ビザ申請時に健康診断が必要なケース


弁護士 鈴木淳司 11-09-2013

ベテランズ・デーのおかげで今週末は3連休です。もうハロウィンも終わりホリデーシーズンもこれから盛り上がっていくことでしょう。年末に向けて消費がどの程度増えるのかが来年の景気を左右するのでしょうから、この3連休は小売業にとっては重要な前哨戦になりますね。
私は買い物より、ゆっくりしたい派ですが、みなさんはどのようにお過ごしになるでしょうか。

さて今回は、健康診断について考えたいと思います。
最近の事例ですが、ある日本人の方が米国において飲酒運転で逮捕・有罪となり、日本から再入国する際にビザが必要になりました。
一次的な渡航で、就労のためではないのですが、ビザの申請に対する許可の前置として健康診断の結果提出を求められた事例があります。

米国に渡航する際に健康診断が求められるケースは大きくわけて2つあります。
一つは、ビザの種類による場合、もうひとつは、精神・身体の健康に問題があろうと考えられる場合です。

前者について、代表的なものは、永住権を申請する場合、および婚約者ビザ(Kビザ)を申請する場合です。Kビザは一般的に取得にハードルが高いと言われています。
申請から許可まで一年近くかかる場合もありますし、書類の整備も大変です。
加えて、健康診断まで要求されるのです。ですので、通常はKビザを避ける方法をアドバイスする弁護士が多いでしょう。

後者については、いわゆる薬物の中毒がないかどうか、また精神・身体(特に精神でしょうが)において自己または他人に危害を加える可能性があるかどうかについて、大使館・領事館は裁量で健康診断を義務付けることができます。
復習になりますが、外国人が米国に入国する「権利」はありません。ですので、米国が裁量によって入国を制限することができます。
ということは、明確に健康診断が法律上義務付けられていない申請案件についても、健康診断を要請することができるのです。健康診断が裁量で要請できることは移民法221 (d)条で規定されています。

裁量によって健康診断が求められるということは、事例によってどのような健康診断か内容が異なる場合があります。通常は、大使館・領事館が提供している医療機関のリストから診断を受ける機関を選ぶことになります。
一方で申請内容について、確認的な意味合いの健康診断であれば、医師からの診断書でも問題がない場合があると思います。
大使館・領事館の指示にしたがっておけば問題はないでしょう。

ESTAを利用して米国に入国した場合、飲酒運転で逮捕・有罪となると次回入国はなんらかのビザが必要になろうかと思います。例外はあるかもしれませんが。
ビザが必要な場合には、正直に飲酒運転の前科前歴について申請内容に含めます。そうすると、飲酒について問題になっているわけですから、大きく分けて、薬物、すなわちアルコール依存症がないかどうか、大使館・領事館は検査を求めることができることになります。
今回の事例では、アルコール中毒とはまったく認められないような事例でした。しかし、たとえばビザ取得の際のインタビューのときに、なんらかの言動がおかしいとか、過去にアルコールで別の問題を起こしたことが明らかになったような場合には、裁量で検査を義務付けられる場合があるでしょう。そのようなときには、指示にしたがって健康診断を受ければ済むので淡々とやっていくしかないでしょうね。

それから、麻薬・覚せい剤等に関わる犯罪で有罪判決を受けている場合には、薬物中毒でないことを医学上証明できたとしても、米国への入国が原則として禁止されます。
禁止薬物がかかわるケースについては、特別に米国への入国許可を求める手続きを経なければならないのが原則です。
ですので、禁止薬物に関して前科前歴がある方々は専門家の意見を得てから申請をすることを考えてください。

次回、また別の移民法関係のトピックを考えていきたいと思います。
それまで皆さんお元気でお過ごしください。

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