エステートプランニング導入のメリットは?[1]_1013


法律ノート 第1013回 弁護士 鈴木淳司
June 26, 2016




 

英国がEUから離脱するということで、通貨も乱高下していますし、株価にもかなり影響している状況です。この問題が一時的な問題であるとは到底思えません。単なる金融や経済だけではなく、社会的な問題が根深いからです。首相が辞任しましたが、ある意味、論点を明確にして選挙をして負けてしまったということで、政治的に深刻な問題ではあります。

 

エステートプランニング導入のメリットは?[1]

さて、今回からエステートプランニングに関する質問をいくつかいただいていますので、まとめて皆さんと考えていきたいと思います。
類似している質問をいくつかいただいているのですが、かなりまとまった質問がありますので、それを使わせていただきたいと思います。

いただいている質問は、「エステートプランニングの作成をした方がいいという記事をよくみかけます。数十ドル程度でできるのであれば気楽に考えるのですが、数千ドル、しかも不動産などを買い替えた際などに情報のアップデートが都度必要となるとなかなか専門家に頼んでというところまでにたどり着きません。我が家には子供が一人いるだけです。夫婦は共に日本人で永住権を持っています。特に複雑な血縁関係があるわけでも、財産があるわけでもなく、不動産と保険と現金が多少あるのみ(1ミリオンもないです)なので、夫婦共に亡くなったとしても、時間がかかるというだけで最終的に相続するものが全て子供のみにいくのであれば、エステートプランニングをする意味が乏しいのではないでしょうか。それでもエステートプランニングがないとデメリットとなるのは何でしょうか?銀行や保険などには全て受取人を指定してあります。エステートプランニングをするメリットは理解しています。正直なところ、専門家にこの質問を投げれば「持ったほうがいい」との答えがかえってくるのが当然かと思うので、この質問をすること自体に矛盾があるのかもしれませんが、お答え頂けると助かります。」というものです。

よく研究されているというか、とても素晴らしい質問の文章でしたので、少々手を加えただけで使わせていただいています。

 

導入するかどうかは迷いどころ

たしかに、今までの1000回強の法律ノートで何度もエステートプランニングについて取り上げ、エステートプランニングとはどのようなものか色々啓蒙も含め考えてきたと思います。皆さんも法律ノートでエステートプランニングというと「またかよ」と思われているかもしれませんね。
一方で、実際にエステートプランニングをするべきか迷っている方の立場ではあまり考えてこなかったかもしれません。

似たような質問がいくつか法律ノートに寄せられていますので、以下考えていきましょう。

 

エステートプランニングの目的

まず、エステートプランニングの究極の目的は、自分や配偶者の財産を死後どのように交通整理していくかを決めることを総括して言います。エステートプランニングというのは、法律用語というわけではありません。一般的な言い方です。

エステートプランニングというのには、トラストや遺言などが含まれるということは、何度も法律ノートで考えたと思います。

 

エステートプランニングをせずとも財産は残る

今回質問されている方は、お金をかけてエステートプランニングをするべきなのか、という質問をされていますが、まず、エステートプランニングをしなくても、財産が政府に取られるということはありません。エステートプランニングをすることは、絶対的に必要なことではないわけです。

それでも、エステートプランニングをするのがアメリカでは一般的になっています。それはメリットがあるからです。

今回の質問者はエステートプランニングのメリットを理解されているということですが、ここで簡単に考えておくと、

(1)裁判所を通す相続手続が省略できること
(2)財産について公にならないこと
(3)死後の手続きが短期間で終わること
(4)相続人間の紛争防止になること
(5)限られた場合ですが、税法上のメリットがあること

などが考えられます。

 

次回、エステートプランニングがない場合のデメリットを考えていきたいと思います。
結局、メリットの裏返しになるのでしょうが、また来週考えていきましょう。

 

バスケットボールのシーズンが終わり、野球が本格的になってきました。もう夏ですね。体調管理をしっかりして、また一週間がんばっていきましょう。