被用者身元確認義務(I-9)






Oct-03-2016

今回の弁護士ブログは、移民法によって、全米の雇用者に義務付けされているI-9というフォームについて考えてみたいと思います。
移民法なのか、労働法 なのか、微妙に重なる分野なので、逆に忘れがちなポイントですが、ここで内容を確認しつつ、今後の注意にしたいと思います。

I-9フォームの目的と役割

I-9というフォームが法制化されたのは、1986年です。
法制化された当時はザル法だったのですが、同時多発テロ事件を機に、かなり注目されるようになりました。
目的はシンプルで、雇用主が雇っている被用者がどのような人間なのか把握する義務があり、政府の要請に応じて、その情報を提供しなければならないというものです。その要請から、アメリカではI-9というフォームが用意されています。

I-9というのは、被用者の身元を確認する情報を記載するのですが、基本的に米国内のすべての雇用主に確認・記載の義務が課されています。
日本の子会社であろうと例外ではありません。
具体的には、1986年以降雇用された者(請負の関係は除く)で米国内において働く被用者は、雇用者の要請に応じてフォームを記入し、雇用者に渡さなければなりません。

 

I-9の記載内容と手続き

I-9は、簡単なフォームであり、インターネットで検索すればすぐに見つかります。
この書類に各被用者が雇用主から最初の給与を受ける日までに記入し提出します。直近のバージョンは2013年に用意されました。電子的にもフォームを記入提出することができます。

雇用主は、被用者の記入したフォームを受け取ってから3日以内に内容を確認し、本人確認を身分証明証に基づいて行い、そのうえで、I-9を会社内に保管する義務が発生します。

内容としては、雇用開始日、どのような身分証明証だったのかの詳細、そして、これらを確認したという一筆が必要になります。

被用者の身分を証明する書類として、代表的なものは、パスポート、グリーンカード、査証の写真入りのページ、労働許可証、などが証明書類として挙げられています。
アメリカ国籍を持っている人、また、外国人でも働く許可があるということがこれらの書類からすぐにわかりますし、米国が発給している書類であるので、確認しやすいということもあると思います。
これらの基礎的な書類がなんらかの理由でない場合には、米国各州が発給する運転免許証または身分証明書、およびソーシャルセキュリティーカードなど顔写真のないものが使われます。

これらの身分証明証を雇用者は確認して、確認したことをもってI-9に署名します。
しかし、場合によっては身分証明証の提出が不十分であったり、名前が違っていたりする場合があります。このような場合には、再度被用者の身分を確認する方法を定めています。

 

なぜ今I-9か

このI-9が活発に使われるようになったのは、テロ対策です。移民局や労働局が、テロ行為の疑いがある人に目をつけると、その雇用者に対して、I-9の提出を求められるわけです。
戸籍のないアメリカでは、やはりこのような身元確認方法が必要であると政府は判断しているようです。

I-9は紙一枚ですので、それほど大変な作業ではありませんし、政府に提出するのではなく、会社内で保管し(被用者がやめたあとも、一年間の保管義務があります。)、政府の要請に対して提出しなければいけません。
かりに、この義務に反した場合には罰金が課せられることがあります。

被用者がI-9作成の際に虚偽の申告をするか、虚偽の身分証明証を提出した場合、250ドルから5500ドルの罰金が各被用者に課せられます。
被用者が虚偽の事実、虚偽の身分証明証であることを知っていた場合には、禁固刑も用意されています。
さらに、被用者が故意なくして過失であっても、I-9を会社内に保管する義務に反した場合には、たとえ被用者が合法的に労働できるとしても、110ドルから1100ドルの罰金が課せられる場合があります。
2000年後半から、移民局は積極的にI-9の監査を各企業に行っていますので、問題が生じる前に、書類の整備をしておかなければなりませんし、気をつけるべきポイントだと思います。

 

身分証明は被用者も雇用者も確実に

なかなか、他の業務で忙しいということもありますし、人事のみに集中して業務を行う人がいない場合もあります。
しかし、移民法および労働法の分野では身元確認はかなり重要とされていますので、疎かにしてはいけない部分ですね。

次回また新しいトピックを考えていきたいと思います。もうすぐ大統領選挙です
し、ホリデーシーズンです。寒くなってきますので、体調に注意しなががんばっ
ていきましょうね。

 


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カテゴリー: 国際弁護士なブログ | 投稿日: | 投稿者:

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