ビザ(査証)と滞在許可の違い


 




 

 今回は、ビザと滞在許可の違いについて考えさせてください。このトピックは90年代から何度となく私がいろいろ書いてきていますが、やはり整理して理解されていない方も多いようです。いろいろな質問が寄せられますので、ぜひ今回のブログを読まれて理解してくださいね。

アメリカに入国するには

よく、未だに「ビザスタンプ」という言葉を使う文献も見ますが、現在たとえば外国人である日本人がアメリカに入国する場合には、
  [1]ビザがない状況でESTAを利用して入国するとき
  [2]目的に合致したビザの許可を得るとき
  [3]永住権で入国するとき
が考えられます。
このなかでいわゆる「ビザスタンプ」が必要とされるのは、[2]ビザによる許可を得る場合です。
今では、パスポートの1頁に顔写真入りで、シールが貼られ、その内容として、どのようなビザがどの程度の期間発給されたか詳述されています。

査証(ビザ)が必要となる場合

査証、いわゆるビザというものは、米国外の米国大使館・領事館により発給されるのですが、ビジネスや留学など特定の長期にわたるアメリカ滞在をする目的がある場合に発給されます。査証免除協定がない国に入国するには、観光目的でもビザが必要な場合があります。
以前から私が比喩を使っているのですが、査証というのは、江戸時代の通行手形だと思ってください。通行手形というのは、当時の政府から、商業目的、交流目的などのために旅人に発行され、江戸に入るには箱根の関所を通ることになります。まず、通行手形を手に入れるのに一山あって、関所を通るときに手形を見せて、検分を受けることになります。関所を通ってしまえば、一応通行手形の役割は終わるわけです。
ビザもまったく同じことが言えます。米国大使館・領事館にビザの申請をして発給を受けます。このときに審査を受けて発給の可否が決まります。そのあと、アメリカに入国する際に入国審査を受けます。ビザが発給されていても、入国審査にひっかかることがあります。たとえば、目的がビザと違った入国であったり、違法な目的を持っていたり、ビザの発給までに虚偽の申請内容があったりした場合です。
無事に入国審査を通ると、ビザの役割は一応終わります。

ビザの有効期限と入国回数

目的別にビザには、就業、留学などのカテゴリーがありますが、入国回数にも数種類あります。すなわち1回の入国を認める一次、何度でも有効期限内であれば入国できる数次があります。あまり一般的ではありませんが、二次や三次といったものも存在します。
一次のビザにはEntryという項目に1,と書かれており、数次ビザにはMと書かれています。Multipleの略です。このビザの有効期限というのは、上記で考えたように、米国の入国審査を受けるための期限ということで、まさに通行するための期限ということになります。ですので、ビザの有効期限が明日であろうとも、米国の入国審査を受けることができます。この点をよく理解してください。

滞在許可の有効期限

ビザの有効期限とは別に滞在許可の期間という概念が存在します。この2つはまったく別物ですので、きちんと分けて理解することが重要です。
滞在許可の期間(Duration of Stay)というのは、通行手形を関所で見せたときに、その通行手形に書かれているビザの種類では、どの程度アメリカに滞在できるのか、という問題です。
たとえば、学生ビザ(Fビザ)であれば、米国に学生として滞在する不確定期間を指しますし、投資ビザのEビザであれば、2年間ということになります。そうすると、ビザの有効期限が明日であろうとも、入国審査によって、入国が許可されれば、学生ビザであれば、米国に学生としてちゃんと滞在していれば、その期間であれば合法に滞在できますし、Eビザであれば、ビザの有効期限が1日しかなくても、2年間の滞在許可がでることになります。
したがって、ビザの有効期限と滞在許可の期間は完全には一致しない、ということを理解してください。滞在許可期間については、入国の際に入国審査官がスタンプをパスポートに押し、そこに滞在期間を記入します。いったん米国に入ってしまえば、その滞在期間まで米国に合法的に滞在することができるのですね。
Eビザであれば、期日が指定されています。Fビザであれば、D/Sと記載されています。D/Sというのは、学生であるかぎり、という意味でDuration of Statusの略となります。

ここで、たとえばビザの失効日ギリギリに米国に入国し、滞在期間に基づいて合法的にアメリカに滞在している場合、かりに日本に向けて出国した場合はどうなるでしょうか。
この場合、一度アメリカを出てしまうと、再度米国に入るためには、もう一度通行手形を得て、関所を通ることになるわけです。

滞在許可期限にご注意を

このビザの有効期限と、滞在許可の期間というものは、2つ別物ということはよく理解されてください。
米国にすでに入国されている方の場合、自分が合法に滞在できているかどうかは、ビザを見るのではなく、入国時に押してもらったスタンプに記載されている期限をみるということが重要になりますので、この点を忘れないで下さい。入り鉄砲に出女、ということは現在ありませんが、江戸時代のシステムとあまり変わりはないということですね。

もう師走です。どこへいっても、風邪やインフルエンザが流行っているようですので、皆さんも体調に気をつけてください。それではまた次回まで。

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カテゴリー: 国際弁護士なブログ | 投稿日: | 投稿者:

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