エイズ(HIV)罹患者とアメリカ入国


November 28, 2009





 

 寒くなってきました。私はこの原稿を飛行機の機内で書いていますが、周りでゴホゴホ咳をしている人もいます。風邪にはかかりたくないですが、今年はさらにインフルエンザが怖いですね。読者の皆さんもぜひ、病気には注意されてください。
まあ、注意していても病気にはなるものですが、少なくともうがい手洗い程度はがんばりましょう。

 さて今回はエイズに罹患している外国人とアメリカ入国について考えていきたいと思います。まずは、今までの経緯がどのようなものなのか考えてから、現状を考えていきたいと思います。

 アメリカ移民法212条(a)(1)(A)(i)条に、伝染病に罹患している外国人はアメリカに入国することを禁止するという定めがあります。伝染病患者の隔離等の行政政策は、どこの国にでもあるものですから、その政策が存在すること自体はなんら法律的に問題はありません。
 90年代にはエイズ感染患者がアメリカを含め世界で激増しました。しかし、一方、エイズ(HIV)に罹患している人が、伝染病を持っているとは言えないということも十分に周知されてきました。
 もちろん人から人に伝播していくものですが、空気感染するわけではないですからね。アメリカの健康保健局からそのような見解がでたにもかかわらず、アメリカ連邦議会はエイズを移民法にいう「伝染病」から除外することをしませんでした。このため、外国人はエイズを持っている、という事実があるだけで、アメリカに入国禁止となってしまいました。

 場合によっては家族全員が永住権を得ることができたのに、エイズを持っているということで、一人だけで永住権を得られないというケースも発生したのです。
 
 今回立法により、2010年1月4日より、エイズは伝染病に該当しない、ということとなりました。立法を受け、行政命令により、エイズを持っている事実を理由として、入国禁止をすることはでできなくなります。
 また、永住権申請時に要求されていた、エイズ検査も今後は課されないことになります。

 今回の立法によって、永住権申請をする外国人だけでなく、一時的にアメリカに入国をする外国人も、エイズに罹患しているかしていないかで入国には影響しないことになりました。しかし、実際の運用は2010年1月4日からですので、もしエイズによって過去アメリカ入国に問題があった方がいらっしゃったら、再申請等は1月4日以降にしてください。
 また、現在エイズを持っているということで、アメリカに滞在していても不法滞在となっている外国人がいますが、これらの方達への救済策も順次つくられていくというこです。2009年11月に立法が成立しましたが、2010年1月4日まで少々時間があります。移民局はこの空白期間の対応方法についても定めています。詳しくは弁護士にお聞きください。
ただ、弁護士の方達も2010年1月4日まで、できれば今回の法律に基づく申請、再申請は待つべきでしょう。

 今回の法の変更によって、長年疑問視されていたエイズ問題にある程度の決着はついたとは思います。
 しかし、問題はすべて解決されたわけではないと思っています。私が懸念している論点をひとつ考えておきたいと思います。
 永住権を申請する場合、外国人は、公的な援助を受けないことを宣誓させられます。たとえば、婚姻ベースでアメリカ市民と結婚して、永住権を取得したいと思う場合、自分で働いていなければ、配偶者であるアメリカ市民が十分な収入がある、もしくは、保証人を立てなければなりません。すなわち、アメリカ永住権を得たらすぐに、生活保護を受けてもらっては困る、という政策上の考えがあるのです。この要件が結構面倒くさい事態を引き起こす場合もあります。実際に私の事務所に相談にみえる方々でも、このスポンサー要件があるために、永住権の取得を断念される場合もあるのです。

 今回、エイズをもっているということでの入国禁止はなくなった、ということですが、エイズを持っているがゆえに、公的な医療を受けることになるのでは、と移民局が考える可能性は十分にあります。そうすると、エイズを持っている外国人の永住権の申請書類について 厳しく審理をする可能性があります。この点、移民局はエイズを持っているという要件と、公的援助を受けるかどうかという要件は二つ別のものである、と言っていますが、私はホンネとタテマエは違うようにも思えるのです。この点実務でどう反映されていくのか注目していきたいポイントです。

 また、次回新しいトピックを考えていきたいと思います。また次回までさようなら。


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