支払いを履行されない相手への法的対策[1]





法律ノート 第994回 弁護士 鈴木淳司
february 14,2016

 

経済が乱高下していますね。こういう時期もあるのでしょうか。しかし、ガソリンの値段が
最近かなり下がってびっくりします。少し前までは1ガロン(約4リットル)で4ドルを超えて
いることもありましたが、今私が目にする最安値では1ドル99セントというガソリンスタンド
もでてきています。半値ですね。同じガソリンなのに、こうも違うものかと。消費者としては
大きな経済に巻き込まれて右往左往するのは落ち着かないですね。金融政策と実体経済が乖離を
はじめているようにも感じます。

 

支払いを履行されない相手への法的対策[1]

 

さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきましょう。              いただいている質問をまとめると
「米国であるサービス業をしている企業です。未払いのある取引先に対して、請求を繰り返して
きたのですが、数社は支払うとは言ったものの、支払を履行しません。こういった場合に、借用証
なりの形で証拠を残しておきたいと思っています。もともとの契約書はもちろんあるのですが、
それに加えてどのような法的な対策ができるのでしょうか」
というものです。

 

サービスへの対価は紛争になりやすい

売掛金や代金の回収というのは、なかなか支払を受けられないと法的な問題が生まれやすい
場面です。

今回の質問をされている方は、あるサービス業をされていて、物を売っているわけではあり   ません。サービスの提供は、目に見えない部分が大きいわけですから、対価の支払に対して   支払う側の満足感なども大きく左右することになります。

弁護士の仕事だってそうだと思います。物には通常明らかな値段がありますが、サービスには
値段をつけにくい部分もありますので、紛争になりやすく、私も今までに何件も事例を見て   きました。                                       とはいっても、サービスに対する対価は通常契約書が作成されますし、弁護士などは契約書の
締結が義務付けられていますので、その契約書に基づいて請求することはなんら問題ありません。
今回質問されている方の企業も、ちゃんとサービス提供前に契約書を締結しているようです。

 

契約書をもとに支払い交渉を行う

ここで、最初から締結済みの契約書を使って支払を促すことは一般的です。契約に基いて発生
した債務を払え、というのは権利としては何ら問題ないわけです。

しかし、たとえば「払いたいけど、払えない」とか「今は払えない」といったケースも生じます。
取引先のキャッシュフローなどに問題があれば、訴訟を提起してたとえ勝訴したとしても、引当て
財産がないわけですから、判決を執行することができないことになります。結局、回収が不能に なる場合もあります。

ここで、訴訟をすることをすぐにはせずに、取引先と交渉することが考えられます。交渉の内容
としては、たとえば分割払いで支払う、とか、数ヶ月支払を待つ、とか、クリエーティブに支払い
方法を交渉することが可能かもしれません。
もちろん、このように支払の方法を交渉して成功した場合、訴訟をする必要はありませんが、
新たに書類を作成して担保したいと思うのは妥当なわけです。もともと存在している契約書だけ ではこれを担保できません。

そこで、今回質問されている方は借用証のような形のものができないかと考えられているわけです。

 

約束手形の作成が王道

色々な考え方はあると思いますが、一般的には約束手形(Promissory note)を作成するのが王道でしょうか。かなり以前に約束手形のことは法律ノートで取り上げたとは思いますが、ここでもう一度考えていきたいと思います。私はPromissory Noteだけではなく、和解契約書のように、今までの流れも盛り込んだ書類も作成しておくと良いと思っています。

なぜなら、以下考えていきますが、Promissory Noteというのは、債務者のサインしか原則必要ではありません。ですので、両当事者が合意をしてそれを紙にする和解契約書もあると後のトラブルの対応が若干楽になります。この点についても、今回考えていきたいとおもいます。

 

約束手形というのは、書面で作成されて、債務額、利息などが記載されていて、支払期日が定め られているものをいいます。約束手形を作成すると、裁判になれば、その約束手形以外に証拠を 必要とせずに、支払を請求できるので、支払を求める方法が簡略化されているということになる わけです。
また、支払方法や、支払額、債務者、支払期限などが明記されているため、後日問題が生じることが少なくなります。

 

次回、この約束手形について詳しく考えていきたいと思います。春の便りももうすぐ届く季節になってきました。まだ寒さも残っていますので、体調に注意しながらまた一週間がんばっていきましょうね。