L-1Bビザについて


もうすっかり春ですが、日本からのメールでは黄砂と花粉症のことばかりが書かれています。せっかく寒かった冬から開放される春なのに、なんだか悩みは尽きない感じです。春はよい季節だから、できるだけ楽しみたいものです。

さて、今回のトピックはL-1Bビザです。近年一番締め付けが強く、移民局の裁量で一番許可も下りにくく、さらに再審査請求をしてもほぼ通らないというビザです。L-1Bビザ申請を考慮される方は、どちらかというと他のビザが可能かどうか確認してどうしてもダメな場合には、利用されるという形にしたほうが良いと思われます。今回は、このL-1Bビザについて考えてみます。

まず、L-1Bビザというのはどのようなビザなのか簡単に考えておきたいと思います。L-1Bビザというのは、アメリカとアメリカ国外にある本社・子会社関係が前提になります。そしてアメリカ国外の本社または子会社で過去三年間において、少なくとも1年間働いていたことが前提となります。そして、ビザの許可を受けて働く仕事は、「専門知識」を要するものでなくてはいけない、ということになっています。

ここで、近年問題になってきているのがこの「専門知識」の解釈であります。専門知識とは、そのスポンサーとなる企業における、製品、サービス、研究開発、機器の仕様、技術、経営などを指します。近時、この「企業における」という解釈がずいぶん厳格に解釈されるようになり、不合理に感じる否定例もでてきました。私の事務所の移民チームが手がけた案件でも、今まで普通に通っていたものが、不合理な理由付けで拒否に遭うということも発生してきました。この解釈の厳格化は、2004年のL-1ビザリフォーム法の影響がでてきたからではないかと思っています。ここでは、L-1Bビザの発給を厳格化することが書いてあります。そこで、ここ数年は特に、L-1Bビザの拒否率が上昇してきており、2003年においては、発給が拒否される率は10%に満たなかったのですが、2008年では2割強、2011年においては3割弱拒否されることになりました。もちろんL-1Bビザ以外のビザも拒否率が上がっているのですが、L-1Bビザは特に狙い撃ちをされている感が拭えません。

どうも、インドなどの国において、L-1Bビザの濫用が認められたというのが上記考えたL-1ビザのリフォーム法につながっていると思われます。いわゆるIT業界の発展とともに、インドのように英語ができ、労力が安いといった人材を確保するために、多く使われてきて、最終的には規制が必要であるという方向性の議論になったと考えられます。したがって、たとえば日本人など今まで正当にビザを申請してきた外国人にとっては非常な迷惑ということになります。

この「専門知識」の要件を非常に狭く解して、移民局はL-1Bビザを拒否し続けてきました。スポンサーとなる会社における専門知識というのは、ある程度幅広いこともありますし、一般的な専門知識と重なる部分もあると思います。ところが、移民局の拒否例をみてみると、そのスポンサー会社内でしか知り得ないような機密性が高いものを想定しているとしか思えない判断がなされていました。これでは「専門知識」ではなく会社の機密情報を知っているか知っていないかで判断すればよいように思えます。移民局は要件解釈の厳格化をするというよりは、要件の内容を変えてしまっているように思えます。

最近になって、移民法の弁護士協会からまわってきた情報によりますと、インド人の例ですが、L-1Bの専門知識の解釈があまりにも狭すぎるという再審査における決定がでました。いつかは、緩和するだろうと思っていましたが、「専門知識」という要件の解釈の緩和事例がでてきたと思われます。

しかし、皆さんが企業において米国に赴任する場合にはできれば、L-1Bビザはしばらくの間避けた方がよいビザだと思われます。

また次回新しいトピックを考えていきたいと思います。

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カテゴリー: 国際弁護士なブログ | 投稿日: | 投稿者:

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