会社で使い込みを発見。解雇するには?[1]_1068


法律ノート 第1068回 弁護士 鈴木淳司
August 3, 2017



 

 

北朝鮮がミサイルを発射していますが、今まで日本海側だけではなく太平洋側にも落ちていますね。そうすると、現状確実に日本のどこにでも撃ち込めるミサイルを持っていることになります。今は、一発だけ撃っているような状況ですが、たとえば10発を一斉発射した場合、本当にすべて防衛はできるのでしょうか。本当に心配になります。皆さんは夏をどのようにお過ごしになっていますか。

 

会社で使い込みを発見。解雇するには?

 

さて、今回から新しくいただいている質問を考えていきたいと思います。

いただいている質問をまとめると「私が所属する日系の会社(未上場)で、会計監査が行われたのですが、従業員の一人が会社のお金を私用の目的で使い込んでいることが発覚しました。私は人事担当なので、何度か本人と話をしていますが、本人は否定しています。解雇を適法に行うにはどのようにしたらよいのでしょうか。」というものです。いただいている質問はかなり長かったのですが、一般的なお答えにするために内容をまとめました。

個別具体的な質問については、ちゃんと弁護士に相談されたほうが良いと思います。

 

事実の特定は慎重に、正確に

まず、事実はどのようなものかを把握することが必要です。

会計監査が行われたということですが、具体的にどのような資料がでてきたのか、専門家にも聞きながら整える必要があると思います。

できればクレジットカードの明細や、お金に関する資料の齟齬などは、書類で確認できるはずですので、事実関係の把握には必ず必要なものですので、用意しておきましょう。

それから事実関係で必要なものが、関係者の聞き取りです。対象となっている人だけではなく、その事実に関係している人たちから情報を聞き取っておくことが重要です。聴取されている人の了承を取ったうえで、ビデオや録音で内容を保存しておくことも良いと思います。

 

将来的な訴訟にそなえる

これらの事実の把握や情報の保管が重要なのは、将来的にかりに何らかの裁判になった場合、証拠になる可能性があるからです。また、調査の対象者などと、メールでやり取りをしている場合には、電子情報も必ず残しておく必要があります。

ただ、証拠とできる内容は法律で限られていますので、事実を把握する段階で、専門家に相談をすることは重要だと思います。

 

就業規則の内容を確認

次に重要なのは、会社の就業規則(Employee Manual)の内容をチェックすることです。

就業規則に書かれている手続に沿って処分を決めていかなければなりません。就業規則には通常、疑義ある行為の種類などが規定されています。

就業規則というのは、各会社のルールですから、法律と違った設定をしている場合もあります。また、就業規則は、就業開始時または規則導入時に各被用者に配布され、受領のサインをもらうという手続きを取るのが一般的です。ですので、内容は会社全体に周知されているということになっているのです。

 

今回、会社の調査の対象になっている人も、就業規則に関して受領のサインをしているのか、会社側で確認する必要があります。かりに、就業規則が整備されていない小規模の会社であれば、一般的に法律上犯罪行為を構成する内容かどうか、検討する必要があると思います。

 

就業規則違反と法律違反

就業規則に反する行為が、同時に法律に反する場合もあります。民事法に触れる場合もあれば、刑事法に触れる場合もあります。

民事法に触れる場合には、民事訴訟、たとえばお金を不正に使われているような場合には、不当利得返還請求訴訟を提起することができます。横領として刑事法に触れる場合には、警察に届けて刑事的な処罰を求めることも可能かもしれません。

ただ、現実的な問題として、民事訴訟をするには、弁護士や裁判の費用がかかりますし、使った費用を一個人から回復できるのか疑問の場合もあります。また、刑事的な届け出をしたからといって自動的に捜査をしてくれるかどうかわかりませんし、刑事事件沙汰にすることは躊躇する会社も多くあります。

実際に事実関係を考えたうえで判断していくしかなかろうと思います。

 

 

ここから次回考えていきたいと思います。私は体調がバテ気味なのですが、皆さんは気をつけてくださいね。充分に水分を補給しながらまた一週間がんばっていきましょうね。