同性婚に基づく永住権申請の実務例


以前にも移民弁護士ブログでは、同性婚に基づく永住権申請について、アメリカ連邦政府と最高裁判所がどのように対応してきたのか経緯を考えましたが、今回は、実際に同性婚に基づく永住権申請がどのような流れになっているのか皆さんにご紹介しつつ、ポイントを考えていきたいと思います。

【関連トピック】 同性婚にもとづく永住権等の申請
http://momsusa.jp/archives/923

経緯のおさらい

簡単に同性婚に関する連邦法の流れを見てみましょう。
2013年に連邦最高裁判所は、DOMA法(Defense of Marriage Act、婚姻関係保護法とでも訳せましょうか)に定められた結婚に関する規定部分で、婚姻は男女間に限定するという部分を「違憲」としました。
これを受けて、連邦法上は同性婚が認められることになり、連邦法で定められている移民法においても、同性婚に基づく申請が許されるようになりました。
ここまでは以前に移民弁護士ブログで取り上げた内容です。

実際の永住権申請例

私の所属する事務所でも、同性婚に基づく外国人の永住権申請を実際に行い、無事に申請が許可され、外国人が永住権者となることができました。
永住権を申請できるとしても、今でも「ちゃんと許可がされるのだろうか」「許可は難しいのではないか」と心配される方も少なくありません。
結論としては、いったん法律で同性婚に基づく永住権申請が認められた以上、移民局は、通常の婚姻を原因とする永住権申請とまったく変わらないスタンダードで申請を処理している、と言えます。

具体的な申請方法と手続きの流れ

同性婚においても、通常の婚姻と同じようにI-130およびI-485という書類を移民局に提出します。
そして、婚姻証明スポンサーとなる市民の税務申告書永住権申請をする外国人の出生証明(日本でいうと戸籍ですね。)、外国人の健康診断書を添付します。通常のスケジュールと同様に、指紋の採取も行われました。
私の所属する事務所が一番最初に許可を受けた事例では、スポンサーとなる市民権保持者の方が高齢で、どのように収入を得ているのか、という質問状が来ましたが、その点については、収入源および預金などがあることについて証拠付ける書類を提出することで対応しました。これは、通常の婚姻のケースとまったく変わらない内容です。
その後、面接も婚姻のケースと同様に設定され無事に永住権の許可がおりることになりました。
したがって、手続もまったく今までのケースと同様ということになりますので、なんら特別な用意は必要ないことになります。
面接時の質問も至って、通常のケースとは変わらず、たとえば、
「現住所はどこか。」
「一緒に住んでいるのは、誰か。」
「パートナーの仕事はなにか、どこで働いているのか。」
「携帯電話の番号はなにか。」
など、パートナーのことと、その関係について聞かれたようです。また、交際履歴も詳しく聞かれたようです。

これらの質問を見返すと、同性婚においても、パートナー同士が、過去から現在にいたるまで交際をしてきたという足跡を面接官が納得できる程度に説明するように求められていますので、結局通常の婚姻のケースとまったく変わりがなかったことになります。

「家族」を改めて考える

ここからは私見ですが、私が弁護士として案件を見てきた経験上、今回の永住権申請だけではなく連邦法のベネフィットが広く同性婚にも認められてホッとしました。
恋愛という惚れた腫れたの話はさて置き、婚姻というのは、ただ単に好き嫌いの問題ではなく、家族として一緒に長い時を過ごすという、いわば「同士」になるという一面があります。一緒に小さな船に乗って航海をするのに、同性か異性かあまり関係はないはずです。
長年一緒に暮らしてきたのに、同性であったから相手方の社会保障を受けられない、とか、相続に違いが出てくる、退職後のメリットも共有できない、となるとかなり深刻な問題が生じます。
30年以上一緒に暮らしていたのに、死に別れたパートナーの持っている財産もあまり相続できず、ベネフィットも何ももらえない、なんていう事例を見てきましたが、これではあまりにも酷だなと感じました。「家族」という概念を考えされることが度々あったのです。

弁護士の仕事を20年も続けているうちに、本当にいろいろな価値観に接してきました。よく、歳をとってくると頭が固くなる、という一般論も耳にします。ですが、おかげさまで、私は頭が固くなるというよりは、むしろ経験から柔らかくなってきていると思うのです。いろいろな人生があり、成功も失敗もただの価値観であるわけです。
人の価値観を理解するということは不能かもしれませんが、理解しようと努力をすることはできます。こういう部分が弁護士という仕事の良き部分ではないかと最近思ってきました。

 

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カテゴリー: 国際弁護士なブログ | 投稿日: | 投稿者:

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