宗教関連の永住権申請と重要判例


June 18, 2009




 

 今回は、宗教関連をベースにする移民ビザ(永住権申請)について、最近だされた重要な判例について考えていきたいと思います。

 移民関連の弁護士というと、書類ばかり作成している人が多いと思われがちです。ある意味正しいのかもしれませんが、なかにはちゃんと法廷で争うべき事例を争っている弁護士がいます。
 今回はクラス・アクション(いわゆるアメリカの代表訴訟)によって、地方裁判所レベルですが、移民局が行った通達が違法とされた事例がでました。

 今回の移民法違反の判例によって影響を受けるのは、宗教ベースで永住権を申請しているスポンサーと、受益者である外国人ということになります。
 簡単に言うと、今まで移民局の通達によって、スポンサーが行う申請(I-360申請)の許可を得られなければ、受益者もしくは受益者の家族である外国人は自己が永住権を得る申請(I-485)をすることができませんでした。この通達によると、一般的に生じる不都合は、スポンサー申請をしている間、外国人は自己のために永住権を申請できないため、他のなんらかの非移民ビザを維持していなくてはならないといけないことです。
 

 通常の永住権申請であれば、スポンサーと受益者が一緒に申請するため、申請時に受益者も、雇用許可証(I-765)を得ることができます。スポンサーが受益者と一緒に申請できるかどうかで、受益者の立場が大きく違ってくるのです。

 そこで、今回の訴訟において、スポンサーと受益者の申請を同時に受理しない通達は移民法に反すると主張されました。簡単にいえば、スポンサーと受益者が一緒に申請できないと受益者がアメリカ国内で仕事をできないですし、アメリカと外国の行き来に支障が生じるので、フェアでない、という主張です。

 今回、アメリカ連邦地方裁判所において判決があり、スポンサーと受益者の同時申請を認めました。事件名はGabriel Ruiz-Diaz, et al対United States of America, et alで、ワシントン州西地区の連邦地方裁判所で審理された事件番号C07-1881RSLです。この訴訟はクラスアクションですから、現在審査中のすべての宗教ベース永住権申請に影響することになります。
 もっとも、アメリカ合衆国が被告とされているこの事件で、アメリカ合衆国が控訴すれば、本件の第1審判決は確定せず審理は継続することになります。もし、このまま地裁の判決が確定すれば、この判決がそのまま効力を持つことになります。

 さて、今回の判決では裁判所ははっきり、宗教ベースの永住権申請において、スポンサーと受益者は同時に申請をしてもよい、と判示しました。よって、おおまかに以下五点の影響がでることになります。

 一点目は外国人申請者で雇用許可を得ていない者は、スポンサー申請と同時またはそれ以降であれば、雇用許可申請することができることを本判決が確認しました。
 二点目はスポンサー申請をすでにしている場合、受益者申請をすれば、スポンサー申請の日に遡って受理されたとみなされることを本判決は確認しました。
 三点目は同時申請が拒否されたケースについては、再度申請をすることにより、受理されるということを本判決は確認しました。
 四点目は、受益者申請をする者の家族は受益者と同じように同時申請による利益を得られるということが確認されました。
 五点目は、もし、同時申請が許されないことにより、不法滞在や不法就労と移民法上認められることになった場合、本判決から九〇日以内に、受益者申請をすることにより、遡って移民法上不法とはならない、ということを確認しました。

 以上が、今回のクラスアクションの概略です。宗教系のビザや永住権申請は近年移民法上の詐欺行為の温床と目され、多くの修正がなされました。しかし、行き過ぎで、ちゃんと宗教上の活動をする外国人に影響するのではたまったものではありません。
 そういった意味では、今回のクラスアクションを担った弁護士には拍手したいと思います。少々難しい無いようだったかも知れませんが、宗教関連の永住権申請に影響する話しなので、ご自身や周りに影響する人がいたら、必ず注意を喚起してください。

それではまた次回までさようなら。


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