米ビザ申請が拒否された後


April 19, 2011




 

 私も飽きずに、長いこと弁護士をやっていますが、移民法の仕事をしていると、時にはビザの申請を拒否されてしまう事例も少なからず存在します。まあ、他の事務所よりは、拒否される事例は格段に少ないと思っていますが、それでも拒否されることはあるわけです。
 ビザ申請を拒否される事例のなかには不合理だと思われるもののありますし、申請をする人に深刻な影響を与える事例もあります。それでも、移民局は申請を拒否することはできます。

 日本でも入国管理局が裁量によって、外国人を日本に滞在させるかどうか決められますが、まったく同じようにアメリカでも移民局が外国人の出入国および滞在についてコントロールしています。

 そして、移民局は外国人をアメリカに入国させるかどうか、広汎な裁量を行使することができます。よく、ビザを申請する方が「ビザを取れる確率は何パーセントですか」という質問をされますが、これに対して、56パーセントですとか、10パーセントです、と答える弁護士がいたら、その弁護士は嘘つきです。
 もちろん、経験に基づいて、この程度取れているということは言えるでしょうが、その事例に限って言えば、アメリカという国に広汎な裁量があるのですから、パーセンテージで答えることなどできないはずです。
 もし、弁護士で100パーセント取れる、という人がいたら、それは事件を選んでいるから言えることであり、ある意味虚偽のことを言っていると思って間違いありません。もし、100パーセント取れるのだったら、弁護士などいらないですからね。

 なぜ、移民の申請が「絶対大丈夫」といえないか、パーセンテージで示せないかというと、それは各国の広汎な裁量が認められているからです。
 当たり前ですが、外国人がアメリカに入国する「権利」というのは保障されていません。「俺は日本人だ、アメリカに入国できるんだ」と言っても無理なことです。当たり前じゃないか、と思われていれば良いのですが、中には、なぜ私が入国できないのか、と怒ってしまう人も少なくありません。

 多くのが外国人が日本に入ろうとしても入れないのと同様に、日本人もアメリカに自動的には入れません。
 それは、各国はどの外国人をその国にいれるのか「まったくの自由」だからです。「あいつ顔が気に食わない」ということでだって、入国を禁止することも究極を言えば許されます。そういうものと理解してください。

 ちなみに、日本でも「マクリーン事件」という有名な判例がありますが、その中でも、「外務大臣の広汎な裁量」で外国人が日本に滞在できるかどうか判断しています。それと一緒なのです。

 ここで、アメリカに入国するための移民申請をする際に、大きな視点から気を付けなくてはいけないことが、あります。
 外国人がビザや滞在延長などを申請するに関して、アメリカ国内にすでに居る状況で申請をすることと、日本のアメリカ大使館・領事館で申請することでは、その後どのようなことができるのか、まったく状況が違ってきます。この点を知らない人が多いので、今回注意して覚えておいてください。

 在日米国大使館や領事館でビザの申請は普通にすることができます。
 しかし、ビザ申請が拒否されてしまうと、その後、拒否された人ができることは、もう一度大使館や領事館で申請をしなおす、ということに限られます。ですから、コンピュータに入力されている内容によっては、また拒否をされてしまうということが少なくありません。これ以上のことはできないのです。

 それに比べて、もしなんらかのビザでアメリカ国内にいる場合(ビザウェーバーの場合は特殊なので、原則として当てはまらないと考えてください。)、たとえば、学生ビザや就労ビザなどをもってアメリカに滞在している場合には、移民局になんらかの滞在延長、滞在資格変更の申請をして拒否されたとしても、まだまだ戦える方法が用意されています。
 ですから、頭の良い人は、まずアメリカに一旦入国してから、その後どのようにするのか考えるということになります。

 さて、アメリカ国内に滞在しつつ、移民申請が拒否された場合は、その後の手続がどうなるのか、ここで少し考えておきたいと思います。

 移民の申請は移民局という行政機関に許可を求めるものですから、日本でいうと行政法の部類に属します。
 日本でも、移民申請は行政書士が書類をつくるのが一般的です。日本の感覚でいうと、たとえば風俗営業許可申請などと似たようなものということになります。アメリカでも、行政機関である移民局に申請をすることになります。

 そして、その申請が不許可になった場合には、その不許可に対して不服を申し立てることになります。日本で言うと、一般的には行政不服審査法という法律がありますが、アメリカでも同様に、行政機関の判断に対しては不服審査が用意されています。アメリカ国内で申請が拒否された場合、不服審査の方法として、The Board of Immigration Appeals (BIA) という機関に不服を申し立てるという方法が用意されています。申請が拒否された場合には、BIAに不服申立てができるということが書面で教示されています。

 BIAの審査方法は書面審査が原則です。ですから、私も不服審査の時には、長々と書類を書いて提出します。それをもとに審査がされるということになります。
 ただ、標準審査機関は法定されていませんので、場合によっては数年かかるということも考えられます。ちなみに、不服審査を申し立てて、その審査がペンディングになっている間は合法的にアメリカに滞在をすることができます。ですので、不服審査を申し立てておいて、いろいろ他の対応ができないかなど模索することも考えられます。

 そして、アメリカ国内に滞在している限り、たとえ不法移民であろうとも、憲法上の権利を有していることになっていますので、BIAで不服審査に対する裁決で負けたとしても、今度は、通常の司法裁判所の判断を仰ぐために、アメリカ連邦裁判所の裁判を受けることができます。そして、三審制ですから、理論的には憲法問題がある限り、アメリカ連邦最高裁まで争えるということになります。たまに、第9巡回区高等裁判所で移民法に関する判例が出されますが、これは、どんどん戦い、通常の司法審査に乗ったから、このようになったといえます。ですから、アメリカ国内では闘う道は、アメリカ国外での申請よりも、拡大されているといえるのです。

 以上が、もしビザ申請が拒否されたとしたら、どのようになるのかという全体像です。なかなか皆さんがビザを申請するということを考えるときには、考えつかないことかもしれません。しかし、私が今まで何度も、法廷や連邦裁判所での経験がない法律事務所ではビザの申請ひとつでも、頼りがないと堂々と言っているのは、上記のように、最後には揉めると連邦裁判所まで事件は持って行かれるからなのです。最後がどうなるのか、すでにわかっているかどうかというのは、
違いがあるとおもうのです。

 ということで、次回また新しいトピックを考えていきたいとおもいます。


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