第1066回 弁護士 鈴木淳司
July 20, 2017




今週末、飛行機のなかで、たぶん「エアーマーシャル(航空保安官)」と呼ばれる人を現認しました。同時多発テロ事件以降、アメリカに所属する飛行機には、マーシャルが隠密に乗っていると聞いていました。飛行機が着陸し、降機する前に荷物を取り出しますよね。通路を挟んで反対側に座っていた人が荷物を取り出すために背伸びしたとき、腰のシグ・ザウエルの自動拳銃が見えました。ごく普通の服装をしていた彼は、考えると機内で酒を飲んでいませんでしたね。こういう人がいるので、飛行機テロの牽制になるのでしょうね。でも、隣に座っているのは何かあったときにちょっとコワイなと思ってしまいました。

 

米国永住権者と結婚。永住権は取得できるか

 

さて今回から皆さんから新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

いただいている質問は「私(男性)は米国永住権を持っている日本人ですが、日本から留学してきている彼女ができました。そこで、結婚をすることによって、彼女にも永住権を取ってあげられたらよいな、と思っています。永住権の申請はどの程度時間がかかり、どのような手続きをすれば良いのか教えてください」というものです。

 

配偶者永住権の申請

移民関連の法律や行政規則については、随時、別途「現役移民弁護士ブログ(じんけんニュース)」というところで取り上げていますので、そちらに質問をしていただくほうが良いのですが、今回の質問に関して、最近移民局が目を付けて聞いてきているポイントがあるので、そのポイントを中心にしながら皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

今回、永住権保持者の配偶者永住権申請というパターンについて生じる問題について考えていきたいと思います。

 

永住権は永住の「許可」。権利ではない

今回質問されている方は永住権をお持ちです。一般的に永住権というのは、米国に永住をすることができる許可をもらっている外国人に給付されるもので、正確には権利ではなく、永住の「許可」であります。

ですので、運転免許証(ライセンス)と同じように、国や(州から)永住する、とか、運転するとか、一定の行為を「許可」されているだけなのです。

だれが永住「権」という言葉を使いだしたかわかりませんが、ニュアンス的には「権利」ではなく、永住する「許可」が与えられているだけ、ということになるのです。なぜこのようなお話をするかというと、人によっては「永住する権利を持っているのだから」なぜ、配偶者もすぐに永住できないのだ、と安易に考える方もいるからです。

 

市民権との違い

アメリカ市民権は、国民としての「権利」ということになり、永住許可とはかなり色合いが違います。市民権は、国民の「権利」ということで間違いありません。

誰にも奪われない権利ですし、政府でも「許可」ではないので、取消しや制限をすることが基本的にはできません。

市民権と永住許可というのは、たしかに、「米国に住むことができる」という面ではかなり性質は似ていますが、実際の法律的な権利についてはかなり違う面があります。永住権保持者というのは、結局、外国のパスポートを持っているのです。

 

申請処理は市民権保持者を優先

市民権と永住許可というのは、法律的には違う性質があり、市民権保持者をまず優先するというのは、国として当たり前なわけです。そうすると、移民法でも米国市民権を持っている人の申請を優先することになります。

米国の移民局は「優先順位」を行政規則で決めていて、第一順位は、米国市民の配偶者、第二順位は、米国市民の近親者、そのあとに、はじめて永住権の配偶者申請ができることになっています。

優先順位というのは、順位が高ければ優先的に処理されるということです。現在で第三順位は、申請の処理がはじまるまで、約2年待つことになっています。

この「待つ期間」について少し考えておきたいことがあります。

 

 

ここから次回続けて考えていきたいと思います。

 

夏休みを取られている方もいらっしゃると思いますが、今年はかなり熱中症にやられているという人の話を聞きます。陽に当たるのは気持ち良いですが、疲れますし、さらに病気になっては困りますので、水分を取り注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。




トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[3]




 

