米国に入国する際の検査の範囲


October 31, 2012





 

 もうめっきり秋らしい日が感じられるようになりましたね。日本からのメールだと金木犀の話がでますし、カリフォルニアだとコスモスがいたる所が色づいています。

 今回は、弁護士にとっても判断が難しい米国入国時の検査の許容範囲や度合いについて考えたいと思います。難しい問題ですから、今回のブログでも明確な基準というのは提供できないかもしれません。すみません。
 今回、かかわりのある法律を拾うと、米国憲法の修正4条(4th Amendment)です。これは、簡単にいうと、法律の根拠無くして、人の身体や財産を捜索してはならない、ということです。

 権力側が人を留め置いて持ち物や身体を検査する場合、アメリカでも日本でもどの程度許されるのかという程度問題になるのですが、理由はともかく似たり寄ったりの結論になることが多いと思います。

 難しいことはさておいても、裁判所の出す令状なくして、どの程度まで皆さんや皆さんの持ち物を検査できるかというのは、アメリカでも共通の問題意識に基づいています。すなわち「勝手に俺のものを見たり触ったりするなよ」という気持ちがどこまで尊重されるのか、という問題です。

 プライバシーという権利はアメリカでは認められ、日本でも判例上認められているのです。携帯品であっても、家の内部であってもプライバシーは存在するというのが基本です。そうすると、アメリカに入国しようとする外国人にはどの程度のプライバシーを認めるのか、という話になります。このどこまで権力側が「突っ込める」という話は度合いの問題で、白黒の問題ではありません。ですので、物差しの考え方でずいぶん変わります。

 基本的には、米国の移民局は、どこの国籍をもっているのか、アメリカにどのような理由で入国するのか、米国入国の際に自分以外の人から預かったりした物はないのか、といった基本的な質問はどのような場合でも許されると考えていますし、裁判所もダメ出しはしていません。

 しかし、今まで何度もブログで言っていますが、外国人にはアメリカに入国する「権利」というのはなく、あくまでもアメリカ政府の「裁量」によるので、通常の裁判例にあるような国内での捜索の例とは違う程度が適用されていることになります。

 実際に、裁判例を見ると、入国審査におけるプライバシーの保護の程度は、アメリカ国内で争われるプライバシーの保護の程度に比べて低いと判断されています。

 どの程度低いかというと一言ではいえません。アメリカの裁判所は入国審査における検査について、一般的な検査と、特殊な検査で何ができるのか分けています。

 前者であれば、いろいろな質問をしたり、持ち物をある程度検査したり、場合によっては封筒などを開けたりすることを許しています。ですので、一般よりも緩いプライバシーの基準を定めています。後者については、入国する際に移民法や刑法に反する、「合理的な容疑(Reasonable Suspicion)」がある外国人が対象となります。
この基準もある意味曖昧なのですが、なんらかの犯罪に関わっている容疑がある場合には、一層のプライバシー保護の低下が許容されていると言えます。犯罪関与が疑われると、半日程度の留置も許されますし、詳しい持ち物検査も合法とされます。

 このように、犯罪に関与しているかどうかで、移民局などの権力側がどの程度突っ込めるのか、程度の違いはでてきますが、一般的にアメリカ国内で行われる捜索の許容範囲よりも、広い捜索が、外国人の米国入国時には許容されていると思ってください。
 まあ、日本も外国人の日本入国の際には、同様のことをしているので、国益を守るためには仕方がないことだと思います。

 
 通常、犯罪に関与していなければ、持ち物検査をされる程度であります。持ち物について、ちゃんと理由付けられればよいので、自分が責任を持てない状況がなければ、持ち物検査をされても問題はないはずです。ですので、米国に渡航する際に持っていくものについては、少なくとも「おみやげです」とか「自分のものです」といえる程度の理由は考えておきましょう。

 犯罪が疑われる場合には、コンピュータの内部まで調べられる可能性がありますが、これは防げません。ですので、自分がまずいと思うようなデータはコンピュータのローカルディスクに残すのをやめた方が良いと言えます。

 後に、入国検査が違法であると争ったとしても、検査の裁量が広範なので、違法となることはほぼないと言って良いと思います。ですので、争いになる前に、自分で問題となるような持ち物は持って歩かないというように心がけた方が良いとおもいます。

 法律を振り回してプライバシーの侵害だと主張しても、入国時にはプライバシー保護のハードルがある程度下がるのが実際ですので、旅行する際には気をつけてください。


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