L-1Aビザ申請時の注意点


弁護士 鈴木淳司 10-01-2013

 もうサンフランシスコでは秋の気配が感じられますが、皆さんがお住まいの地域はいかがでしょうか。もう、街ではオレンジのかぼちゃが大売り出しです。先週接見のために訪れた刑務所でも、内装がハロウィン一色になっていました。皆さんは秋を楽しまれているのでしょうか。

さて、今回は、L-1Aビザの申請について、最近の移民局の行っている審査の傾向と最近行政不服申立てが通った例についてご紹介したいと思います。L-1Aビザというのは、会社の役員等、いわゆる米国でいうマネージャーが米国において給与を受けて働く際に取得するビザです。

国際的な企業において、たとえば日本の本社でマネージャーをされている方が、米国においても、マネージャーとして働く場合に給付対象となります。
今回は細かい取得要件については、ご紹介しませんが、基本的にマネージャーであることを移民局に対して説明しなければL-1Aビザの申請は許可されないこととなります。

 

数年前から、移民局はL-1Bビザの申請について、過度に厳格な審査を行い、今まで安定して許可されていたような案件でも、不許可事例がでてきて、実務を行っている弁護士の間でも、移民局の対応に不満が噴出していました。

最近は、L-1Aビザの許可条件を過度に厳しくしている傾向があります。再度、入国管理を扱う法律事務所では移民局の対応を問題視し始めています。
そのような状況のなか、最近、L-1Aビザについての移民局の不服申立てが通った事例がでてきました。

 

この事例は、ある外国にある大会社が米国に子会社をつくり、人を派遣したところ、いろいろな理由はあったのですが、大きく2つの理由によりビザの発給が拒否されました。

一つの論点は、マネージャーとして「営業」など、どこかの部門を統括している必要があるかどうか、もう一つの理由は、統括している部下が米国外にいる場合には、部下としてカウントされないのかどうか、ということでした。
結局、この案件においては、不服申立てが通り、ビザは許可されました。

まず、マネージャーとして一部門を統括している必要があるかどうかなのですが、ビザ取得の要件の一つに本当に細部なのですが、マネージャーの「Function」すなわち機能を果たしているのか、という曖昧なものがあります。

マネージャーとしての「機能」といっても、多義的ですね。この多義的なところを狙い撃ちにして、移民局は最近、非常に狭く解釈をはじめたのです。移民局に広汎な裁量があるとしても、やりすぎ感が拭えません。
移民局は、部署を統括しているのであれば、マネージャーとして機能しているが、会社内で多角的にいろいろな業務をしていると、マネージャーとしての機能を果たしていない、としていたのです。これが、不服申立てで覆されました。
会社内で多角的、多数の業務を行っていても、自分で業務を直接行うのではなく、指示できる部下がいて、実際にその部下の業務を管理していれば、マネージャーとして機能しているとされました。

 

次に、会社内で管理する地位があったとしても、部下については、米国内だけの部下をカウントしていた移民局の判断は不服申立てにおいて覆されました。マネージャーとして、管理をする部下については、米国内にとどまらず、外国にいる部下も含むということが今回の事例ではっきりしました。
ですので、今後、L-1Aビザ申請においては、米国内の部下だけではなく、外国にいる部下も広く含まれるということになったのです。国際的な会社になれば、部下も、多数の国にいて当たり前なのに、もともとの移民局の判断は部下のカウントを米国内に限っていたわけです。
それでは国際的な企業の活動を支える目的のL-1Aビザの趣旨に反する判断だったといえます。ですので、不服申立てが通って、妥当なのです。

 

以上のように、L-1Aビザ申請が最近は狙い撃ちをされていますので、申請を考えられている方々は、申請の内容について、細心の注意を払う必要があります。
一度不許可となったからといって、あきらめないでください。上記のように最近の審判例で、あまりにも要件を厳格解釈することが妥当でないとなりつつありますので、再度申請すれば取得の可能性は十分にあります。

それでは、次回また新しい質問を考えていきたいと思います。

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