法律ノート 第1065回 弁護士 鈴木淳司
July 11, 2017

アメリカではラーメンが大流行していますね。かなりの数の日本食店舗がラーメンを出しています。日本では、ラーメンは短時間で食べて、店を出るというのがお約束ですが、アメリカではずいぶんゆっくり食べているのをみかけます。のびちゃうように思うのですが。極めつけは、残った麺と汁を容器に入れて持ち帰る人もいます。次の日に食べている姿は想像したくありません。外国から入ってきた新しい食文化の波という感じなのでしょうか。

 

トラストとトラスティ、仕組みを知りたい[3]

引き続き、以下の質問を考えてみましょう。
「私と夫は(あるカリフォルニア州外)90代と80代で二人で暮らしています。現在、トラストを作成してあるのですが、ある税務会計事務所の方に相談をしたところ、その事務所の方がトラスティになってくれるということになりました。とても親切な方で最初は感謝したのですが、月500ドルを支払うように要求された上に、トラストを書き直して、今我々が住んでいるアパートは、我々夫婦が死んだら彼女の所有になることになってしまいました。そこで質問ですが、何故、トラスティには無料のトラスティと有料(月500ドル+実費)の2種類のトラスティがあるのでしょうか。アメリカの法律では、有料のトラスティを認めているのでしょうか。」という質問です。

 

裁判所が関与する後見制度、そうでないトラスト

前回、皆さんと考えたのは、後見というのは裁判所が精神的、肉体的に自分自身の判断をするのが難しい人を後見人という立場の人を付けてモニターする制度であるということです。

後見制度の対象となる人のことを被後見人と言います。日本の法律用語で「被」なんとか、という言い方があった場合、何らかの法律的な効果が及ぶ、という意味です。被後見人といえば、後見の効力が及ぶ人ということになります。

後見制度は裁判所が監督する制度ですので、被後見人の自由になんでも決まるわけではありません。後見をする人の費用や、被後見人に関して生じた出費については裁判所の許可が必要となります。

さらに前回、トラストについて後見と対比して考えましたが、トラストというのは裁判所がかかわるわけではなく、自分の意思で作成し、その内容が実行されていくということになります。

 

トラストは自由意思で財産管理を決定

トラストというのは、設定する人の自由意思で色々決められるわけですから、後見制度の被後見人とは色合いが違います。

あくまでも設定する人が自分の財産をどのように使うかを決めるのですから、今回の質問にあるトラスティを誰にするのかも、自由意思で決められることになるわけです。

今回質問されている方は、80代ということですが、かなり意思もしっかりしていて、質問の内容もよくわかります。ただ、トラストというものの性質について、「自分で決めるのが基本である」ということを理解していれば、自ずから答えはでるようにも思います。

 

自分の死後のトラスティ継承者を指定

トラスティの設定は自分の意思でできるのですから、たとえば自分が生きている間は自分や配偶者がトラスティになり、死亡した場合には、承継するトラスティ、通常は家族(子や兄弟など)を予め指定しておきます。これが、鉄板のパターンです。

 

契約内容の確認を

今回質問されている方のように有料でトラスティを設定するというのは、かなり変則的です。そもそも、トラスティになっていたとしても、毎日何かするということではないので、もしかしたら、通常のトラスティの業務を超えて、何らかのサービスを提供する契約になっているのかもしれません。

いずれにしても、トラストにトラスティがどのように規定されているのか、自分の意思を確かめることと、このように有料のトラスティ・サービスというのがあるのであれば、その契約にかかわる契約書が存在するはずですので、その内容を確認する必要があります。トラスティを誰にするかは、あくまでも自由意思ですので、無料であろうと有料であろうと、自分がどのような契約をしたのかにかかってきます。もし、自分で色々なことをする能力があるのであれば、御自身が生存中は御自身をトラスティに指定すればお金はかかりませんし、家族をトラスティにしておけばお金はかかりません。もちろん、お金を要求する家族もいるのかもしれませんが、それは例外的だと思います。

とにかく、有料のトラスティなどいるのか?と思われているのであれば、トラストと有料サービスの契約書を利害関係のない法律家にみてもらうのがよいかもしれませんね。

 

 

次回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

カリフォルニア州では、異常に暑いところもあり、気候が変だな、という気がします。皆さんがお住いの地域も暑いのでしょうか。熱中症などに気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。