我は売る、さらばベスパよ(1)-ネット個人売買とリスク_1072


法律ノート 第1072回 弁護士 鈴木淳司
August 31, 2017



 

我は売る、さらばベスパよ(1)-ネット個人売買とリスク_1072

皆さんは、8月最後の週末はどのようにお過ごしになりましたか。私は、ロスアンゼルスまで飛んで、葬儀に参列しました。まだお若かった故人のことをご家族と偲ぶ機会を得ました。この故人がいなければ、日本最初の量販ハイブリッド車が世に出ませんでした。貴重な方を亡くしました。

さて、前回から養育費について考えてきました。

今回も続けようと思ったのですが、先週から私に起こっていることで、ぜひ皆さんにも注意していただきたいことがあり、一旦、いただいている質問にお答えするのを休ませていただき、私の記憶が鮮明なうちに皆さんとシェアできたら良いなと思っています。

くだらない話のようにも思えますが、日常生活では気をつけなければなりません。

 

実は私は若いときから、かなりの台数のオートバイに乗っていて、弁護士になってから控えるようにしているのですが、今でも街中で走っているオートバイを見ると心で評論してしまいます。

アメリカで、バイクというと自転車のことになってしまいますが、尾崎豊や浜田省吾に習って、ここでは、オートバイのことをバイクと言ってしまう可能性がありますので、あしからず。

 

2011年、あるスクーターに目を奪われました。実はスクーターにはまったく興味がなかったのですが、当時新車だった、GTVというベスパがどうしても欲しくなってしまいました。

ベスパというのは、ご存じの方も多いと思いますが、イタリアのピアジオが出しているスクーターで、イタリア語で、蜂の意味があります。女性でも乗りやすいということで発売され、ヨーロッパではどこに行ってもみかけます。限定解除の大型バイクに乗っていた私が、なぜこのGTVにロックオンしてしまったかというと、「ローマの休日」という映画です。

皆さんも観たことがあるクラシック映画なのですが、その映画の中でオードリーヘップバーンが乗っていたベスパを覚えていますか。マニアには良くわかることなのですが、現代のスクーターのヘッドライトの位置は、ほぼほぼハンドルの高さに設定されています。ベスパもほぼすべて、ヘッドライトがハンドルの位置というのがお決まりなのですが、このGTVだけは、前輪フェンダーの上にヘッドライトがつけられている、いわゆるレトロ復刻版なのです。オードリーの乗っているベスパも前輪の上にヘッドライトがあるのです。

見ればみるほど、このGTVがどうしても欲しくなった私は衝動買いをしました。オプションも付けられるだけつけて、意気揚々とサンフランシスコの街で乗っていました。なんといっても、シートが革でできているスクーターです。革の保護用のスプレーで磨いたり、街中に停めるときには、カバーをしたり、と哺乳類を飼っていると同等のケアをしていました。

ところが、「スーツを着ながらでも乗れるんだよ」と自慢げにしていた私も、1000マイルも乗らないうちに、徐々に乗らなくなってきて、結局車庫に眠るオブジェと化してしまいました。それから、数回は乗ったものの、やはり車の方がなにかと便利ということもあり、GTVはカバーをかぶったままになってしまいました。

ところが、人間というのは、浅ましいもので、2011年の「あのときの買ったときの気持ち」を大事にしていていたこと、仕事が忙しかったことなどから、手放すこともできず踏み切れない状態でズルズル今まで来てしまいました。ところどころ、金属パーツにサビは浮いてきているものの、新品同然の状態です。

2017年夏も終わるころ、車も買い換える時期になり、ようやく売る決心をした私は、地元の物品売買サイトを通して、「ベスパ、売ります」という広告を出しました。「あー、大事に乗ってくれる人が現れたらいいなぁ」などと思いを込めつつ、愛車の写真を掲載して、連絡を待つことにしました。価格設定は、ちょっと高めにしました。交渉はするつもりですが、やはり買った時の愛着があるからです。

インターネットに広告を掲載すると、一時間も経たないうちに、いくつも連絡が入ってくることに驚いていたのですが、実は、かなりの数の詐欺的手口をつかった連絡が入ってくることになります。

次回、どのような手口で私の愛車を持っていこうとしているのか、みていきましょう。

 

テキサスのハリケーンなど天候でアメリカも深刻な状況になっていますが、秋にかけて天気も不安定になってくることが予想されます。異常気象があるとしても、皆さんくれぐれも体調管理には気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。