H-1Bビザにまつわる事件の紹介


December 09, 2005




 

本格的な冬ですが、皆さん風邪は引かれていませんか。せっかくのホリデーシーズンですから、暖かくして楽しまれてください。年末に向けて、皆さんはどのような予定を立てられているのでしょうか。楽しい年末を送られてくださいね。私はどこか旅行をしようか、はたまた今未出版のままおいてある本の執筆や発表論文に時間を使おうか激しく悩んでいます。

さて、今回はH-1Bビザに関する話題をご紹介したいと思っています。私も現在、実際に仕事としてかかわっているトピックでもあります。ビザの申請に関する話題ではないので、これからビザを取得しようとする方には有用性は低い話題かもしれませんし、なかなかこのような事件には巡り遭わないかもしれません。しかし、私が弁護士になってから一貫して主張しているように、弁護士たる者、法廷や裁判を知らなければならない、というコンセプトがいかに大事であり、ビザの申請にもその経験が必要かを感じていただけるのではないでしょうか。すなわち、ビザの申請書類の作成だけを代理しているだけでは、移民法の全体像は見えてこないのです。

さて、今回考える事件はミシガン州で起こりました。アメリカ連邦労働局は、あるコンピュータ会社に対して移民法違反に関する責任を行政審判を通して追及していました。最終的にはこのコンピュータ会社は225万ドルを自社の外国人被雇用者に過去の賃金未払分として支払うことが確認され、さらに40万ドルを罰金として連邦政府に支払うことになりました。なぜ、罰金等を支払わなくてはならかったのかというと、H-1Bビザに関連する移民法に違反したという内容でした。

ではどのような移民法に反していたのでしょうか。
このコンピュータ会社は外国人をH-1Bビザによって雇用していました。H-1Bビザの申請については移民局の審査の前段階において、アメリカ連邦労働局が、雇用者が最低賃金を支払うか確認する審査があります。確認の方法は書類によるだけですが、この趣旨は安い賃金で外国人を雇用することを防ぐ意味があります。この労働局のステップについて考えると2つの趣旨があるのではないかと鋭い方は気づくのではないでしょうか。安い賃金で外国人を雇用すると、アメリカ国内に現存する労働力に影響する
という一面、また立場の弱い外国人労働者に差別的な待遇をすることを防ぐという一面があるのだと思います。

今回は主に後者のポイントにフォーカスがあたりました。すなわち、この問題となったコンピュータ会社は大量の外国人をH-1Bビザで雇用し、定められている最低賃金の支払いも継続的にしていませんでした。また、いろいろな理由をつけて外国人労働者を休職扱いにして、賃金の支払いもしませんでした。もちろんこれらの行為は移民法に違反している行為なのですが、重要なのは同時に労働法にも違反していたということです。結局、この会社は合計265万ドルの罰金等を支払い、さらに18ヶ月間H-1Bビザによる雇用が禁止されてしまいました。

この事件から学べることはたくさんあります。ひとつは雇用ビザをスポンサーする場合、雇用主は移民法だけをみていては片手落ちということです。労働法も連邦、州と複数存在しており、違いも少なからずあります。しかし、労働法上、外国人をどのように扱うのか、ちゃんと把握していなければなりません。もうひとつ大きなポイントは申請書類の作成については、ビザの取得ということだけに主眼を置くのではなく、外国人がビザを保持している期間中、どのような責任が生じる可能性があるのか、どのような法的な問題があるのか、把握しておくことが重要と思います。

雇用契約書やビザの申請書類というのは、所詮、将来的にある一定の法律的な問題を防ぐための道具にすぎません。問題を起こすのは契約書や申請書類ではなく、人です。ですから、訴訟や今回のような行政処分のようなバトルする場面を経験してはじめて知ることもある、ということを理解していただきたいと思います。次回また新しいトピックを考えていきたいと思います。


 
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