アメリカで犯罪被害に合ったら-Uビザ


January 20, 2012





 

 ベイエリアは雨と風がすごい日が続きました。皆さんのお住まいのエリアはいかがでしょうか。

 さて、今回は、あまり目にしない、Uビザという特殊なビザについて考えさせてください。
 Uビザとは主に、刑事事件の被害者のためのビザです。2000年にはじめてできたカテゴリーのビザです。聞きなれないビザですが、場合によっては重要なビザとなります。

 まずは、私の経験から。

 国際結婚が多くなってくると、国際離婚も増えるのは当然です。日米の結婚離婚で問題になるのが、子供の連れ去り問題です。最近でも、アメリカ中部の州と日本で問題になっていました。

 この子供の連れ去り問題が生じる一つの原因は、日本が条約としてハーグ条約の子供の引渡しの部分について拒否しているからです。
 アメリカや他の国は、日本に対してハーグ条約締結を迫っていますが、日本は拒否しています。日本が拒否する理由もある程度は理解できます。日本からアメリカに行って結婚をして、家族も親戚も友人もいないような人がいます。文化の差があり、離婚となると日本人が不利になるということがあるからです。
 アメリカと違って、日本は積極的に自国の利益を主張しませんが、このハーグ条約拒否問題に関しては、消極的に受身で済ませるのではなく、積極的に条約の締結を拒む理由を押し出していけば良いのに、と私などは思ってしまいます。

 国際離婚の際に問題になる多くのケースで、ドメスティック・バイオレンスが同時に問題になるケースが跡を絶ちません。
 一般化するのは良くないかもしれませんが、アメリカ人の男性と日本人女性が婚姻して男性が女性に暴力を振るった場合の事例を考えましょう。

 警察沙汰になれば、男性は逮捕されます。しかし、事例が深刻でなく、被害も微小、過去に逮捕歴がなければ、すぐに釈放されます。もちろん、裁判所から、接近禁止命令などが出されることがありますが、子供がいる場合など、命令の効力が本当に裁判所の思う通りになるとは限りません。これが現実です。

 実際のところ、いったんドメスティック・バイオレンスで捕まった人が再度、同様の状況に陥ることは少なくありません。女性は、友人も親族も少なく逃げ場もありません。そうすると、日本に戻るということも考えるでしょう
し、その方が女性の安全にも資するかもしれません。

 このような場合、日本人女性が永住権をすでに持っていた場合には、裁判になっても証言の機会もあるでしょうし、日本からの援助も受けられる可能性はあります。しかし、まだアメリカに滞在する資格が宙ぶらりんになっている場合や、永住権やビザがまだ、許可待ちだった場合には、問題となります。

 このような場合を想定して、2000年に立法されたのが、Uビザです。

 Uビザは、外国人である犯罪被害者から証言や証拠を集めるために、使われます。
 同時に、Uビザは犯罪被害者のアメリカでの生活を確保することを裏から規定しています。

 以下考えますが、Uビザは、私のような私的な法律事務所をやっている弁護士はあまりかかわりません。政府関係者が刑事手続のために利用することを主に考えているからです。

 Uビザは、主に、
(1)刑事事件の被害者であること、
(2)精神的・肉体的な被害が存在すること、
(3)刑事事件の証拠をもっていること、
(4)官憲の捜査に協力することが明らかであること、
(5)刑事事件がアメリカ合衆国の訴追できる裁判管轄下にあること、
が必要になります。

そして、(1)にいう、刑事事件には、制限があります。誘拐、脅迫、ドメスティック・バイオレンス、監禁、殺人、売春、強姦等に制限されています。
簡単に言えば、女性が被害者となりやすい犯罪が列挙されています。

そして、Uビザを申請するためには、連邦や州の警察、一定の労働行政機関、裁判所などが、状況について申請書類に証人として適格であるという確認の署名をしなければなりません。

 Uビザの発給は4年間を上限として行われます。
 しかし、事件に応じて延長も可能です。そして、Uビザで3年間アメリカに滞在をした場合には、永住権の申請も可能となります。

 この永住権申請が可能となっている部分は被害者保護につながっていると考えられます。また、被害者の家族も通常のビザと同様に附帯ビザを申請することができます。Uビザの申請は、アメリカ国内だけではなく、日本のアメリカ大使館でも申請は可能です。

 ただし、なぜかわかりませんが、Uビザは年間に1万件しか新規発給ができないということですが、この発給上限は意味がわかりません。

 日本人をはじめ、外国人がアメリカで生活するうえで、犯罪に巻き込まれることはありえます。
 そういった場合、自分が弱い立場だからといって損をすることはよくないです。
私は、そういう弱者が損をするのが大嫌いです。アメリカではこのようなビザがあるのですから、外国人という立場であるからといって、怯むことはありません。

Uビザの利用ということも、いざというときには、頭の隅においておいてください。

 また、次回新しいトピックを考えていきたいと思います。


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カテゴリー: 国際弁護士なブログ | 投稿日: | 投稿者:

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