コンサルタントのアドバイスミス、責任は?[1]






法律ノート 第1022回 弁護士 鈴木淳司
August 28, 2016
今年のサンフランシスコ49ers はラスベガスの下馬評では、一勝も勝てるオッズがないということらしいです。一勝もできないなんて、考えたくもないですが、やはり地元のチームというのは強ければもちろん気になりますが、弱くても心配でしょうがありません。野球ではジャイアンツがオールスター戦以降、不調で困ったものです。皆さんのお住まいの地域のスポーツチームは好調でしょうか。
「ビジネスコンサルタントのアドバイスミス、責任は問える?」[1]
今回からまた皆さんからいただいた質問を皆さんと一緒に考えていきましょう。
いただいている質問をまとめると「日系企業で法務に携わる者です。当社では、いわゆる労務関係やビジネスに関してアドバイスをするコンサルタントと契約をしています。近時、社内の従業員から就労環境についてハラスメントがあるのではないか、という苦情がでてきたので、このコンサルタントのアドバイスを元に対応していたところ、いわゆる、差別的な取扱があったということで訴訟に発展しました。当社としては現地の事情に詳しいということで、このコンサルタントを頼っていたのですが、どうも、アドバイスにミスがあったということがようやくわかりました。こういった場合、コンサルタントの責任を追及することが可能でしょうか。」というものです。
「コンサルタント」とは?ー日米の違いー

まず、「コンサルタント」とはなんぞや、ということを考えておかなければなりません。

よく聞くのは「経営コンサルタント」、「会計コンサルタント」、それに「労務コンサルタント」などでしょうか。日本では、士業が細分化していて、たとえば行政書士や、社会保険労務士などが存在するので、これらの一定の試験を経てきた人であれば、少なくとも最低限の知識を持っているということにはなります。
ところがアメリカでは、そのような資格というのは限られていますので、弁護士の資格を持った人であれば、最低限のコンサルタント業務を行う法律知識(会計知識ではない)を持っているでしょうし、公認会計士や税理士などの資格を持っていれば、最低限に会計知識を持ったコンサルタントといえるかもしれません。
しかし、試験を通ったといった客観的に判断できる材料がなければ、「コンサルタント」というのは、自己の経験を提供する業務に従事する人、ということになります。

私が担当した訴訟でも、何人ものコンサルタントが登場してきましたが、各人各様な印象があります。会社が「コンサルタント」と契約するとしても、ほぼ好みの問題であると思います。

今回の質問を考えると、コンサルタントと契約するかどうかが好みの問題ということは、一概に「コンサルタント」の言ったことを信じた、というだけではどのような訴訟でも有利に働かないと思います。法律や行政の規則などに従ったかどうか、ということが最終的には訴訟では問題になります。

 

責任追及にはコンサルタントとの契約を確認

そうすると、コンサルタントの責任を追及したいのであれば、まず、今回質問されている方の会社とコンサルタントがどのような契約を締結しているのかが、問題になります。コンサルタントの責任は、ほぼすべてどのような契約内容になっているのかで決まるということになろうと思います。

ですので、コンサルタントが「法律のことをコンサルしますよ」と言って契約書を出してきた場合にも、必ず第三者の法律家のチェックを受けるべきだと思います。お手盛りの可能性が残るからです。実際に私が担当した事件でも、ひどくコンサルタント側に有利な内容の契約書を見ましたが、やはりコンサルタントが契約書を書いていました。

 

コンサルタントとの契約は雇用ではない

コンサルタントが個人や企業と業務の契約をする場合、色々な題目が付きますが、基本的には日本でいう請負契約です。弁護士や会計士をコンサルタントとする場合、準委任契約の場合もあるかもしれません。
とにかく、基本的には雇用ではないということを頭に入れてください。アメリカでは、コンサルタントはIndependent Contractorという棲み分けをします。雇用ではないということです。

そもそも、コンサルタントというのは、独立した立場でアドバイスをしますので、親身になるとか、会社のことを本当に考えているのか、ということは契約に縛られます。
たとえば、会社の取締役であれば、忠実義務(Duty of Loyalty)や善管注意義務(Duty of Care)といった会社に対する「義務」が存在しますが、コンサルタントにはこのような義務は契約書に書かれていない限りないのです。

したがって、私が顧問先の企業が「コンサルタント契約結んだので契約書レビューしてください」と言われた場合、まず、このコンサルタントはどのような義務を負うのかをチェックします。

 

字数が多くなったので、次回ここから続けていきたいと思います。夏の最後、秋の始まりを感じながら一週間がんばっていきましょうね。