アメリカでは購入品を返品する権利がある?[1]


法律ノート 第1033回 弁護士 鈴木淳司
November 14, 2017

大統領選挙がようやく終わりましたね。酒の席でよく「誰が勝つんだ」という話題になり、私はいつも感情を抜いて「トランプだ」ということを言ってきました。その根拠については、法律ノートで書くほどのことではないので、読者の皆さんと酒を飲む機会があれば話をさせていただければと思います。とにかく、実際にトランプ大統領が誕生することになりました。私は法曹として、最高裁判所の人事に現在一番興味を持っているところです。皆さんは風邪をひかれていませんか。

アメリカでは購入品を返品する権利がある?[1]

さて、今回からまた新しく読者の皆さんからいただいている質問を考えていきたいと思います。
いただいている質問をまとめると、「ある小売店で、電化製品を買いました。アメリカでは気に入らなければ返品ができると聞いていたので、買ってからしばらく経って返品をしようとしたところ、断られました。その店では返品は原則受け付けない、ということなのです。消費者の立場として、買った商品を返品する権利というものはあるのでしょうか」という質問です。

アメリカと日本、返品の考え方の違いと背景

日本では、もともと一旦買った物を返品するという文化はありません。一度買ってしまったら、それでおしまい、ということですね。もちろん、欠陥がある場合には対応はしてくれるでしょうけど、欠陥についても特に電化製品については「保証制度」があって、メーカーが欠陥商品の修繕や交換について対応してくれます。言葉を返せば、小売店が欠陥商品に関して直接対応するということは多くないわけです。物の販売に関して、日本のような制度になっていることも別に異常なことではありません。

今回の質問のバックグラウンドとして、アメリカでは一般的に欠陥の有無にかかわらず、返品を一定期間受け付けるという小売店が多くあります。
このような文化になったことについては諸説ありますが、もともとアメリカというのは国土が広く、いわゆるテレフォンショッピングが発達していました。現物を見ずに、カタログやテレビを見て注文をするわけです。

そうすると、到着した現物を見たり試着したりすると、期待していたものと異なっていることもあるわけです。そのために、返品送料無料で、返品や交換を幅広く許す必要性があったと思われます。その文化が、一般の小売店にも広がったことが「返品受け付けます」という流れになったのだと言われています。
国土の広さがもともと影響したのでしょうね。

国土の広さは大統領選にも影響

余談になりますが、なぜアメリカの大統領選挙は「スーパーテューズデー」と呼ばれるように、火曜日になったかご存知でしょうか。
日本では選挙は週末と決まっていますね。この、アメリカの火曜日に行われる投票制度も、そもそも国土の広さが影響していたと言われています。もちろん諸説ありますけどね。
すなわち、宗教的な考えで週末は安息するために家族でゆっくりするというキリスト教の考えがあります。そうすると、週末は投票に時間を割くのは野暮ということになります。では、月曜日でいいじゃないか、ということになりますが、国土が広く、昔は徒歩や場所でも、投票所に行くのに時間がかかるので、できるだけ公平にするために、火曜日にしたと言われています。現代では、宗教的な「安息」という考えに関しても多様化していることと、平日に投票に行くと、投票したくてもできない人が出てくるということから、週末投票にするべきではないか、という考えも強くなってきているようですね。

返品についても州法で規律

すみません、横道に逸れました。さて、この小売店における「返品」についてですが、各州法で決められることになります。もちろんインターネットショッピングが普及していますが、基本的な売買契約については、その売買が起こった州の法律が適用されることになります。

カリフォルニア州の返品は?

カリフォルニア州の法律を見ていきましょう。まず、カリフォルニア州では、基本的に、「返品」を受け付ける義務は小売店に課されていません。もちろん、欠陥商品である場合には、小売店も何らかの法的責任を負う可能性があります。たとえば、製造物責任などが考えられます。したがって、欠陥商品であれば返品は可能であるのが原則です。しかし、欠陥がない場合の「返品」は受け付ける必要はないということになります。

ここから次回考えていきたいと思います。

もうすぐ、サンクスギビングです。本格的にクリスマスツリーも街に出てくるのですね。もう、冬がやってくるのですね。風邪を引かれないように気をつけてまた一週間がんばっていきましょうね。