資格難民申請受入制限を目的とした大統領令


資格難民申請受入制限を目的とした大統領令

15 Nov, 2018

先日、トランプ大統領による新たな移民政策が打ち出されました。

11月9日に、大統領令として発布された移民政策は、すでに司法省や司法省下の移民局にも通達がなされ、11月9日より施行されています。すでに私の知り合いの弁護士も参加しているのですが、サンフランシスコの連邦裁判所でこの大統領令の無効、取消を求めて出訴されています。

この原稿を書いている時点で、大統領令を読みましたが、細かい実際の施行の方法は規定されておらず、大統領令に反対して提起されている訴訟においても、今後どのように推移するのかわかりません。

今回の国際弁護士ブログ(じんけんニュース)においては、現状わかっている範囲内で、トランプ政権は何がしたいのか、そして、何が問題として反対されているのか、捉えておきましょう。今後の流れがどのようになるのかが、理解できると思います。

 

違法(illegal)移民の捉え方は2通り

さて、今回トランプ政権が実行しようとしている一連の考え方について、ここで理解しておきましょう。

まず、現政権は、違法移民についての入国禁止を強めています。ここで現政権がルースに「違法(illegal)」と呼んでいる外国人は2種類あります。 一つは、合法的にアメリカに入国して、滞在資格が切れているのに、滞在し続けているパターンです。もう一つはそもそもの入国が違法であるというパターンです。

この2つのパターンの違法滞在について、現政権はかなり反移民政策を強化させようとしていますが、今回の11月9日付けの発令は、主に入国自体が問題になる場合を対象にしています。  

 

大統領令発令の経緯

今回の発令に至る経過を考えましょう。

中南米から、アメリカを目指して移民が押し寄せているという話題を、保守系のメディアがかなり取り上げました。子供も含め、多数の難民申請を狙う中南米の人々がアメリカに向かって行進しているということです。

そして、現政権はそのニュースを中間選挙に利用しました。こんな数の不法移民がアメリカに突然入ってきては困る、と考える人達が多数居てもおかしくないわけです。

メディアをかなり批判している政権ですが、自己に有利な内容については、放送の効果を生かそうと躍起になっていました。かなり大統領自身もこの話題を取り上げていました。

大統領は、選挙戦略に移民を問題化して利用したことは間違いないですが、現在、難民申請の制度問題、メキシコとの国境問題はたしかに存在します。

難民申請というのは、不法にアメリカに入国してきた外国人でも、「難民申請をします」といえば、その申請は受理されます。そして、何年も時間はかかりますが、20%程度は難民として受け入れられます。 つまり現状のシステムは、違法な方法でも、とにかくアメリカに入国してしまえば、「難民です」と申告して保護を求めると同時に、アメリカに滞在する資格を求めることができるのです。

今回の大統領令は、このアメリカに不法に入る前に食い止めて、アメリカに入国するための手続きをちゃんと国境で取るべきである、と言っているのです。

そして、不法に入国した人たち(11月9日以降)に関しては、難民申請を許さないとしています。難民申請をしたいのであれば、ちゃんと入国時に手続きを取れ、と言っています。

実際に不法入国をしてしまえば、アメリカに滞在しながら難民申請ができるので、それを実質的に減らそうとしているわけです。一方で、実際に働いている人たちには難民申請をしながらアメリカに貢献している人たちも少なくないのが事実です。  

 

難民政策

実は、ここまでの感覚は日本人や日本政府であれば当たり前であります。

レーガン政権のときに、大量のハイチ難民をアメリカに到着する前に、船ごと拿捕して、自国に戻す政策を取っていましたが、日本は普通に今でもやっていますよね。

日本に不法に入国するという話も、そもそもなかなか聞かない話ですし、難民申請が通ったとしても受理の件数は、びっくりするほど少ないのです。 もちろん、日本は島国であるから、様々な攻撃に耐えてきて独自の文化を生成してきたわけですが、不法移民や難民申請などというトピックにはかなり疎い民族なわけです。

アメリカとメキシコの国境は何千キロにもなり、いわゆる違法移民を助けるトンネルもたくさんあると言われています。現政権は「入国しちゃった者勝ち」を許さないと言っています。私のクライアントでも、大変な思いをしてビザを取ったり永住権をとったりして、アメリカに滞在している人がほとんどなわけです。そうした、合法的な手続きを経ないで、滞在させるのがおかしいと言っているのです。

一方で反対派は、難民というのは、命の危険が伴うものであり、違法な移民であろうがなかろうか、生命や身体に影響する事情がある限り、まずは門戸を開くべきだ、という考えです。たしかに、送り返されると政治的に抹殺されることもありえます。

また、アメリカは、ユダヤ人の迫害のときも、冷戦のときも、かなり難民を受け入れそのことで世界の評判を得てきたわけです。今さら、自由の国、自由を信じる人を受け入れる国であることを否定してはいけない、という根強い考えもあります。

もし、この原稿を日本にいる日本人が読んでいるとすると、トランプの言っていることは「わかる」という人がほとんどなのではないでしょうか。

一方で、日本に住んでいる外国人や、自国にすまない外国人が考えると、反対派の考えが大事と思うのではないでしょうか。

今までは大統領令でかなり納得のいかない政策を打ち出していた現政権ですが、下院で民主党が大勝したことが原因なのかはわかりませんが、法律的な見地から、主張が正常な範囲内になってきたようにも感じます。これから、保守と革新的な考え方のぶつかり合いになりそうです。

上記のような見地から、今回の大統領令をみなさんも考えていただけると幸いです。


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