SOLVE法案提出について






 

最近公表されるようになった米軍によるイラク人捕虜に対する虐待を皆さんはどう思われますか?私はショックを受けました。ブッシュ・ブレア両政権が戦争を勝手にはじめて、更にイラク兵だけではなく民間の人間を殺害したり、虐待したりしている事実が明らかになってきていますから、英米が戦争を開始したときから現在まで好き勝手なことをしている、という印象が私の心の中でかなり大きくなってきています。世論はこれから厳しくなってくるでしょうが、アメリカにはある種の勘違いをしている人が少なくないということを実感しました。皆さんは、今回の報道をどう思われますか?

さて、今年の11月には大統領戦が近づいていることをご存じの方は多いでしょうが、民主党も共和党ブッシュになんとか勝ちに行こうと、アピールを多く行っており、ケネディ議員も5月4日に民主党の移民法改正法案について詳細を発表しました。 
法案にざっと目を通すと、現在のホワイトハウスの方針とはまったく違って、積極的に移民を受け入れていこうという姿勢がはっきり見受けられます。今回の法案は、各移民法関係団体から歓迎されており、私見でも、この法案または似たような案が通ることに期待しています。しかし選挙の結果によっては、共和党が強ければ潰されてしまうでしょうね。
今回のJINKEN.COMニュースでは、簡単にSOLVE法案全体を皆さんと考えていきたいと思います。ただし現時点はあくまでも「法案」という段階であって、どのような意向を民主党が示しているのか、ということを感じていただければ良いと思います。

まず、SOLVE法案というのは、Safe, Orderly Legal Visas and Enforcement法案の略です。しかし、よくこのようなこじつけの名前を考えますね。感心します。短縮形の読み方がSOLVEということですが、現存している移民法の問題を「解決」するという目的があることから、このような名前が付いたのでしょうね。
名前はどうでも良いのですが、中身はどうかというと、基本的には四つの柱があります。

(1)勤勉な外国人を合法化すること
(2)離ればなれになっている家族と合理的な期間内に再会できるチャンスを与えること
(3)一時的な雇用就業者に関する許可・管理システムの改善
(4)被雇用者の権利を守っていく

というような骨格になっています。

この法案の前提として、現在の移民法が実際の適用においてちゃんと機能していないことや、国境での問題などが存在していること、不法の移民が多数アメリカ国内には存在しているが、その不法移民を合法化することでアメリカの国防関係にも寄与するし、納税義務等を生じたり、メリットが大きいことなどが考えられています。
移民法実務をやっていると、不法移民の問題として一番大きいのが、家族と離ればなれになってしまうというところでしょうか。これは、弁護士としても胸を痛めます。

詳しくどのような状況が存在するのかはここでは割愛しますが、今までの永住権申請の大きな悩みとなっていました。このような問題を今回の法案で解決しようと試みているのです。

また、不法就労者の雇用についても、この法案は対応を試みています。すなわち、2002年にアメリカ連邦最高裁判所で判決された事件(The Hoffman Plastic事件)において、一定の被雇用者の権利について(たとえば、過去の賃金等)否定された判例がありました。これらの判例は、移民法上のステータスがなかったというだけで雇用に関する権利を享受できず、批判を浴びていました。今回の法案はこの点を立法によって修正しようと試みているのです。

では、具体的にこのSOLVE法案はどのような内容を含んでいるのか以下考えていきましょう。

まず、この法案が可決して施行された時点で、過去5年間就業して(個人営業も含む)税金を払っていた不法就労者及びその配偶者や21才以下の子供については、グリーンカードを与えるという点が最たるものです。また、その申請中は渡航は自由にできるように考えられています。夢のような法案ですね。
5年間アメリカに滞在していない場合でも、ある一定期間試験的な就労ビザを与えられ、その試験期間が過ぎ、刑法や移民法に触れるようなことがなければ、正式に永住権を与えてくれるという制度をこの法案では提案しています。

次に重要なのは、永住権を現在待っている外国人に関してです。この法案によると、5年間以上永住権の発行を待っている外国人に対して、優先的に審査を受けられるように取り計らう方法が細かく規定されています。また、現在移民局で導入されている3年10年の入国禁止規定を廃止することも盛り込まれています。
また、専門職ではなく、スキルをあまり要しない仕事に就いている外国人のために、新たにH-1Dビザというカテゴリを発行上限数を25万件に設定し新設することも法案に盛り込まれています。

この法案が「Comprehensive」と言われるには理由があり、以上のポリシーやおおまかな内容を基本として、ちゃんと現存している移民法の条文を細かく修正する案をつくっているからです。
ここでは、細かい条文の改正案までについては書く余裕はありませんが、もし議会を通過する見込みがあるのであれば、逐一JINKEN.COMニュースで取り上げていきたいと思っています。まあ、移民法を手がける弁護士にとっては夢のような改正案です。全体でなくても、一部だけでも議会を通過してもらいたいものです。

それでは、次回まで、さようなら。


 
■ アメリカに合法滞在するにはビザ。その取得と更新から解放されるにはグリーンカード!
何と、アメリカは移民の国と言われているだけあって、毎年政府公式で、抽選で永住権が当たるプログラムを実施しています。

Momsでは、アメリカ抽選永住権の代行申請を通年受付中!
応募期間はあっという間…申請は年に一度ですから、チャンスを逃さずに!働く・学ぶ・子育てする…永住権はすべてができます。
http://momsusa.jp/dv-program

■ 弊社ご利用者様の声はこちらから
 
■ 最新の鈴木弁護士書き下ろしブログはこちらから。
メールのご登録だけで、毎月10日にお届けします。

カテゴリー: 国際弁護士なブログ | 投稿日: | 投稿者:

jinkencom について

Moms(JINKEN.COM)の運営者であり、カリフォルニア州弁護士として活躍中の鈴木淳司弁護士のブログです。「移民法ブログ」では米国の移民分野についてホットな話題を取り上げて月に一度更新、「アメリカ法律ノート」は広くアメリカの法律相談に答える形で、原則毎週更新しています。なお、本ブログの著作権は著者に帰属します。 *たびたび法制度が変わりますので、最新情報をご確認の上、手続きされてください。